長らく日本企業にとって常識であった「週休2日制」に変わる新たな休日制度「週休3日制」について、世間の動向含めて今後浸透するか気になっている方は少なくないでしょう。あまねく制度変更がそうであるように、週休3日制もまた、メリットをもたらす一方でデメリットも孕んでいます。企業の体制と従業員の働き方を大きく変える週休3日制。本記事にて基本概要から導入事例まで具体的に解説します。

週休3日制とは?メリット・デメリットや導入事例を紹介

  • 2022.12.15
  • 2022.12.15

長らく日本企業にとって常識であった「週休2日制」に変わる新たな休日制度「週休3日制」について、世間の動向含めて今後浸透するか気になっている方は少なくないでしょう。あまねく制度変更がそうであるように、週休3日制もまた、メリットをもたらす一方でデメリットも孕んでいます。企業の体制と従業員の働き方を大きく変える週休3日制。本記事にて基本概要から導入事例まで具体的に解説します。

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週休3日制とは?

週休3日制を導入する担当者とカレンダー

週休3日制とは、文字どおり1週間の休みを3日設けることですが、「実際のところ、どのように適用されているのか」「おさえておくべき周辺知識は何か」などは漠然としている方も多いように見受けられます。 

まずは以下に挙げる前提として把握すべきポイントを知り、そこから解像度を上げていきましょう。 

週休3日制に寄せられる期待 

現在、週休3日制の導入は一部の大企業にとどまっていますが、今後広がっていくことは大いに想定できます。というのも多くの労働者がワークライフバランスの実現を望み、また企業側からも人材の確保・生産性向上といった効果を期待する声がこの制度に対して挙がっているからです。 

週休3日制の適用パターン

週休3日制を導入するにあたっては、大きく3つの適用パターンを知る必要があります。それぞれ給与と労働時間に規定が存在する点を注意し、以下ご確認ください。

給与維持型

一日当たりの所定労働時間も毎月の給与も週休2日制から変更されないパターンです。休日が3日に増えるため月の総労働時間は短くなりますが、給与は維持されます。 

総労働時間維持型 

月の総労働時間を維持すべく1日あたりに働く時間が増えるパターンです。給与に関しては給与維持型同様、週休2日制のときと変わりません。 

では総労働時間はどのように維持していくのでしょうか。 

具体的には、変形労働時間制を併用し、勤務時間を1日あたり10時間に設定することで週の所定労働時間40時間を確保する方法があります。ただし、変形労働時間制を伴う総労働時間維持型は、労使協定の締結が必要です。 

給与減額型 

1日当たりの所定労働時間は変わらず、月の総労働時間は減少し、それに伴い週休2日制に比べて給与が減少するパターンです。 

週休3日制は今後義務化されるのか?

週休3日制で働く女性

働き方改革の一環として、注目を集める「週休3日制」ですが、いまひとつ導入は進んでいません。その原因はどこにあるのでしょうか。また、今後は義務化されるのでしょうか。 

週休3日制の現在地 

2021年6月に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針』(通称:『骨太の方針』)には、希望者を対象に週休3日制が適用される「選択的週休3日制度」について記載されました。しかし、このなかでは“企業における導入を促し、普及を図る”とだけ書かれ、導入はあくまで企業ごとの判断に委ねられています。それゆえ現時点では一律の導入は義務化されておらず、今後も義務化の予定はないとのことです。

週休3日制がなかなか浸透しない理由

義務化される動きが現時点でみられないことが週休3日制の広まりを遅らせている原因の一つだとも考えられますが、本質的な理由はおそらく別にあります。(くわしくは後述しますが)とりわけ示唆的だったのが、都内の調査結果ではほとんどの企業が導入する考えはないと答えていることです。現状は、企業にとって腰の重い制度であることがわかります。

週休3日制のメリット

週休3日制のメリット

世間一般、現状ではまだまだ週休3日制は浸透していないとはいえ、一部の企業では導入され、はたまた継続している組織も一定数存在しているわけです。そこには明確なメリットがあるといえます。以下、いくつか列挙しましょう。 

育児や介護との両立を助ける

週休3日制の導入によって、従業員の離職率を下げられる期待が持てます。特に育児や介護は仕事との両立が難しく、従業員が退職を余儀なくされるケースは頻繁に見聞きする話です。仮に週休3日制での勤務が可能になれば、少なくとも以前よりは心身ともに負担は減るのではないかと考えられます。結果、離職率の低下にも大きく寄与するはずです。 

制度導入が企業の魅力として伝わる

週休3日制の普及が進んでいない現状は、裏を返せば他の企業との差別化を図るチャンスです。自社が求職者に対してワークライフバランスを重視したホワイト企業といった印象を与えるには絶好の機会だといえます。もはや、それ自体が企業価値であり魅力です。うまく訴求できれば幅広い人材確保にもつながります。 

