派遣契約の更新を見送る際、対応次第ではトラブルを引き起こす恐れがあります。派遣先なら派遣元へ通知するタイミング、派遣元は派遣社員への説明の仕方など、細かな気配りが非常に肝要です。契約を円滑に終わらせるにはどう動けばよいのか。派遣雇用の仕組みを今一度確認するとともに、くわしく解説します。

派遣の契約を更新しない場合に会社側はどうする?理由、伝え方など解説

  • 2025.02.17
  • 2025.02.17

派遣契約の更新を見送る際、対応次第ではトラブルを引き起こす恐れがあります。派遣先なら派遣元へ通知するタイミング、派遣元は派遣社員への説明の仕方など、細かな気配りが非常に肝要です。契約を円滑に終わらせるにはどう動けばよいのか。派遣雇用の仕組みを今一度確認するとともに、くわしく解説します。

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派遣雇用の仕組み

ボードに書かれた雇用の文字

派遣雇用は、派遣先・派遣元(人材派遣会社)・派遣労働者の3者間で成り立つ雇用形態です。いわゆる直接雇用とは異なり、労働者は派遣元と雇用契約を結びます。そのため、給与の支払いや社会保険の管理・管轄は派遣元です。他方、労働者の業務指示や就業環境の提供は派遣先が担います。

派遣先の会社が派遣の契約を更新しない場合に気を付けること

スーツを着た男性が人差し指でのジェスチャー(大事なポイントを強調)

派遣先が派遣社員と契約を継続しない場合に気を付けたいのはまず、その旨を派遣元に伝えるタイミングです。もちろん、更新しないからには適切な理由も求められます。以下、くわしく補足します。

派遣元に伝えるタイミング

契約を更新しない場合、派遣元への通知はできるだけ早めに行いましょう。急な通達では、派遣元が労働者の新たな就業先を確保する動きも取りづらくなります。派遣労働者が不安定な立場に置かれることも問題です。

一般的には、契約終了の1~2ヶ月前に伝えるのが望ましいでしょう。いうまでもなく、契約書に定められた通知期限がある場合は、それを厳守する必要があります。適切なタイミングで伝えることで、派遣元が計画的に次の対応を進められるため、スムーズな契約終了につながります。

派遣元に認められる理由

派遣契約を更新しない場合、正当な理由が求められます。単なる企業側の都合や感情的な判断ではなく、客観的かつ合理的でなければなりません。たとえば、業務量の減少や社内の人員調整によって、派遣労働者が不要になったなどです。また、派遣社員の業務遂行能力や勤務態度が契約時の期待を満たしていない場合も、更新しない正当な理由になり得ます。

派遣元の会社が派遣の契約を更新しない場合に行うこと

スマホの画面に映された「契約終了」の文字

派遣先から連絡を受けた派遣元は、契約の更新を見送るための手続きが必要です。これを適切に行わなければ、トラブルにつながる可能性が出てきます。特に、通知の時期や伝える理由を誤ると、派遣先との信頼関係にも影響を及ぼしかねません。以下、円滑な契約終了のためにおさえておきたい派遣元の対応について解説します。

雇止めの予告

突然の雇止めは労働者にとって大きな不利益となるため、一定の猶予を持たせた告知が必要です。契約期間が満了する前に、できる限り早めに本人へ伝え、次の就業先を探す時間を確保できるようにしましょう。特に、雇用期間が1年を超える場合や、過去に3回以上更新をしていた場合は、雇止めの予告対象です。したがって、30日前までに対応しなければなりません。

参照:有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について

雇止めに至る理由の用意

雇止めに至る場合、適切な理由もセットで告げる必要があります。そのため、派遣社員の業務内容や就業状況をあらためて確認しつつ、派遣先とも齟齬がないよう密にコミュニケーションを取ることが大事です。労働者が不服を申し立てるケースも考えられます。合理的そして客観的に説明できるよう、しっかりと準備しておきましょう。

派遣の契約を更新しないことを適切に告げる伝え方

便箋の上に置かれたコミュニケーションと書かれたサイコロブロック

タイミングや理由だけでなく、どのように伝えていくかも当然重要です。派遣先、派遣元、どちらも会社側として誤解のない、そして双方が納得できるコミュニケーションが求められます。以下、3パターンにおいて契約を更新しない場合の伝え方について解説します。

派遣先から派遣元に伝える場合

派遣元は、契約終了後に派遣社員をフォローする役割も担っています。そのため、派遣先からはなるべく多くの情報を提供することが望ましいと考えます。具体的には、業務の変更点や社内の人員計画、対象社員の勤務態度……等々をくわしく共有し、やむを得ない理由であることをロジカルに伝えるよう意識してください。

