個人SNS利用の“便利さ”と“見えない不安”

――店舗や事業の特徴、また特に力を入れている取り組みについて教えてください。
弊社はフランチャイズ込みで100店舗以上を展開しており、従業員は正社員で110人程度、アルバイトが3000人ほど在籍しています。1番多いところだと1店舗につき、およそ50人のアルバイトを雇っています。最低時給がどんどん上がる一方で、年間収入の上限は変わっておらず労働時間が制限されてしまうので、限界まで採用しなければお店が回らないという現状です。
――バイトルトークを導入する前、店長とアルバイト間でのコミュニケーションはどのように行われていましたか?
バイトルトーク導入前は、主に個人アカウントのSNSを使用していました。当時の私は「悪さをする人なんてそうそういないだろう」「もし何かあっても自分が守るから大丈夫」という感覚で、個人SNSを使うことにあまり疑問を持っていなかったんです。
ですが、初めて会った店長やエリアマネージャーは、アルバイトから見れば“得体の知れない大人”でもありますよね。そうした相手に個人のアカウントを教えることに抵抗を感じている人も多く、知らず知らずのうちに連絡を取るハードルを上げてしまっていたのかもしれない、と今は感じています。 シフトについては、私が店長だった当時のルールでは「月2回の紙提出」が基本でした。やむを得ず変更がある場合にのみ、SNSグループでやりとりをするという形式でした。
急なキャンセルが入っても、グループで即座に「誰か入れませんか?」「私入れます!」といったやりとりができるのは非常に便利でしたが、コンプライアンス面を考えると、どうしても“目をつむって使っている”状態でした。
また、店長がSNSグループに入ると、アルバイトが本音を言いづらくなる場面も出てきます。そこで私はグループには入らず、マネージャーから「こういうことを言っている子がいました」と報告を受けたら、あくまで“知らないふり”をしながら気にかける、といった運用をしていました。
今振り返ると、現場を回すために無理をしていた部分が多かったと思います。
「個人アカウントは教えたくない」。データが後押しした、アルバイトの“本音”への気づき

――バイトルトークを知ったきっかけと、導入の決め手となったポイントを教えてください。
長年お付き合いのあるdipさん、そしてバイトルを通じたご縁の中で、バイトルトークをご紹介いただいたのがきっかけです。資料を拝見した際に、初めて「SNSの個人アカウントを教えたくない」という声が一定数存在する、というデータを目にしました。
それまで、自分の中では“なんとなく当たり前”になっていたため、その事実に気付かされ、ハッとさせられました。
実際に店舗のアルバイトにもヒアリングしてみたところ、まさに資料の通りでした。
「抵抗はあるけれど、バイト自体はやりたいからグループには入っている」
「本当は教えたくないので、『SNSは使っていません』と嘘をつくこともある」
など、率直な声が多く上がってきました。
また、エリアマネージャーからも「個人アカウントのSNSの利用に抵抗を持つ人は少なくない」という話を聞いていたこともあり、個人SNSに依存しない連絡方法の必要性を改めて実感しました。こうした背景から、1人でも私用SNSを利用したくない方がいるのならバイトルトークを導入するべきであろうと考え、本格導入を決断しました。
――バイトルトークを導入する際に、難しかったことや不安に感じたことはありましたか?
正直なところ、最初は手探り状態で、まだ何も形になっていないところからのスタートでしたので、「本当にうまく運用できるだろうか」という不安はありました。
一方で、こちらから「こういう機能をつけてほしい」と要望を出すと、「分かりました!」とすぐに対応していただけたのがとても印象的でした。
アプリのUIの細かい使い勝手や、本部からアルバイトに向けた掲示板機能の仕様に至るまで、本当に数え切れないほどのやりとりを重ねました。
たとえば、「動画を載せたい」という現場の声があった際にも、実際に動画を投稿できる機能として反映していただきました。写真よりも動画のほうが店舗の雰囲気や温度感が伝わりやすいため、店長がキャンペーン開始時の様子を他店舗に共有するといったシーンで、非常に便利に活用されています。
要望をきちんと受け止め、スピード感を持って改善していただけたことで、「これは一緒に育てていけるツールだ」と感じられたことが、導入時の安心材料になりました。
「バイトルトーク」が徐々に浸透。店長同士のつながりや新人教育にも好影響

