人材派遣とは?

まずは人材派遣への理解から深めましょう。仕組みや他の雇用形態との違いなど基本的なこととはいえ、意外と曖昧にしている部分かも知れません。人材派遣とは何か今一度、紐解きます。
人材派遣の仕組み
人材派遣とは、企業が必要とする人材を外部の派遣会社から文字どおり派遣してもらうことで、人材を確保できる仕組みです。このとき派遣社員は派遣会社と雇用契約を結びます。一方で、業務の指示を出すのは派遣先企業の管轄です。
アルバイト・パート雇用との違い
人材派遣は、前述のように雇用主と実際に働く企業が異なります。この点はアルバイト・パート雇用との一番の違いです。
紹介予定派遣との違い
紹介予定派遣とは、派遣先企業が派遣社員を一定期間(通常6ヶ月以内)雇用した後に、正社員や契約社員として直接雇用することを視野に入れた派遣形態です。一時的な働き手の確保という側面も強い通常の人材派遣に対して、紹介予定派遣は将来的な直接雇用を前提としている点が大きく異なります。
▶関連記事:紹介予定派遣社員を雇うには?辞める理由や正社員登用のポイントも解説
派遣依頼、受け入れの流れ

それでは、実際に派遣依頼を行う場合の流れについて確認しましょう。以下、派遣会社の選定から受け入れまで各フェーズの主な対応について解説します。
派遣会社の選定
派遣会社の選定次第で人員確保の成否が決まるといっても過言ではありません。実績や評判のリサーチ、サポート体制の確認は決して蔑ろにせず丁寧に行いましょう。もちろん、契約条件や料金体系の比較も大事です。自社の予算や方針に合致するかしっかりと見極めてください。
派遣会社への依頼
依頼の際には、ニーズを明確に伝えることが求められます。人材要件、社内規定、業務内容などを派遣会社に対してわかりやすく説明しましょう。加えて、職場環境や文化についてもイメージしやすいように紹介できれば、なお望ましいと考えます。
派遣候補者の決定
派遣先企業が派遣会社から提供される候補者の履歴書や職務経歴書を直接確認することは、労働者派遣法により原則として禁止されています。ただし、個人情報を含まない「スキルシート」を確認することが可能です(スキルシートには、氏名や年齢などの個人情報は記載されず、業務に関連する技術や技能、職務経験が記載されています)。また、候補者の希望により、派遣先企業での職場見学が行われるケースもあります。その際も個人情報やプライバシーに関する質問は避け、業務に関連するスキルや経験について確認することが認められています。
派遣社員の受け入れ
受け入れをスムーズに行うべく、教育係の割り当てや環境整備(必要な機器や資料の準備)、入社後のスケジュール(オリエンテーションの実施)……等々、フォロー体制はあらかじめしっかりと構築しておく必要があります。そのうえでコミュニケーションも積極的に図っていきましょう。そうやって安心感をもたらすことが大切です。
派遣依頼の際に伝えるべき情報

派遣依頼するにあたって、以下の情報はもれなく伝えるようにしましょう。
- 依頼背景
- 就業条件
- 業務内容
- 必要スキル
- 必要人数
- 就業開始日
- 派遣期間
では、それぞれ補足します。
依頼背景
依頼背景には、なぜ派遣社員が必要なのか現在直面している問題と併せてくわしく説明してください。たとえば、新規プロジェクトを立ち上げるにあたって専門的なスキルを持つ人材が必要であることや、繁忙期ゆえに一時的にでも人がほしい状況だと伝えられるとよいでしょう。
就業条件
勤務地や具体的な始業・終業時間、週に何日の勤務が必要かなど就業条件全般は明確に伝えることが大事です。残業の有無も目安があれば具体的に共有してください。
業務内容
具体的な業務内容の共有は必須です。加えて流れ、日常的に使用するツールやソフトウェア、目的、成果物……等々も伝えられるとよいでしょう。
必要スキル
業務に従事するにあたって必要なスキルセットも派遣会社には伝えておかなければ、ミスマッチが起きやすくなります。経験、資格だけでなく、コミュニケーション能力や協調性、ストレス耐性なども細かく共有できると、なお望ましいでしょう。
必要人数
派遣に必要な人数も、現在の業務量やプロジェクトの規模を把握したうえで、具体的に算出し依頼しましょう。繁忙期への対応なのか特定のプロジェクトに特化したチーム編成に必要なのかなど背景もセットで伝えられると、(派遣会社にせよ、派遣労働者にせよ)よりイメージしやすいかと思います。
就業開始日
つい漠然と目安だけを伝えがちですが、就業開始日が明確であればあるほど、派遣会社としては円滑に事を運びやすくなります。それは派遣社員に対しても親切です。
派遣期間
派遣期間は基本3ヶ月単位が多いと思われますが、例にもれずそうだとしても、きちんと伝えなければなりません。延長が難しくなりそうといった事情があらかじめわかっていれば、その旨も派遣会社には必ず伝えるようにしてください。
派遣依頼の文例

