久住英二医師に聞く!新型コロナウイルスのワクチン接種・16の疑問

久住英二医師に聞く!新型コロナウイルスのワクチン接種・16の疑問

調達や体制の問題を抱えながらも、新型コロナウイルスのワクチン接種は各地で進んでいます。医療従事者や65歳以上の高齢者の接種が一段落し、若年層も接種を受けられる地域が少しずつ増えてきました。

新型コロナウイルスのワクチンの接種は、 自分自身だけでなく、家族を、職場の仲間を、 そしてその先のお客様を守ること、つまり社会全体を守ることにつながります。
ワクチン接種を待ち望む一方で、接種後の体調変化など、ワクチン接種への不安を感じる方も少なからずいらっしゃるでしょう。
そこでディップはナビタスクリニックの久住英二医師(以下、久住先生)に、新型コロナウイルスワクチン接種にまつわる不安や疑問を聞きました。
久住先生の丁寧な解説は必読です!この記事がワクチン接種への不安解消のお役に立てば幸いです。

久住英二医師

久住英二(くすみ えいじ)

医療法人社団鉄医会理事長。1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学を専門とし、予防接種を積極的に行っている。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。働く人が医療を受けやすいよう、立川・川崎・新宿駅ナカに夜9時まで診療する「ナビタスクリニック」を開設するとともに、医学的な内容を分かりやすく情報発信する取り組みを続けている。一般社団法人医療ガバナンス学会代表理事として、医療に関するメールマガジン MRICを発行。

目次


ワクチン接種の支援がある企業のお仕事

久住英二医師からのメッセージ「新型コロナウイルスのワクチン接種を考えている皆さんへ」

新型コロナワクチンの接種が進んでいます。多くの人が接種を待ち望んでいる一方で、副反応の報道などから、ワクチン接種をためらっている人もいます。誰しも、よく知らないことには不安を覚えるものです。

ですが、ちょっと想像してみてください。ワクチンがまったく手に入らず、感染者が出続け、今のような生活がこれからも数年続くとしたら……? 「なぜ、打てないんだ」と、国内は大騒ぎになっていたことでしょう。

実際、世界にはワクチンを買えない国がたくさんあり、接種を受けられない人が大勢います。私たちは有効で安全な、貴重なワクチンを打つ機会に恵まれていることを、どうか忘れないでください。

そして、ワクチン接種は、自分自身だけでなく自分の大切な人を守り、その生活を守る有効な手段です。

ぜひ安心して接種を受けてください。体質的に避けた方が良いかどうかは、接種前の問診でチェックされますし、そうした方は非常にまれです。詳しくはQ&Aで解説します。

皆さん一人ひとりのアクションに期待しています。

久住先生に聞く!新型コロナウイルスワクチンの16の疑問

1.ファイザーやモデルナなど新型コロナウイルスのワクチンは、発症防止や感染予防にどのくらい効果があるのでしょうか?

A.米国の製薬大手企業ファイザーのワクチンは、「mRNAワクチン」という新しいタイプのワクチンです。

コロナウイルスの表面にある“目印部分”のみの遺伝子情報(mRNA)を、人工的に作製して、体に注射します。体に備わった防御システム=免疫(めんえき)に、その“目印部分”を記憶させ、本当にウイルスが入ってきた時にすぐ攻撃できるようにする、という仕組みです。

2回接種の後、2週間経過した時点での有効率(発症予防効果)は、臨床試験では95%でした。これは、接種していない人と比べて、発症する人が約20分の1に減る計算です。さらに、実際にイスラエルで16.3万人に2回接種したところ、有効率は92%でした。

もう一つ、大規模集団接種や職域接種で使われている米国製薬企業モデルナのワクチンも、同じくmRNAワクチンです。こちらも臨床試験で94.1%の有効率が認められています。発症リスクが約17分の1に減るということです。

なお、“発症”ではなく“感染”を予防する効果は、どちらのワクチンも90%との研究結果が出ています[→Q.14]。

2.「集団免疫」って何ですか? 自分が打つことで、“集団”に何が起きるのでしょうか?

