株式会社ブロンコビリーの “ココだけ”トップインタビュー

「ブロンコビリーがあってよかった!」お客様や働く仲間にそう感じてもらえるお店に

竹市克弘氏

社長略歴

竹市克弘氏 1975年2月生まれ、43歳。名古屋市出身。米デンバー大経営学部ホテル&レストラン学科卒業後の2003年ブロンコビリー入社。取締役営業部製造購買担当、常務取締役第1営業部長、代表取締役専務などを経て2013年3月代表取締役社長就任。海外に出張した際、地元の食材を使った繁盛店に多いときは1日9軒出向く。妻と長男、男女の双子の5人家族。

■株式会社ブロンコビリー ■本部/名古屋市名東区平和が丘1-75 ■創業/1978年 設立/1983年(昭和58年)12月26日 ■従業員数/4,285名 正社員:513名(男性401名、女性112名) ■事業内容/ご馳走レストラン「ステーキハウスブロンコビリー」を東海・関東・関西中心に全店直営で経営。※直営122店舗(2018年1月現在) ■自社工場 東海ファクトリー(愛知県春日井市)/関東ファクトリー(神奈川県厚木市)

ブロンコビリーといえば「炭焼きステーキとハンバーグ」「大かまど炊きのご飯」「店舗でカットする新鮮野菜のサラダバー」が魅力だ。品質を重視しながら、飲食業ランキングの利益率部門では5年連続で1位または2位を獲得するなど、経営の質にも定評がある。2023年300店舗という数字を掲げ、外食産業の超優良企業を目指す同社を率いるのは、創業者からバトンを引き継いだ竹市克弘社長。経営で大切にしていることは?という問いに、すぐ、「働いている人たちがちゃんと笑顔で働ける職場を作ること」という答えが返ってきた。

インタビュアー

インタビュアー

ディップ株式会社 執行役員 鬼頭伸彰
同社 ビジネスソリューション事業部 事業部長 佐賀野淳

今日、息子の誕生日を祝うために、家族でブロンコビリーにいくんですよ

―最近、テレビで「ブロンコビリー」のCMをよく目にします。関東圏をはじめ、店舗数も増やしていらっしゃっていて、ブロンコビリーさんで食事をする機会が増えました。

竹市:ありがとうございます。

―私は「極み炭焼きハンバーグ」の大ファンです。お世辞抜きに、あれを食べると、他のお店のハンバーグが物足りなく感じてしまいます(笑)

竹市:もっと多くのお客様にそう感じていただければ嬉しいのですが (笑)

―ご家族で、ブロンコビリーへ食事にいかれることはありますか?

竹市:よくいきます。今日の夕食も、ブロンコビリーで楽しむことにしているんですよ。息子の誕生日の食事会です。

―ご家族の笑顔が見えるようですね(笑)

竹市:お客様に楽しい時間をお届けするために、さまざまな店舗演出を施しています。常に見直しもしていて、今回、お客様の誕生日をお店全体でお祝いするよう、音楽の演出を変えました。その効果を、自分の息子の誕生日を利用して、体感してみよう、と。

―お客様の視点を大切にしていらっしゃるのですね。

直近の新規出店は、関東と関西、静岡などが中心になります

―名古屋市北区にステーキハウスの「ブロンコ」を開かれたのは1978年。今年で創業40周年を迎えられました。

竹市:前身は両親が経営していた喫茶店です。愛知県発祥の外食企業は、もともと喫茶店だったというところが多いんですよ。

―名古屋といえば、喫茶店のサービス競争が知られていますからね。喫茶店が飽和状態のなかで次の展開を模索された結果でしょうか。

竹市:創業者である現会長は、「もっとより多くのお客様、より多くの仲間と出会い、幸せにしたかったから」と。創業者のこの想いは、いまもしっかりと受け継いでいます。

―1983年に株式会社ブロンコを設立し、名古屋市内から愛知県郊外へ進出されました。

竹市:1985年に当時珍しかった炭焼きとサラダバーを導入し、人気を博します。1990年の8店舗から、1995年には14店舗、翌年には19店舗と店舗を拡大し続けました。それでも、開店当初は知名度がなく、お客様より従業員の人数の方が多いという日々が続いたといいます。レストランではなくジーパン屋と間違われたこともあったそうです。

―今では122店舗を数え、新規出店も順調に進んでいます。

竹市:すべて直営で展開しています。新規出店は、直近3年から5年は関東と関西が中心です。静岡県や名古屋市内の商圏にも注目しています。"

お客様のリピート率、従業員の定着率 この二つに強くこだわっています

―店舗数、売上、利益、自己資本比率など、すべての数字が、竹市社長がトップになられてからも、ほぼ右肩上がりです。店舗数で目標にしていらっしゃる数は?

