内定辞退は、求職者の心理や行動を知ることで、事前に防げるケースもあります。本記事では、そもそもの内定の意味や法的扱い、辞退率や主な理由、防止策について解説。不安を覚える人事担当者の方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

内定辞退についてよくある理由や防止策などわかりやすく解説

  • 2023.02.20
  • 2024.07.17

内定辞退は、求職者の心理や行動を知ることで、事前に防げるケースもあります。本記事では、そもそもの内定の意味や法的扱い、辞退率や主な理由、防止策について解説。不安を覚える人事担当者の方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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内定の意味、関連書類、法的な扱い

額縁の中にはまった「内定」の文字

まずは内定に関する基本概要として、意味や通知書、承諾書、法的な扱いについて説明します。

内定とは?

内定とは、新規雇用に際して、企業が応募してきた対象者に内々で採用する旨を連絡することです。この時点で、応募者と企業は、判例上、条件付きの労働契約が成立します。

内定通知書について

その名称のとおり、応募者に内定を通知する書類が内定通知書です。企業側が採用の意向を明示するための書面上の証ともいえます。なお、具体的な労働条件については、労働条件通知書で伝えるのが一般的です。

内定承諾書について

内定承諾書とは、企業が内定者に対し、入社の意志を確認するために送付する書類です。労働条件含む契約内容に対して、文字どおり内定者が承諾するか否かを、書類を介し判断してもらいます。

▶関連記事:内定承諾書とは?書き方や送り方、法的効力の有無など企業向けに解説!

内定の法的位置づけ

時に「採用」と「内定」を混同する方も見受けられますが、法的には契約が成立していない前者と異なり、解約権留保付きの条件のもと、後者は労働契約が締結されている扱いです。一応、承諾前の段階でも判例上はこのような考えが確立されています。なお、解約権留保付きであるため、やむを得ない事情であれば企業は、内定者の入社までに、契約を解除することが可能です。 

内定辞退とは?

内定辞退をテーマにした粘土絵

さて、内定の基本を理解したところで、いよいよ内定辞退について言及しましょう。以下、定義に加え、内定取り消しとの違いを説明します。

内定辞退の定義

内定辞退とは、ずばり端的にいうと内定者の都合で内定を辞退することです。判例では、内定承諾の時点で雇用契約が成立しているとされるため、内定者側からの辞退は、一方的な契約の不履行に当たるとも考えられます。しかしながら、日本では憲法にて職業選択の自由が保障されているため、内定者が辞退する自由もあると捉えられています。民法上は、627条の「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」の規定が適用され、内定辞退申し入れから2週間が経過することで雇用は終了です。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法第627条

通常、内定や内定期間は正社員として雇用されるケースで通知・設定されます。正社員は期間の定めのない労働契約が多いため、同条文が適用されるわけです。

内定取り消しとの違い

内定辞退と混同されやすい「内定取り消し」ですが、こちらは企業側によるアクションです。

内定は解約権留保付きの労働契約という考え方に過ぎず、内定取り消しは企業側の解約権の行使であり、解雇には当たらないとみなされます。そもそも、内定は法律で厳密に規定されているものではありません。なお、最高裁判例では「客観的に合理的と認められ、社会通念のうえで相当と是認できる場合」の条件のもと、内定取り消しが受け入れられています。

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内定辞退の傾向

虫眼鏡に映し出される「状況」の文字

内定辞退率は、理屈上、求職者優位の「売り手市場」の際に高くなりがちです。もちろんそれは、複数の企業から内定を受ける方々が増えるからです。各社に対して条件や魅力で比較し、結果、内定を辞退される企業が出てきます。

コロナ禍のあおりを受けて2021年は、多くの企業が採用活動を控えたため、その分、内定辞退率も減少したわけですが、ワクチンの普及や政府の経済政策により、企業が新規雇用を再開させると、上記のような事象が生まれ、内定辞退率がにわかに上昇傾向にあるのが現状です。また、働き方改革の一環でオンラインを活用した就職活動が盛んになり、求職者が複数の企業にアプローチしやすくなったことも理由に挙げられます。

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なぜ内定辞退は起きるのか?

