採用活動には適切な人材要件が欠かせません。そもそも人材要件とは何かについても曖昧な方は少なくないように思います。そこで本記事にて網羅的に解説。基本の設定項目や流れ、フレームワーク、注意点に加え、具体例もいくつか紹介します。ぜひ、ご参照ください。

人材要件とは?定義の仕方やフレームワークに具体例も交えて解説

  • 2024.07.25
  • 2024.07.25

採用活動には適切な人材要件が欠かせません。そもそも人材要件とは何かについても曖昧な方は少なくないように思います。そこで本記事にて網羅的に解説。基本の設定項目や流れ、フレームワーク、注意点に加え、具体例もいくつか紹介します。ぜひ、ご参照ください。

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人材要件(採用要件)とは?

要件に合った人材を表現

人材要件とは、自社の経営ビジョンや事業戦略を実現するために必要となる人物像を具体的に定義するものです(あくまで呼称の違いだけで「採用要件」と同義に捉えても問題ありません)。求める人材の資質やスキルを明確化することは、いくつかメリット(≒欠かせない理由)をもたらします。まずは本章にて、それらをピックアップ。加えて、セットでおさえておきたい用語についても紹介します。

人材要件が欠かせない理由

上述した人材要件の明確化がもたらすメリットは、そのまま(人材要件が)必要とされる理由に当たります。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

採用プロセスを円滑にするため

採用活動を募集始点で考えてしまうと、選考を進めるなかでブレが生じてきます。一方で最初に人材要件が定まっていれば、その方向性に沿って進められるため、余計な迷いを抱かずに済むでしょう。結果、採用プロセスがスムーズに回りやすくなります。

ミスマッチを防止するため

人材要件が定まっていなければ、必要なスキルや能力が足りない方や社風に合わない人物を採用してしまう可能性が高まります。そうなると早期離職もやむを得ません。ミスマッチ防止のためにも人材要件の明確は必須です。

人材戦略に生かすため

人材要件を定義できずにいると、後々の効果検証もできずに終わり、結果、ノウハウとして残らなくなります。戦略的に採用を行いたくとも、基づくデータがないわけです。人材戦略に生かすためにも、やはり人材要件は欠かせません。

人材要件とセットでおさえておきたい用語

人材要件に伴うのが採用ターゲットと採用ペルソナです。どちらもセットで把握しておくことで、人材要件を決めやすくなるでしょう。

採用ターゲット

どの層を狙うのか、求めるスキルや資格はあるのかといった観点で決めるのが採用ターゲットです。人材要件と重なる部分も多いといえます。まずはざっくり採用ターゲットを決めてから人材要件を細かく定義していくパターンなども、定番の流れです。

採用ペルソナ

採用ペルソナとは、採用ターゲットをさらに具体化した架空の人物像です。家族構成や出身大学、趣味や週末の過ごし方などパーソナルな部分まで詳細に突き詰め、よりリアルな求職者を描いていきます。解像度が高ければ高いほど、打ち手も定まるため、戦略は立てやすくなりますが、あまりにピンポイント過ぎると、逆に応募のイメージがわかなくなるため注意も必要です。人材要件に生かす際も、程よく反映することをおすすめします。

▶関連記事:採用ペルソナの作り方をテンプレートに使える具体例も交えて解説

人材要件で設定する主な項目

POINTの文字

人材要件の重要性をお伝えしたところで早速、実践的な内容について言及します。本章で取り上げるのは、求職者の何を見ていくかに当たる具体的な設定項目です(なお、これらは、募集する職種やポジションなど状況によって異なります)。

職務経験

即戦力人材を求める場合、職務経験は必須です。有無はもちろん、具体的にどのような役割や責任を担っていればよいかまで定められるとよいでしょう。たとえば、「新商品の企画から市場導入まで一貫して携わった経験があれば望ましい」といった具合です。

職務スキル

職務スキルを設定する際、ハードスキルとソフトスキルの2つに分けて整理するとわかりやすいでしょう。一般的に前者は、特定の専門知識や研修で得られるようなスキルを指します。対して後者は、コミュニケーション能力やリーダーシップなどです。

業界知識

業界知識の深さ(ある一定の基準を満たしているかどうか)も、人材要件として組み込んでみてよいかもしれません。たとえ未経験であっても、興味・関心度が高くその業界にくわしい人なら自社で活躍してくれる期待が持てるはずです。そうした人材に門戸を開かないのはやはり、勿体ないように思えます。

一般常識テストの基準

一般常識テストから、その方に対するイメージの解像度を上げるのも一つのやり方です。仮に経験豊富な方でも、テストの結果が著しく悪ければ、採用を見送る判断もできます。選考に迷った際の材料にもなるでしょう。

適性検査の基準

一般常識テストに加え、適性検査の結果も判断材料になり得ます。継続的に行い、活躍している方々の傾向を探るなどしてノウハウが蓄積された際には、自社とのマッチ度を評価する方法にも使えるでしょう。

