調査概要
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- 調査主体:ディップ株式会社
- データ取得サイト:Google社「Google Trends」
- 抽出時期:2019年:2月3日~11月2日、2020年:2月2日~10月31日
※GoogleトレンドではGoogle検索のサンプルのみが使用されています - 調査実施時期:2020年11月2日(月)9:50~10:20)
本レポートについて
本レポートでは、このような状況下での「仕事探し」を探るために、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)(以下、新型コロナウイルス)により求職・採用活動にまつわる検索ワードがどのように変化しているかを調査しました。
第1回調査(6月29日~7月2日)、第2回調査(9月4日)に続き、第3回調査は、仕事探しの「軸」となるワード‟アルバイト”(調査の際は‟バイト”にて調査)について、エリア別、業種・職種別、属性別に分析しています。
【サマリ】
【参考】有効求人倍率、新規求人に対する就業率/充足率
9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント低下の1.03倍※1、四半期別7~9月は1.05倍※1(同)となりました。
四半期別に推移で見ると、昨年の10~12月期をピークに低下しており、昨年の同時期比で0.54ポイント低下となっています。
リーマンショック前の2007年、回復後2013~2014年などと近い数字ではあるものの、
景気回復次第、かつ、リーマンショックの際も半年~1年後が低下のピークのため、今後も精察する必要があります。
また、新規求人に対する充足率は2015年以降10%台で推移してきており、2020年も大きな変化は見られません。
比較として2009年、2010年はが30%前後です。
新規求人が増えるなかで、充足率の上昇は然程大きくなく、企業側の要求が高くなっていること、求職者の希望に沿っていないことなど考えられます。
※1 厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) / 一般職業紹介状況 / ~令和2年9月」

仕事探しの「軸」となる検索ワード
週ごとの指数推移(2020年2月2日を100とした指数)
緊急事態宣言解除以降は上昇傾向、10月に2月比(制限拡大する前)80~100%に回復
5月を境に上昇に転じ、14日の39県への緊急事態宣言解除以降、25日の全国への緊急事態宣言解除以降にさらに上昇。
7月に入り再度低下するも8月中旬以降に上昇、10月時点では60~100%程度に回復している。
8月中旬、9月下旬の一時的な低下は例年と同じ動向。(バイト下図:週ごとの指数推移_昨年との比較を参照)

月ごとの指数推移_昨年との比較 (2019年2月を100とした指数)
昨年同月比、全てのワードで5月に最大の落ち込み
緊急事態宣言の4月以降、全てのキーワードで大きく低下し、5月に最大の落ち込みになったが、6月以降は上昇傾向。
10月時点で「求人」「バイト」は昨年同月比同程度、「派遣」「転職」は80%程度の水準に回復している。

週ごとの指数推移_昨年との比較(バイト)(2019年2月を100とした指数)
緊急事態宣言解除以降は上昇傾向、8月中旬以降は昨年と同様の傾向を見せる
例年であれば、ゴールデンウィーク明けに大きく上昇するが緩やかな回復。5~7月は昨年と比較し、70~80%とやや低い水準で推移した。
しかし、8月中旬以降は多少の差異を除き、概ね昨年と同等の水準での推移となった。

次項からは、「バイト」との掛け合わせワードについて分析していきます。
バイト掛け合わせの検索ワード エリア別での比較
週ごとの指数推移(2020年2月2日を100とした指数)
緊急事態宣言以降、各エリア40~60pt前後低下
緊急事態宣言直前の4月5日から約1カ月で各エリア20~70pt低下し、2月2日を100とした指数と比較すると、いずれも40~60%まで落ち込んだ。
緊急事態宣言解除以降は上昇、10月末には一部を除く多数のエリアで低下に転じる
緊急事態宣言解除後、7月の一時的な低下、8月、9月の例年通りの一時的な低下を除き上昇していた。
しかし、10月末に多くのエリアで低下に転じており、今後の動向を見ていく必要がある。

バイト掛け合わせの検索ワード 職種別での比較
昨年同月比
「デリバリー」「スーパー」4月急上昇、その後も昨年対比プラスで推移
4月、多くの業種・職種で低下に転じるなか、外出自粛による巣ごもり需要がある業種・職種、エッセンシャルワーカーと言われる業種・職種は上昇。
その後、4月ほどではないものの高い水準を推移し、「デリバリー」については8月再度急上昇し昨年対比200%超。
「塾講師」「軽作業」「カフェ」「コールセンター」「映画館」3~5月に大幅低下、8月には昨年対比超
3~5月、大幅に低下した業種・職種も、6月に入ると上昇傾向。「塾講師」は6月に昨年対比超、「軽作業」「カフェ」「コールセンター」「映画館」も8月以降は昨年対比超。
特に、「塾講師」「軽作業」「カフェ」は120~150%と昨年を大きく上回る。
「ガールズバー」「引っ越し」昨年対比90~100%に回復
「ガールズバー」4月大幅に低下した業種・職種のなかでも、6月以降上昇傾向も低水準のまま推移していたが9月、10月と回復し昨年対比同程度に。
引っ越しは、6月にも同水準には回復しているため一時的な回復かを見ていく必要がある。
「イベント」9カ月連続、昨年対比マイナス
4月大幅に低下した業種・職種のなかでも、6月以降やや上昇するも低水準。10月、昨年対比39%。

