塾講師不足が深刻化する現況

塾講師不足の深刻さを理解するためには、市況の把握が不可欠です。以下、学習塾教師が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「学習・語学指導教師」等)に対応する統計情報を基にしたデータから、就業者数や雇用形態のシェア、有効求人倍率をピックアップ。それぞれに対して考察とセットで述べていきます。
塾講師の就業者数
厚生労働省の資料によると、2020年時点で塾講師の就業者数は約226,070人です。なお、この数字は2009年時のデータと比べて約32%減少しています。10年ちょっとでこれだけの減少幅は、さすがに深刻といわざるを得ないでしょう。
塾講師における雇用形態のシェア
塾講師の雇用形態を見ると、アルバイト・パートが全体の70%近くを占めています。一方で正社員として働く講師は約35%です。非正規雇用の割合が高いことに、この業界の特徴(あるいは課題)が垣間見えます。
塾講師の有効求人倍率
データ上、2022年の塾講師の有効求人倍率は1.42倍と算出されています。これは全業種平均の1.28倍を上回る数値です。業種全体でみても求人数に対して求職者数が少ない状況下で、塾業界は一際、厳しいことがわかります。
上述した就業者数の減少、非正規雇用の割合の高さに加え、求人倍率が高止まりしているこの現状は、多くの学習塾が講師不足に悩まされている実態を浮き彫りにしています。
参照:全業種平均の有効求人倍率
塾講師が不足する原因

では、なぜ塾講師は不足しているのでしょうか。原因として考えられるのは、次のとおりです。
- 講師陣の高齢化
- 大学生の減少
- 重視されるタイムパフォーマンス
- 不透明なキャリアパス
- 塾業界に対するブラックなイメージ
以下、それぞれ詳述します。
講師陣の高齢化
塾講師の平均年齢は、年々上昇しています。ベテラン講師は引退するものの、新たに入ってくる講師数は減っているため、結果的にバランスが偏ってしまうわけです。特に50代以上の講師の割合が高い傾向にあります。
大学生の減少
かつては、アルバイト講師の多くを大学生が占めていました。しかし、近年は少子化の影響で大学生の数自体が減少しています。そうした状況下では、塾講師も当然影響を受けざるを得ません。結果、人手不足につながっています。
重視されるタイムパフォーマンス
昨今、お仕事探しで重視されるのがタイムパフォーマンスです。しかしながら、学習塾では、授業の時間だけが給与対象になり、細々とした事務作業が労働時間に含まれないケースも少なくありません(結局、何コマ働いたかが給与の対象)。こうした非効率な体制ゆえに講師を避ける向きも多いと思われます。
不透明なキャリアパス
塾業界はキャリアパスが不透明な現場も多いように見受けられます。最初はアルバイトからでもゆくゆくは正社員を目指したい方が一定数いるなか、ロードマップが曖昧なまま採用されてしまえば、遅かれ早かれ離職ありきの働き方になるでしょう。
塾業界に対するブラックなイメージ
休みなく朝早くから夜遅くまで働くことになるといったブラックなイメージがなぜかつきまとう塾業界は、確かに気の毒なようにも思います。が、まことしやかにささやかれる悪い話が多いのは、実際にそうした現場があるからともいえるでしょう。これは、自塾だけでなく、業界全体で取り組まなければならない問題でしょう。
塾講師が不足する問題への改善策

