社名変更とは?

社名変更とは、文字どおり、企業が現在使用している会社名(商号)を、別の名称に変更することを指します。ブランディングの刷新、事業内容の変化、グループ再編、あるいは経営体制の転換など、背景はさまざまです。登記上の手続きが必要であり、社外への影響も大きいため、計画的かつ慎重に進める必要があります。
社名変更の手続き
社名変更には、法務局や税務署など複数の行政機関への届出に加え、金融機関や取引先など多方面への連絡も必要です。以下、主要な手続きについて取り上げます。
定款変更の決議
会社の商号は定款の絶対的記載事項です。そのため、株主総会において定款変更の特別決議を行わなければなりません。その場には、議決権の過半数を有する株主が出席します。そのうえで、議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
参照:会社法第309条
登記変更の申請
株主総会での決議後、法務局に対し商号変更の登記申請を行います。必要な書類は以下のとおりです。
- 株式会社変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 委任状(代理人に依頼する場合)
なお、法務局のWebサイトでもくわしく案内されています。主な商業・法人登記の申請書様式についてはこちらです。
参照:商業・法人登記の申請書様式:法務局
異動届出書の提出
社名変更を行った場合、法人に関する情報変更を各税務当局に通知するため、税務署、都道府県税事務所、市町村に対し異動届出書を提出する必要があります。
具体的には下表のとおりです。
提出先 | 税務署 | 都道府県税事務所・市町村 |
必要書類 | 異動事項に関する届出 | 法人異動届 |
内容・参考資料 | 商号または名称の変更があった場合に提出 | (東京都主税局など)各自治体のWebサイトでも提供されています |
労働保険名称、所在地等変更届の提出
労働保険(労災保険・雇用保険)に加入している事業所は、労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出する必要があります。事業主の氏名・名称、住所、事業の種類、事業場所などの変更時に欠かせない手続きです。
参照:労働保険名称、所在地変更 – 手続情報表示|e-Gov電子申請
健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届の提出
「健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」は、会社の名称や所在地に変更があった際、日本年金機構に提出する必要がある届出書類です。社名変更を行った場合も、この届出を通じて正式に保険関係の事業所情報を訂正することが求められます。なお、変更があった日から5日以内に提出しなければなりません。
参照:適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き – 日本年金機構
雇用保険事業主事業所各種変更届の提出
雇用保険に関する事業所の名称や所在地が変更になった場合は、ハローワークに「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。原則として変更のあった日から10日以内が提出期限です。届出内容は雇用保険の適用事業所台帳に反映されます。
参照:事業主事業所各種変更届 – ハローワークインターネットサービス
そのほか社名変更に伴う主な手続き
社名変更に伴う実務的な手続きは行政機関への届出以外にも多岐に渡ります。具体的には下表のとおりです。
分野対象 | 項目手続き | 内容 |
---|---|---|
金融機関・保険・カード | 法人口座、法人クレジットカード、各種保険 | 各金融機関やカード会社、保険会社に連絡し名義変更手続きを行う |
不動産・許認可 | オフィス賃貸契約、建設業許可、宅建業免許等 | 不動産会社への連絡、発行行政機関への届出が必要 |
車両 | 社用車 | 管轄の運輸支局で車検証の名義変更手続き。管轄変更時はナンバープレートの変更も伴う |
公共料金・通信 | 電気、ガス、水道、電話、インターネット、携帯電話 | 各供給会社や通信会社に連絡し、契約者名義を変更 |
契約書 | 取引先との契約書、各種契約書 | 名義変更を行う。効力に影響はないが、トラブル防止のため覚書を交わすことが推奨される |
表示物 | 名刺、会社ロゴ、ホームページ、伝票等 | 社名が記載されている全ての媒体を新しい社名に変更 |
取引先への通知 | 既存取引先 | 社名変更の事実を通知し、混乱を避け、今後の取引における名義変更の依頼等を行う |
そもそもなぜ社名変更を行うのか?