A.ワクチンの効果は、接種を受けた個人にとどまりません。「集団免疫」といって、新型コロナウイルスでは、集団のうち70%の人が免疫を持った状態になると、感染が広がらなくなり、流行が終わると予想されています。実際に感染しなくても、ワクチン接種によっても免疫を獲得できます。

そうなれば、体質や病気、その治療薬の影響などから、ワクチンを打てない人や、ワクチンの効果が得られない人まで、自分が所属する社会の弱者をみんなで守ることができます。ウイルスの拡がりを食い止め、新たな変異ウイルスが生まれるのを防ぐことにも繋がります[→Q.3]。

3.新型コロナウイルスの変異が次々と報じられています。国内で接種に使われているファイザーやモデルナのワクチンは変異ウイルスにも有効ですか?

A.有効です。国内で感染拡大が懸念されているアルファ株(いわゆるイギリス型)については、各社のワクチンが有効です。南アフリカその他で見つかった変異株も、ファイザーとモデルナのワクチンでは血液成分を調べた限り有効です。

今、世界で流行しているのは、インドで最初に確認されたデルタ株です。ファイザーでは2回接種すれば87%の発症予防効果が得られます。モデルナではまだ研究中ですが、どちらのワクチンも、十分な発病予防効果を得るには1回の接種では足りず、2回完了させることが必要と見られています。

変異ウイルスは、イギリスでは2020年9月には発生していたと考えられています。今や世界各地で見つかっていますが、実際にはもっと早くから、変異はあちこちで起きていたはずです。イギリスは、ウイルスの遺伝子解析を大規模に実施してきたため、最初に見つけることができたのです。

今後も新型コロナウイルスは変異を繰り返します。ですが、今使われているワクチンが全く効かない変異ウイルスが、突然に出現する可能性は低いです。

新たな変異ウイルスの出現を防ぐには、ウイルスが増えない状況を作れば良いのです。つまり、なるべく多くの人がワクチンを打ち、ソーシャルディスタンスやマスクのような感染予防行動を徹底することです。みんなの行動で、変異ウイルスの出現も防げるのです。

4.副反応が心配です。出やすい副反応にはどんなものがありますか?

A.軽い副反応は、ほぼ全員に起きます。ワクチン接種は、体に異物を入れ、それを排除しようとする免疫システムを発動させる行為です。免疫システムが働くと、接種した部位が腫れたり赤くなったり、痛みが出たりします。それを副反応と呼びます。

初回接種後は、接種した部位が筋肉痛のように痛んだり腫れたりする「局所反応」が中心です。2回目になるとそれに加え、発熱、頭痛、倦怠感(だるさ)、筋肉痛、関節痛、吐き気、寒気など、「全身症状」が出やすくなります。

米国CDC(疾病予防管理センター)によれば、ファイザーもしくはモデルナの接種後、頭痛や倦怠感を訴えた人が初回接種で4割前後、2回目では6割前後に上りました。発熱は、初回だと数~5%程度ですが、2回目では2~3割に見られました。

こうした症状の多くは接種当日の夜から始まり、たいてい24時間以内には峠を越して、長くても2~3日で治まります。
症状が長びき、悪化が続くような場合は、たまたま同じタイミングで風邪をひいたり、コロナウイルス感染症にかかっていると考えるべきです。そのような場合は、医療機関を受診して、医師の診察を受けましょう。オンライン診療で、まず状況を説明して、受診の必要があるかほどうか判断を仰ぐのも良い方法です。

5.2回目接種後は、発熱や倦怠感などの全身症状が出やすいと聞きました。そうした副反応が出たらどうすればいいでしょうか?

A.基本的には、つらい場合も市販の頭痛薬(解熱鎮痛剤)でしのげます。各社から色々な製品が出ていますが、何でも大丈夫です!「アセトアミノフェン」という有効成分に殺到する必要もありません。

初回接種後にこうした全身症状が強く出た人は、念のため2回目接種の翌日は、前もって仕事の負担を減らしておくか、可能であれば休みが取れれば安心です。

6.接種後に起きる可能性のある「アナフィラキシー」とは何ですか?命に関わるのでしょうか?