塾講師不足の問題を解消するには、さまざまな角度からアプローチすることが重要です。本章では、待遇面から人材育成まで複数の観点から、いくつか改善策を提示します。具体的には次のとおりです。
- 時給アップ
- 働き方改革
- 環境の整備
- 積極採用
- 育成強化
- 正社員登用
- 求人広告の見直し
以下、それぞれ詳述します。
時給アップ
講師の時給を上げることは、欲しい人材の獲得や優秀なスタッフの定着につながりやすい施策です。とはいえいたずらに高い賃金を設定しないよう気を付けましょう。まずは他塾を調査。意識したいのは、相対的に差別化を図れるかどうかです。
▶関連記事:アルバイト・パートの昇給について時給アップの事例も交えて解説
働き方改革
働き方改革なくして人手不足の解消は難しいと考えます。たとえば、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進などはもはや実施不可欠といってもよいでしょう。これは次項で取り上げる環境の整備ともつながる話です。講師が働きやすくするには何をすればよいか、世の中の流れも考慮し取り組んでいく必要があります。
環境の整備
人材を集め、かつ手放さないためには、教室の設備充実や、教材・事務作業をサポートしてくれるツールの導入など講師の負担をいかに軽減できるかがポイントです。オンライン授業もその一つ。決してその場しのぎにならないよう、丁寧かつ工夫を凝らし行いましょう。
積極採用
講師不足を解消するには、当然、採用活動も大事です。しかしながら、従来のやり方で成果を出すのはあまり期待できないかもしれません。だからこそ、特定の時期やターゲットの属性に固執せず、広く多様な視点でのアクションが求められます。まさに積極採用が必要です。
育成強化
講師を採用できたからといってミッション完了ではありません。そこから彼・彼女らを育成することも重要な課題です。具体的には、研修制度や、指導スキルとセットで行うコミュニケーション能力向上の機会をどんどん作っていくことが求められます。
正社員登用
アルバイト講師を正社員として登用することは、自塾にとって少なからずメリットがあります。人材定着や研修コストの削減はもちろん、何より講師陣のモチベーション向上につながるはずです。したがって、前述した人材育成の一環で制度化できるとよいでしょう。
▶関連記事:正社員登用制度とは?企業が導入するメリットや注意点などを解説
求人広告の見直し
求人広告の内容を見直すことも効果的です。仕事のやりがいや魅力を伝えるとともに、他塾と差別化できるポイントをアピールすることで、応募につながるかもしれません。そもそもセオリーを踏襲せず、ただ何とはなしに募集していたのであれば、改善の余地は大いにあると考えます。コツ一つを意識しただけで結果が大きく変わるのは、決して珍しくないことです。具体的には次章でくわしく解説します。
応募が集まる具体的な求人の書き方

本章では、塾講師の募集に役立つ求人広告の書き方を、アルバイトと正社員それぞれ分けてお伝えします。どうすれば応募が集まりやすくなるのか。ぜひ、ご参照ください。
▶関連記事:求人広告の書き方を例・テンプレートを交えて解説。応募を集める求人とは?
アルバイト採用の場合
アルバイト講師を募集する求人広告では、以下の点をなるべく詳細に伝えることが肝要です。
- 待遇面の詳細(昇給のロールモデルなど)
- シフトの柔軟性(勤務時間の例など)
- 応募ハードルの調整(未経験者歓迎など)
- 研修制度の有無(プログラムの内容など)
- 自塾の特徴や指導方針(教室長、スタッフの声など)
これらの情報は塾講師だけでなく求職者の多くが気にする部分です。具体的な提示は大なり小なり、その求人への興味喚起につながるでしょう。不安を払拭してあげることができれば、応募意欲を高められるはずです。
正社員採用の場合
正社員で塾講師を募集する場合は、求人広告で以下の点を強調できるとよいでしょう。
- 待遇面の魅力(昇給・賞与、長期的に働くことで得られるメリットなど)
- 明確なキャリアパス(具体的な役職を交えたロールモデルなど)
- 研修制度の充実さ(プログラムの内容、戦力になるまでの目安など)
- 福利厚生の内容(育児介護休業制度、サバティカル休暇など)
- 自塾のビジョン(社会的意義、将来的な展望など)
正社員採用は、キャリア形成の具体性や会社の将来性に共感してもらえるかがカギを握ります。ストーリーが感じられ、求職者自身が働く姿をイメージできる求人広告は、多くの優秀な人材からの応募を可能にするでしょう。
塾講師不足を食い止める育成プログラム

採用した塾講師を定着させ、長く活躍してもらうには、充実した育成プログラムが不可欠です。講師の指導力はもちろん、エンゲージメントの向上にもつながり、結果、定着率も高められます。
というわけで本章では、講師の成長とモチベーションアップにつながる育成施策を紹介します。
キャリアパスの明確化
講師のキャリアパスを明確に示すことは、モチベーション維持に欠かせません。役職や職責、求められるスキルなどを段階的に設定し、講師が目標を持って成長できる仕組みを作りましょう。
講師同士の交流会
講師同士が交流する機会を設けることも大切です。指導のノウハウを共有したり、悩みを相談したりできる場を提供することで、講師の孤立感を防ぎ、モチベーションアップにつなげることができるでしょう。
メンター制度
メンター制度を導入するのも効果的です。経験豊富なベテラン講師による指導スキルのレクチャーが、新人講師の早期戦力化を後押しします。
教育DX
ICTを活用した教育DXにも注目です。タブレット端末や学習管理システムを導入することで、講師の業務効率化を図るとともに、生徒一人ひとりに最適化された指導を提供できるでしょう。
塾講師の採用に使う求人媒体を選定するコツ

