人手不足が深刻化する昨今、優秀な派遣社員に対してはいっそのこと直接雇用で長く働いてもらいたいと考えることもあるでしょう。しかしながら、実際に引き抜くとなると、法的リスクやコスト面などに不安を覚える担当者の方もいらっしゃるように見受けられます。というわけで本記事では、派遣社員の引き抜きについて解説。基本概要のおさらいはもとより、トラブル回避のためにもぜひご参照いただけますと幸いです。

派遣社員の引き抜きは違法?紹介料やトラブル回避のための注意事項も解説

  • 2025.02.13
  • 2025.05.08

人手不足が深刻化する昨今、優秀な派遣社員に対してはいっそのこと直接雇用で長く働いてもらいたいと考えることもあるでしょう。しかしながら、実際に引き抜くとなると、法的リスクやコスト面などに不安を覚える担当者の方もいらっしゃるように見受けられます。というわけで本記事では、派遣社員の引き抜きについて解説。基本概要のおさらいはもとより、トラブル回避のためにもぜひご参照いただけますと幸いです。

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派遣雇用の基本

人材派遣と書かれたブロック

はじめに、派遣雇用の基本について確認しましょう。本章では、一般的な契約形態に加え、特定派遣、紹介予定派遣といったいわばイレギュラーな制度も取り上げます。引き抜きの是非を知るにも、これらをおさえることは必須です。

派遣社員の契約形態

派遣社員の契約形態は大きく分けると「有期雇用派遣」と「無期雇用派遣」の2つに分かれます。前者は、派遣会社と期間を定めた契約を結び、満了まで雇用関係が続くものです。一方、無期雇用派遣は、文字どおり期間の定めはないため、たとえ派遣先での就業期間が終了しても、派遣会社との雇用関係は継続します。

特定派遣について

特定派遣(特定労働者派遣事業)とは、派遣会社と常時雇用契約を結び、特定の企業にて就業してもらう働き方です。2015年の法改正により2018年、廃止に至っています。なお、当時この特定派遣は、一般派遣(一般労働者派遣事業)と異なり、許可制ではなく届出制で運営できた点も特徴的でした。

参照: 「(旧)特定労働者派遣事業」を行っている事業主の皆さまへ

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは、直接雇用を前提に派遣社員を雇用する制度です。直接雇用には、一定期間(最長6ヶ月)の派遣就業を経て、派遣先企業と派遣社員の双方合意のもと、派遣会社の手続きを介して移行します。

▶関連記事:紹介予定派遣社員を雇うには?辞める理由や正社員登用のポイントも解説

派遣社員の引き抜きが議論される背景

派遣社員と書かれたブロック

さて、派遣雇用の基本をざっとおさらいできたところで、本題である派遣の引き抜きについて言及します。優秀な人材に対して派遣ではなく自社の従業員として先々の活躍を願う企業は思いのほか多いものです。が、検討希望がある一方で、派遣元からすると悩ましい部分も出てきます。おそらく、こうした背景が議論を呼んでいるのでしょう。以下、補足します。

企業が派遣社員の引き抜きを検討する主な理由

戦力として十分に貢献してくれる人材を派遣で置いとくのは勿体ないと考え、引き抜きできないかと考える派遣先企業は少なくありません。スキル十分で職場環境にも慣れている彼・彼女たちを正社員として迎え入れることができれば、採用・教育コストの削減にもつながるでしょう。まさにこれが、引き抜きを検討する大きな理由に当たります。

派遣元企業(派遣会社)への影響

派遣社員の引き抜きが行われると、派遣会社には大なり小なり影響が及びます。何より提供できる人材の枠が減ることは(優秀な方であればなおさら)、痛手です。これが立て続けに起きてしまうとビジネスモデルに綻びが出てくるかもしれません。そのため、契約内容の調整やキャリア支援の充実など、引き抜きリスクへの対策を講じる派遣会社も少なくありません。

派遣社員の引き抜きは違法なのか?

シルエットに映る派遣社員を引き抜くイメージ

期間満了後に直接雇用で契約することは派遣社員の引き抜きとして法に抵触すると思われる向きもあるでしょう。が、実際は違法に当たりません。労働者派遣法の第33条でも明確です。しかし、派遣契約期間中に、派遣会社を介さずに派遣社員と直接雇用契約を結ぶ行為は、派遣会社の事業を妨害する行為とみなされ、不法行為として損害賠償責任が生じる可能性もあります。これらについて以下、補足します。

労働者派遣法第33条に書かれていること

労働者派遣法第33条では、派遣契約終了後に派遣社員と派遣先企業が雇用契約を結ぶことを禁止してはならないと書かれています。抜粋すると次のとおりです。

(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)

