接待は、相手や方法によっては違法とみなされるケースがあります。また、たとえ法に抵触せずともトラブルや信用失墜につながるリス	クを伴うため、実施の際は十分注意が必要です。本記事では、違法接待について解説します。加えて、過剰な接待にも言及。ぜひ、お役立てください。

違法接待とは?問題、トラブルを招きやすい過剰なケースも紹介

  • 2025.08.25
  • 2025.08.25

接待は、相手や方法によっては違法とみなされるケースがあります。また、たとえ法に抵触せずともトラブルや信用失墜につながるリス クを伴うため、実施の際は十分注意が必要です。本記事では、違法接待について解説します。加えて、過剰な接待にも言及。ぜひ、お役立てください。

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接待はそもそも違法なのか?

本章では、接待に対する違法性についてお伝えします。どう向き合うべきか、まずは基本的な知識を確実におさえましょう。

基本、違法ではない

実際のところ、接待は、取引先との関係構築や情報交換の場として広く行われています。というのも、民間企業同士の場合、法律上、接待は禁止されていません。会食や贈答品の提供は商慣習の一部として社会的にも受け入れられています。また、税務上も業務との関連性が明確であれば交際費等として経費計上が認められ、一定条件のもと損金算入が可能です。

参照:租税特別措置法第61条の4

接待相手によっては違法

前述したように基本、接待は違法ではないとはいえ、それはあくまで民間企業同士の話です。接待相手が国家公務員、地方公務員、またはみなし公務員で、その職務に関連して便宜を図る目的がある場合、刑法第197条に抵触します。

公務員が利害関係者からの接待を受けることは、国家公務員倫理規程の第3条でも、禁止が明示されています。

行き過ぎた接待は問題

上述の国家公務員倫理規定ですが、第5条には、利害関係者に該当しない事業者等からの接待も社会通念上相当の程度を超えてはいけないとの旨が示されています。もちろん、これは公務員に限った話ではありません。民間企業同士でも高額な飲食や贈答品を繰り返すといったケースは問題です。くわしくは、「適法範囲でも過剰な接待はリスクが多い」の章でも述べますが、いずれにしても接待の実施には慎重な判断が求められます。

接待を受ける場合も注意が必要

繰り返しますが、公務員に限らず、接待は提供する側だけでなく受ける側にも注意が必要です。高額または頻繁な接待は、利益相反と見なされるかもしれません。しからば社内外の信頼を損ねることにもつながります。結果、自社が持つ顧客との関係や商談・取引に悪影響を及ぼす恐れも出てくるでしょう。

接待が罪に問われる主なケース

違法接待で罪に問われるケースは主に贈収賄罪と背任罪が挙げられます。以下、それぞれ解説します。

贈収賄罪

刑法第197条では、公務員が職務に関して賄賂を収受、要求、またはその約束をした場合、収賄罪として5年以下の拘禁刑が規定されています(請託を受けた場合は、7年以下)。一方、刑法第198条では、公務員に賄賂を供与、申込み、または約束した者が処罰対象です。3年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されます。仮に公務員に対して、入札で自社が有利になるよう働きかけてもらう、許認可の審査を優先してもらうなどの見返りを期待して高額な会食や金品を提供した場合、実際に便宜が図られたか否かにかかわらず、贈賄罪に問われるでしょう。刑事罰の対象であることはもちろん、社会的信用を失わせる点で大きなダメージ受ける羽目になるといえます。

背任罪

刑法第247条では、他人のために事務を処理する者が、自己または第三者の利益を図る、もしくは本人に損害を与える目的で任務に背く行為をし、その結果として本人に財産上の損害を与えた場合、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を処すると規定されています。そう、背任罪です。典型的な例は、会社の購買担当者が接待を受けた見返りとして自社の利益を損ねる契約を結ぶといったケースが挙げられます。接待が引き金となって不利な取引を承認すれば、職務上の忠実義務違反です。すなわち、背任罪に問われる可能性が出てきます。刑事罰だけでなく、懲戒処分や損害賠償請求など、さまざまなリスクが伴う行為です。

過剰な接待とは?