A.ファイザーやモデルナなどmRNAワクチンではごくまれに、「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応が出ることがあります。

アナフィラキシーは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)等が体に侵入し、複数の臓器や全身に急速にアレルギー症状が出る過敏反応です。ひどい場合は、血圧低下や意識障害を伴う「アナフィラキシーショック」におちいります。

ただ、米国CDCの最新の報告によれば、ファイザークチンでは100万接種あたり11.1人(0.0011%)、モデルナでは2.5人(0.00025%)と、発生率は非常に低くなっていますし、そもそも全有害事象※の0.3~0.5%に過ぎないとも言われます。

アナフィラキシーが起きたとしても、ショック状態になるほどの重症は少ないので、極度に不安に感じる必要はありません。[→Q.7]。

※有害事象:ワクチン接種後に起きたすべての体調不良。ワクチンと因果関係のないものも含まれる。

7.ワクチン接種時に万一、アナフィラキシーが起きたらどうなるのでしょうか?

A.アナフィラキシーでは一般に、80~90%にむくみ、赤み、かゆみなど、皮膚や粘膜の症状が現れます。気道の粘膜がむくんで空気の通り道が狭くなり、息が苦しくなる呼吸器の症状は、~70%。吐き気や嘔吐、腹痛などの消化器症状が、~45%。血圧が下がって立ちくらみがするなどの循環器症状が、~45%。意識を失うなどの中枢神経系症状が、~15%に見られます(日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン」より)。

ファイザーワクチンによるアナフィラキシーの74%、モデルナでは86%が、接種後15分以内の短時間のうちに起きています。ファイザーで言えば、最も多いのが接種後10分、その次に多いのが5分もしくは15分です。両ワクチンとも9割が30分までに発生しています。

アナフィラキシーは、もちろん発生しないに越したことはありませんが、万が一の場合は速やかに適切な治療(アドレナリンやグルカゴン投与)をおこないますので、命に関わることはありません。

集団接種会場でも、医療機関でも、接種後は発症リスクの高い15~30分間は待機して、アナフィラキシーの起きないことを確認してから帰宅します。安心して接種に臨んで下さい。

8.アレルギー体質の人は、アナフィラキシーを避けるために接種を見送ったほうがいいですか?

A.アレルギーは、免疫システムの暴走です。本来は異物として排除する必要のない物質に対して過剰に反応し、さまざまな症状が引き起こされます。そのうち最も急速に起きて、症状の強いものが「アナフィラキシー」です。

当初は、医薬品や食品などによるアナフィラキシー経験者は、接種すべきでないとされていました。しかし、米国とイギリスでの100万回以上の接種実績から慎重に検討した結果、ワクチンやその成分とは無関係のアレルギーと、mRNAワクチンによるアナフィラキシーの関連は認められませんでした。

そこでイギリスの医薬品医療製品規制庁(MHRA)は2020年末に、ファイザーワクチンの接種を避けるべき人を、「同ワクチンの初回接種後、あるいはワクチンに含まれるポリエチレングリコールによって、過去に全身性のアレルギー(アナフィラキシーを含む)を経験した人」に限る、と方針変更しました。

日本の接種現場でも、そばや抗生剤に対しアナフィラキシー経験のある方にもワクチンを接種していますが、問題は生じていません。

9.海外では、接種後の若い男性を中心に、「心筋炎」や「心膜炎」が報告されていると聞き、気がかりです・・・。

A.心筋炎や心膜炎は、心臓の筋肉や表面を覆う膜に炎症が起きる病気です。重症になると、筋肉が腫れて収縮する機能が低下したり、もろくなって穴が空いたり、心臓の拍動リズムの調節が乱れて不整脈が起きます。

かぜウイルス(手足口病のウイルスが代表的)や、細菌など感染症に伴って起きることが多いのですが、コロナウイルス感染によっても心筋炎が起きることが報告されています。今回、コロナワクチンでも軽症の心筋炎や心膜炎が引き起こされることが分かりました。

