5時間勤務の場合、休憩時間を付与する必要はあるのか?

5時間勤務の従業員には、法律上、休憩時間を付与しなくても構いません。労働基準法で規定されている休憩時間の義務は、第三十四条での6時間を超えるラインが最短です(6時間未満の場合でも休憩時間を設けなければならないことを示す記述はありません)。したがって、あくまで付与する必要はない認識で問題ないといえます。
参照:労働基準法第三十四条
労働基準法で定められている休憩時間のルール

前述のとおり、休憩時間の義務については労働基準法で具体的に決められています。とはいえ、理解を深めるには単に条文を覚えるだけでは難しいかもしれません。本章では、休憩時間に関するルールを基にその考え方についても深掘りします。
休憩時間の定義
休憩時間とは労働者が業務から完全に解放され、自分自身の裁量で自由に過ごすことができる時間です。そのため、休憩時間中は職務を遂行する義務を負うことはなく、業務に関連する対応や責務から解放される権利が保障されています。
休憩時間の3原則
労働者に休憩時間を付与する場合、労働基準法に基づき、3つの重要なルールを守る必要があります。そう、いわゆる休憩時間の3原則です。以下、それぞれ簡単に説明します。
途中付与の原則
一つ目は途中付与の原則です。これは勤務時間のなかで休憩時間を必ず与えなければならないことを指します。労働者が勤務中、適切に休息を取り心身の負担を軽減することは、業務効率や安全性を保つ意味でも重要です。労働基準法においてもこの考え方が明確に示されています。
自由利用の原則
自由利用の原則とは、労働者が休憩時間を自由に使う権利を確保するためのものです。このルールに基づき、休憩時間中は従業員を業務から完全に解放することが求められます。つまり、企業側が労働者に対して業務に関連する指示を出したり、特定の行動を強制したりすることは認められません。たとえば、休憩時間にもかかわらず電話や来客対応で職場内に留まるよう指示することは、よくある問題です。もちろんこれは、自由利用の原則に反する行為とみなされます。
一斉付与の原則
一斉付与の原則とは、同じ職場で働くすべての従業員に対して同じ時間帯に休憩時間を付与しなければならないルールを指します。しかしながら、労使協定が結ばれている場合や特定の業種については例外が認められているのも事実です。後者に関していうと、運送業や商業、金融・保険業、映画・演劇業、郵便・電気通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業……等々が該当します。
雇用形態と休憩時間の関係
休憩時間は雇用形態を問わず、労働基準法に準拠して付与されるものです。そのため、いずれも勤務時間によって変わってきます。ただし、後述するように、法律上では必要ない休憩時間をあえて設定する企業が存在するのも確かです。
独自ルールの可不可
休憩時間は労働基準法で定められた最低基準を下回って設定することはできませんが、逆に上回る分は問題ありません。そう、あくまで法の遵守が前提とはいえ、企業によって独自のルールを設けることはできます。つまり、5時間勤務であっても休憩を付与することは可能です。
休憩時間の計算方法

繰り返しお伝えしているように、労働基準法によって付与すべき休憩時間は規定されています。とはいえ残業などが発生した場合にどう適用すればよいか曖昧なこともあるかもしれません。本章では、計算するにあたってまずおさえておきたいポイントと、考え得る勤務状況をシミュレーションしたうえでの算出例を紹介します。ぜひ、実践的にお役立てください。
計算上のポイント
あらためて労働基準法第三十四条に定められている休憩時間のルールを整理しましょう。
- 労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合、少なくとも45分の休憩時間を与えなければならない
- 労働時間が8時間を超える場合、少なくとも60分の休憩時間を与えなければならない
- 労働時間が6時間以内の場合、特に休憩時間を与える必要はない
なお、休憩時間は分割しても構いません。たとえば、勤務時間が8時間なら1時間の休憩時間を設ける必要がありますが、これを30分ずつの2回に分けて取ってもらうことも可能です。
具体的な計算例
仮に労働時間が7時間や9時間なら、規定文言そのままにそれぞれ45分、60分の休憩時間が必要だと容易にわかるはずです。しかしながら、「6時間未満は?」「8時間ちょうどなら?」「時間外労働が発生したら?」といった具合に細かいところに関しては疑問を抱くこともあるかもしれません。では、これらについて一つずつ計算してみましょう。
まずは、6時間未満です。これはすでにお伝えしましたが、法的に休憩時間を付与する必要はありません。もちろん、独自に設けることも可能です。
次に8時間ちょうどの場合ですが、厳密にいうと8時間を超えていないため45分でも違法には当たりません。そうはいっても60分設けている企業がほとんどでしょう。なお、お察しのとおり6時間ちょうども同様に捉えることができるため、付与しなくても構わないのが法律上のルールです。
時間外労働が発生した場合も結局は、合計労働時間が6時間を超えそうなら45分、8時間を超えそうなら60分の休憩時間を設けるルールは変わりません。ただし急遽(残業が)発生する場合に備えて、適宜、調整を図れるよう管理することが求められます。
5時間勤務の従業員に休憩時間を付与するメリット

