介護で働く人の3割が「業務量増」、不満1位は「見合わない給与」

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調査概要

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  • 調査主体:ディップ株式会社
  • 調査手法:インターネット調査(インテージモニター利用)
  • 調査実施時期:2020年11月5日(木)~2020年11月11日(水)
  • 対象者条件:47都道府県内在住の18~69歳の男女の介護・ヘルパー、介護助手就業者
  • 有効回収数:1,227サンプル
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介護で働く人の就業実態調査の調査概要-年齢と居住地のグラフ 介護で働く人の就業実態調査の調査概要-雇用形態とサービス種別と職種のグラフ

本レポートについて

2020年10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍※1と、6年9カ月ぶりの低水準となった前月から上昇に転じました。しかし、1.00倍を割る地域は多い状況です。
一方、介護サービスの有効求人倍率(パート含む常用)は3.85倍※1(同)と、高い水準で、深刻な人手不足が続いています。
本レポートでは、現在、介護サービスで働いている人が感じる「満足している点、不満な点」「就業前後でのギャップ」を明らかにし、不満な点とギャップを解消することで就業意向を高めるため、そして就業後に定着してもらうためのヒントを探ります。

※1 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和2年10月分)

介護の有効求人倍率のグラフ

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【サマリ】

介護の仕事に対する不満解消

介護の就業実態

介護の仕事をしている人の声

さいごに

介護の仕事に対する不満解消

まずは、現在、介護サービスで働いている人が感じる「満足していること」「不満に感じていること」を見ていきます。

満足していること、不満に感じていること

介護で働く人の満足と不満のグラフ

満足していることとして、「人に感謝される、やりがいがあること」(42.7%)が最も多い回答となり、次いで「業務時間が適度、残業時間が少ないこと」(27.5%)、「上司・同僚などの職場の人間関係が良好なこと」(24.0%)、「自分自身の家族の介護など私生活にも活かせること」(23.5%)と続いています。
一方、不満に感じていることとして挙げられたのは、「仕事内容・業務量に応じた十分な給与ではないこと」(41.4%)が最も多く、次いで「適正な評価・昇給制度がないこと」(31.0%)、「十分な福利厚生・手当がないこと」(26.2%)と給与や待遇に関連する内容が続いています。
また、満足していることとして3番目に高い割合となっている「上司・同僚などの職場の人間関係」については、同程度の割合が不満に感じていることとしても挙げています。

次項では、不満と感じていることの上位に挙げられた「給与」と「福利厚生」について、希望を明らかにしていきます。

介護サービスで働いている人は、現在の業務においてどの程度の給与が本来必要だと感じているのでしょうか。

現在の給与と本来必要と感じる給与

介護正社員の給与のグラフ 介護有期雇用者の給与のグラフ

正社員は7割弱、有期雇用社員は4割以上が「本来、必要と感じる給与」として、現在よりも高い給与を挙げています。
いずれも前出の‟不満に感じていること”として挙げられた割合よりも高く、今後不満に感じる可能性がある潜在層がいるのではないでしょうか。
企業努力での改善ももちろん必要ですが、業界全体の課題と言えそうです。

参考

令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、
全職種の1カ月分の賃金は平均30万7,700円※2に対し、介護系職種※3は平均24万800円~27万5200円※2(同)
介護系職種は、平均と比較し1~2割低いという状況です。
※2 厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査
※3 介護系職種とは、職種区分「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「ホームヘルパー」「福祉施設介護員」を指します。

では、「福利厚生」については、どのようなものを希望しているのでしょうか。

満足度が上がる福利厚生

介護で働く人が満足度が上がる福利厚生のグラフ

福利厚生のうち、「リフレッシュ休暇があること」は全体の約4割の人が、満足度が上がると回答しています。
特に「正社員」と「入居・入所型の介護施設」の就業者は、その傾向が強く出ているようです。
また、「人間ドックなど法定外の健康診断、メンタルヘルスケアがあること」を除くすべての項目で、「正社員」の方が「有期雇用社員」よりも満足度が上がる福利厚生として回答した割合が高くなっています。
給与の改善と併せて、福利厚生の充実および活用促進も課題となっていそうです。