金額や内容、実施頻度が、業務上の関係構築や情報交換の範囲をあまりに逸脱していたなら、それはもはや接待の域を超えています。依存関係や癒着を生んでいるといっても過言ではありません。自社のコンプライアンスに懐疑的な目を向けられても何らおかしくないでしょう。本章ではそうした過剰な接待について、いくつかピックアップします。

高級店での接待が常態化している

接待が常に高級な料亭やクラブなどで行われる場合、出費はもちろん、企業のスタンスにも不安を覚える向きが出てくるはずです。相手に義理や負担を感じさせることもあるでしょう。それでは本質的に良好な関係を築けているとはいえません。気に入られようとしすぎた結果、気味悪がられ敬遠されることも考えられます。

参加を断れない空気が蔓延っている

参加が事実上強制される接待は、その時点で過剰、いうなれば異常です。コンプライアンス違反にさえつながります。そうした慣行が続けば、従業員の士気低下から離職率の上昇を招くでしょう。

プライベートとの境目がなくなる

接待は基本、勤務時間外に行われます。とはいえ残業扱いにならないことも多いのではないでしょうか。ましてや休日にも行われている場合、プライベートとの境目がなくなり、従業員の心身が疲弊していくのは容易に想像できます。このようなケースもまた、接待自体が過剰であることと併せて、組織風土の問題として捉えることが必要です。

適法範囲でも過剰な接待はリスクが多い

前項でも触れていますが、たとえ適法範囲でも、過剰な接待は企業に少なからずリスクをもたらします。なかでも下記3つは、特に問題視されているといえるでしょう。

以下、それぞれ補足します。

SNSなどで拡散され炎上

高額接待や派手なもてなしの様子は、その過剰さからSNSやインターネット上で拡散されやすい傾向にあります。仮にそうなった場合、違法性の有無にかかわらず企業イメージは損なわれるでしょう。不信感の大きさによっては、取引停止や契約解除といったリスクさえも考えられます。一度失った信用を回復するには、多大な時間と労力が必要です。炎上防止のためにも過剰な接待は控えましょう。

従業員に対するハラスメントにもなりかねない

接待参加を事実上強制する状況や、接待中の過剰な飲酒・無理な振る舞いの要求は、従業員からするとハラスメントと受け取られても無理はないでしょう。組織風土の問題であり、接待においてもこれが露骨に発生するようなら、労働基準監督署への相談や訴訟へとつながることも大いに考えられます。

ガバナンスに疑念を抱かせる

度を超えた接待によって、企業ガバナンスや内部統制の欠如が疑われることもあります。特に取引先や株主に対して、(接待の状況についての)説明責任を果たせない場合、信頼関係の破綻や投資家の離反を招きかねません。さらに、内部監査や会計監査で問題視されれば、企業価値の低下だけでなく、経営陣の責任問題にも発展します。

接待のトラブルを未然に回避するには?

ここまでお伝えしてきてわかるように、接待はやり方を誤ると違法行為や不信感につながります。どちらにせよ問題が生じる恐れがあるわけです。本章では、そうしたトラブルを未然に回避すべく、いくつか対策を紹介します。

接待自体を禁止

一つ目は接待自体の禁止です。まず法的リスクがある以上、公務員との接待は避けるべきだと考えます。そのうえで、自社としての方針をきちんと明文化することが大事です。禁止規定を設けることで、グレーな状況を作らずにも済むでしょう。

明確で強固な社内ルールの設定

接待を全面禁止しない場合でも、実施する際の条件や手続きを社内規程で定めることは必要です。たとえば、接待の上限額、事前承認の取得方法、目的や内容の記録・保管方法などは、なるべくわかりやすく明文化することをおすすめします。こうしたガイドラインは内部監査や外部監査の際の説明資料にもなるため、いわば一石二鳥です。

コンプライアンスについての講習や研修の実施

ルールを策定しても、従業員がその内容や重要性を理解していなければ効果は限定的です。定期的にコンプライアンス研修や講習を実施し、接待に関する法的リスク、社内ルールの周知を徹底しましょう。もちろん、経営陣にも学んでもらう必要があります。なお、研修では事例や判例を紹介できると、より解像度高く内容を把握してもらえるはずです。

違法はもちろん、過剰な接待にも要注意!

接待はときに法に抵触するため注意が必要です。仮に違法接待の場合、贈収賄罪や背任罪に問われます。罰金等のペナルティはもちろん、パブリックイメージにも悪影響を及ぼす羽目になるでしょう。他方、適法範囲であっても過剰な接待は禁物です。炎上やハラスメント、ガバナンス不全といった問題がついて回ります。いずれにしても、どうしても接待を行うのであれば、大なり小なり気を付ける部分は出てきます。社内ルールの明確化、コンプライアンス研修などもなるべく実施できるとよいでしょう。とにもかくにも接待は信頼構築のための一手段。本末転倒にならないよう、目的と範囲を適切に設けたうえで行ってください。


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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所の代表を務める荒武慎一氏

アラタケ社会保険労務士事務所 

代表 荒武 慎一

同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。

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