そのほか重視すること

上述した人材要件に使われやすい項目とは別に、独自に設定したいものもあるでしょう。たとえば、美容師やアパレル販売員の募集では見た目、清潔感が求められます。このように業界によって重視するポイントは区々です。そしてそれは企業単位で見るとなおさらだと考えます。仮に学歴一つをとってもそうです。卒業した大学よりも高校を気にされる方は一定数いらっしゃいます。

人材要件定義の流れ

ステップを円型で表現

設定項目に続いては、人材要件を定義する一連の流れを確認していきましょう。具体的には、次のステップで進めます。

以下、それぞれ詳述します。

自社が目指すゴールに対する認識合わせ

採用活動の大きな目的は、自社の経営方針、企業理念を達成するために必要な人材の獲得です。そこには具体的な業績目標、今後の展望なども当然付いて回ります。定量、定性、両方で目指すゴールを明確にし分かち合うことがまずは必要です。

募集メンバーに担当してもらう業務内容の洗い出し

自社が目指すべきゴールが確認できたら、新たなメンバーに担当してもらう業務について洗い出します。その際、仕事内容はもちろん、募集するポジションではどのようなスキルや適性が必要なのか、あらためて整理しましょう。

一緒に働くメンバーへのヒアリング

チームで仕事をするのであれば、現場の声を集めることは大事です。そこで入社後一緒に働くメンバーへのヒアリングを実施します。ざっくりどのような人と働きたいかを知るだけでも有益な情報です。

各項目への割り当て

収集した情報をあらためて整理し、人材要件としてまとめていく作業に入ります。なお、次の章で取り上げるフレームワークを活用すると、体系化できて便利です。

人材要件のフレームワークとは

フレームワークの文字

前述したように、人材要件を定める際にはフレームワークが役立ちます。具体的には、次の4つのモデルです。

以下、それぞれ詳述します。

MWBNモデル

MWBNモデルとは、「MUST(必須)」「WANT(歓迎)」「BETTER(尚可)」「NEGATIVE(不要)」)に分類したフレームワークを指します。たとえば、業務遂行に欠かせないスキルや経験なら「MUST」に、その他歓迎されるが必須ではない要件を「WANT」あるいは「BETTER」に振り分けるといったやり方です。

これによって要望が極端になり過ぎるのを避けられます。バランスよく設計できるため、フレームワークとしてはスタンダードな位置づけです。

コンピテンシーモデル

コンピテンシーモデルとは、自社で高いパフォーマンスを発揮する従業員の特性を分析し、その情報を基に理想の人物像を構築する方法です。シンプルな考えゆえに、人材要件にも当てはめやすいといえます。その際、ロールモデルの選定には注意が必要です。偏りが生まれていないか、今の時代に合っているかなど気を付けなければなりません。

氷山モデル

氷山モデルは、物事の表面だけでなく、見えにくい部分にも着目して全体像を把握するフレームワークです。ではこれを、人材要件を定義するケースに当てはめましょう。経験年数や保有する資格などわかりやすい項目は「氷山の一角」に過ぎません。したがって、これらを前提に、性格、価値観、志向といった目に見えない部分まで要件に落とし込む必要があります。簡単に述べるとこうしたイメージです。

GRPIモデル

GRIPモデルは組織開発や人材要件の作成に使用されるフレームワークで、「Goal(目標)」「Role(役割)」「Process(手順)」「Interaction(関係性)」の4つの要素で構成されます。 

このモデルを人材要件の定義に活用する際は、まず、組織や企業の目標(Goal)を明確にし、それを達成するためにどのような役割(Role)を担う人材が必要かを特定します。さらにはその役割を果たすために必要な手順(Process)やスキルを抽出し、最終的には、自社の従業員とどのように関わり合うか(Interaction)までを定義します。

人材要件を定義する際の注意点

注意喚起を表現

項目と流れ、フレームワークまでおさえれば、とりあえず人材要件は定義可能です。が、そこには落とし穴もあります。具体的には次のとおりです。

以下、各注意点について詳述します。

求める人材のハードルは過度に設定しない

人材要件を定義する際には、設定する条件の程度が適切であることが肝要です。求めるレベルを上げすぎてしまうと、必須条件(MUST)を満たせず、本来十分活躍できる人材を逃してしまうリスクが生じます。

反対に条件を下げすぎるのも考えものです。自社で通用しない方が選考を通過してしまうことになりかねません。仮に入社しても付いてこれず早期に離職する可能性は高いでしょう。周りのメンバーにも迷惑をかけることになるはずです。

主観的になり過ぎない

人材要件が過度に主観的な場合、選考通過の妥当性が見出しにくくなります。裏付けなくして適切な採用は難しいでしょう。もちろん、すべての要件を数値化するのは厳しいかもしれません。が、少なくとも複数名が目を通し納得してもらえる要件にしていくことは大事です。

複雑にしない

人材要件は、しばしば複雑になってしまうケースが見受けられます。あれもこれもと多くの情報を詰め過ぎた結果、気付けば矛盾が生じていることも決して珍しくありません。現実的でややこしくならない採用活動にするために、要件はなるべくコンパクトにまとめましょう。