企業の採用活動が見えるワード
週ごとの指数推移(2020年2月2日を100とした指数)
緊急事態宣言解除以降は上昇傾向、「バイト」ワードはお盆期間など一部を除き100%超
5月14日の39県への緊急事態宣言解除以降は上昇、5月25日の全国への緊急事態宣言解除以降はさらに上昇。
「バイト」ワードは、6月には150%を超える週もあり、その後も常に2月2日週を超える水準で推移し、10月最終週は120%。
「パート」ワードも常にやや低い水準で推移していたが、10月下旬に上昇。

月ごとの指数推移_昨年との比較 (2019年2月を100とした指数)
6月以降は概ね昨年同月比を上回る
昨年同月比、2~5月に落ち込んだタイミングはあるものの、6月以降は昨年と同程度~最大3割上回る水準で推移している。

バイト掛け合わせの検索ワード 属性別での比較
週ごとの指数推移(2020年2月2日を100とした指数)
緊急事態宣言解除以降も「主婦」掛け合わせは回復が遅い
宣言解除後、「バイト」掛け合わせワードの多くが上昇傾向だったが、属性別で見ると未だ差異がある。
「主婦」掛け合わせは、2月2日を100とした指数と比較すると最大で30%台まで落ち込み、回復も遅く10月時点で50~70%を推移している。
一方、「大学生」掛け合わせは緊急事態宣言解除以降は2月(制限拡大する前)を常に上回っている。

週ごと・月ごとの指数推移_昨年との比較(2019年2月を100とした指数)
週ごとに見ると、「高校生」8月以降は同傾向で同程度に推移、「大学生」緊急事態宣言解除以降は常に上回る
「高校生」ワードは8月以降、昨年と比較し同じような傾向に、「大学生」ワードは緊急事態宣言解除以降、昨年と比較し常に上回る水準で推移している。
それに対し、「主婦」ワードは3月以降、昨年と比較し常に下回る水準で推移している。
月ごとに見ると、「大学生」は6月以降昨年を常に上回り、10月は160%超
「高校生」ワードは4~7月昨年を下回っていたが8月に回復。「大学生」ワードは緊急事態宣言解除以降の回復により、6~10月昨年と比較し常に上回る水準で推移している。
それに対し、「主婦」ワードは昨年と比較し70~80%と常に下回る水準で推移。

検索データに見られる需要変化
働き方・働く期間
新型コロナウイルスの影響が最も出ていたと考えられる4月に、「オンライン バイト」「在宅 バイト」など働き方ワードが昨年対比で大きく上昇、その後も昨年を上回る水準で推移。「副業 バイト」「内職 バイト」は3~4月に昨年対比で大きく上昇、その後は昨年を下回るも10月は昨年対比を上回った。
7月30日~8月4日のアンケート調査(n=14,863)によると、副業・Wワークに対する希望は4割※を超えており、今後の動向を見ていきたい。
※とても希望する、やや希望するの合計40.3%(アルバイト・パート42.0%、正社員40.5%、契約社員31.9%、派遣社員44.5%)
オンライン・Web面接
「オンライン 面接」をはじめ、オンライン・Web面接関連ワードが昨年対比で大きく上昇、その後も昨年を上回る水準で推移。
雇用・仕事探し
「今できる バイト」という仕事探しワードが4月に上昇、落ち着いていたが10月に再度上昇。その他、「バイト おすすめ」「求人 バイト」「履歴書 バイト」などの仕事探しワードも10月に上昇しており、求職活動が増えていることが想定できる。

まとめ
求職・採用活動にまつわる検索ワードは、
新型コロナウイルスによる報道が増え始めた2月に一部影響が出始め、緊急事態宣言が発令された4月以降に影響は大きくなりました。
その後、緊急事態宣言が解除された5月以降に例年と同様の傾向になるワードが多く見受けられましたが、影響が継続されているワードもあります。
本レポートで明らかになったこと
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仕事探しの「軸」となるワードについては、
緊急事態宣言以降、全てのキーワードで大きく低下、緊急事態宣言解除以降は上昇傾向、10月に2月比(制限拡大する前)80~100%に回復。
7月に入り再度低下するも8月中旬以降に上昇、10月時点では60~100%程度に回復している。8月中旬、9月下旬の一時的な低迷は例年と同じ傾向。
「バイト」ワードについては、
・エリア別
緊急事態宣言解除後、7月の一時的な低下、8月、9月の例年通りの一時的な低下を除き上昇していたが、10月末に多くのエリアで低下に転じており、今後の動向を見ていく必要がある。
・業種・職種別
「デリバリー」「スーパー」4月急上昇、その後も昨年対比プラスで推移。
「塾講師」「軽作業」「カフェ」「コールセンター」「映画館」3~5月に大幅に低迷、8月には昨年対比超。
「ガールズバー」「引っ越し」昨年対比90~100%まで回復。
「イベント」9カ月連続、昨年対比マイナス。
・属性別
大学生、高校生、主婦の順に回復しており、昨年と比較しても大学生は上回る水準で推移、10月は160%超。
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11月に入り再度感染者数の増加が見られ、今後求職・採用活動にまつわる検索ワードにも影響する可能性があります。
次回は、2020年全体の動きについてレポートする予定です。
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里
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