前述した伝えるべき項目をざっと具体的に落とし込んだのがこちらの文例です。
貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では現在、業務拡大に伴い、以下の条件で派遣社員の募集を検討しております。 つきましては、貴社にて適任者のご紹介を賜りたく、お願い申し上げます。
•依頼背景:社員の退職による欠員補充
•就業条件:週5日、9:00-18:00、東京都○○区○○1-2-3
•業務内容:一般事務全般(電話対応、出張手配など)
•必要スキル:PCスキル(Word、Excel)、事務職経験2年以上、コミュニケーションを積極的に取れる方
•必要人数:2人
•就業開始日:2025年4月予定
•派遣期間:1年間(延長の可能性あり)
ご多忙のところ恐縮ではございますが、何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。 ご不明な点や詳細につきましては、下記担当者までお問い合わせください。
敬具
可能な限りくわしい状況やニーズを伝えることが必要ですが、最初のメールですべてを記載しなければならないわけではありません。あくまで双方に齟齬や軋轢が生じないために、打ち合わせも含めて丁寧なやり取りを心がけてください。
派遣依頼で期待できるメリット

派遣依頼によっていくつかメリットが期待できます。大きくは次の3つです。
- 人員を効率よく確保できる
- 即戦力人材と出会える
- コストを抑えられる
以下、それぞれ簡単に説明します。
人員を効率よく確保できる
求める人材を直接雇用で採用する場合はやはり、それなりの時間とコストがかかります。一方で派遣依頼をすれば、派遣会社が多くの登録者のなかからニーズに合った人材を迅速に紹介してくれるため、効率的な人員確保が可能です。
即戦力人材と出会える
派遣会社は、あらかじめ要望が共有されている分、それに見合ったスキルを持つ方を提供してくれます。彼・彼女らが即戦力として活躍してくれる期待は大いに持てるはずです。
コストを抑えられる
直接雇用では、入社後の研修も含めてコストが嵩みがちです。他方、派遣依頼の場合、採用プロセスの省略や、一から教え込まなくてもよい人材を提供してもらえることも多い点から、コスト削減にもつなげられます。
派遣依頼で生じやすいデメリット

派遣依頼は、前述したメリットがある一方でデメリットも無視できません。ざっと次のとおりです。
- 帰属意識が低い
- 育成も必要
- 定着しづらい
以下、それぞれ簡単に説明します。
帰属意識が低い
派遣社員のように期間に定めがあると、どうしても職場に対する帰属意識は希薄なものになりがちです。組織に対して蚊帳の外といったスタンスで、端から正社員と分断したがる方も多いように見受けられます。パフォーマンスにまで影響することもあるため、注意が必要です。
育成も必要
即戦力として獲得した派遣社員に対して過度な期待は禁物です。やはり職場によって進め方、やり方、求める動きは変わってきます。そのため、十分に力を発揮してもらえないケースも多々見受けられます。企業独自のルールやシステム、ツールが派遣社員を困惑させることも少なくありません。いずれにしても、フォロー、そして期間が短くとも育成ありきで接する姿勢が大切です。
定着しづらい
優秀な派遣社員にはなるべく長く働いてもらいたいものの、そういった方に限って、数回の更新で離れていきがちです。彼・彼女たちは優秀ゆえに意識も高く、自身のキャリアやスキルアップの向上、働きやすさなどを、(現況で叶わないと判断するや否や)別の環境に求めようとします。したがって、定着してもらうためには少なからず対策を講じることが必要です。
派遣依頼のコツ

派遣依頼は、メリット・デメリット両方を踏まえることはもちろん、以下お伝えするコツも意識できると、よりスムーズかつ効果的なものになるでしょう。
派遣会社の特長を把握しておく
派遣会社によって特長は異なります。たとえば、特定の業界に特化していたり、資格保有者が多く登録していたりといった具合です。こうした強みがある会社を目的に応じて選べれば、結果もよい方向に進む期待が持てるでしょう。他方、リサーチ不足でその存在にありつけず、なおかつ自社が狙うターゲットとはまるで的外れな業者を選んでしまうケースも決して珍しくありません。そうならないよう、あらかじめ特徴の把握は必須です。
福利厚生や職場の雰囲気などもくわしく伝える
業務内容や必要なスキルはもちろん、福利厚生や職場の雰囲気についても詳細に伝えられると、ニーズに合った人材を紹介してもらいやすくなるでしょう。利用可能な休憩スペースや社員食堂の有無、一緒に働く人たちの印象なども添えられるとよいかもしれません。
依頼は早いに越したことはない
余裕を持って依頼できれば、派遣会社もじっくりと適切な人材を選べるはずです。特に専門的なスキルを求める場合や、繁忙期に差し掛かる時期では、早期に依頼を出すことで先んじて優秀な人材を確保できるでしょう。なおかつ受け入れ準備にも時間を充てられます。
派遣依頼における注意点

