解雇予告とは?

解雇予告とは、使用者(企業)が労働者を解雇する際に、事前にその意思を伝えることを指します。そう、解雇するには、あらかじめ通達しておかなければならないのです。このルールは、労働基準法第20条にて定められています。突然の解雇による労働者の生活困窮を防ぐことが目的です。
解雇予告の原則

解雇予告は原則として次のいずれかに従わなければなりません。
- 解雇日の30日前に予告を行う
- 30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う
以下、それぞれ簡単に説明します。
30日以上前の予告
使用者が労働者を解雇する場合、(解雇の日を特定したうえで)少なくとも30日前には予告が必要です。この30日間は、労働者が新しい仕事を探し、生活を調整する猶予期間として設けられています。なお、郵送通知の場合は、労働者に届いた日が予告日です。
解雇予告手当の支払い
30日前までに解雇の予告ができない場合は、平均賃金(過去3ヶ月間における1日当たりの賃金)に、30日に不足する残日数分を掛けた額を支払う必要があります。これが、解雇予告手当です。
なお、即日解雇の場合は、そのタイミングで支払いが発生します。また、解雇予告手当を支払えば必ず解雇が可能かといったら、それはまた別の話です。
▶関連記事:解雇予告手当とは?計算方法や支払日、源泉徴収についてなど徹底解説
解雇日から30日前とは?解雇予告日の数え方

解雇予告日の数え方についてはいくつか決まりごとがあります。
まず、解雇予告期間の起算日は、解雇を通告した日の翌日です。これは民法第140条に基づいています(日、週、月または年で期間を定める場合、初日は算入されません)。ただし、期間が午前零時から始まる場合は例外です。
したがって、仮に11月30日付けで解雇する場合は、遅くとも10月31日には予告しなければなりません。あるいは12月31日付けであれば、12月1日がリミットです。なお、郵送で通知する場合は各日までに届くよう手配する必要があります。
解雇予告手当の算出方法

解雇予告手当は、次の計算式で出すことができます。
条件 | 計算式 |
---|---|
即日解雇する場合 | 平均賃金 × 30日 |
解雇日が予告後1日以上30日未満の場合 | 平均賃金 × (30日-予告後の日数) |
平均賃金には、基本給だけでなく各種手当も含まれます(賞与については、3ヶ月ごとに支給される場合のみ計算に加えてください)。そのうえで、次の二つのうち、高い方が適用されます。
- 平均賃金 = (過去3ヶ月間の賃金総額) ÷ (過去3ヶ月間の暦日数)
- 平均賃金 = (過去3か月間の賃金総額) ÷ (過去3か月間の労働日数)×0.6
解雇予告手当の計算は、労働者の権利保護だけでなく、企業にとっても法令遵守と人事管理のために重要です。煩雑になりそうであれば、専門家に相談することもおすすめします。
解雇予告の例外

通常、従業員を解雇する際には30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要ですが、例外も存在します。
一つは、地震や豪雨を被るなどやむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合です。また、従業員に非がある旨を届け出て労働基準監督署長に認められても、これらの義務は免除されます。具体的に除外認定されるのは、「会社のお金を横領した」「賭博行為などで職場の風紀を著しく乱した」「経歴を詐称していた」「出勤の督促に応じず無断欠勤を繰り返した」……等々の悪質なケースです。一方で、認定を受けずに即時解雇を行うと、法令違反となる可能性もあるため、くれぐれも注意しましょう。
解雇が禁止される場合

業務上の傷病による休業期間およびその後30日間、産前産後の休業期間およびその後30日間については、労働基準法第19条により解雇が禁止されています。
そのほか、「能力が足りない」「成績が良くない」といったパフォーマンスの問題や数回の遅刻、欠勤だけで解雇を言い渡すのは、社会的相当性を欠くため認められないでしょう。いわゆる不当解雇に当たるものだといえます。
▶関連記事:アルバイトの解雇について~妥当な理由、方法、流れを解説
解雇予告は正しい理解と適切な労務管理が必要!

解雇予告は、労働者の生活を守るための重要な法的保護措置です。企業は、この制度を正しく理解することが求められます。従業員の権利を尊重しつつ、そのうえでどうしてもやむを得ない場合に検討が必要になる問題です。
安易に実行すれば、訴訟沙汰のトラブルを引き起こす恐れもあります。また、予告日の数え方など間違えてしまえば、手当を支払うことにもなるでしょう。解雇後の手続きも含めて、慎重かつ丁寧な対処が不可欠です。総じて、適切な労務管理が問われます。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。