派遣元から派遣社員に伝える場合

派遣先の意向として契約を更新しないことが正当だと認識できたところで次に、派遣元は派遣社員に対してそれを納得してもらわなければなりません。その際、余裕をもって伝えることはもちろん、丁寧かつ慎重に言葉を選びましょう。それでも派遣先に対する愚痴などは飛び出すかもしれません。その場合は傾聴し、モチベーションにつなげるためにも今後の就業機会について話し合う時間を作ってください。可能であれば、新たな派遣先まで紹介できると望ましいと考えます。

派遣先から派遣社員に伝える場合

派遣契約の終了に関する通知は、原則として派遣元を通じて行われますが、派遣先の担当者からも派遣社員に伝えることがあります(派遣元と十分に連携を取り、公式な通達が行われた後にフォローの形で伝えるのがよくある流れです)。その際にも当然、不必要な誤解を招かないよう、慎重に対応しなければなりません。くれぐれも感情的な表現や曖昧な説明は避けましょう。

契約期間中に派遣社員を解雇する場合

大きく書かれた解雇の文字

派遣契約は、契約期間が定められているため、基本的にはその期間内での一方的な解雇は認められません。しかし、やむを得ない事情が発生した場合、適切な手続きを踏めば可能になることもあります。以下、解雇が可能な理由と会社側の対応について解説します。

中途解除が認められる理由

職場環境に深刻な影響を与える言動も含めて、派遣社員の業務遂行に重大な問題がある場合、契約期間の途中でも解除が認められることがあります。また、派遣先の事業縮小や業務の大幅な変更も同様です。致し方ない事情として解雇できるかもしれません。が、いずれにしても突然の解雇はご法度です。事前の協議や改善の機会を与えなければ、法的観点でも不当な解雇と見なされます。

派遣先が講じるべき対応

派遣先の独断では派遣社員を解雇できません。まずは派遣元に状況を説明し、結論をどうしていくかを話し合います。たとえ業務態度や能力に問題がある場合でも、指導によって何とかなるようならその方向で解決策を模索するのが一般的です。そのうえで改善の余地がないと判断できたとしても、派遣元との合意を得たうえで、派遣社員にも納得してもらえるよう説明が求められます。

派遣元が講じるべき対応

派遣元は、派遣先の意向を慎重に吟味し、法的な問題がないかを厳密に精査しなければなりません。契約満了時よりもそのハードルは高いと考えます。不当な解雇に当たらないよう十分に注意してもなお、派遣社員に対して説明不十分では双方の言い分が衝突するだけです。ちょっとやそっとの説明では納得してもらえないことも往々にしてあります。すぐにでも彼・彼女たちの雇用確保に努めるのはもはや不可欠。派遣先とトラブルを起こすことも想定できるため、状況理解を促すだけでなく感情的になだめる必要さえ出てくるでしょう。

派遣の契約更新に関する注意しておきたい法律

ボードに書かれたRULEの文字

どう対応するにせよ、契約期間の上限や更新の可否に関する法律は確実に把握しておきましょう。以下、取り上げる「雇止め法理」「3年ルール」「無期転換ルール」はいずれも理解必須です。それぞれ補足します。

雇止め法理

雇止め法理とは、契約が繰り返し更新され、実質的に期間の定めのない雇用に近い状態のなか、派遣元が一方的に契約を打ち切ることを制限するルールを指します。前述したように、雇用期間が1年を超える場合や、過去に3回以上更新をしていたなら対象です。合理的な理由のもと更新しないのであれば、30日前までの予告を忘れずに行いましょう。

3年ルール

派遣労働者の同一組織単位での就業には、3年ルールが適用されます。これは、同じ職場で派遣社員が3年を超えて働き続けることが原則として認められないという規定です。目的は、派遣労働者が長期間にわたり不安定な雇用状況に置かれることを防ぐことにあります。3年を超えて同じ職場で働いてもらう場合は、過半数労働組合などへの意見聴取を踏まえて、別の部署へ派遣するといった対応が必要です。

無期転換ルール

同じ企業で有期雇用契約が反復更新され、通算5年を超えた場合は、労働者が申し出をすることで無期雇用に転換できます。いわゆる無期転換ルールです。この法規は、派遣労働者が長期間不安定な雇用状態に置かれることを防ぐ意味があります。