米国CDCによれば、ファイザーとモデルナのワクチン接種後、100万接種あたり12.6人に発生しています。特に多いのは2回目接種から2~4日後、10代後半~20代(特に20歳前後)の男性で、男性が女性の8倍以上となっています。

ただし、米国CDCの報告では、今年6月11日までに確認された患者323人のうち、309人が入院後すでに退院していて、14人は入院もしていませんでした。心筋炎が起きたとしても軽症で、自然に治まっていき後遺症も残らない程度なので、「これを理由にワクチン接種を止める必要はない」としています。

国内では今のところ、100万接種あたりファイザー0.72人、モデルナ1.06人に心筋炎が起きたと報告されており、やはり40歳未満の男性が多くなっています。しかし、いずれの方も軽症ですし、ワクチン接種をためらう必要はないと考えます。

10.副反応の出やすさはファイザーとモデルナで違うのでしょうか?どちらを接種しても大丈夫?

A.ファイザーとモデルナ、どちらも安全性はWHOの国際諮問委員会(GACVS)のお墨付きですが、出やすい副反応に多少の違いはあります。

例えばアナフィラキシーの発生率は、ファイザーがモデルナを上回ります。米国ではファイザーは100万接種あたり11.1人、モデルナでは2.5人で、国内ではファイザーは100万接種に7人、モデルナは1人の割合となっています。

心筋炎・心膜炎だと、モデルナ接種者の方が高率です。米国では2回目接種後、ファイザーは100万接種あたり8人、モデルナは19.8人で、国内でもモデルナがやや高くなっています。

また、モデルナのワクチンではまれに、接種後1週間たってから接種した部位の周りが腫れてくる「モデルナ・アーム」という症状が見られます。初回接種後の女性に多く、米国の臨床試験では1万5000人中、初回接種後に244人、2回目接種後に68人報告されました。

症状は4~5日(長いと3週間)続きますが、自然に治まって、入院が必要なほどに深刻なケースはありません。ただし、これはファイザーの接種後にも起きたと報告されており、モデルナに限った話ではありません。

副反応の差から、どちらのワクチンを選ぶべき、と言えるほどの差はありません。

11.ワクチンのせいで失神する、というのは本当ですか?なぜ起きるのでしょうか?

A.失神は、ワクチンそのものによるものではありません。むしろ「注射」が引き金と言ってよいでしょう。予防接種に限らず、採血や献血など、痛みを感じる行為を受けたり、時にはそれを見ているだけで起きることもある、「血管迷走神経反射」という現象です。

一時的に血圧が下がり、脳貧血になり失神することもありますが、横になればすぐ回復します。倒れたとしても、たいていは人の見ているところで徐々に倒れるので、怪我をすることはまれです。

接種前に正しい知識を得て、不安を取り除くことが大事です。穏やかな気持ちで接種に臨むことで、回避につながります。

12.ワクチン接種でコロナにかかってしまう、不妊になる、ワクチンのmRNAが自分の細胞に組み込まれる、といった話を聞きました。本当でしょうか?

A.どれも間違いです。

mRNAワクチンでコロナにかかることは、ありえません。生きたウイルスを使っているわけではないので、原理上おきません。

ウイルスを弱毒化して使う生ワクチンの場合、免疫抑制剤で治療を受けていたり、未治療のHIV感染者であったりすれば、接種後にワクチン由来の感染症を発病することはあります。あらゆるワクチンにそのイメージが付きまとっているようですが、正しくありません。

SNSでは、コロナに感染していた人がワクチン接種後に発症し、ワクチン接種が原因と勘違いして誤った情報を拡散しているケースも見受けられます。

「ワクチンで不妊になる」は、世界中で古くから使われてきた有名な“デマ”です。

例えば、西アフリカでは「ワクチンはイスラム教徒を減らそうとする西欧キリスト教国の陰謀で、打つと不妊になる」というデマが信じられ、ワクチン接種者の一行が自爆テロや銃撃の標的になるなどの悲劇が起きています。

