業務の棚卸しとは?
業務の棚卸しとは、タスク一つひとつを洗い出し、それぞれの内容や対応の流れ、担当者等々を整理・可視化する取り組みです。与えられたミッションを細分化する作業のようで実は、全体を解像度高く把握することにもつながります。冒頭でもお伝えしたように、気付けば多くの企業で浸透している印象です。では、なぜ注目されているのか。そもそも目的はどこにあるのか。本章ではまず、そうした前提部分にフォーカスします。
注目される背景
業務の棚卸しが注目される背景の一つには、人手不足の深刻化が挙げられます。人材不足で各人の業務量がアンバランスになった結果、属人化による弊害や非効率な組織体制が生まれるケースは決して少なくありません。かといって、DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改善ツールをいたずらに導入しても、費用対効果の観点では思うような成果につながりにくいのが現実です。
こうした状況に陥らないよう、あるいは打破すべく、業務をいったん整理することの重要性が再確認されたように思います。そう、つまり業務の棚卸しに目がいくようになったわけです。そのほか、テレワークやハイブリッド勤務の普及による影響も無視できないでしょう。対面でのフォローが難しければ、業務内容や役割分担の可視化、標準化は必須です。業務の棚卸しが欠かせなくなるのは、容易にうなずけます。
主な目的
業務の棚卸しの主な目的は、組織や個人のリソースを本当に必要な業務に集中させることです。これは、「やるべきこと」と「やめるべきこと」を明確にするだけでなく、「どの業務に注力すべきか」「どのような体制が望ましいか」といった方針を浮き彫りにすることも含まれます。感覚や慣習だけではなく、根拠を持って意思決定するためにも、業務の棚卸しが役立つわけです。 そのうえで従業員と紐づけられれば、(各人のケイパビリティをどの業務で生かすかなど)適材適所の人員配置、ひいては育成をも視野に入れることができます。そうやって、成果の最大化はもとより、個人のスキルアップを図っていくことは、おのずと組織全体の成長にもつながっていくはずです。
実際に期待できる業務の棚卸しがもたらすメリット
前述した目的を遂げるための手段として、業務の棚卸しは有効です。そしてそのゴールは、実際に期待できるメリットと地続きにあるといえます。無駄な作業の削減、役割分担の適正化、属人化の解消、仕事の成果や負荷の見える化など、これらはまさに業務の棚卸しによって見込めるメリットです。以下、それぞれについて解説します。
無駄な作業の削減
無意味、はたまた無駄な仕事は、業務の棚卸しによって可視化できます。たとえば、目的が形骸化した定例資料の作成などもそう。本来は意思決定を支援するためのものが、なんとなく形だけ続いることはしばしば見受けられます。それを不要だと判断できるのはもちろん、そうした無駄に目を向けられること自体、メリットなのかもしれません。そのほか、複数の部門で同じ内容のデータを集計していたなんてことも棚卸しによって発覚するケースは往々にしてあります。そうやって無駄を見つける行為こそが、まさに価値あるものといえるでしょう。
役割分担の適正化
業務の棚卸しによって、特定の従業員への偏りや複数人が同じ作業をしているといった重複に気付けます。そうした実態を把握することで、業務の割り振りを見直す判断もできるはずです。そうやって役割分担の適正化が図れれば、業務効率はもちろん、チーム全体の士気にも良い影響を生むことでしょう。
属人化の解消
属人化した業務は、引き継ぎを困難にし、組織を混乱させるリスクが伴います。これを回避するには、内容、手順、ノウハウ等々、文書化してマニュアルに落とし込むことが必要です。そしてその前提として、業務の棚卸しによる(属人化した業務の)洗い出しは欠かせません。つまり、業務の棚卸しが属人化の解消につながるわけです。
仕事の成果や負荷の見える化
業務の棚卸しは、業務だけでなく従業員の頑張りも明確化してくれます。業務一つひとつに焦点を当てることで、これまで見えてこなかったその仕事の大変さ、難易度の高さに気付けるかもしれません。結果、納得感のある人事評価や、バランスの取れた業務調整を行える期待が持てます。
業務の棚卸を実施する流れ

いざ、業務の棚卸しを実施するにも手順を心得ていなければ、いたずらに着手し進めることにもなりかねません。そうならないよう本章では、具体的な流れについて説明します。
目標の設定
まずは目的を明確にしましょう。これが曖昧だと何を成果と見なせばよいか後で困ります。情報の粒度を揃える意味でも必要でしょう。属人化を解消して対応できる人を増やしたいのか、無駄や重複業務を洗い出して効率化を図りたいのか、はたまたDXやIT導入に向けて業務構造を把握したいのか。こうした目的をはっきりさせることで、対象部門や期間なども絞り込みやすくなるはずです。
業務の洗い出し
続いて、業務の洗い出しです。突発的な対応も含めて、なるべく掘り下げましょう。各担当者にはシートを用意し、日報・週報・工数記録をあらためてお願いするなど、対応しやすいフローの構築や、責任者を設けスムーズに統率できる仕組みづくりが肝要です。
業務の分類
洗い出した業務は分類すると整理が捗ります。たとえば、次のような切り口で分類が可能です。
業務の特性で分類 | コア業務、サポート業務、管理業務など |
業務の重要度で分類 | 高・中・低など |
業務を行う担当部署で分類 | 自部署のみ、他部門と連携など |
業務が抱える問題で分類 | 手作業が多い、標準化されていないなど |
各業務に対する工数の集計
業務を分類したなら次は、どれだけの時間や手間がかかっているのかを数字で把握しましょう。工数を可視化することで、見直しを図る業務の優先順位が付けやすくなるはずです。作業時間に限らず、実施頻度、関わる人数や役職、繁閑期それぞれの傾向……等々、なるべく細かく抽出できると望ましいと考えます。
検証・改善
一とおり情報が揃えば、いよいよ検証・改善です。業務の問題点をあぶり出し、以後どう扱っていくかを考えます。統合するのか、削減するのか、委託するのか、自動化するのか……等々がポイントになるでしょう。もちろん、効率化、最適化を図る視点も忘れてはなりません。
現場とすり合わせたうえで、実施後の効果も再度検証しましょう。必要に応じて棚卸しを繰り返すことで、継続的な改善サイクルが生まれます。
業務の棚卸しを有意義なものにするには?