企業が社名変更に踏み切る動機は、いくつか考えられます。ざっと挙げると次のとおりです。
- 合併や分社化
- 事業内容との整合性
- 企業ブランドの再定義
いずれも重要な経営判断に基づくものといえます。以下、それぞれ説明します。
合併や分社化
社名変更は、合併や分社化といった企業の組織再編に伴い行われることがあります。たとえば、複数の会社が統合した場合、従来の社名をそのまま使うと旧来の枠組みを引きずる印象になりかねません。そこで、新たな一体感や方向性を打ち出すために、共通の新しい社名へと変更するわけです。他方、分社化に際しても、切り出された事業部門が独立企業となるため、それに合わせて社名が変更されるケースは少なくありません。
事業内容との整合性
社名変更は、事業内容と社名との間にギャップが生じた時にも行われます。たとえば、創業当初は特定の分野のみを扱っていた企業が、事業拡大によって異なる分野へ進出した場合などがそうです。旧社名のままでは実態を誤解させる可能性があれば、正しく伝えるために社名を変更するのも頷けます。社名は企業の看板と捉えれば、事業内容との整合性を保つことは必至。信頼獲得のうえでも多くの企業が必要だと考えていることがうかがえます。
企業ブランドの再定義
自社のイメージを刷新し、新たな企業ブランドを構築するために社名変更を行う場合があります。これは、ポジティブなケースだけではありません。ネガティブなイメージからの脱却も含まれます。過去の不祥事や業績不振など、負のイメージを払拭するのに心機一転、社名変更で再スタートに踏み切るわけです。
社名変更の注意点
社名変更は、手続きの流れをおさえるとともに、注意点も把握しておく必要があります。大きくは次の二つです。
- 期日内に対応する
- 商号調査を行う
いずれも基本的なこととはいえ、決して疎かにしてはいけないため、しっかりと念頭におくようにしましょう。
期日内に対応する
社名変更の際、期限内に各種届出や登記を行わなければ法に抵触することになりかねません。たとえば、会社法第915条では、商号変更の登記は変更から2週間以内に法務局へ申請しなければならないと規定されています。これを怠ると、100万円以下の過料に処される恐れもあるため細心の注意が必要です(会社法第976条)。また、健康保険や雇用保険などの手続きについても、変更日から原則5〜10日以内の届出が義務づけられています。守れなければ、行政指導が入るかもしれません。このように、社名変更の影響は思いのほか大きいものです。くれぐれも期限厳守で進めましょう。
商号調査を行う
新しい社名を決定する前に、必ず商号調査を行う必要があります。これは、すでに同じ、または類似の商号が登記されていないかを確認するためです。仮に類似の商号が存在する場合は、不正競争防止法への抵触や顧客の誤認など、思わぬトラブルや不利益につながることも考えられます。なお、事前の調査は、インターネット上の登記情報提供サービスを利用してもよいでしょう。
社名変更を機に見直したい人材採用の在り方
社名変更は、企業にとって大きな転換点です。このタイミングで組織風土を見直そうと考える向きも多いでしょう。同様に、採用戦略を再構築する絶好の機会ともいえます。新たな求人サービスの導入や保有する採用サイトのリニューアルもそう。これまでとは異なるアプローチで母集団形成を図ったり、応募者に伝える情報を再考したりといった採用活動そのものの刷新を視野に入れてもよいと考えます。
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社名変更のポイントまとめ
社名変更は、名称だけの話にとどまらず、企業の方向性やブランド戦略、外部との信頼関係に大きく関わってきます。定款の改正、法務局での登記、各種行政機関への届出、取引先や関係各所への通知など、手続きが多岐に渡ることも当然ながら、知っておかなければなりません。また、商号調査を通じて法的リスクや混同の可能性を回避する必要もあります。
と、それ以前になぜ社名変更に踏み切るのか。合併・分社化、事業内容との整合性、ブランド再構築など、企業によってさまざまな理由があるはずです。そして、その意図を正しく社外に伝えるためには、採用活動や広報活動の見直しも欠かせません。特に採用においては、新たな社名とともに企業としてのスタンスを再提示する絶好の契機です。いうなれば、社名変更とは、企業としての“再定義”。手続きの正確さとタイミング、そして戦略的な情報発信の両輪を意識することが、この先の事業の成否においても肝になるものと考えます。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。