事業継続において欠かせない投資でもある開発費ですが、だからこそ、正しい理解が必要です。とりわけ会計処理、償却方法は注意点も含めて確実におさえておきましょう。本記事では、開発費についてくわしく解説。実務に役立つポイントをわかりやすくお伝えします。ぜひ、ご参照ください。

開発費とは?会計処理、繰延資産計上後の償却方法までくわしく解説

  • 2025.07.17
  • 2025.07.17

事業継続において欠かせない投資でもある開発費ですが、だからこそ、正しい理解が必要です。とりわけ会計処理、償却方法は注意点も含めて確実におさえておきましょう。本記事では、開発費についてくわしく解説。実務に役立つポイントをわかりやすくお伝えします。ぜひ、ご参照ください。

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開発費とは?

一万円札が飛び交う様子で開発費を示唆

開発費とは、新たな製品やサービスの創出、あるいはそれを形にするための具体的な取り組みに要する支出です。人件費・材料費・設備投資・外部専門家への報酬……等々、開発に付随する多岐にわたる費目を包含します。

また、単なる期間費用ではなく、将来の成長余力や競争優位を担保する「資産計上」と位置づけられることもあります。その価値を見誤れば財務戦略全体が揺らぎかねません。したがって、自社の開発費が果たす役割を知ることは、非常に大事なのです。

主な開発費

さまざまなシチュエーションにおいて、開発費は発生します。該当する主な費用は次のとおりです。

以下、それぞれ具体的に説明します。

ソフトウェアの開発にかかる費用

ソフトウェアとはIT分野におけるシステムやアプリケーションなどを指します。開発に際しては、要件定義、設計、コーディング、テスト・リリースといった具合に各フェーズで個別のコストが発生する点にも留意しなければなりません。そのうえで、開発するソフトの種類にもよりますが、人件費、環境構築費、プロジェクト管理体制の整備費、開発サーバーやクラウド基盤の運用費、商用ミドルウェアや SaaS のライセンス料、そして設計書やユーザーガイドといったドキュメント作成費などが、代表的な費目として挙げられます。

新商品の企画・開発費用

新商品の企画・開発費用は、市場調査で消費者の声を掬い取り、その知見を設計図へ落とし込み改良を重ねるといった一連のプロセスにおける支出すべてが含まれます。具体的には、利用者アンケートやインタビューの実施費、試作品の材料費、外部デザイナー・エンジニアへの報酬などが挙げられるでしょう。これらは製品化に至るまで幾度となく発生します。

新技術・製法の研究開発費用

新技術や革新的製法の研究費用もまた開発費として数えられます。これは、企業が競争優位を保ち、将来の成長機会を掘り起こす意味はもちろん、社会に対して新しい概念を生み出すことにもつながるため、必要不可欠な先行投資と捉える企業も少なくありません。

具体的な費目としては、走査電子顕微鏡や3Dプリンタなど実験装置の購入費、クリーンルーム設備のリース料、試薬・原料・試作部材といった試験材料費、さらに他団体との共同研究契約料などが挙げられます。

特許や商標など知的財産の取得・活用にかかる費用

特許や商標といった知的財産の取得・活用費用は、他企業の模倣を防ぎ、独自技術への価値を長期にわたり保持するための「守りの投資」ともいえます。

たとえば、特許庁への出願料・登録料です。※特許については「特許法施行令」、商標については「商標法施行令」にて規定

また、明細書作成や中間応答を弁理士へ委託する場合の代理手数料や、権利を維持するための年金(維持年次登録料)、ライセンス契約を結ぶ際の交渉費用も忘れてはいけません。

そのほか、第三者による権利侵害が起きた際の法的コスト(訴訟や抑止案の策定)も念頭におく必要があります。

開発費に対する会計処理の方法

開発費の会計処理は、投資判断と企業価値の見え方に直結します。目先の利益担保と減損リスクの回避、どちらを取るかの判断は、いうなれば経営陣・株主・投資家・金融機関など関係者へのメッセージです。これをあやふやにせず、企業方針に基づき行うには、無論、会計処理の方法を正しく理解する必要があります。

上記を踏まえて、開発費に対する会計処理の方法は大きく分けて2つです。

以下、それぞれ説明します。

発生時に費用として一括計上

一括計上は、その期に発生した開発費を余さず損益計算書へ計上する手法です。処理方法は至ってシンプル。支出時に借方「研究開発費」、貸方「現金」または「未払金」と仕訳し、貸借対照表には残高を残しません。そのため、年度の利益は圧縮されます。したがって、経営成績に影響を与える点は考慮が必要です。

