日雇い派遣とは?

まずは、基本的なことから確認しましょう。日雇い派遣とはざっくりいうと短期で雇用する派遣労働です。現在、その期間を含めた労働条件や社会保険の取り扱いなどは法律上、定義されています。また、混同しやすい単発バイトとの違いも明確に認識しておきたいところです。以下、これらについて簡単に説明します。
日雇い派遣の法的定義
前述のとおり、日雇い派遣は短期の契約形態です。かつては特に規制がなくスポット的に人を雇えました。が、2012年の法改正によって状況が変わります。そう、原則禁止されるわけです。これは、労働者が安定した収入を得られるよう、とりわけ経済的に弱い立場にある労働者が日雇い派遣に依存せざるを得ない状況を防ぐことが背景にあります。一方で、専門性の高い職種や災害復旧業務など一部の業務については、例外的に日雇い派遣が認められています。そのうえで、労働条件や社会保険についてどう規定されているのか正しく理解することが必要です。
労働条件
繰り返しお伝えしますが、日雇い派遣は、「スポット派遣」や「スポット」とも呼ばれ、短期間の派遣労働として広く知られていました。しかし、2012年に施行された労働者派遣法の改正により、原則禁止に至ります。このとき、日雇い派遣とみなされることとして定義されたのが次のとおりです。
- 派遣期間が31日未満であること
- 週の労働時間が20時間未満であること
なお、一部の業務や条件を満たす労働者については日雇い派遣であっても例外的に契約が認められています。
▶関連記事:日雇い派遣は禁止!違反したら罰則は?例外は?安心の代替策も併せて解説
社会保険の取り扱い
日雇い労働で被保険者になるのは次の条件のいずれかに該当する方です。
- 適用区域内に居住し、適用事業に雇用される者
- 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
- 上記以外の者であってハローワーク(公共職業安定所長)の認可を受けた者
なお、「同一事業主のもとで31日以上継続して働く」または「2ヶ月以上続けて18日以上働く」という条件を満たした場合は、一般被保険者または短期雇用特例被保険者として取り扱われます。
事業主が日雇い労働の被保険者を雇い入れる場合は、事前に雇用保険印紙の購入が必須です。
▶参考:日雇労働被保険者の給付について
日雇い派遣と単発バイトの違い
日雇い派遣と単発バイトは、いずれも短期間の労働形態ですが、いくつか明確に違いがあります。たとえば雇用主。前者は、派遣会社が雇用し、給与もそこから支払われます。他方、後者は直接雇用です。また、単発バイトは日雇い派遣のように一部の例外を除いて禁止されるような規定はありません。そのため1日単位で雇うことが可能です。
日雇い派遣のメリット

日雇い派遣が認められる前提で実際に利用する場合、いくつかのメリットが期待できます。主に次のとおりです。
- 短期間での人材確保
- 柔軟な採用
- 採用コストの削減
以下、それぞれ簡単に説明します。
短期間での人材確保
繁忙期や突発的なプロジェクトで迅速に労働力が必要な場合、日雇い派遣を有効に活用できれば、人材確保という課題の解決につながるでしょう。短期間だからこそ、ピンポイントに求職者のニーズ(今だけ働きたい)を手繰り寄せやすいと考えます。
柔軟な採用
タイムリーに人材確保が見込める時点で採用の幅は広がります。業務適性の高いスキルや経験のある方を選定するにも派遣ゆえに柔軟に行えるはずです。
採用コストの削減
日雇い派遣は、レギュラー募集と比べたときに採用コストの削減が期待できます。求人広告の作成や掲載費、面接など選考にかかる手間・負担を省ける分、採用以外の業務にも集中しやすくなるでしょう。
日雇い派遣のデメリット

メリットに続いてはデメリットにも触れましょう。短絡的に利用してしまっては予期せぬトラブルを招きかねません。懸念事項もしっかり把握したうえで検討することが大事です。ざっと挙げましょう。
- 人材確保が一時的
- ミスマッチが起きやすい
- コミュニケーションが取りづらい
以下、それぞれ簡単に説明します。
人材確保が一時的
日雇い派遣の主たる目的は、短期間での労働力を補うことです。そう、あくまで一時的な人材確保に過ぎません。そのため、安定した人員体制を構築するのは難しい側面があります。毎度同じ内容のレクチャーに時間を割くことも徒労に終わるわけです。中長期的な目線ではこうした課題もやはり浮き彫りになってきます。
ミスマッチが起きやすい
柔軟に人を雇える一方で、求める人物像に対する乖離が大きい方を招き入れるケースもあります。実際のところ、ミスマッチが起きやすい点も否めないわけです。スキルや経験も額面上のそれとは細かい部分でズレがあるかもしれません。これは派遣会社との情報共有を密にしない限り、どうしても起こり得るリスクです。
コミュニケーションが取りづらい
日雇い派遣ではチームワークの形成が難しく、それは短期間ゆえにコミュニケーションを円滑に図れない部分が大きいからだと考えます。特に複数のチームやプロジェクトが関与する業務では連携不足によるトラブルが起きがちです。こうした問題を解消するには、試行錯誤を重ね最適な業務マニュアルを作り上げていくことが必要でしょう。
日雇い派遣が可能な業務

