
調査概要
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- 調査主体:ディップ株式会社
- 調査手法:インターネット調査(外部調査機関)
- 調査実施時期:2019年4月2日(火)~2019年4月4日(木)
- 対象者条件:47都道府県在住者
- 有効回収数:3,101サンプル(本記事利用:製造業での就業経験がない2,475サンプル)
調査背景
現在、日本の就業者のうち9.7%※を占める製造業。人手不足が取り沙汰されていますが、製造業も例外ではありません。製造業の就業経験の有無にかかわらず、様々な立場から見た実態と印象を明らかにし、より良い就業につなげるための調査を行いました。
※参考元:厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) / 一般職業紹介状況 / 平成31年2月分
本レポートについて
前回、第1弾では製造業のなかでも就業者の多い「自動車他、半導体、家電」製造の「就業経験がある人」から見た、製造業の実態を明らかにしました。
今回、第2弾では「これまで製造業で就業したことがない」求職者の製造業への就業意欲を高めるヒントを探ります。
【サマリ】
未経験者から見る製造業の実態
- 製造業で就業したい人の割合
- 希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」求人条件
- 「勤務地」について 転居ありでも就業意向が高まる項目
- 「仕事内容」について 未経験者から見た製造業の印象
- PickUp:「仕事内容」について求職者が知りたい情報
製造業で「働きたい」人が希望する求人条件
ダウンロード版では、下記データをダウンロードしていただけます。
・製造業への就業意向度別の属性データ
・製造業への就業意向を「どちらとも言えない」と回答した求職者の就業意向を高められる求人条件
未経験者から見る製造業の実態
製造業で就業したい人の割合
Q.製造業で今後就業する意向はありますか? n=2,475
「製造業で就業したい」「どちらかというと製造業で就業したい」という回答は5.0%にとどまりました。一方で、「どちらとも言えない」と迷っている回答が半数近くありました。
そこで、就業意向を高めるために注目すべき点を、求人条件の面から見ていきます。
希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」求人条件
Q.希望を満たしていなければ「応募の検討もしない」求人条件を1~3位で選択してください。 (1~3位合算) n=3,036
圧倒的1位は「勤務地」「仕事内容」という回答になりました。その他、「給与」「勤務時間」「勤務日数」の条件が「職種」よりも多く回答として挙げられました。
製造業で「就業したい」「どちらかというと製造業で就業したい」という回答は5.0%にとどまりましたが、一方で、「どちらとも言えない」と決断がしかねる回答も半数近くあったことから、重視されている求人条件を魅力的な内容へ改善、適正に訴求することで、製造業への就業意向を高められるかもしれません。
次項からは、「希望を満たしていなければ『応募の検討もしない』求人条件」の上位の項目から、就業意向を高めるヒントを探ります。
まずは1位「勤務地」についてです。製造業での就業の際、転居をともなうことも少なくありません。
そのような場合でも、どのような対応があれば就業意向が高まるのかを明らかにしました。
「勤務地」について 転居ありでも就業意向が高まる項目
Q.転居をともなう勤務先の場合、以下の企業の対応があるときの就業意向を教えてください。 n=2,475
「月々の家賃手当がある」「定期的に帰省手当(現在の地元へ帰る際の交通費)がある」「引っ越し手当がある」は、就業意向が高まるとの回答が約7割で、就業意向に強く関わっています。
企業側の待遇改善により、転居の心理的ハードルや金銭的負担を下げることがポイントになりそうです。
次項では、2位「仕事内容」について、未経験者は製造業にどのような印象があるかを明らかにします。
「仕事内容」について 未経験者から見た製造業の印象
Q.製造業への印象・特徴としてあてはまるものを1つ選択してください。 n=2,475
未経験者は製造業に対して上記のような印象を持っていることが明らかになりました。
