サバティカル休暇とは

サバティカル休暇とは、従業員が一定の勤続期間を経た後に与えられる長期休暇の制度です。条件や内容は企業によって異なります。勤続期間であれば5年、10年といった長期間がほとんどです。休みの長さについても一概にはいえませんが、日本企業の場合、1ヶ月程度でしょうか。いずれにせよ企業の裁量によって自由に決められるものです。
サバティカル休暇のルーツ
サバティカル休暇は元々ヨーロッパやその他の欧米諸国で広く採用されている制度です。さらに発端を辿ると、アメリカのハーバード大学で始まった研究のための有給休暇が起源とされています。日本国内での導入は比較的新しい動きです。目的もまた多様とはいえ、一般的には(従業員が職務から離れてリフレッシュする時間を提供することで)仕事へのモチベーションアップや新たなスキル・視点の獲得につなげるといった狙いがあります。
サバティカル休暇が注目される背景
昨今、働き方の多様化が推進されるなか、サバティカル休暇もまた日本国内で注目を集める制度の一つとして挙げられます。仕事第一の考え方から脱却し、従業員のプライベートを尊重することは、いまや企業に課された命題ともいえるかもしれません。いわゆるワークライフバランスを実現させようとする気運は確実に高まっています。
実際、大手を中心にサバティカル休暇を導入する企業は増えています。その背景には、世相の動きはもちろん、やはり従業員の満足度、エンゲージメント向上につながる点が大きいでしょう。結果、人材確保や定着に寄与し、その価値が浸透すれば、規模を問わず、さらに多くの企業が取り入れていくように思われます。
サバティカル休暇に似た制度
一定の勤続年数を条件に付与される休暇は、サバティカル休暇以外にも存在します。たとえば、リフレッシュ休暇や永年勤続休暇です。この3つを混同される方も少なくありません。以下、違いが分かるようにそれぞれ説明します。
サバティカル休暇は学びの時間
サバティカル休暇では、資格取得やリスキリングといった活動を奨励する傾向にあります。そのため、休暇期間は比較的長く、従業員が復帰した後にはその成果を報告する場を設けることもしばしば。つまるところ、“学ぶ時間”の意味合いが強いといえます。
リフレッシュ休暇は基本的に自由
リフレッシュ休暇は、文字どおりリフレッシュが目的です。そのため、サバティカル休暇のように新たなスキルの習得などを求めるものではありません。基本的には自由です。かつ短い勤続年数でも付与されます。一方で、休みもそこまで長くないケースがほとんどです。
永年勤続休暇は労いが目的
永年勤続休暇は、従業員が長期にわたって勤務したことへの感謝の意を示すための制度です。多くの場合、永年勤続表彰とセットで扱われます。勤続年数の条件としては、入社後10年おきに付与されるのが一般的です。休暇期間は数日から長くても数週間といったところでしょう。
サバティカル休暇で期待できるメリット

サバティカル休暇は、有意義な時間が得られる従業員だけでなく、企業としてもいくつかのメリットが期待できます。ワークライフバランスを実現できれば、企業のイメージ良化、そこから欲しい人材の応募につながり、採用後の定着率も高水準をキープしていくといった好循環を構築できるかもしれません。以下、くわしく説明します。
ワークライフバランスの実現
サバティカル休暇には、第一に従業員のワークライフバランスを大切にするという価値観が根付いています。プライベートの充実に加え、自己啓発や資格取得などフレキシブルに使えるため、実に貴重な時間です。
企業からすると、復帰後を見据え、従業員のモチベーションの高まりや、新たな視点・アイデアの創出につなげていく狙いもあります。
企業イメージの向上
サバティカル休暇の導入によって、外部に対しては、従業員の健康や個人的な成長を重視する組織だと印象付けることができます。前述したワークライフバランスの実現が今後ますます重視されていくことを踏まえると、こうした柔軟な働き方に積極的な企業は、進歩的と認識されるなどポジティブなイメージを持ってもらえるはずです。結果、顧客やビジネスパートナーから厚く信頼され、組織のブランド価値を高めることにもつながります。
欲しい人材の獲得
自身のキャリアやライフスタイルに合わせて休暇を取得できることは、多くの求職者にとって魅力的に映るはずです。とりわけ働き方に対する新しい価値観を持つ方々からすると、サバティカル休暇はもってこいの制度といえるでしょう。優秀あるいは長期的に働いてくれる人材を獲得するうえで、このような最前線の取り組みを実施している企業という触れ込みは、大なり小なりインパクトを与えやすいと考えます。

