「2019年」これまでの求人募集が変わる!求職者が応募したくなる採用のヒント~アルバイト・パート3,000人アンケート~

調査概要
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- 調査主体:ディップ株式会社
- 調査手法:インターネットアンケート(株式会社インテージのモニター利用)
- 調査実施時期:2018年9月28日(金)~2018年10月2日(火)
- 対象者条件:全国 16~69歳 男女 現在、長期(6カ月以上)前提での仕事を探している、
または直近1年以内に長期(6カ月以上)前提での仕事を探していた人 - サンプルサイズ:n=3,036サンプル
調査背景
リーマンショック後、10年で採用を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。少子高齢化などにより、様々な人が働くようになったと同時に、ライフスタイルや働く目的の多様化により、働き方も変化しました。採用を成功させるためには、求職者の実態を把握したうえで、最適なコミュニケーションが必要です。企業と求職者との最初の接点である「募集」という重要なプロセスを最適化する処方箋を探ります。
本レポートについて
本レポートでは、求職者が求人を検討する際の基準を「募集条件」「待遇・制度・条件」「環境・雰囲気」の3つのカテゴリに分け、調査を行いました。
容易に変更しづらい項目も存在しますが、求職者のニーズを把握したうえで募集をすることで、より良い採用につなげることができます。属性別データもダウンロードいただけますので、属性に合わせた「条件の変更・緩和」「情報提供・表現の見直し」にお役立てください。併せて、これまで訴求できていなかった属性への「ターゲット拡大」をご検討ください。
【サマリ】
応募をするときに見る給与の情報
求職者が希望するシフト
職種の許容と希望
ダウンロード版では、
すべてのデータを属性別にご覧いただけます。
また、本編で取り上げていない「未経験者の仕事の探し方」や、「正社員登用への希望」、「給与の支払いサイト」に関する希望などについて取り上げています。
応募を検討するための大切な要素
求職者が仕事探しをする際に譲れない条件は、企業にとって変更しづらい項目が多数存在します。
しかし、募集時の工夫により応募効果向上を図ることが可能です。求職者の譲れない条件に対し、各項目ごとに応募意向を高める秘訣を探っていきます。
まずは、求職者が仕事探しをする際に“希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」”ランキングを
ご覧ください。
Q.希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」を1位~3位でそれぞれ選択してください。(1位~3位合算)n=3,036
求職者が重視しているのは、「仕事内容」「給与」「職種」「勤務シフト」など企業にとっては変更しづらい項目が上位を占めました。次項からは、実際に「どんな条件を希望しているのか」「どんな働き方を希望しているのか」「どんな情報を知りたいと思っているのか」などを詳しく見ていきます。
求職者が知りたい仕事内容
ここからは、希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」ランキングの上位項目を見ていきます。
まずは、2位「仕事内容」の求職者の応募意向を高めるポイントです。

多くの企業で、就業後初めて説明しているであろう仕事内容の詳細を求職者は応募を検討する段階で把握したいと感じています。また、仕事内容の詳細を知り、不安を解消することで80%以上が応募意向が高まると回答しました。
受け手により解釈が異なるような表記は避け、詳細な表現をすることが、求職者の不安を解消し、就業後のミスマッチを軽減します。
応募をするときに見る給与の情報
最低限、希望する「給与の水準」
次に、希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」3位「給与」についてです。
エリア別(全国・東京都・大阪府・愛知県・福岡県)の求職者の希望をご覧ください。
Q.最低限、希望する時給もしくは月給を1つだけ選択してください。 n=3,036
最低限希望する給与は、高い水準にはなりませんでした。東京都「時給1,000円以上」、大阪府、愛知県「時給900円以上」、福岡県「時給800円以上」など 多少エリアにより異なるものの、各エリアの最低賃金+100円前後が最低希望額になっています。
求職者が知りたい給与関連の情報
先ほどのデータより「給与」の最低限の希望はさほど高くないことがご認識いただけたかと思います。
実際に求職者の応募意向が高まるポイントをご覧ください。
1位「休日出勤・深夜勤務・残業などがあった場合の時給」は60%以上の求職者の不安要素になっています。その他、2位「一律の手当名と金額」、4位「給与に幅がある場合の高い給与になる条件」も約50%の求職者の不安要素になっていますが、情報不足の求人をよく見かけます。
不安要素があった際も、給与について尋ねることは、やり取りが増えるうえ、心理的負担が大きいものです。不明瞭な表記は避け、求職者の不安を解消することが必要です。
求職者が希望するシフト
希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」項目で“勤務時間38.4%”“勤務日数20.0%”と「勤務シフト」に関わる項目は上位に挙げられています。
勤務時間、勤務日数、さらに平日・休日の組み合わせの希望について、属性別に見ていきます。
希望する「1日の勤務時間」 と「1週間の勤務日数」
学生、主婦・主夫の70%以上が1日“5時間以下”の勤務を希望、反対に、フリーターの約60%が1日“6時間以上”の勤務を希望しています。
ターゲットに合わせた条件変更・緩和、柔軟に対応できる体制にすることで、募集効果向上を図れます。
希望する「平日・休日」 の組み合わせ
学生は休日を含む組み合わせの勤務希望、その他の属性は平日のみの勤務希望が最多となりました。
募集しているシフトの見直しの参考にしてください。
職種の許容と希望
ここからは、求職者が「許容できる職種」と「最も希望する職種」を属性別や「許容出来る職種」と「最も希望する職種」の関係性など、様々な角度から見ていきます。
「許容できる職種」と「最も希望する職種」
Q.許容できる職種についてあてはまるものをすべて選択してください。
また、そのなかから最も希望する職種を1つ選択してください。 n=3,036
「軽作業・物流」「オフィス(事務・コールセンターなど)」の許容と希望が圧倒的な支持を得ています。次のグラフは、属性別の「許容できる職種」の割合です。
属性別で見る「許容できる職種」
属性により、許容する職種に差が出ました。全体では「軽作業・物流」「オフィス(事務・コールセンターなど)」の許容割合が高いですが、学生の場合「販売」「フード・飲食」の許容が1位となりました。
また、1人あたり、平均3つ~4つの職種を許容しています。
「最も希望する職種」と一緒に検討される「許容できる職種」
最も希望する職種と許容する職種の関係に一定の傾向が見られました。たとえば、「販売」を最も希望する求職者について、50%以上が「フード・飲食」も許容しています。
また、「最も希望する職種」に「オフィス(事務・コールセンターなど)」を選んだ求職者のうち、30%以上が「販売」「軽作業・物流」を「許容できる職種」と回答しています。
応募効果向上のためには、同時に検討されている職種を知ることも有効です。自社の求人と同職種のみならず、同時に検討されている職種の求人情報も参考にしてください。
次項からは、待遇・制度・条件の具体的な希望を見ていきます。
求職者が希望する待遇・制度・条件
求職者が仕事探しで譲れない条件上位、「勤務地」「仕事内容」「給与」以外の「待遇・制度・条件」を具体的に見ていきます。
まずは、希望する「待遇・制度・条件」ランキングをご覧ください。
Q.希望する「待遇・制度・条件」を1位~3位でそれぞれ選択してください。 (1位~3位合算) n=3,036
次項からは、求職者が重視している項目「交通費支給」「シフト自己申告」について、実際に「どんな条件を希望しているのか」「どれくらい応募意向は高るのか」を詳しく見ていきます。
「交通費支給の有無」の応募意欲への影響と、「希望する支給タイミング」
ここからは、求職者の応募意向に関わる項目について取り上げます。まずは、希望する「待遇・制度・条件」で圧倒的1位だった「交通費支給」について、さらに詳しく見ていきます。