調査した6つの項目に対してすべて40%以上、最大で75%以上が「そう思わない(ネガティブ)」「まったくそう思わない(とてもネガティブ)」と回答し、給与については「そもそも印象がない」という回答が2割を超えました。
未経験者からはネガティブな印象を持たれている項目が少なくなく、製造業の現場と求職者の印象とのギャップを埋めるためには、事実を求職者に明確に訴求し、魅力的に伝える表現の工夫などが必要でしょう。
「仕事内容」について 求職者が知りたい情報
前出で取り上げた「未経験者から見た製造業の印象」を踏まえ、求職者が応募する際に「仕事内容」として知りたい情報と、それによる応募意向への影響度を見てみます。
Q.求人情報の「仕事内容」の表記で、あれば応募しやすい情報としてあてはまるものをすべて選択してください。 (複数回答)
また、その情報で不安が解消された場合の応募意向についてあてはまるものを選択してください。(単一回答) n=3,036
仕事内容の詳細を、求職者は応募を検討する段階で把握したいと感じています。仕事内容の詳細を知り、不安を解消することで80%以上が応募意向が高まると回答しました。
前出の製造業の印象を踏まえ、「仕事内容」の情報は受け手により解釈が異なるような表記を避け、未経験者でもわかりやすい具体的な説明を心がけて求職者の応募前の不安を解消しましょう。
製造業で「働きたい」人が希望する求人条件
ここからは、「製造業で就業したい」「どちらかというと製造業で就業したい」と回答した求職者の希望を取り上げます。まずは、給与の支払い日の希望と勤務時間・シフトの希望について見ていきます。
給与の支払い日の希望
勤務時間・シフトの希望
Q. 勤務時間の希望を教えてください。(複数回答) n=123
早朝(5時~8時)/朝(8時~11時)/昼(11時~16時)/夕方(16時~19時)/夜(19時~22時)/深夜(22時~5時)
Q. 勤務シフトの希望を教えてください。 n=123
シフト固定制:勤務する曜日、時間が決まっているシフト。シフト交替制:2交替、3交替など複数組み合わされているシフト。
「給与の支払い日の希望」について、「月1回(翌月支払い)」が最多で8割以上占めたものの、「月2回以上の支払い」を希望するという回答も2割弱という結果になりました。
「勤務時間の希望」については日中の勤務への希望が約8割、「勤務シフトの希望」については、シフト固定制への希望が約7割と高くなりました。
次項では、ピックアップした4つの「応募条件」がそれぞれどのくらい就業意欲に影響するのかを明らかにします。
さいごに
これまで製造業で就業したことがない求職者の「製造業で就業したい」「どちらかというと製造業で就業したい」という回答は5.0%にとどまり、製造業への就業意向は高くないことがわかりました。
一方で、「どちらとも言えない」という回答も半数近くあったことから、条件や訴求方法によっては就業意向が高まる可能性がありそうです。
たとえば、求職者にとって「希望を満たしていなければ『応募の検討もしない』求人条件」の1位「勤務地」。
製造業は転居をともなう就業が少なくありません。
しかし、「月々の家賃手当て」をはじめ、企業側の待遇改善、転居前の配慮が就業意向に強く関わっているため、転居をともなう際の訴求ポイントになりそうです。
また、求職者にとって「希望を満たしていなければ『応募の検討もしない』求人条件」の2位「仕事内容」。
今回調査した製造業への6つの印象・特徴「スキル・経験がなくてもできる」「クリーンルームなどきれいで職場環境が整っている」「残業がなく規則正しい生活になる」「雇用が安定している」「給与(収入)が高い」「重いものをあまり扱わない軽作業だ」に対して、すべて40%以上、最大で75%以上が「そう思わない(ネガティブ)」「まったくそう思わない(とてもネガティブ)」と回答しています。
ネガティブな印象を払拭するためにも、まずは製造現場の実態・仕事内容や企業の取り組みを訴求し、魅力的に伝える表現の工夫などが必要でしょう。
未経験者の製造業への就業意向を高めるヒントのご参考にしてください。
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執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里