【派遣社員編】同一労働同一賃金の認知53%!交通費の全額支給により通勤時間の許容広がる

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調査概要

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  • 調査主体:ディップ株式会社
  • 調査手法:インターネット調査(GMOリサーチモニター利用)
  • 調査実施時期:2019年9月6日(金)~2019年9月11日(水)
  • 対象者条件:47都道府県内で派遣社員として就業している18~69歳の男女
  • 有効回収数:2,956サンプル
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同一労働同一賃金導入における派遣社員の認知や不安の調査の調査概要のグラフ

調査背景

働き方改革の1つとして、「同一労働同一賃金」を含む改正法が2020年4月1日から施行されます。
それに伴い、派遣労働者の「同一労働同一賃金」の実現に向けた改正労働者派遣法も施行され、「派遣会社」だけでなく、「派遣社員」「派遣先企業」への影響が想定されています。
「派遣社員」「派遣先企業」はその影響に対し、どのように考えているのかを明らかにすることで、派遣社員の待遇改善やよりよい採用のヒントを探ります。

本レポートについて

「同一労働同一賃金」の導入において、現在派遣社員として就業する方々の認知度や、導入後の懸念を探りました。
さらに、制度導入に伴って見直される「給与」「交通費支給」について、就業意向との関係を明らかにしていきます。

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【サマリ】

「同一労働同一賃金」制度の認知度

「同一労働同一賃金」導入にあたっての懸念

「同一労働同一賃金」がもたらす給与の変化

「同一労働同一賃金」における交通費支給

さいごに

「同一労働同一賃金」制度の認知度

まずは、「同一労働同一賃金」の制度について、派遣社員の認知度を見ていきます。

Q. 2020年に導入される「同一労働同一賃金」の制度についてどの程度知っていますか。 n=2,956

同一労働同一賃金導入における派遣社員の認知度のグラフ

導入がおよそ半年後に迫るなか、「制度の概要まで知っている」と「制度名だけは知っている」を合わせても半数程度の認知に留まることが明らかになりました。
また、年代別に見ると、「制度のことは全く知らない」という回答が「18~24歳」で65.4%、「25~29歳」で59.3%、「30~34歳」で60.6%となり若年層の認知度の低さが目立ちました。

「同一労働同一賃金」について、 認知されている概要

改正労働者派遣法の施行により導入される「同一労働同一賃金」について、「概要まで知っている」と回答した派遣社員が、をどの程度内容を知っているか明らかにしました。

Q.「同一労働同一賃金」の制度について、 知っている項目をすべて選択してください。(単数回答) n=305

同一労働同一賃金導入における派遣社員の認知概要のグラフ

選択肢については、改正労働者派遣法の施行による改正点を参考に項目を挙げています。
「同じ企業で同じ業務を行う正規雇用者と非正規雇用者との待遇差がなくなる」という項目は8割以上の人が知っているとしたものの、7項目のうち、4項目が約4割の認知割合に留まっています。

参考元
※厚生労働省 派遣労働者の同一労働同一賃金について/「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の施行に向けて/リーフレット「派遣で働く皆さまへ」

「同一労働同一賃金」導入にあたっての懸念

ここからは、「同一労働同一賃金」導入による派遣社員の懸念について探っていきます。

Q.「同一労働同一賃金」の導入にあたり、「懸念すること」 として、あてはまるものをすべて選択してください。また、 そのなかで最もあてはまるものを1つ選択してください。制度について「全く知らない」「制度名だけは知っている」と回答された方は次の説明※を参考にご回答ください。 n=2,956
※「同一労働同一賃金」とは、同じ企業で同じ業務行う正規雇用者と非正規雇用者との不合理な待遇差をなくす制度です。

同一労働同一賃金導入における派遣社員の懸念のグラフ

<その他、詳細にご覧いただく場合はこちら> ※別ウインドウで立ち上がります。
■年代別にご覧いただく場合:
「契約が更新されないのではないか」については、35歳以上は約50%が懸念として挙げたのに対し、18~24歳では全体よりも10pt以上低く約35%、25~29歳、30~34歳は約45%
■職種別にご覧いただく場合:
「契約が更新されないのではないか」については、IT・エンジニア系/WEB・クリエイター系で最も強く出たが、時給や交通費の懸念は低い傾向に