デメリットとは別に念頭におくべきこととして派遣依頼を巡る禁止事項や義務があります。法に抵触しないためにも注意が必要です。以下、いくつか取り上げます。
派遣の抵触日
抵触日とは、派遣可能期間が満了した日の翌日です。なお、2015年の労働者派遣法改正により、派遣可能期間は3年までと定められています。つまり、原則として派遣社員を受け入れた日から3年経過した翌日が抵触日に該当します。
▶関連記事:派遣の抵触日とは?リセットルールや延長手続きなど交えて解説
派遣禁止業務
派遣社員の利用に関して、法令で禁止されている業務がいくつか存在します。具体的には、建設業や港湾運送業務、医療関係業務、警備業務などです。これらの禁止業務に該当する場合、派遣労働者を利用することはできません。なお、法令違反があった場合、派遣会社だけでなく派遣先企業も罰則を受ける可能性があります。
▶関連記事:派遣社員にやらせてはいけない業務とは?罰則についても併せて解説
二重派遣
二重派遣とは、派遣先企業が派遣労働者を別の企業に派遣することです。これは違法行為に該当します。なお、第二の派遣先も同様に処罰されますが、二重派遣だったことを知らずに受け入れていた場合に限っては、(罰則に対して)非該当の扱いです。
▶関連記事:二重派遣とは何かわかりやすく解説!禁止理由や罰則、防止策にも言及
日雇い派遣
日雇い派遣は、「派遣期間が31日未満」「週の労働時間が20時間未満」のいずれかを指しますが、一部の業種や労働者の条件を除くと原則禁止です。禁止されれば行政処分や罰金が科されることもあります。
▶関連記事:日雇い派遣とは?メリット・デメリットや利用する際の注意点も解説
▶関連記事:日雇い派遣は禁止!違反したら罰則は?例外は?安心の代替策も併せて解説
派遣先管理台帳
派遣先企業には、派遣先管理台帳への記載(派遣社員の労働日や労働時間など)が義務付けられています。就労実態を把握するためのものであり、派遣会社への業務報告にも使用され、月1回以上の通知が必要です。また、派遣期間終了日から3年間は保管しておかなければなりません。
▶関連記事:派遣先管理台帳とは?記載事項やフォーマット、保管期間などくわしく解説
派遣料金について

派遣依頼を検討するなら料金についても理解が不可欠です。予算を適切に管理するためにも内訳はしっかり把握しておきましょう。以下、採用費、雇用継続費とあわせて説明します。
▶関連記事:人材派遣の利用料金について仕組みや相場、コスト削減のコツなど解説
採用費(イニシャルコスト)
採用費は具体的に、求人広告の掲載料や面接会場費、交通費、入社前の研修費用などが挙げられます。派遣料金に上乗せされて請求されることが一般的です。
雇用継続費(ランニングコスト)
雇用継続費は具体的には、派遣社員の給与や社会保険料、有給休暇の取得に伴う費用などが挙げられます。これらは派遣料金に含まれるものです。
派遣料金の内訳
派遣料金の内訳は、主に派遣社員に支払われる賃金とマージンの2つで構成されます。大部分は前者です。これは派遣先企業と派遣会社の契約に基づいて決められます。一般的に時給制ですが、月給制や日給制の場合もあるためケースバイケースで把握しておくことが必要です。
派遣料金の相場
派遣料金の相場は、職種や地域によって異なります。そのなかで、令和4年度に厚生労働省が公表したデータを一部抜粋すると下表のとおりです。※各事業所の派遣料金は、派遣労働者1人1日(8時間)当たりの平均額
職種 | 人材派遣料金(平均額) | 派遣労働者の賃金(平均額) |
---|---|---|
一般事務 | 17,145円 | 11,656円 |
情報処理・通信技術 | 32,871円 | 20,120円 |
経営・金融・保険専門 | 35,611円 | 20,236円 |
介護サービス | 15,531円 | 10,585円 |
飲食物調理 | 14,429円 | 9,847円 |
派遣社員が働き始めたら

派遣依頼を経て派遣社員を受け入れた後は、派遣社員とうまくコミュニケーションを図り、円滑に業務を回していきましょう。その際、業務や社内ルールの共有、フォローアップといったサポートが求められます。さらには契約更新に関する手続きも必要です。これらをそつなくこなせるよう、以下、それぞれ簡単に説明します。
業務や社内ルールの共有
派遣社員には、具体的な仕事内容や担当プロジェクトを明確に伝えることに加え、勤務時間や休憩時間、休暇申請の手続きなどの基本的な就業規則もしっかり覚えてもらいましょう。また、社内独自のルールやマナーがあれば、組織風土と併せて初日に共有することが大事です。
フォローアップ
勤務をスタートさせてからしばらくたってもなお、なかなか慣れない様子であれば、積極的に話しかけ、業務上の疑問や困難を解決するためのイレギュラーな面談を設けることも必要でしょう。業務の進捗状況や進め方、職場での人間関係についてきっと悩みがあるはずです。それらを派遣会社から知らされることのないように、常日頃のフォローアップが派遣先企業には求められます。
契約更新に関する手続き
契約更新の時期に差し掛かった際には、派遣先企業は派遣社員のパフォーマンスや業務適性を評価し、その結果を派遣会社に報告する必要があります。場合によっては条件の変更も出てくるかもしれません。いずれにしても、更新に関しては派遣先企業の独断で進めるのではなく、派遣社員にも引き続き就業を希望するかどうかを確認したうえで対応します。
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