日本では、「HPVワクチンが不妊を引き起こす」とのデマが流れました。ワクチン接種後に多くの方が普通に妊娠・出産されていることから、すぐバレてしまう嘘なのですが……。「不妊」は、人間に不安を引き起こす有効なフレーズのようで、よく使われています。

「ワクチンのmRNAが細胞のDNAに組み込まれる」「マイクロチップが入っていて5Gにつながって国からコントロールされる」など、デマや陰謀論には際限がありません。正確な医療情報が記載されている米国やイギリス、日本の公的な保健機関のホームページで確認すると確実です。

(参考情報)首相官邸「新型コロナワクチンについて

13.新型コロナワクチンで行われている「筋肉注射」は、通常のインフルエンザワクチン接種の方法とどう違うのでしょうか?痛みや安全性はどうですか?

A.多くの方が慣れている予防接種の方法は「皮下注射」といって、注射針を二の腕に斜めに浅く刺すやり方だと思います。実は、皮下接種は海外ではあまり一般的ではありません。世界の主流は「筋肉注射」で、長めの針を肩に近い部分に、垂直に深く刺します。

慣れないと怖そうに感じるかもしれませんが、打った時の感覚は人によっても、その時々でも違います。筋線維を押し分けて液体を注入することや、薬液の浸透圧の差が神経を刺激することなどから、痛みを感じる人もいます。一方で、気づかないくらい痛みの軽い人もいます。

また、かつて日本では「筋肉注射は筋肉に障害を起こす」という誤った知識が広まりましたが、筋肉注射用に開発されたワクチンを適切に接種すれば、そのようなことは起きません。

むしろ、同じワクチンを皮下注射と筋肉注射で接種した場合、筋肉注射の方がワクチンの効果が高く出ます。新型コロナワクチンも、海外で筋肉注射で臨床試験を行った以上、日本でも同じく筋肉注射とすることで同等の効果を得られると考えます。

14.ワクチン接種が完了したら、新型コロナの感染リスクはなくなりますか? もうマスクをつけなくてもいいでしょうか?

A.ワクチンの接種を受けた人でも、新型コロナの感染リスクがゼロになるわけではありません。マスクはもうしばらく必要です。

米国CDCによれば、ファイザーとモデルナのワクチンの“感染”予防効果は、2回接種完了後に2週間経過した時点で90%に上ります(“発症”予防効果はそれぞれ95%、94%)。また変異株でなければ初回接種だけでも、2週間たてば80%の“感染”予防効果が得られるといいます。

逆に言えば、発症予防も感染予防も100%の効果ではないのです。

国立感染症研究所は、ファイザーワクチンを接種した110万人超の医療従事者(2回接種完了者は約95%)について、その後の感染状況を報告しています。接種後に感染が報告されたのは281人(0.03%)で、このうち2回接種完了者も47人(16.7%、全体の0.0043%)いました。女性が約7割、20~40代が約7割でした。

また、別の研究では、初回接種後に感染が判明した人のうち無症状は20.0%でしたが、2回接種完了後の感染で報告時に無症状だった割合は40.7%に達しました。

つまり、「自分はもう打ったから……」と油断していて万が一感染した場合は、無症状・無自覚のままウイルスをばらまく可能性がより高いのです。社会全体の接種率がまだまだ低い日本では、家庭内やコミュニティ内に飛び火しないほうが難しいでしょう。

ですから、接種が完了した人も当分の間は、ソーシャルディスタンス、マスク着用、手洗いの徹底と、場所や状況により行動自粛を継続してください。

15.そもそもマスクをつけることは、新型コロナウイルスの感染予防に効果があるのですか?