「交通費支給」があることで87.8%が応募意欲が高まると回答しています。また、「支給タイミング」は、54.2%が「当月中以内」を希望と回答しています。「交通費支給」だけでなく、「支給のタイミング」も求職者の仕事探しのポイントになっているようです。
希望する「シフト」と「シフトの申請タイミング」
譲れない条件だけでなく、希望する「待遇・制度・条件」でもシフト関連の項目が上位になりました。シフト自己申告制希望について、さらに詳しく見ていきます。
Q.希望するシフトと希望するシフトの申請タイミングを選択してください。 n=3,036
60%以上が自己申告制希望、そのなかで70%弱が「2週間に1度以上」の申請を希望しており、柔軟なシフト、かつ比較的高い頻度でシフトの見直しを求めています。
希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」項目で取り上げた属性別の希望シフト同様、求職者の仕事探しのなかで重要な要素になっています。
※属性別データは詳細版(ダウンロード)にて、ご覧いただけます。
ランキングになかった! 意外と応募意向が高まる条件
「履歴書を返却・履歴書不要」の応募意欲への影響
Q.「不採用の場合は、履歴書を返却」 「面接時の履歴書は不要」と記載されている場合の応募意向を選択してください。 n=3,036
不採用の場合の「履歴書を返却」で33.9%、面接時の「履歴書不要」で52.0%が
応募意向が高まると回答しました。履歴書不要の対応が難しくても、面接来社時の履歴書の準備は不要とし、当日一緒に作成するなど、求職者の応募意向を高める工夫ができそうです。
応募前に知りたい職場の環境・雰囲気
求職者は、これまで取り上げた条件以外にも働く「職場の環境・雰囲気」を知りたいと思っています。
実際に応募前に知りたい「職場の環境・雰囲気」ランキングをご覧ください。
Q.「職場の環境・雰囲気」の表記について、あれば応募しやすい情報にあてはまるものをすべて選択してください。(複数回答) n=3,036

職場の環境や雰囲気の詳細情報を求めている結果となりました。特に求められている内容は、 職場の年齢層、人数、男女比や同僚・上司の雰囲気など一緒に働く人の情報です。 写真や動画などを使った、よりイメージをしやすい情報の希望度も高くなりました。
応募効果向上を図るとともに、ミスマッチの少ない採用につなげていきましょう。
求職者に見られている! 求人情報以外の情報
応募前におこなう職場の下調べ
Q.これまでに、アルバイト・パートの求人の職場を下調べしたことがありますか?
下調べしたことがある場合は、どのような方法で調べたかお選びください。(複数回答) n=3,061
約80%の求職者が、職場環境を知るために、求人情報以外の方法からも情報を得ようとしています。求人広告を掲載される企業は求人広告だけでなく、求職者の目の届くところへの配慮が必要です。
さいごに
求職者が求人を検討する際の基準として、「募集条件」「待遇・制度・条件」「環境・雰囲気」のいずれも重要視していることが見受けられる結果となりました。
「募集条件」「待遇・制度・条件」「環境・雰囲気」は容易に変更しづらいとは思いますが、 求職者の希望だけでなく、許容を知ることでこれまで訴求できていなかった属性への「ターゲット拡大」を図れる可能性が広がります。
また、ターゲット属性の希望や許容に合わせた「条件の変更・緩和」だけでなく、応募時の不安を解消するために、募集原稿に置いて「情報提供・表現の見直し」を行うことで、募集効果を向上させることができます。
求職者の希望や許容などの実態を自社の求人内容と比較し、お役立てください。
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里