複数回答の結果を見ると、「契約が更新されないのではないか」が1位で約5割の派遣社員が懸念することとして挙げています。以下、2位「企業側の依頼が減り、派遣の仕事自体が減ってしまうのではないか」、3位「派遣会社から紹介してもらえる仕事の件数が減ってしまうのではないか」と、派遣求人の減少への懸念が続いています。「同一労働同一賃金」導入により、派遣社員ではなく正社員の雇用が増えるのではないか、という不安を抱えていることが推測されます。

特に、前出の「制度の概要まで知っている」派遣社員は、1位「契約が更新されないのではないか」について、「あてはまるものすべて」「最もあてはまるもの1つ」いずれも全体より5pt以上高く、「制度のことは全く知らない」派遣社員よりも10pt以上高くなっています。
また、他項目でも、全体よりも高い割合で回答された項目が多くありました。概要を知っているからこそ、様々な点での懸念が出てきていることが考えられます。

契約更新に関する早めの意思確認や、同時に複数の派遣求人の紹介を行うなど、日頃のフォローと合せて懸念を払拭できるような対策を講じるか否か、今後の採用や定着の差につながるかもしれません。

次項からは、「同一労働同一賃金」の導入により、派遣会社への影響が大きいと思われる「給与」と「交通費支給」について、派遣社員がどう思っているか、実態はどうかなどを探っていきます。

「同一労働同一賃金」がもたらす給与の変化

「同一労働同一賃金」導入よる給与の増減予想

Q.「同一労働同一賃金」の制度が導入された際に、現在の給与(時給)はどのように変化すると思いますか。 制度について「全く知らない」「制度名だけは知っている」と回答された方は下記制度の説明※を参考にご回答ください。 n=2,956
※「同一労働同一賃金」とは、同じ企業で同じ業務行う正規雇用者と非正規雇用者との不合理な待遇差をなくす制度です。

同一労働同一賃金導入における派遣社員の給与増減のグラフ

「変わらないと思う」という回答が4割で最も多くなり、次いで「とても上がると思う」「やや上がると思う」を合わせて約3割となっています。
「とても下がると思う」「やや下がると思う」という回答は、合わせて5%以下に留まりました。

しかし、別データでは75%以上が、「現在の給与」よりも「本来必要と感じる給与」のほうが高いと回答しており、時給帯別に見ても現状の業務で「現在の給与」が妥当だと感じているとは言えないようです。 「変わらない」という回答の背景には、制度導入後の給与の増加に対する期待感の低さが表れているのかもしれません。

※参考 「現在の給与」と「本来必要と感じる給与」の実態をご覧いただく場合はこちら

職種別で見る、給与の許容

ここからは、「同一労働同一賃金」の導入後、給与の見直しが行われるなかで、派遣社員が許容する給与の程度を見ていきましょう。

Q.以下のうち、「許容できる職種」において最低限求める時給を教えてください。 時給がいくらであっても「許容できない職種」の場合は、「時給がいくらであっても許容できない」を選択してください。 n=2,956

職種別に見る派遣社員の許容する給与グラフ

<50円刻みの詳細データはダウンロードよりご覧ください> ※別ウインドウで立ち上がります。

「給与によっては許容できる職種」も多いようです。最も許容割合が高い「オフィス(事務・企画)」は8割を超えており、他職種も低くても4割が許容しています。
採用難度が高い職種についても、時給見直しは訴求できる幅を広げるきっかけになりそうです。
「同一労働同一賃金」の導入に伴う給与の見直しと合わせてご参考にしてください。

次項からは、「交通費支給」について、派遣社員の実態を見るとともに、交通費が支給されることで通勤時間のことでの許容範囲がどう変化するのかなどを探っていきます。

「時給」の交渉経験

ここでは、現在の職場で時給の交渉をしたことがあるかどうかをうかがいました。

Q.現在の派遣先において、派遣社員として就業するなかで「時給」の交渉をしたことがありますか。また、交渉をしたことがある場合はその結果を教えてください。 n=2,956

派遣社員の時給交渉の経験のグラフ


前出の参考データも「現在の給与」と「本来必要と感じる給与」の実態では、現在の給与が妥当と感じている割合が約25%だったにもかかわらず、「時給」の交渉経験がある割合は3割弱に留まりました。
しかし、交渉をした結果を見ると、程度の差はあるものの、5割以上が改善していることがわかります。