求人広告の書き方や育成プログラムの充実が塾講師不足の解消策に有効な一方で、利用する求人媒体を間違ってしまうと、思っていたような結果は得られないかもしれません。媒体、サービスの選定は非常に重要です。では、どのような視点で見極めていけばよいのでしょうか。ずばり、コツは次のとおりです。
- 採用する講師の要件に強い求人媒体を選ぶ
- 実績が豊富な求人媒体を選ぶ
- スピーディーに掲載してくれる求人媒体を選ぶ
- 掲載後もサポートしてくれる求人媒体を選ぶ
以下、それぞれ詳述します。
採用する講師の要件に強い求人媒体を選ぶ
アルバイトなのか正社員なのか、はたまた雇用形態を問わず経験豊富なプロ講師なのか……。まずは採用ターゲットを定めることが大事です。そのうえで、要件に合う求人媒体を選びましょう。サービスによっては特にその要件に当たる層に力を入れているものもあります。そうした観点でも比較できると、最適な選定につなげられるでしょう。
実績が豊富な求人媒体を選ぶ
塾講師の採用実績が豊富な求人媒体と、そうでないものを比較したとき、当然前者の方が安心です。実績がある分、ノウハウも十分でしょう。サービス内容にもよりますが、採用活動のなかでサポート担当の方から的確なアドバイスも期待できます。
スピーディーに掲載してくれる求人媒体を選ぶ
夏期講習や冬期講習などいわゆる塾にとって書き入れ時のタイミングで人が足りないとなると大きな痛手です。急な欠員補充でもうまくいけばよいですが、大抵はどこも苦戦されているように見受けられます。だからこそ、求人広告の掲載スピードは重要です。原稿の審査がスムーズに進み、掲載までの時間が短い求人媒体の方が、迅速な人材確保に期待が持てるでしょう。
掲載後もサポートしてくれる求人媒体を選ぶ
求人広告は掲載して終わりではありません。募集中の期間、何かしらトラブルが起きる可能性も十分考えられます。広告の内容を修正あるいは更新したいことも出てくるでしょう。これらにきちんとサポートしてくれるかどうかは、求人媒体を見極めるうえで欠かせないといっても過言ではありません。応募状況や面接におけるワンポイントアドバイスなど、できることなら採用に至るまで伴走してほしいと求職者は思っているはずです。
塾講師の採用におすすめのサービス

さて、前項の内容を踏まえ、本章では塾講師の採用におすすめしたいdipの求人サービスを紹介します。それぞれの基本的な特性をまずは把握し、状況によってはセットで利用するなど、自塾にとって最適な選択につなげてください。
アルバイト講師の採用なら『バイトル』
『バイトル』は、アルバイト・パート求人に特化した国内最大級の求人情報サイトです。豊富な掲載実績と幅広いユーザー層から、多くの人材獲得が期待できます。原稿の審査もスピーディーなため、掲載までの時間が短いのも特徴です。また、プロの担当者による手厚いサポートも、採用成功を後押ししてくれます。アルバイト講師を採用するならぜひ、バイトルをご利用ください。
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塾講師不足に悩むなら原因を特定し適切な対策を講じよう!

講師不足は多くの塾が抱えている深刻な問題です。これを解消していくには、原因を特定し、それに基づく適切な対策を講じるといったアクションが求められます。本記事で取り上げた内容を今一度、ご参照いただけますと幸いです。
労働力人口の減少など、どうにもならないことが起因している側面もあります。が、塾講師として働きたい方はまだまだ多くいるのも確かです。彼・彼女らにいかにアピールできるかも一つの課題でしょう。何はともあれ愚直に向き合っていくことが大切です。
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