――導入後に気づいた意外なメリットや、想定以上の活用方法があれば教えてください。
エリアマネージャーを中心に、店長も含めたグループをバイトルトーク上で作成しているので、エリア内の店長同士のやりとりがスムーズになりました。
店長同士は、仲が良く頻繁に連絡を取り合う関係もあれば、一度も話したことがなく距離を感じている関係もあります。そうした場合でも、個人間のやりとりではなく、バイトルトークという“仕事用の場”を通じて気軽にコミュニケーションが取れる点は大きなメリットだと感じています。
また、新しくアルバイトが入った際の情報共有にも変化がありました。SNSグループの場合、新しく参加した人はそれ以前の履歴を遡ることができません。一方、バイトルトークは過去の履歴を1年分は遡れるため、「必要な情報を自分で確認しやすい」という声がアルバイトからも上がっています。
アルバイト視点では、お店の雰囲気やコミュニケーションのトーンが掴みやすくなりますし、雇う側としても伝え忘れが防げるので、一石二鳥です。
現在、本社から各店舗へのお知らせの一部はSlackで行っていますが、Slackは登録から運用開始までの手順がやや複雑で、招待リンクや送付ファイルの有効期限が数ヶ月で切れてしまうという不便さもあります。そういった点を考えると、今後バイトルトークに情報発信を集約できれば、さらにスムーズな運用が期待できると感じています。
――店舗や従業員、アルバイトからの具体的な声や感想があれば教えてください。
店長たちからよく聞くのは、「エリアマネージャーからの連絡が、時と場合によっては重く感じてしまうことがある」という本音です。
バイトルトークであれば、個人用のSNSとは完全に分かれているので、「オフの日は仕事用アプリを開かない」という選択ができます。オンとオフを分けられることが、結果的に負担軽減につながっているようです。
以前は店長会議の場でも「SNSで○○を共有して…」といった会話がよく聞こえていましたが、今はそれがほとんどなくなり、「バイトルトークで…」という言葉が自然と出てくるようになりました。
また、店長たちと休憩中にすれ違うと、意外とバイトルトークの画面が開かれていることも多く、日常的に使われているのを実感しています。
アルバイトの子たちからも「バイトルトークがあって良かった」という声がたくさん上がっていると店長経由で聞いたときは、導入して本当に良かったと感じました。心理的な安心感の土台づくりに寄与していると捉えています。
――バイトルトークの中で、特に活用している機能や便利だと感じている機能は何ですか?
シフト提出機能は、現場からもかなり好評です。
シフト管理については、もともとGoogleフォームを使用して組んでもらっていたのですが、バイトルトークの導入により、さらに気軽に提出できるようになったという声が上がっています。
これまでは、定型の形式もなく、アルバイトそれぞれがバラバラのフォーマットで送ってきた情報を店長が紙に書き写し、その内容をフォームに入力し直すという、非常に手間のかかる集計作業がありました。
バイトルトーク上でシフト提出が完結するようになったことで、こうした“見えない事務作業”がほぼ不要になりました。
人手不足の中で業務は年々複雑化しているので、少しでも現場の負担を軽減してあげたいという思いがあります。シフト提出機能は、その思いを形にしてくれる大きな要素のひとつだと感じています。
バイトルトークで連絡手段を一本化し、従業員の負担軽減と“健全な情報の流れ”をつくりたい

――今後、店舗運営や従業員とのコミュニケーションに関して目指していることや、バイトルトークをどのように活用していきたいかを教えてください。
会社の端末を所持していない店長は、いまも個人アカウントのSNSを使って仕事の連絡をしているケースがあります。一方で、エリアマネージャーには会社支給の端末がありますから、店長からすると「会社端末の相手に、自分の個人アカウントを教える」という構図になり、心理的な抵抗を感じる人もいると思います。
私自身も店長たちの個人SNSを聞く際には、「自分も個人アカウントを教えるからね」と気をつかいながら伝えるようにしていますが、個人の端末を使用していると、勤務時間内であってもタイミングによっては連絡に気づけないことがあります。
そういった部分も含めて、今後はバイトルトーク内に社員全員が所属するグループをつくり、連絡手段の一本化を進めていきたいと考えています。
緊急連絡や有事の際の安否確認も、社員同士バイトルトーク上で完結できるようになれば、情報伝達のスピードも精度も高まります。なるべく早く、そうした運用体制を整えていきたいですね。
――バイトルトークに期待する新機能や、今後改善してほしい点があれば教えてください。
現在、営業の方にも相談しているところですが、本部からのお知らせ機能が実装されると、バイトルトークを“必ず見る”という状況をつくりやすくなり、現場への浸透も一段と進むと考えています。
たとえば、検便の提出など衛生管理に関わる重要な連絡は、現状では本部から店長へ、店長からアルバイトへと伝言ゲームのように流れていきます。これを、本部から全体に直接アナウンスできるようになれば、店長の負担はかなり減りますし、伝達漏れのリスクも抑えられます。
とにかくバイトルトークを日常的に使ってもらうには、「ユーザーがどう感じるか」が一番大切だと営業さんとも話しています。現状、やはり連絡手段としては個人SNSが非常に強いので、そこから乗り換えてもらうには、同等とはいかなくても“最低限これだけは欲しい”という機能が揃っていることが重要だと思っています。
取材協力:ファーストキッチン株式会社
1977年創業のファストフードチェーン企業。現在はアメリカのハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」と統合し、「ウェンディーズ・ファーストキッチン」として関東を中心に店舗を展開。ハンバーガーを中心に多様なメニューを提供している。