内定を承諾する際にも使用するチェックマーク

前述のとおり、昨今は内定辞退に拍車がかかっているともいえます。そうしたなか、いかに自社が求職者に選ばれるようにするかは、内定を承諾してもらえない企業の特徴や傾向を知ることが大事でしょう。なお、以下は内定辞退が起きる理由の一例です。より有効な情報を入手するのであれば、内定辞退された方々に直接理由を聞くことをおすすめします。

条件面でのミスマッチ

募集要項を見て興味を持ち、とりあえずエントリーする方も一定数いらっしゃいます。そのため、仮に内定まで進めたとしても、いざ、入社を決断する局面で希望条件との齟齬が発覚することも少なくありません。気軽にオンラインで就活できるからこそ、起きやすいケースです。したがって、面接時には、希望条件とマッチしているか否かをあらためて確認した方がよいでしょう。

内定承諾までの猶予期間が長すぎる

同時期に複数の会社にエントリーしている場合、内定承諾までの猶予期間が長ければ、その分、他社と接触する機会も増えます。加えて、いざ入社するかどうかの決定を迫られたとき、時間が経てば経つほど不安を覚えやすくなるものです。「本当にこの企業でいいのか?」と思い悩むこと自体は、求職者にとって大切だと考えます。が、ただただ優柔不断にさせてしまうだけであれば、なるべく無駄のないスケジュールを設定した方がベターです。あるいは、定期的に内定者とのコミュニケーションを図る機会を設けてもよいでしょう。体験入社やイベントなどを企てることで、内定者の興味をぐっと引きつけられるかもしれません。

そもそも志望度が低い

そもそも、滑り止め応募の可能性もあるなかで、内定を出しても、より志望度の高かった企業から内定を出されてしまえば、当然、辞退されてもおかしくないでしょう。それゆえ、面接時から志望度を確認しておいた方がよいわけですが、もちろんその時点で正直に伝えてもらえるとは限りません。 

したがって、結局は普段からの採用広報がカギを握ります。競争優位性を持つべく、状況に応じて、雇用条件やPR方法を見直すことも必要でしょう。

印象が変わった 

面接、あるいはイベントなどで応募者が自社に訪れた際、対応した社員やオフィスの雰囲気が悪ければ、内定を出したとしてもその印象を理由に辞退につながる可能性があります。具体的には、圧迫面接などでみられる高圧的な言動、社内の人たちが暗い、掃除が行き届いていない……等々が挙げられます。少なからずその企業に魅力を感じ、期待を持っていたことも考えられるなかで、イメージとのギャップが大きければ、残念に思う以上にショックを与えかねません。とりわけ「圧迫面接」は最たる例です。かつては企業優位の買い手市場ではよく行われた手法ですが、近年は明らかに悪手だといえます。インターネットの発展により、悪い噂は瞬く間に広まる時代です。一人の印象が不特定多数の方に届き、望んでいないレッテルを貼られてしまうこともあります。だからこそ、応募者に対していわゆるマウントを取るような真似は避けるべきでしょう。

内定辞退を防ぐための方法

積み木で表現する「STOP」の文字

前提として、内定辞退はどうしても起きてしまいます。が、かといって何も手を打たないわけにはいきません。実際に、極力防ぐことのできる方法も少なからず存在します。うまくいけば、志望度の低かった求職者の心を、一連の採用選考のなかで自社に手繰り寄せることさえ可能です。以下、具体的に紹介します。

内定後、社内見学してもらう

面接やそのほか筆記試験など選考時にのみ自社に訪れる応募者も多いと思います。あるいはオンラインでのやり取りが当たり前になるなか、一度も社内に足を運ばないまま、内定まで進むケースも今や珍しくありません。そうなると、入社への決め手が単純に募集要項に書かれた内容だけに留まります。最大限、社内の魅力を伝えるためには、やはり職場の雰囲気もわかってもらった方がよいでしょう。もちろん、社内見学のうえでミスマッチがわかれば、結局は内定辞退につながりますが、それはそれで入社後に双方辛くなることから免れられるため、有意義だといえるはずです。

面接は真摯かつ誠実に行う

面接での印象がその後の内定承諾に少なくとも影響を及ぼす可能性があることは先述のとおりです。真摯かつ誠実に対応しなければ、たちまち応募者の気持ちは離れてしまうでしょう。では、具体的にどのようなスタンスで臨むのがよいのか。たとえば、自社について紹介する際、抱えている課題まで包み隠さず伝えることが挙げられます。特に適正が顕著に分かれる業務があれば、その旨しっかり共有することが大事です。なかには言葉にしづらいこともあるでしょう。難易度の高さや人手不足による忙しさなどは、ややもすれば働く側にとってデメリットに映る情報です。が、下手に取り繕うよりは、事実に関しては率直に述べた方が、そのほかの魅力を伝える際に、信用度は上がります。昨今、俗にいう求人詐欺などの問題を見聞きすることも少なくないなかで、求職者も安易に額面どおりに話を受け入れようとはしないはずです。失敗したくないがゆえに、その辺りは非常に敏感だと認識しておけるとよいでしょう。 