業務の棚卸しで得られた情報を活用し、組織の改善に役立てるためには、継続性・実用性・再現性の観点から、取り組み方を工夫することが大切です。ここでは、棚卸しを有意義な取り組みにするためのポイントを紹介します。
マニュアルの作成や整備もセットで行う
業務の棚卸しを通じて属人化していた業務の流れやノウハウがわかれば、それを共有しやすいフォーマットにまとめることが大事です。これによって、いわゆるマニュアルができあがります。これは、新人教育や引き継ぎ時にも役立てられるでしょう。マニュアルを作成する際は、文章だけでなく、図解やフローチャート、できれば動画も取り入れると、より解像度が高まるはずです。
定期的に実施する
業務の棚卸しは一度きりで終わらせず、定期的に実施しましょう。業務内容や体制は、組織の変化、時代の流れに伴い、どうしても調整が欠かせません。組織改編や人事異動、新しいシステム・ツールの導入、年度替わり……等々、見直すタイミングは思いのほか多くあるのも確かです。つまるところ、業務の棚卸しは習慣化することが求められます。これによって、融通が利く柔軟な組織が作り上げられるはずです。
フレームワークを活用する
業務の棚卸しに現状分析は欠かせません。その際、便利なのがフレームワークの活用です。具体的には次の3つが挙げられます。
ECRS | 業務を減らす・まとめる・入れ替える・簡素化する視点で見直す手法 |
バリューチェーン分析 | どの業務が価値を生み出しているかを明確にする方法 |
BPMN | 業務の流れを図式化し、課題を視覚的に把握できる手法 |
以下、それぞれについて具体的に補足します。
ECRS
ECRSは、業務全体にざっくり当てはめるのではなく、具体的な作業レベルに細かく分解してから使うのが効果的です。たとえば経費精算の業務であれば、「申請書を書く」「上司に提出する」「経理に渡す」「システムに入力する」「振込処理をする」といった一連の流れを取り出し、それぞれに対して問いを投げかけていきます。この申請書そのものは本当に必要か(排除)、紙とシステムの両方を使っていないか(統合)、承認は後回しでも成立しないか(順序変更)、金額によっては自動化できないか(簡素化)といった具合に、一つひとつの作業に対してE・C・R・Sの視点で見直すことで、漠然とした「非効率」ではなく、具体的な改善ポイントを洗い出すことができます。要は、業務そのものではなく、目の前の動作にツッコミを入れる道具としてECRSを活用するのが実践的な使い方です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、業務を単に工程で並べるのではなく、それぞれの活動が「顧客にとっての価値につながっているか」という視点で見直すために使います。たとえば、営業、マーケティング、製造、納品、アフターサポートといった流れがある場合、それぞれがどれだけ収益に寄与しているか、他社との差別化につながっているかを評価していくわけです。これによって、リソースをかけている割に顧客の関心が低い活動や、逆に軽視していた工程が実は顧客満足に直結していた、といったズレが見えてきます。重要なのは、コストや手間の大小ではなく「どれだけ価値を生んでいるか」で判断することです。全体を並べたうえで、価値を生む領域には投資し、そうでない部分は効率化や外部委託を検討する、そうした意思決定の判断材料として使うのがバリューチェーン分析の本質的な活用法です。
BPMN
BPMNは、業務プロセスを誰が見ても理解できる形に視覚化するための手段です。現場の業務を詳細に拾えても、文章だけでは全体像が把握しづらく、担当者ごとに認識がズレることはよくあります。そこで、たとえば「営業が受注」「業務が処理」「経理が請求」といった流れを、図として一つの画面に並べるわけです。そうすると、どこで滞留しているのか、誰の作業で手戻りが起きているのかが見えるようになります。特に、部門をまたぐ業務や、人によってやり方が異なる作業を共有・整理する際に有効です。「なんとなくの流れ」を「具体的な手順と責任」に落とし込める意味でも、BPMNは、実践的なフレームワークです。改善策を話し合う前段階に、いわば関係者全員で現状の理解を合わせるための共通言語として機能します。
必要に応じて人材採用にも注力する
業務の棚卸しを進めていくと、「業務量に対して人手が足りない」「必要なスキルをもつ人材がいない」といった問題も見つかるはずです。仮にある業務が特定の人に偏っていた場合、担当者を増やす必要があります。また、IT化が進んでいない領域では、デジタルスキルをもつ人材を確保しなければ、なかなかスムーズには進まないでしょう。「今いる人材でどう回すか」だけではなく「どのような人材が必要か」を考えるための土台づくりに、ぜひ、業務の棚卸しを役立ててみてください。
業務の棚卸しが組織の活性化につながる!
業務の棚卸しは、単なる整理整頓ではなく、今後の組織運営や人材戦略を考えるためのいわば出発点です。全体の業務量や内容を可視化することで、改善すべき業務や、足りていないスキル要件を満たす人材が明確になります。人材育成や再配置、新たな採用で活性化される組織の源には、漠然とした感覚だけでなく、れっきとした現状の精査が欠かせないのです。
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