▶関連記事:無期雇用派遣とは?メリット・デメリットや戦略、注意点を解説

派遣の契約を更新しないことで考え得るリスク

メモ帳に書かれたRISKの文字

派遣契約を更新しないことのリスクは代表的なもので次の2つが考えられます。

いわずもがな、これらは重大なリスクです。ゆえに慎重な対応が求められます。それぞれについて以下、補足します。

逆恨みによる悪評の拡散

契約更新をしないことで派遣社員の怒りを買えば、インターネット上の口コミやSNSを通じて、自社に対する悪評が拡散される可能性があります。一度広がった情報から根付くイメージを完全に拭うのはどうしたって困難です。場合によっては派遣元に対しても不満が向けられることがあります。そうなると当然、人材確保にも影響を及ぼすでしょう。

企業間(派遣元と派遣先)の関係悪化

派遣先と派遣元の協議が不十分なまま半ば強引に事が進むと、以後、関係悪化に陥るものです。その結果、それぞれが派遣元、派遣先を失うことになりかねません。契約を更新しない判断なら特に、両者の損得にかかわる繊細な部分も出てくるため、双方が納得する形で、(当然、派遣労働者にも考慮したうえで)妥協点を見つけることが大切です。

派遣の契約を更新しないことに備えて

ボードに書かれた危機管理の文字

派遣の契約は、更新しないことも念頭においたうえで行いましょう。これらはいわば未然に起き得るトラブルの防止策です。本章では大きく3点取り上げます。

雇止め理由書を交付する

一つ目は、雇止め理由書の交付です。口頭での説明だけではどうしても納得できないケースは少なくありません。不当な雇止めと受け取られないためにも、合理的な理由をきちんと書面で残すことが大事です。派遣先がこれを丁寧に行うことで、派遣元からも信頼を得やすいでしょう。

契約更新時に不更新条項を設ける

派遣社員と契約を結ぶ際、不更新条項を記載すれば、常時更新されるといった誤解を生まずに済むでしょう。ただし、一方的なものになってはいけません。派遣先と派遣元はしっかりと協議し、適切な判断のもと同意を得たうえで実行しましょう。

十分に時間をかけて話し合う

契約終了の理由は簡単に伝えられるものではありません。特に、長期間勤務していた派遣社員に対しては、急な通知ではなく、段階的に伝えるなど、相応の配慮が必要です。派遣元と派遣先の協議も同様といえます。お互いの意向にはきちんと耳を傾け十分に対話を重ねましょう。その結果、更新しない場合は、対象の派遣社員がこの先路頭に迷わないよう、新たなキャリアを提示、紹介してあげることも大切です。

短期雇用から検討するなら『スポットバイトル』

短期バイトを象徴するSTAFFの紙

派遣先が契約更新を見送る場合、当然、次の人材確保を考える必要があります。再び派遣に頼るのも悪くありませんが、少しでも早く人員を補充しなければならない状況下では、短期バイトを雇うのも一つでしょう。特に近年は、いわゆるスポットワーカーをうまく活用し、人手不足を凌いでいる企業やお店も多く見受けられます。そのニーズに特化したサービスも続々と市場に出てきているようです。そうしたなか、dipが提供する『スポットバイトル』もまた、例にもれず必要な時に人材を確保しやすいサービスといえます。短期雇用はもちろん継続応募にもつながる、とっておきの機能(制度)があるため、いずれはレギュラーバイトとしても(『バイトル』などレギュラーからの応募で)活躍が見込めるサービスです。掲載は無料。即日マッチング可能。派遣契約の更新を見送る際の人材確保の手段として、ぜひ活用を検討してみてください。

サービスの詳細は、以下のご案内ページや資料で確認できます。

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スポットバイトル|資料ダウンロード

派遣の契約を更新しない場合にどうなるかは会社側の対応次第

契約と書かれたブロックとジオラマで表現される労働者たち

派遣の契約を更新しない場合、会社側の対応次第で円滑に事が運ぶかトラブルを招くか変わってくるといっても過言ではありません。そしてうまくいくにはやはり、素早く、そして誠実な対応が必要でしょう。これは、派遣社員側への配慮やアクションだけでなく、派遣元と派遣先、つまり企業同士でもいえることです。どれだけ対話を重ねても多少は釈然としない部分は出てくるかもしれません。それでも双方が双方を慮ることで、受け入れようという気持ちにはさせてくれるはずです。派遣雇用が人材確保の有効な選択であり続けるためにも、会社側が強く意識したい大切なポイントだと考えます。


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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所の代表を務める荒武慎一氏

アラタケ社会保険労務士事務所 

代表 荒武 慎一

同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。

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