5時間勤務の従業員に対しても休憩時間を付与した方がよいかもしれません。というのもそこにはいくつかのメリットがあるからです。ざっと挙げましょう。
- 健康リスクの軽減
- 業務効率の向上
- 従業員満足度の向上
以下、それぞれ簡単に説明します。
健康リスクの軽減
5時間勤務であっても、たとえば長時間同じ姿勢で作業を続けると、筋肉や関節に負担がかかり、肩こりや腰痛などの身体的な問題が発生する可能性があります。そうした事態を回避するためにもまとまった休憩時間は大事です。そして何より、精神的な部分で必要だと考えます。短時間でも仕事から離れることでリフレッシュにつながるはずです。心身ともに健康を守れるよう(健康リスクを軽減できるよう)、なるべく休憩時間は設けることを推奨します。
業務効率の向上
前述した心身のリフレッシュは、集中力の回復にも直結します。結果として業務効率の向上が見込めるでしょう。また、休憩を通じて職場の人間関係を深める機会が増えれば、チーム内のコミュニケーションが活性化することもあるかもしれません。
従業員満足度の向上
自身の健康と働きやすさを考慮してくれる企業に対しては、少なからず満足度を感じてもらいやすくなるでしょう。ひいては長期的に定着してくれることも期待できます。また、適切な休憩は従業員の心に余裕を生みます。これがあるかないかで従業員同士の人間関係も変わってくるかもしれません。お互いに心に余裕がなければどうしてもギスギスすることになりがちです。その防止策としても、6時間未満の勤務であっても休憩時間は設けた方がよいと考えます。無論、周囲の人間に恵まれることも従業員にとってはやりがいを見出す大きな要素です。
5時間勤務の従業員に休憩時間を付与しないデメリット

メリットはあるにせよ5時間勤務の場合は法律上、休憩時間を付与しなくて構いません。そのため、わざわざ設ける必要はないと考えてしまう向きもあるでしょう。が、その短絡的な判断が予期せぬデメリットを招く羽目になりそうです。たとえば次のようなことが考えられます。
- 疲労の蓄積
- 従業員満足度の低下
- 企業イメージの悪化
以下、それぞれ簡単に説明します。
疲労の蓄積
5時間勤務でも休憩時間を付与することは、前述したメリットでもある健康リスクの軽減につながります。しからば当然その逆、つまり休憩時間を付与しなければ健康面での害を引き起こす恐れが高確率で出てくるわけです。そうなるとどうなるか。心身ともに疲労が蓄積した従業員は、徐々に欠勤を繰り返すようになり、ついには離職に至ることに。この悪循環がそこかしこで起きてしまったなら、たちまち人手不足に陥るでしょう。
従業員満足度の低下
休憩時間の付与を選択せず、ひたすら5時間働き続けてもらった結果、疲労やストレスが蓄積していったなら、職場への不満が募ることになっても何らおかしくありません。やはり休憩時間の付与は、大なり小なり従業員満足度に影響を及ぼすものと考えます。
企業イメージの悪化
休憩時間を付与しないことが、内部の人間の告発や周囲に知れ渡り拡散されたなら、たとえ法律違反でなくとも企業イメージの悪化につながりかねません。そうなればこの先の人材確保も困難を極めることになる恐れがあります。
休憩時間を付与する際の注意点

ここまでお伝えしてきたことを踏まえて、たとえ5時間勤務でも休憩時間はなるべく付与したいところです。そうはいってもやはり、付与すれば無条件に安心できるわけではありません。いくつか注意すべきこともあります。ざっと次のとおりです。
- 休憩しづらい雰囲気を作らない
- 休憩時間に緊急ではない業務を頼まない
- 業務の停滞や偏りを招かない
以下、それぞれ簡単に説明します。
休憩しづらい雰囲気を作らない
せっかく休憩時間を設けても、それを取りづらく感じている従業員もいるかもしれません。これは周囲の雰囲気がそうさせています。フルタイム社員の方々と比べて短時間だからといって遠慮させてはいけません。特に管理職やリーダーがいつまでも仕事をしていると、この傾向は強まります。本来なら彼・彼女たちこそ率先して休憩を取り、また日常的にその大切さを発信していってほしいところです。休憩室の環境を整えることも含めて、休憩しづらい雰囲気を醸し出さないよう気を付けましょう。
休憩時間に緊急ではない業務を頼まない
労働基準法にも定められているとおり、休憩時間は従業員が自由に利用できる状態でなければなりません。そのため、休憩時間に緊急ではない業務を頼むことは避けましょう。また、仮に緊急の業務が発生し、やむを得ず休憩時間に対応された場合は、別途休憩時間を付与する必要があります。
業務の停滞や偏りを招かない
休憩時間を与えることで業務の停滞や偏りを招く可能性は確かにあります。それが致命的になるようなら、各チームや担当者の業務内容、ピークタイムを考慮し、交代制で休憩を取るなど手を打つ必要があるでしょう(もちろんこのケースでは一斉付与の原則に対する例外として認められなければなりません)。また、従業員間でコミュニケーションを積極的に交わすことや円滑な連携、タスク管理の透明化……等々もこの事態を避けるのに有効です。
短時間勤務で人材を募集する場合におすすめのサービス

休憩時間を設けるか否か迷う以前に、5時間勤務など短時間だけでも働いてくれる人材を欲している企業やお店、施設も少なくないように見受けられます。本章では、そうしたニーズに応えるおすすめのサービスとしてdipが提供する『バイトル』と『スポットバイトル』を紹介します。
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休憩時間の設定は適切かつ柔軟に!

労働基準法では労働時間が6時間を超えてから休憩時間の付与義務が発生します。そのため、5時間勤務の従業員には休憩時間を与える必要はありません。しかし、だからといって休憩なしが最適解かというと甚だ疑問です。実際のところ、付与するとメリットが期待でき、付与しない場合はデメリットがつき纏います。もちろん、付与する際にも注意することはありますが、できれば休憩時間は設けた方がよいのではないかと考えます。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。