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サバティカル休暇で不安なデメリット

サバティカル休暇を導入するにあたっては、デメリットの側面にも目を向けるようにしましょう。具体的には、次のとおりです。
- 業務体系の混乱
- 復帰後のトラブル
- 離職のリスク
これらは、休暇制度の管理や従業員の復帰プロセスにおける仕組みづくりがままならない場合に生じやすい問題です。以下、それぞれ詳述します。
業務体系の混乱
サバティカル休暇を取得する従業員が出ると、業務の引き継ぎがうまくいかず混乱を招くことがあります。専門知識やスキルが必要な場合は、特に顕著です。とはいえ、代わりのきかないスタッフでも、当然、条件に当てはまればこの休暇制度を取る権利はあります。だからこそ、(長期的に)誰が抜けても対応できるような明確な計画やガイドラインの設定が必要です。適切な準備とサポート体制を整え、ごたごたする事態を最小限に抑えましょう。
復帰後のトラブル
サバティカル休暇を取り終えた従業員が、現行の業務フローやプロジェクトの進行状況に戸惑い、苦労されるケースは少なくありません。特にシステムやチーム編成などが休暇中に変更されていると、社員間の衝突・トラブルに発展する恐れも十分に考えられます。復帰された従業員に対してはなるべく密なコミュニケーションとサポートが必要でしょう。
離職のリスク
従業員がサバティカル休暇を通じて、公私ともにこれまでの生活、仕事の仕方を見直したとき、一つの選択肢として“離職すること”が浮上してくる可能性があります。自組織のメンバーが将来に向けてキャリアパスを再評価することは決してネガティブでないとはいえ、せっかく心身がリフレッシュされ一皮むけた従業員を、いとも簡単に手放すのはやはり避けたいところです。では、どのようにしてこうしたリスクに向き合えばよいのでしょうか。大切なのはやはり、密なコミュニケーションだと思います。加えて、復帰を支援するプログラムなども適宜、用意してあげられるとよいでしょう。
サバティカル休暇を導入する際の注意点

サバティカル休暇導入の成否は、ざっくりいうと綿密な計画、きめ細やかな配慮、徹底した準備がカギを握ります。具体的には、休暇中の給与の扱いや休暇取得を促進するための環境整備、および企業文化内における理解の浸透が必要です。裏を返せば、これらを意識せずに取り入れてしまうと、前項で挙げたようなトラブルやリスクが生じやすくなるともいえます。そうならないためにも、下記で詳述する注意点をしっかり念頭におくようにしましょう。
休暇中の給与に関するルールの明確化
休暇期間中の給与支払いに関するポリシーが不明瞭であると、従業員に不安や混乱を引き起こし、制度自体の受け入れが妨げられる可能性があります。そのため、企業は、休暇中の給与支払いが全額、部分的、または無給であるかを事前に明確に定義し、その情報を従業員にきちんと伝えなければなりません。
なお、給与支払いのルールを設定する際には、休暇の目的や期間、企業の財務状況、および業界の標準まで加味することが大事です。たとえば、自己啓発やスキルアップを目的とする休暇に対しては、企業が一定の支援を行うことが望ましい場合もあります。一方で、長期休暇を無給とする場合でも、従業員が社会保険や福利厚生の面で不利にならないように配慮することが必要です。 あわせて、休暇申請の手続き、必要な書類、承認基準など、サバティカル休暇を取得するうえでの全体的なプロセスまで、従業員にはわかりやすく説明するようにしましょう。
休暇取得しやすい環境の整備
サバティカル休暇取得のハードルが高いと、制度が形骸化し、従業員の会社への満足度やロイヤルティはむしろ下がってしまう恐れがあります。休暇を取ることで作業進捗が滞ったり、周りに迷惑を掛けたりと、仕事に悪い影響を与えてしまうのはやはり考えものです。それゆえ、従業員が安心して業務を離れられるように、明確かつ効率的な業務の引き継ぎプロセスを確立しなければなりません。具体的には、休暇前の準備期間を設け、業務内容や進行状況を文書化したうえで、引き継ぎの担当者へしっかりバトンを渡せる仕組みづくりが求められます。
休暇取得に対する理解の浸透
企業がサバティカル休暇を効果的に活用するには、従業員一人ひとりの理解が不可欠です。制度の目的、メリット、適用条件といった情報をくまなく提供することはもちろん、必要に応じて認知を広げるべく講義の時間を設けてもよいでしょう。その際、休暇を取得した従業員の体験談や成功事例の共有も有効です。インパクトが大きければそれだけポジティブなイメージを与えることができます。一方で、サバティカル休暇を導入したものの特に社内で周知しなければ、名ばかりの制度に堕し、期待していた恩恵を賜ることは難しいでしょう。
サバティカル休暇を戦略的に活用しよう!

サバティカル休暇は、ワークライフバランスの実現による従業員のモチベーション向上や組織内のイノベーション促進、ひいては企業のパブリックイメージの良化、求人・採用における優位性などよい影響をもたらす期待が持てる制度です。一方で、業務体系の混乱、従業員が復帰した後のトラブル、離職のリスクといったデメリットも念頭におく必要があります。そのうえで欠かせないのは、休暇制度の詳細を徹底的に計画し、従業員へのサポート体制を整え、組織内でのコミュニケーションを活発化させることです。加えて、休暇中の給与ルールの明確化や休暇取得のしやすさ、休暇制度に対する組織全体の理解なども意識的に注力していかなければなりません。
サバティカル休暇は従業員個人に留まらず、組織全体の成長やリフレッシュに寄与するものです。いわば戦略的な投資と捉えることができます。もちろん、潜在的なデメリットに目を向けることも大切です。ケースバイケースでしっかり対策を講じ、バランスよくアプローチできれば、企業文化の革新と従業員のポテンシャル最大化につなげられます。
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