A.新型コロナ以前、インフルエンザ予防の研究では、マスクは「人に感染させないためには有効だが、感染から身を守る効果についてはエビデンスがない」との知見止まりでした。しかし、新型コロナをきっかけに、マスクの感染予防効果が世界中で注目されています。

2020年4月に世界的科学誌『Nature』に発表された論文では、サージカルマスク(医療用の不織布マスク)は、症状のある感染者からの新型コロナやインフルエンザの感染を予防できる効果が示されました。

新型コロナでは、「感染者から呼吸で吐き出される水蒸気にウイルスが含まれ、空気中を漂い、エアロゾル感染(空気感染とほぼ同じ意味)を引き起こす」というのが、新たな科学的知見です。

実験の結果、マスクはエアロゾルに含まれるコロナウイルスを大幅にカットし、飛沫(つば)中のコロナウイルスも減少傾向が見られました。インフルエンザウイルスについては飛沫中のみ大幅カットが確認され、ライノウイルス(風邪のウイルスの一種)では予防効果は確認できませんでした。

16.普段から感染対策はしているし、20代で基礎疾患もないので重症化のリスクは低そうです。正直、接種を迷っているのですが、久住先生はどう考えますか?

A.冒頭のメッセージでもお伝えした通り、体質や体調に問題のない限り、基本的には打つべきものと考えています。

個人を守るだけでなく、免疫不全などで絶対に打てない方など、社会的弱者を守るためにも、打っていただくのが望ましいです[→Q.2]。

ごくまれに起きるアナフィラキシーも、情報がすでに広く共有されていますから、接種所には適切な応急処置の備えもあり心配はいりません[→Q.7]。正しい知識を持って安心して受けていただければ、血管迷走神経反射による失神などの事態も避けられるでしょう[→Q.11]。

今、世界が新型コロナと闘い、ワクチンに望みをつないでいます。

もし国内で接種率が上がらなければ、国際社会は日本を「安全に行き来できる国」と認めないでしょう。

実際、日本は過去に何度も米国CDCから、「風疹流行国」として「渡航にあたり注意が必要な国」との警告を出されています。今回同じような事態に陥れば、パンデミックで疲弊しきった経済、社会、人々のあらゆる営みの回復も、危うくなることでしょう。

どうかデマ情報に踊らされず、正しい知識のもとに自らの行動を決めてください。繰り返しますが、接種は個人の判断になりますが、現代の欧米各国の薬事承認規則の下に開発されたワクチンは、決して危険なものではありません。安心して接種に臨んでください。

まとめ

久住先生の科学的知見に基づいたわかりやすい解説は、いかがだったでしょうか。

繰り返しになりますが、ワクチンを接種することは、 自分自身だけでなく、家族を、職場の仲間を、そしてその先のお客様を守ること。つまり社会全体を守ることにつながります。

そこで私たちディップ株式会社は、「バイトル」「バイトルPRO」「はたらこねっと」でのお仕事情報の提供を通じて、ワクチン接種促進の一助として頂くための新しい取り組みをはじめます。

例えば、ワクチン接種有給休暇や、ワクチン接種協力金の支給、ワクチン接種をした人のシフトの優先や、時給アップなどのワクチンインセンティブを積極的におこなっている企業や店舗の求人情報を提供していきます。

少しでも安心してワクチン接種できるように。すべての人が活気ある日常を取り戻せるように。ディップは動きます。

ワクチン接種で、社会を守ろう。

ワクチン接種の支援がある企業のお仕事


【参考情報】
首相官邸
新型コロナワクチンについて

厚生労働省:
ファイザー社の新型コロナワクチンについて
武田/モデルナ社の新型コロナワクチンについて

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A:
集団免疫とは何ですか。
変異株の新型コロナウイルスにも効果はありますか。
これまでに認められている副反応にはどのようなものがありますか。
ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。
アナフィラキシーではどのような症状が出ますか。治療法はありますか。
過去にアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがあり、今回も起こすのではないかと心配なのですが、接種を受けても大丈夫でしょうか。

ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか。
ファイザー社のワクチンと、武田/モデルナ社のワクチンの安全性には違いがありますか。

厚生労働省 第63回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料3-1(2021(令和3)年7月7日)
副反応疑い報告の状況について

※この記事は久住英二医師の監修のもとで制作しています。記事内容の正確性について、ディップ株式会社は責任を負いかねます。ワクチン接種の実施は最終的に個人の判断に委ねられるものと考えており、本記事はその判断をするための参考情報として制作・公開しております。ワクチン接種を受けないと決断した方を非難したり、差別を助長したりする意図ではない旨をご理解ください。

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