光熱費・蔓延的な残業費などのコスト削減

週休3日制を導入することでコスト削減も見込めます。週の出勤日数が1日減るだけで、オフィスの光熱費あるいは従業員の残業費をおさえることが可能です。

従業員のパフォーマンスが上がる 

生産性を上げる手段・方法として週休3日制の導入は理に適っているといえます。1日休養日が増えるだけで、体力的にも気力的にも余裕が生まれやすく、結果、仕事にも良い影響を与えてくれるのです。いうまでもなく、休みをしっかりとることで疲れは蓄積しにくくなります。この点は、少なくとも働く側にとって大きなメリットです。 

週休3日制のデメリット

週休3日制のデメリット

前述したメリットがある一方で、週休3日制に対しては懸念事項もいくつか考えられます。導入するか否かを判断するうえで、デメリットの把握は必須です。以下、取り上げます。 

勤怠管理や給与体系が複雑化する 

週休2日から3日へと変更することで、社内の管理レベルはガラリと変わります。従業員一人ひとりがどのように休みを取っていくかをきちんと把握するうえで、勤怠管理や給与体系が複雑化していくことは避けられません。既存のこれらを見直し、新たなフローや仕組み化へと落とし込んでいく手間は思いのほか煩わしいものでしょう。場合によってはそのために長時間残業や休日出勤を行わなければならない組織もあるかもしれません。いずれにしても、管理体制が変わらざるを得ない点はデメリットだといえます。

時間が足りない!人が足りない!

先述したとおり、給与維持型や給与減額型を採用した場合、1日の勤務時間は変わりません。そうなると、仕事の総量は基本同じであるため、処理スピードを上げる努力が必要です。企業側も手腕が試されます。いかにして労働生産性を高めていくか。工夫を凝らさなければ、ただただ負担が大きくなる一方でしょう。業種や業態によっては総労働時間数の減少をカバーしきれず、新たな人員の確保を余儀なくされます。 

週休3日制のメリットとして確かに集中力や生産性の向上は考えられますが、休みが増えれば当然、こなすべきすべての業務を捌ききれないリスクも付きまといます。つまるところ、導入には、メリデメ両方の整理がどうしたって重要です。 

週休3日制の導入状況と企業事例を紹介

週休3日制の導入をめぐる状況や事例

ここまでメリット、デメリットも把握し、週休3日制について理解が深まってきたことかと存じます。それでは、実際の導入状況を確認してみましょう。以下、企業事例とあわせてご紹介します。 

週休3日制の導入状況 

導入状況および今後の意向

グラフは令和2年度の中小企業労働条件等実態調査「働き方改革に関する実態調査」による調査結果です。 

“週休3日制”以外にもさまざまな働き方がありますが、やはり、ほかに比べると全くといっていいほど導入は進んでいません。 

「導入済み」が少ないだけではなく「導入する考えはない」が60.5%を占めることからもわかるように、検討している企業すら少ない現状です。 

深刻な人手不足と仕事量の面から導入を難しいと考える企業が多いことは、数々の調査が物語っています。また、業界全体が一律で導入しない限り、自社だけで判断するのはどうにもハードルが高いようです。 

他方、導入が進まない背景には個人の意識改革が求められる側面もあります。“短時間の勤務でも成果や職務能力次第で従来以上の報酬が得られる”といった認識が根底になければ、週休3日制を浸透させることはなかなか困難でしょう。したがって、企業側が勤務時間偏重の人事・報酬制度を見直しつつ、個人側の意識にも変化をもたらせるような体制づくりが必要だといえます。 

週休3日制を導入している企業事例 

週休3日制を実際に導入している企業の事例を知ることで、自社で検討するポイントも広がるはずです。以下、ご参照ください。 

日立製作所の導入事例

日立製作所では、日立本体の約1万5,000人を対象に「総労働時間維持型」を採用しています。1日3.75時間と定めた勤務時間の下限を撤廃し、従業員自身が働き方を調整できるルールのもと、週休3日制を成立させているのです。

パナソニックホールディングスの導入事例 

パナソニックホールディングスも試験的とはいえ週休3日制を導入しています(本格導入は2023年2月の見込み)。休みを増やした分、出勤日にはこれまでよりも長く働き、総労働時間を維持する形です。そもそも目的は、従業員が休日を副業や自己学習、ボランティア活動にあてることを後押しするためだといいます。また、今後はなんと週休4日制も視野に入れているようです。 

週休3日制導入はメリデメ踏まえて慎重に判断しよう

週休3日制導入のメリットとデメリット

週休3日制を導入することは、もちろんそう容易ではありません。実際にまだ浸透しているとはいえない状況下を鑑みても、決断は慎重にならざるを得ません。だからこそ深く理解を図る必要があります。とりわけメリットとデメリットの把握は必須です。また、短期的には試験導入も有効ですが、結局は中長期的なビジョンがなければうまく機能しないものと考えます。いかに適切に判断できるか。あらためて、本記事を参考にしていただけますと幸いです。 

なお、制度を整えたあと、採用活動に注力したい企業の担当者様にはdipの求人広告の掲載や採用業務を支援するサービスの活用をおすすめします。内容ご確認後、気になった方は、ぜひ導入をご検討ください。お問い合わせは無料です。 

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