繰延資産として計上し一定期間で償却

開発費を繰延資産で計上する方法とはすなわち、将来にわたり効果が見込まれる支出を資産として処理し、一定期間で費用化することです。開発が完了し、成果物が事業に使用可能となった時点で「開発費」として貸借対照表に計上。その後、定められた期間で合理的に償却します。なお、多くの場合は定額法を用い、毎期同額を「開発費償却」として損益計算書に計上されます。その期間や手段は、事業への寄与の見込みに応じて判断されるのが一般的です。

開発費を償却する方法

前述した開発費を償却する場合についても方法は大きく二つ、挙げられます。次のとおりです。

以下、それぞれ説明します。

均等償却

均等償却とは、資産計上された金額を耐用年数にわたって毎期、文字どおり均等に費用化する方法です。償却額が年度ごとに変動しないため、損益計算書上の費用配分を安定的に保てる点や、残存価額を考慮する必要がないことも特徴に挙げられます。

任意償却

任意償却とは、繰延資産などに対して企業が自ら償却のタイミングや金額を決定できる会計処理のことです。固定資産の減価償却のように法定の耐用年数があるわけではなく、事業への効果や経営方針に応じて費用化の時期を柔軟に調整できます。たとえば、開発費を資産計上したまま償却を先延ばしにすることも、特定年度に一括で償却することも理論上は可能です。この裁量性の高さは、資金繰りや利益計画との整合を図るうえで有用ですが、過度に恣意的な運用は会計上の信頼性を損なう恐れもあり、慎重な判断が求められます。

開発費の償却期間

開発費の償却期間は、税務上は原則として法定耐用年数(たとえば、自社利用ソフトウェアなら5年)を適用しますが、会計上は実態に応じて柔軟な判断が認められています。仮に特定のプロジェクトで開発されたサービスの提供が3年間に限定されるなら、会計上の償却期間は3年でも構わないといった考え方です。こうした合理性が費用と収益の対応関係を適切に保ち、ひいては財務諸表の信頼性も高めてくれます。ただし、恣意性が強いと、監査法人や税務当局から疑義を持たれる可能性も出てくるでしょう。あくまで、収益予測や契約期間など客観的根拠の明示が不可欠です。

開発費の償却で気を付けたいこと

開発費を償却するにあたっては、方法はもとより、いくつか気にしなければならないことがあります。具体的には次のとおりです。

以下、これらの注意点について説明します。

資産計上できる要件を満たしているか

開発費の償却には、そもそもその費用が資産計上できるものか否かを見極める必要があります。資産として認められるのは、将来的な収益獲得が見込まれ、かつ技術的な実現可能性があると判断できる段階に入ってからです。判断を誤って本来費用処理すべき支出を資産に計上してしまえば、償却の前提自体が崩れ、後の修正や指摘につながりかねません。したがって、形式的な処理ではなく、開発の実態に即した判断が求められます。

任意償却の根拠や期間は妥当か

前述のとおり、任意償却の場合は企業の判断(ある程度)で、適用期間や各期の償却額を決められます。しかしながら、無条件に適用されるわけではありません。たとえば、極端に短期間で償却すればそれは利益操作とみなされるでしょう。また、長期にわたって残存させればそれはそれで資産の過大計上と判断されるはずです。

任意償却は、客観的な根拠をもとにした合理的な計画が求められます。技術の陳腐化や収益の見込み期間など、実態に即し継続的にその妥当性を検証していく姿勢が肝要です。

業界特性に合った判断か

業界特有のビジネスモデルや市場動向にも目配りは必須です。実際、開発費の計上や償却にも影響します。たとえば、技術革新が急速に進むIT業界では、開発サイクルが短く新技術の導入が頻繁に行われるため、大抵、短期間での償却が妥当です。他方、製造業などでは、研究開発が長引くこともよくあります。そのため、償却も相応のスパンが必要でしょう。このように、業界特性を踏まえた判断が求められます。

開発リソースの確保も同時に考えるなら

開発プロジェクトを成功させるためには、費用もさることながら、適切なリソースの確保も大事です。特に重要な開発を任せられる人材となると、サービスの選定にもこだわっていく必要があります。

上記を踏まえて、dipが提供するサービスのなかでは、専門スキルを持った方が多く集まる『バイトルPRO』や社員採用に強い『バイトルNEXT』がおすすめです。

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開発費の会計処理には適切な判断が求められる!

開発費の会計処理は、単なる経理上の作業ではなく、企業の戦略や成長の方向性を映し出すものです。費用とするか資産とするか、その後の償却方法や期間をどう設定するかによって、財務諸表の印象も大きく変わります。だからこそ、形式的な処理にとどまらず、開発の実態や事業計画と整合性のある判断が欠かせません。また、経理・財務部門だけでなく、経営層や現場との連携も必要です。そうやって慎重かつ柔軟に対応していくことが、開発費を扱ううえでの大事なスタンスだと考えます。         


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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所の代表を務める荒武慎一氏

アラタケ社会保険労務士事務所 

代表 荒武 慎一

同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。

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