第三十三条 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者(派遣先であつた者を含む。次項において同じ。)又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。

労働者派遣法第33条

つまり、禁止することが違法であり、派遣社員を期間満了後に直接雇用で契約してもかまわないわけです。

派遣契約期間中に引き抜こうとする場合

派遣契約期間中の派遣社員の引き抜きは、先述のとおり、派遣元企業に大きな損害を与える可能性があります。トラブルに発展することはいわずもがな、やり方があまりに社会的相当性を逸脱していると判断された場合は法的にも責任を問われるでしょう(民法第709条)。また、契約上の義務に違反していたなら、違約金の支払いを求められることも出てくるため、いずれにしても慎重な対応が求められます。

派遣社員の引き抜きで注意したいこと

掌の上で引き抜きを表現

派遣社員の引き抜きを行う場合は、派遣元企業、派遣社員どちらに対しても内容を丁寧に伝えることが大事です。これらの注意点について以下、補足します。

派遣元企業へきちんと申し入れる

引き抜きを実施する前には必ず派遣元企業へ申し入れましょう。適切なステップを踏むことは、企業間の関係を円滑に保つ意味でも欠かせません。なお、派遣契約期間中に引き抜く場合は、より繊細な対応が必要です。派遣元企業の合意を得ることはもちろん、契約内容によっては紹介手数料の支払いなども出てくるでしょう。

派遣社員には雇用条件や業務内容を書面で伝える

派遣契約を終えていざ直接雇用に切り替えることとなった場合、社員にはあらためて条件や業務内容を伝える必要があります。その際、齟齬が生じないよう口頭で済ませるのではなく、きちんと書面に残しておくことが重要です。

派遣社員の引き抜きで発生する紹介料

紹介料と書かれたブロック

派遣社員の引き抜きを行う場合、紹介料が頭をよぎることもあるでしょう。しかし、実際はケースバイケースです。必ずしも発生するとは限りません。本章ではよくある2つのパターンを解説。以下、相場と併せてお伝えします。

派遣元企業から直接雇用の依頼があった場合

派遣元企業から直接雇用の依頼がある場合は、職業安定法上の職業紹介ではなく、雇用安定措置の一つである「派遣先への直接雇用の依頼」に該当します。したがって、紹介料を支払う義務はありません。むしろ、派遣労働者の雇用契約が企業間の金銭授受によって制限されることの方が問題です(法に抵触します)。

紹介予定派遣の場合

紹介予定派遣で直接雇用が成立した際、派遣会社に紹介料が支払われるのが一般的です。他方、派遣契約が終了してから一定期間経過した後に、派遣会社を介さず直接契約を結ぶ場合は話が変わります。紹介料ケースがほとんどです。ただし契約上、“派遣終了後○ヶ月以内での直接雇用には紹介料が発生する”といった内容が規定されているなら、該当した場合、当然それを支払う必要が出てきます。

紹介料の相場

派遣社員の引き抜きに際して派遣元企業に支払う紹介料は、派遣期間の長さやスキル、職種といった条件によって変わるため一概にはいえないものの、大方、直接雇用後の対象社員の年収に対して15%から30%程度でしょう。こうした相場も加味しつつ紹介予定派遣を検討し、締結後にはあらためて(直接雇用へと)転換するか否かを判断される企業も少なくありません。

短期求人が長期雇用につながる派遣社員の引き抜き以外のケース

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短期で縁があり、その後は長期的に自社人材として活躍されるケースは、何も派遣社員の引き抜きだけが当てはまるわけではありません。たとえば、スポットワーカーとのマッチングを経てレギュラー勤務で長く活躍されることも決して珍しくないでしょう。dipが提供する『スポットバイトル』と『バイトル』の組み合わせはまさにそのシナリオを描くにはもってこいのサービスです。とりわけ「Good Job ボーナス」の支給(※dipが負担)は、ワーカーのモチベーションアップに寄与する期待が持てます。派遣の引き抜き以外でも、直接雇用で効率よく人材確保が図れるわけです。働く側も『バイトル』という選択肢がおのずと視野に入り、応募そして採用に至れば、結果双方にとって得策な契約が結べるものと思われます。

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派遣社員の引き抜きに対する正しい理解がトラブルを未然に防止する!

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派遣社員の引き抜きは、それ自体が違法ではないにせよ、強引なやり方では結局のところ法に抵触する恐れがあるのも確かです。法的リスクの回避、未然のトラブル防止のためにも正しい理解、そして慎重かつ誠実な対応が求められます。また、目的が優秀な人材確保であれば、派遣社員の引き抜きといったルートではなく、直接雇用に注力するのも一つの手です。柔軟なアクションが可能性を広げます。求人も採用も人材育成も、真摯かつ臨機応変に取り組むことが大切です。


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