また、自社の志望度や他社の選考状況など確認する際も、ぜひ入社してほしい方であれ、相手の希望を何より尊重する姿勢をみせることが大事です。一次面接からこうした配慮や、上述したように企業カルチャーを赤裸々に語ることで、応募者に自社理解を促せます。そして、仮にその後の選考に進んでくれた場合、それはとりもなおさずエンゲージメントの高まりを意味していると考えられます。要するに、あらかじめ自社の至らないところを分かってもらえたうえで入社への意思を確かめられる状況を作り出せれば、仮に内定を出した段階で疑心暗鬼にさせずに済むというわけです。

▶関連記事:面接後、応募者から選考辞退されてしまう原因や対策を解説

内定後は適切な頻度でフォローする

内定承諾あるいは入社日まで時間が空くときは、定期的にコミュニケーションを図ることが大切です。内定者の不安を解消すべく、情報提供含めて頻繁に連絡を入れてあげられるとよいでしょう。逆にいうと返信が遅いなど杜撰なフォローが目立つ場合は、内定辞退につながる可能性もあります。また、毎日のように入社意思を確認することも避けるべきフォローの仕方です。同様に、他社へ気持ちが揺れていることの相談を受けた際に、無理に引き止めようとするのもご法度だと心得てください。しつこい印象を与えると、それが内定辞退の決定打になる恐れがあります。

企業側もジャッジされている意識を持つ

求人・採用の現場では、企業が応募者を一方的に評価しているわけではありません。もちろん、逆の構図も存在します。つまり、企業もまた応募者からジャッジされているのです。少なくともこの意識を持っていなければ、企業側は足をすくわれることになるでしょう。 

たとえ、条件面で他社と遜色がないあるいは凌駕する会社であっても、面接時の対応や職場の雰囲気、内定後の接し方次第でイメージダウンから内定辞退の烙印を押されることもあり得ます。だからこそ、応募者にはきちんと挨拶をする、相談や質問には快く対応するといった当たり前のマナーを守ることが大切です。もちろん、面接官だけでなく、従業員全員が気持ちよく応募者に対応できるよう、普段から全社で教育の場を設ける必要があります。

内定辞退者に確認しておきたい質問

内定辞退者に確認しておきたい質問

本章では、今後の採用活動をより良いものにするために、内定辞退者に対していくつか聞いておくとよい質問を紹介します。企業にとって、多くのコストをかけた後の内定辞退はダメージが大きく、そのせいか辞退した彼・彼女らへの連絡はつい事務的なものになりがちです。しかし、実は一連のプロセスのなかで、ここにもまた手間をかける価値があります。内定辞退者にその決断に至った理由をヒアリングし、応募者の考えを洗い出します。基本的にメールでのやり取りになるでしょう。 洗い出した問題点は今後の採用活動に生かせる貴重なヒント、材料です。だからこそ、最後まで気を抜かずに、応募者と向き合う必要があります。 

さて、具体的には次の項目について確認するようにしてください。

連絡する際はまず、自社に対して興味を持ち、応募してくれたことに感謝しましょう。そのうえで、次回からの採用活動の参考にしたい、いただいた回答は不適切に扱わない(社外に漏洩しない)ことを前提に本題に入ります(質問します)。 

辞退理由はなるべくはっきりと、入社先は無理に聞き出さないよう注意が必要です(しつこいと、SNSなどで悪評が拡散される恐れもゼロではありません)。同じく気を付けたいのは強引に引き止めないことも挙げられます。相手が内心では辞退を迷っている場合もあるかもしれません。それでもなお、真摯かつ誠実な態度で接するよう心掛けてください。

内定辞退は採用活動の見直しを含めた対策が必要!

採用活動の見直しを示唆するイメージ

煩わしい手続き経て労力、コストをかけたにもかかわらず、入社寸前になって内定を辞退されることは決して珍しくありません。むしろ、端から想定しておくべきといってよいかもしれません。と同時に、対策を講じる必要もあります。市場調査や原因究明はもちろん、求職者に寄り添い、最後まで気を抜かずフォローすることがシンプルといえど非常に大事です。なるようになると高を括ってしまっては、他社の後塵を拝する目に遭うのは必然といえるでしょう。 

また、内定辞退の連絡を受けた後も、次の採用活動に向けて検証・改善を行わなければなりません。何が辞退につながったのか、どうすればリスクを最小限に抑えらえるのか。当事者の声や意見にしっかりと向き合うことまで忘れずに対応しましょう。 

▶関連記事:辞退の連絡があったらどうする?選考途中、内定後それぞれの対処法


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