竹市:200から300を考えていて、「2023年300店舗」という数字を掲げてはいます。しかし、店舗数や目標達成期間へのこだわりは、特に強いわけではありません。拡大路線を走っていくことや、全国チェーンのレストランを目指しているわけではないですから。

―どこを重視していらっしゃるのですか?

竹市:たとえば、1店舗当たりのお客様の数です。「またいきたい」と思って通っていただく回数を増やすこと。

―もっと愛される店づくりですね。

竹市:これは、働いてくれる従業員にもいえることで、「楽しいからもっと長く働きたい」と思ってもらえる店づくりも重視していることの一つです。お客様にも、働く仲間にも、「身近にブロンコビリーがあってよかった!」と思っていただきたいですからね。

―「愛される店づくり」を通じた、常連のお客様の獲得で、大切にしてらっしゃることは何でしょうか。

竹市:いくつかあります。私たちが目指すのは、ただ食事を「済ませる」のではなく、素敵な時間を「過ごす」ことができるレストランです。そのために、楽しくてワクワクするような演出を散りばめた店舗作りを徹底しています。

竹市克弘氏

 

美味しいものを食べたいというのは、人間の根源的な欲求ですからね

―ついさきほど、食事をしてきましたが、お店に入ってすぐの場所に、オープンキッチンがあって、肉が美味しそうに焼かれていました。

竹市:全店、厨房の奥まで見通せるオープンキッチンを採用しています。お米を炊き上げる大かまど、焼かれるステーキやハンバーグ、そして、中央の彩り鮮やかなサラダバー、開放感あふれる店舗設計が特徴です。複数のライブモニターで肉を焼く様子やサラダバーの様子を見ることができ、待ち時間も楽しめるよう工夫しています。

―味や食感だけでなく、肉の焼ける音、香り、映像といった五感すべてで楽しむお店をつくりあげられているわけですね。

竹市:中でも一番大切にしているのは、「美味しいものを追求し、提供し続けること」。食事をする場所を提供しているので、これに尽きます。美味しいものを食べたいというのは、人間の根源的な欲求ですからね。その欲求にいかにこたえるかで、お客様に何度も利用していただけるかどうかが決まります。

来週水曜日から南米ウルグアイに飛びます

―「美味しいものを追求し、提供し続けること」とおっしゃいましたが、具体的な取り組みとしては?

竹市:メニュー開発のための会議は少なくとも月に2回、多いときは週に2回やっています。あさってもやるんですよ。

―新メニューの開発やレシピの見直しなどに注力していらっしゃるわけですね。

竹市:常に、「もっと美味しいものをお出しできないか」という姿勢を取り組んでいます。だいたい5割から6割は既存のメニューの見直しです。

―原材料の見直しが中心ですか? 味付けですか?

竹市:両方ですが、原材料のメインとなる牛肉は常に探しています。

―外国産の牛肉ですか?

竹市:国内、国外にかかわらず、です。今はまだメニューにない「国産和牛の炭焼きハンバーグ」を開発しようとしていて、先週も先々週も九州の牧場に視察に行ってきました。もちろん、国外でも常に新しい産地を探していて、来週水曜日から南米ウルグアイに飛びます。ウルグアイの牛肉輸入が解禁になりましたからね。

竹市克弘氏

ハンバーグのレシピは、半年に150以上開発しています

―先頭に立って、料理の品質にこだわっておられるのはなぜでしょうか。

竹市:1990年代の後半、バブル崩壊後のデフレの中で、外食業界はこぞって低価格競争を行いました。ブロンコビリーも2000年にその競争に挑むことを決め、コスト削減のため、悩んだ末に人気だったサラダバーと炭焼きを廃止し、低価格メニューを打ち出しました。全世界を巻き込む騒動となったBSE(牛海面状脳症)問題という逆風がその直後に吹いたこともあり、お客様がぱったりと来なくなってしまい、赤字を計上してしまいました。