効果検証を忘れない

人材要件は定期的な検証と更新が不可欠です。実際に採用まで行き着いた方の貢献度なども踏まえて、(人材要件の)適正であったか否かを判断しましょう。期待どおりの活躍がみられない場合は、人材要件を見直し、改善策を講じる必要があります。

人材要件の具体例

要件定義した人材をイメージ

注意点も念頭におきつつ、いよいよ着手できる状態になったと思います。というわけでイメージに相違がないか、最後のチェックです。本章では職種ごとにサンプルをいくつかピックアップ。形式はもちろん、内容についてもヒントになりそうな部分はうまく活用してみてください。

営業・企画職の場合

営業・企画職で新卒入社の方を対象にした場合、次のような人材要件が例として挙げられます。

MUST(必須条件)コミュニケーションスキル
基本的なビジネスマナーと職業倫理
協調性
高い学習意欲
主体性
WANT(歓迎条件)プレゼンテーションスキル
営業または企画関連のインターンシップ経験
新しいアイデアや改善提案ができる創造性 

中途採用で営業・企画職の正社員を募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件) 関連分野での実務経験
コミュニケーション能力
チームの目標に対する強い責任感 
WANT(歓迎条件) チームでの作業経験
交渉スキルおよびクロージング能力
業界の知識やネットワーク 

営業・企画職でアルバイトを募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件) 基本的なPCスキル
コミュニケーション能力
積極的で明るい姿勢 
WANT(歓迎条件)営業や顧客サービスの経験
迅速で正確な作業能力 

マーケターの場合

新卒入社の方を対象にマーケターを募集する場合、次のような人材要件が例として挙げられます。

MUST(必須条件) 優れたコミュニケーションスキル
マーケティングの基本的な理解
新しいトレンドと技術に対する学習意欲 
WANT(歓迎条件)コンテンツ制作経験
基本的なデータ分析スキル(Google Analyticsなど) 

正社員のマーケターを中途採用で募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件) 2年以上のマーケティング実務経験
高度な分析スキル
問題解決能力 
WANT(歓迎条件) マーケティング関連資格(マーケティング検定など)
SEO、SEM、SMMの実践的な経験
リーダーシップとチームマネジメント経験 

マーケターをアルバイトで募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件)基本的なマーケティングの知識
コミュニケーション能力
基本的なPCスキル 
WANT(歓迎条件)マーケティングや広告に関連する知識
ソーシャルメディアマネジメントの経験
簡単なデザインや編集ツールの経験(Canvaなど) 

エンジニアの場合

新卒採用でエンジニアを募集する場合、次のような人材要件が例として挙げられます。

MUST(必須条件) プログラミングの基礎知識(Java、Pythonなど)
基本的なアルゴリズムとデータ構造に関する知識
コミュニケーション能力
WANT(歓迎条件)インターンシップや実務の経験
新技術への適応能力と学習意欲 

正社員のエンジニアを中途採用で募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件)3年以上のJava実務経験
3人以上でのチーム開発経験 
WANT(歓迎条件)AWSの実務経験
チームリーダーやプロジェクトマネージャー経験
顧客折衝力

エンジニアをアルバイトで募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件)コミュニケーション能力
基本的なプログラミングスキル
WANT(歓迎条件)几帳面で細かい作業が苦ではない
チャレンジ精神

デザイナーの場合

デザイナーの新卒採用には、次のような人材要件が例として挙げられます。

MUST(必須条件) クリエイティブな発想
コミュニケーション能力
スキルアップへの高い意欲
WANT(歓迎条件)基本的なレイアウト、タイポグラフィ、色彩理論の理解
Illustrator、Photoshopの基本的な操作スキル 

正社員のデザイナーを中途採用で募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件)3年以上の実務経験
Illustrator、Photoshopの高度な操作スキル
顧客折衝能力
プレゼンテーション能力 
WANT(歓迎条件) プロジェクト管理能力
リーダーシップ力
新技術(AR/VR)への適応能力 

デザイナーをアルバイトで募集する場合の人材要件です。

MUST(必須条件)基本的なデザイン原則の理解
主体性
高い学習意欲 
WANT(歓迎条件)Illustrator、Photoshopの基本的な操作スキル
ソーシャルメディアやウェブコンテンツのデザイン経験
簡単な動画編集やアニメーション作成スキル

組織づくりは人材要件が肝心!

組織体系図をコミカルに表現

「円滑な採用プロセス」「企業文化にマッチする人材との邂逅」は、人材要件の最適化・明確化があってこそです。昨今は採用難といわれることも多いですが、そもそも人材要件が曖昧になっている可能性も否めません。逆にいうと、ここに注力することが打開策につながる一手になる期待も十分に持てるでしょう。

いずれにしても、人材要件は組織づくりの起点であり肝だといえます。その重要性から実際の取り組み(要件定義)に至るまで、拙稿が今一度確認できる機会になれば幸いです。


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