「同一労働同一賃金」における交通費支給

現在の交通費支給の実態

Q.現在の派遣先では交通費の支給(通勤手当)はありますか。 契約時に「全額支給」で契約した場合は、「全額支給」をお選びください。
(例)「全額支給」で契約した場合、1カ月あたりの実費交通費が1万円未満の場合は、「一部支給」ではなく「全額支給」を選択。 n=2,956同一労働同一賃金導入前の派遣社員の交通費支給のグラフ 職種別に見る同一労働同一賃金導入前の派遣社員の交通費のグラフ

現在の派遣先においては、全体では「交通費支給あり」5割弱、「交通費支給なし」5割強と半数ずつの結果ですが、支給の有無には職種によって大きく差があります。
しかし、実際にかかる交通費を見ると職種による差は出ていないことから、2020年4月までに対応していくうえでの難易度は職種によって多少異なりそうです。

次項では、交通費の支給と通勤時間の許容の関係を見てみましょう。

交通費の支給と支給範囲ごとでの通勤時間の許容の関係

Q.交通費の支給に応じた「許容する通勤時間」についてうかがいます。 以下の支給額の場合、許容できる通勤時間の上限について教えてください。
※電車やバスなど乗り物の乗車時間ではなく、家を出てから会社に到着するまでの時間をお答えください。 n=2,001(交通費の支給は、通勤時間の許容にそもそも関わらないと回答したn=955を除く)
派遣社員の交通費支給と通勤範囲のグラフ

「交通費の支給が通勤時間の許容にはそもそも関わらない」との回答は約3割ありましたが、その他の7割の回答者は、支給額が増えることで許容する通勤時間が少しずつ長くなっています。
一部支給(月上限:1万円未満)の場合30分以上の許容が34.2%なのに対し、全額支給の場合は82.2%と50pt近く高くなりました。
今後、交通費が支給される求人が増えることが見込まれるなか、派遣社員の仕事選びにおける選択肢が広がることにもつながりそうです。

「交通費の支給」の交渉経験

ここまで、「交通費の支給」について見てきましたが、現在の職場でその交渉をしたことがあるのかどうかをうかがいました。

Q.現在の派遣先において、派遣社員として就業していたなかで「交通費の支給」について交渉をしたことがありますか。 n=2,956

派遣社員の交通費支給の交渉のグラフ

交渉したことがあると回答した派遣社員は約15%に留まり、前出の「時給」の交渉よりもさらに低い実態です。
しかし、結果としては4割以上が改善しており、「全額支給」になったという回答も約2割ありました。

さいごに

今回の調査では、「同一労働同一賃金」制度を含む改正法が2020年4月1日から施行された際、想定される影響に対し、派遣社員がどのように考えているのかを明らかにしました。 「同一労働同一賃金」の導入がおよそ半年後に迫るなか、制度に対しては「概要まで知っている」「制度名だけは知っている」を合わせても半数程度に留まりました。
特に若年層ほど認知度が低いことから、早急な周知が必要だと言えます。

そして、「同一労働同一賃金」の導入による影響として派遣社員が最も懸念しているのは、「契約が更新されないのではないか」であることがわかりました。「業務内容の範囲が広がる、または責任が大きくなるのではないか」を挙げている人も多数おり、一方、前回の調査で派遣社員受け入れ企業が期待することとして、「任せる業務内容の範囲が広がる」(27.3%)、「任せる責任の範囲が広がる」(25.3%)を挙げており、企業側とのギャップがあります。

このあたりは派遣先企業だけでなく、派遣社員の意向をしっかり確認する必要がありそうです。

「同一労働同一賃金」の導入までの期間が短いなかで、「給与」「交通費支給」をはじめ見直し・検討事項が多く、苦慮している派遣会社は少なくないでしょう。 しかし、今回の調査で、派遣社員は「給与」のアップや「交通費支給」といった待遇改善によって仕事選びにおける許容範囲が広がることが明らかになっています。

派遣社員の意向を踏まえた派遣先への働きかけや、派遣社員へのフォローなど、採用力強化のご参考にしてください。

執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里

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