―仕入れや加工といった、ブロンコビリーさんの強みが凝縮した、炭焼きとサラダバーを捨ててしまった結果、お客様から愛されなくなり、倒産の危機に陥ってしまった、と。

竹市:そこで、従業員全員で一丸となり、ブロンコビリーの「得意なこと」「好きなこと」「高い評価を得ること」は何かを考え、徹底的に改革を行いました。そして、2004年、さまざまな改革を重ねた末、廃止していた炭焼きとサラダバーを復活させました。

―ごはんのかまど炊きもはじめられたのですよね。

竹市:そうです。現在のブロンコビリーの「炭焼き」「サラダバー」「大かまど」のスタイルがあのときからはじまったわけです。

―品質への徹底したこだわりの背景が分かりました。

竹市:当社は、ステーキとハンバーグの専門店ですからね。品質の追求は、常に最優先課題としてとらえ、徹底してやろう、と。だから、私自身が美味しい肉を探して世界中の牧場に視察に行きますし、レシピも常に見直す。ハンバーグのレシピに至っては、半年に150以上作ってはやり直しを繰り返しています。

―サラダバーを提供されている外食企業さんも多いですが、鮮度も味もグレードが1段も2段も違うと感じています。相当なコストをかけていらっしゃるとお聞きしました。

竹市:農場を訪ね、旬の野菜を買い付け、店舗に直送し、お出しする直前にカットしています。年に4回も5回も素材やレシピを変え、季節ごとの限定メニューとしてお出ししています。いつ行っても、同じサラダが並んでいては、お客様に愛し続けていただけませんので。

経営目標は「日本一のステーキハウスを目指す」すべての鍵を握るのは「人」です

―目指していらっしゃる「日本一のステーキハウス」とは、どういうものですか?

竹市:ただ単純に店舗を増やして日本一になるのではありません。出店した店舗が「地域一番店」になり、それを多くの地域で実現していくということを、地に足をつけてコツコツ達成していく。この積み重ねしかありませんね。

―全国チェーンのレストランを目指しているのではないと先ほどおっしゃいました。

竹市:なぜ、お客様が外食するのかを考えていくと、やはり普段、家では体験できない、美味しくて楽しい食事をしたいからだと思います。私の願いは、規模の大小ではなく、地域のお客様にとって日本一美味しいレストランにしていくこと。どこの街に出店してもお客様からそう認めていただけるように、商品・サービスすべてにおいて「日本一」を目指してまいります。

―その経営目標を達成する上で鍵を握るものは何でしょうか。人づくり、つまり、人の教育には先代の社長様のころより、かなりのコストと日数と労力をかけていらっしゃるようですが。

竹市:創業者の「外食産業は教育業」という考え方を継承しています。パートナーさん含め、従業員の教育には年間2億円から3億円かけていているんですよ。最近でも、集合研修を行うトレーニングセンターに関して、店舗数が増えた関東地区には新設し、東海地区は利便性のよい名古屋駅エリアに移設しました。

竹市克弘氏

 

年間50日は社員研修に立ち会い、直接話しをしています

―研修は、技能向上のためのプログラムが主ですか?

竹市:パートナーを含めて店舗全体の調理力を実地教育により強化するための、「炭焼き調理勉強会」や「サラダバー試作試食会」などを実施しています。しかし、そうした技能研修は、全体の2割程度。残りの8割は人間的成長を促す研修ですね。

―どのような内容の研修がありますか?

竹市:たとえば、毎月、1泊2日で研修会場を借り切って、「どうしたらお客様に喜んでいただけるか」「どうしたら良くなるのか」「自分たちの仕事のあり方」などを、小グループに分かれてトコトン話し合っています。階層ごとに開催しますが、毎回社長の私も参加します。年間50日は社員研修に立ち会っているのではないかと思いますね。

―そこまで、教育研修に力を入れていらっしゃるのはなぜでしょう。

竹市:経営を支えるもの。これは絶対的に「人」です。最初に述べましたが、前身が喫茶店だったので、ステーキやハンバーグの専門店としては、知名度も一切なければ、メニュー、サービス、商品づくり、あらゆることがノウハウのない状態からのスタートでした。