介護の就業実態

ここからは、介護サービスで働いている人が就業前に期待していたことや介護の仕事に対して持っていた印象、就業後に実際に感じたことを探ります。
現在、介護サービスで働いている人はどのようなことに就業前後でのギャップを感じているのでしょうか。

就業前の期待や印象と、就業後に感じた実態

介護で働く人の就業前後のギャップのグラフ

「業務時間が適度、残業時間が少ない」という項目において、就業前には3割の人が期待や印象を持っていたものの、就業後に感じた実態は-7.5ポイントという結果です。
その他にも、「福利厚生・手当が十分である」「働くうえでの就業環境が整っている」「昇給や評価が十分である」については、就業前の期待や印象自体が1~2割程度ですが、就業後に感じた実態は-6.4ポイントから-8.5ポイントと、ギャップが大きくなっています。

新型コロナウイルス流行による就業への影響

前出で就業前後でのギャップとして挙げられた‟業務時間・残業時間”については、新型コロナウイルスの流行による影響も考えられます。
業務量にはどの程度影響しているのか、見てみます。

介護で働く人のコロナ影響での業務量増のグラフ

3割以上が業務量が増えたと回答しています。
雇用形態別に見ると、その回答は「正社員」の方が「有期雇用社員」よりも10ポイント以上高く、サービス種別に見ると、「入居・入所型の介護施設」と「通所型の介護施設」の就業者の方が、「ご自宅(訪問介護)」の就業者よりも15ポイント以上も高い結果となりました。

人手不足によりこれまでも業務負担が大きい状況が続いていたなか、この環境下でさらにその負担が大きくなっていることが予想されます。

介護の仕事をしている人の声

ここでは、介護サービスで働く人の生の声を見てみます。

働いて良かったこと、後悔したこと

介護で働く人の働いて良かったことのグラフ 介護で働く人の働いて後悔したことのグラフ

良かったこととして、前出の満足していることの1位「人に感謝される、やりがいがあること」に通ずる内容が多く挙げられています。
一方、後悔したこととしては、給与に関連する内容、業務負担に関連する内容のほかに、身体的な負担が多く挙げられました。また、避けることのできない精神的負担も少なくありません。

働き方改革による改善

本レポートで見てきた項目は、働き方改革にも深く関連しています。
介護サービスで働く人はどの程度改善されていると感じているのでしょうか。

介護で働く人の働き方改革の改善のグラフ

前出の不満に感じていることの1位にも挙げられた給与に関する「賃金引き上げ、労働生産性向上」については、他項目よりも「改善していない」という回答が多く、4割を超えています。
また、「業務時間が過度・残業時間多い」というギャップに関連する「長時間労働の是正」については、約2割が改善したと回答する一方で、「どちらとも言えない」約6割、「改善していない」約2割となっています。

さいごに

本レポートでは、現在、介護サービスで働いている人が感じる「満足している点、不満な点」「就業前後でのギャップ」を明らかにしました。
満足していることは、「人に感謝される、やりがいがあること」が最も多い回答となり、次いで「業務時間が適度、残業時間が少ないこと」「上司・同僚などの職場の人間関係が良好なこと」「自分自身の家族の介護など私生活にも活かせること」と続いています。
一方、不満に感じていることとしては、「仕事内容・業務量に応じた十分な給与ではないこと」が最も多く、次いで「適正な評価・昇給制度がないこと」、「十分な福利厚生・手当がないこと」と給与や待遇に関連する内容が続いています。
これらは、介護で働いていて「良かったこと、後悔したこと」で回答されたコメントを反映する結果となっています。
就業前後でのギャップとしては、「業務時間が適度、残業時間が少ない」「福利厚生・手当が十分である」「働くうえでの就業環境が整っている」「昇給や評価が十分である」が、就業前に持っていた期待や印象と就業後に感じた実態の差が大きかった項目です。
特に、「業務時間が適度、残業時間が少ない」という項目については、3割以上の人が就業前に持っていた期待や印象として挙げたものの、就業後に感じた実態は-7.5ポイントという結果になっています。

介護サービスで働いている人の「不満な点」や「就業前後で感じるギャップ」を解消することが、就業意向や定着率の向上に繋がる近道になるでしょう。

続いて、介護サービスの仕事に対する満足度を上げるポイントについて明らかにしています。


執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里

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