日雇い派遣が可能な業務は限られます。具体的には次のとおりです。
- ソフトウェア開発
- 機械設計
- 事務用機器操作
- 通訳、翻訳、速記
- 秘書
- ファイリング
- 調査
- 財務処理
- 取引文書作成
- デモンストレーション
- 添乗
- 受付、案内
- 研究開発
- 事業の実施体制の企画、立案
- 書籍などの製作、編修
- 広告デザイン
- OAインストラクション
- セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
これら18の業務は、特定の専門性や技術が求められるため、急な欠員補充を含めた短期間での対応が必要な場合、日雇い派遣が適切と判断されます(つまり、派遣期間が31日未満でも派遣依頼が可能です)。
日雇い派遣を利用する際の注意点

日雇い派遣を利用できるからといって特に何も注意しなくて済むわけではありません。いくつか気を付けるべきことはあります。たとえば、次のとおりです。
- 契約内容の明確化
- 業務範囲の設定
- 労務管理の徹底
以下、それぞれ簡単に説明します。
契約内容の透明化
日雇い派遣に限らずいえることですが、業務、勤務時間、報酬、派遣期間といった労働条件については関係者全員がズレなく共有しておく必要があります。これが曖昧だとトラブルになりかねません。また、契約期間中に状況が変わることもあるでしょう。その際の手続きもスムーズに進められるよう契約内容の透明化は必須です。
業務範囲の設定
派遣労働者には契約内容によって決められた範囲外の業務を任せてはいけません。だからといって業務範囲をあやふやにするのも問題です。契約内容同様に関係者が明確に把握できるよう設定する必要があります(もちろん、周知も大事です)。
労務管理の徹底
日雇い派遣の利用は、報酬や労働時間、安全面、衛生面の管理といった当たり前のことが短期の契約ゆえについ疎かになりがちです。労働者が安心して働ける環境を整えることは、無論、雇用形態を問わず欠かせません。そのため、定期的なフィードバックの収集と改善策の実施も重要です。派遣会社と協力して労務管理を強化することで、派遣労働者のモチベーションアップも期待できます。ひいては、組織全体の生産性向上にもつなげられるでしょう。
日雇い派遣を巡ってトラブルが起きた際の対応

日雇い派遣の導入を検討するなら、トラブル発生も想定し、迅速に対応できるよう準備しておくことが不可欠です。ぼんやりとイメージしているだけでは、いざ問題が生じた際に混乱を招きかねません。というわけで、本章ではトラブル時の対応についてピックアップ。適切な手順が踏めるよう、下記内容をご参照ください。
速やかな事実確認
トラブルが発生した場合、最初に行うべきは事実確認です。問題の背景や詳細をきちんと把握することで、適切な解決策を講じる基盤が整います。関係者への聞き取りや現場での状況確認を通じて、客観的かつ正確な情報を収集しましょう。この初動が、その後の対応の成否を左右するといっても過言ではありません。
派遣会社への報告
トラブルの内容が整理できたなら、派遣会社に共有しましょう。これは、適切なサポートを受けるためにも欠かせないステップです。具体的かつ影響範囲をなるべく細かく伝えられると望ましいと考えます。
トラブルの記録・管理
トラブルについては発生日時、関係者、状況、対応内容などを漏れなく記録することで、今後の再発防止に活用できます。こうした細かな共有を通じて透明性を確保できれば、企業としての信頼向上も図れるはずです。
日雇い派遣の代替手段

日雇い派遣が難しい現代において、短期的な人材確保の方法を模索する企業が増えています。dipが提供する『バイトル』や『スポットバイトル』も例外ではありません。以下、それぞれのサービスについて簡単に紹介します。
短期バイトの募集なら『バイトル』
『バイトル』は、日本最大級のアルバイト・パート求人サイトです。飲食、販売、軽作業などさまざまな職種の求人が掲載されています。豊富な実績は認知度もさることながら、案件の掲載に対して融通が利く点も大きいでしょう。即日掲載も可能なため、短期や単発の求人にも使えます。 また、求職者とのミスマッチ軽減を図るため職場の雰囲気を伝えるにはもってこいの動画掲載も可能です(このオプションは無料で付けられます)。そのほか、料金プランの提案から原稿作成、掲載後のフォローまで一貫して専任の担当者が行うなど安心材料が揃っています。
一刻も早く欠員を埋めたいなら『スポットバイトル』
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日雇い派遣とどう向き合う?

日雇い派遣は、コストを抑えつつ欲しいタイミングで労働力を確保する手段として有効でした。が、現在は法的規制がかかっています。そのルールをしっかり把握したうえで、契約内容の明示や適切な労務管理も慎重に行っていくことが重要です。そうしたなか、日雇い派遣ではなく、単発バイトやスポットワーカーの募集に舵を切る企業も増えています。こうした背景も踏まえて、柔軟にサービスを使うことが、これからの時代、ますます求められていくのでしょう。日雇い派遣を重用するにも、世相はもちろん労働者一人ひとりに対して真摯に向き合うことから上手な活用の糸口が見つかるかもしれません。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。