―手探り状態ですね。

竹市:そうです。そこからノウハウを蓄積し、仕入れや加工の仕組みを作りだし、業態を変化させ、メニューも常に改定していくことで、ようやくここまで皆さまに知っていただける存在になった。そうした変化や進化を起こしていったのは、いつの時代も、経営への参画意識を持った「人」です。

―これからも同じ、だと。

竹市:もちろんです。どんなに規模が大きくなっても、働く仲間みんなで価値観を統一させて全員参加で経営ができる環境をこれまで以上に作っていきます。

再来週から40名の仲間を連れて、アメリカ研修にいってきます

―外食が花形産業であるアメリカへの研修旅行も年2回やっていらっしゃるとか。

竹市:実は再来週からいきます。今回は40名。パートナーさんも10名ほど連れていくんですよ。

―ステーキレストランの本場はアメリカですし、エンターテインメントの国でもありますからね。

竹市:ロス、サンフランシスコ、ラスベガスを回ります。ステーキハウスが中心ですね。100回話を聞くより、一回体験した方が、気付きがはるかに多いですから。

―気付きとは?

竹市:たとえば、食事をする楽しさです。いつもは店側からの視点しか持てませんが、アメリカのステーキハウスには客としていくので、食事をする楽しさを実感できるんですよ。

―なるほど、仕事の見え方が変わるわけですね。

竹市:「そうか、自分たちの仕事は、こんなに楽しい時間をお客様に提供できる、意義深く、価値あるものなんだ」と再認識できるだけでも、日本に戻ってからの仕事に向き合う姿勢が違ってきます。40人もいきますので、感じ方もさまざまで、それを語り合うことで、さらに相乗効果が増します。

竹市克弘氏

働きがいが分かりやすい飲食の現場は、人が成長する場として最適です

―仕事のやりがい、働きがいに気付くことが大きい、と。

竹市:働きがいというのは、達成感だと思っています。人は、自分が何かに貢献しているな、と思える瞬間に達成感を得ているんですよね。その達成感が、飲食業の場合、分かりやすいい。美味しさと楽しさを提供することで、目の前のお客様から直接笑顔をいただけますから。

―人に喜んでもらえると、確かに凄く励みになります。

竹市:そのお客様の笑顔が、「もっと楽しい時間を提供したい」という想いにつながって、仕事により前向きに取り組むようになります。人間的な成長ですね。そして、何もできなかった新人のパートナーさんや新入社員の成長する姿を目の当たりにすることを通じて、店長をはじめとした上司も、働きがいをさらに感じるようになる。こうした、みんなが達成感を感じ、成長するサイクルが各店舗で回っていく。そんな会社になることを目指しています。

ブロンコビリーの仲間が、物心両面で充実し、笑顔で働ける職場を目指しています

―最後にお聞きします。経営目標ではなく、経営する目的は何ですか?

竹市:働いている人たちがちゃんと笑顔で働ける、そういう職場を作っていくことです。私には実現したい世界があるんですよ。それは、ブロンコビリーの仲間が、物心両面で充実し、社会的に尊敬される存在になる世界です。そのためには、「働きがい」と、「働きやすさ」、この二つをさらに増すような会社にしていく必要があります。

―働きがいに関しては、先ほど語っていただいたことですか。

竹市:そうですね。「働きやすさ」は、労務環境や待遇面の改善です。提供する美味しい食事や楽しい時間の質にこだわることで、お客様に喜んでいただき、それが「働きがい」につながる。それと同時に「働きやすさ」も両立させなければいけません。

―労務環境や待遇面の改善にはコストがかかります。

竹市:もちろんです。質にはこだわりつつ、利益も出すことで、待遇面の改善などを実現していかなければならない。無借金で自己資本比率も8割以上をキープ、飲食業ランキングの利益率部門では2位となるなど、経営の質を重視している理由の一つも、「働きやすい環境や待遇」を作り出すためです。

―「日本一のステーキハウスを目指す」というもの以外に、「外食産業の超優良企業を目指す」という経営目標も掲げていらっしゃいます。

竹市:「働きやすい環境や待遇」に関しては、外食業界の中では常に上位にいたい。さらに、すべての産業界の中でも引けを取らない中身にすることで、働いている人たちがちゃんと笑顔で働ける「物心両面で満足できる会社」にしていきたいですね。

―本日はありがとうございました。

竹市克弘氏

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