外国人雇用の現状

日本の労働市場は、外国人労働者の存在感が年々高まっています。厚生労働省がとりまとめた「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)でも、外国人労働者数は200万人を超えたとのこと。本章では、こうした現状について、データを用いて言及します。
外国人労働者の状況
令和5年10月末時点での外国人労働者数は2,048,675人でした。前年と比べると225,950人増加している計算です。また、対前年増加率で見ても12.4%と飛躍的に伸びています(なお、前年は5.5%でした)。
国籍別の内訳上位は、下記のとおりです。
- ベトナム:518,364人(全体の25.3%)
- 中国:397,918人(全体の19.4%)
- フィリピン:226,846人(全体の11.1%)
対前年増加率が大きい国はこちらです。
- インドネシア:121,507人(前年比56.0%増)
- ミャンマー:71,188人(前年比49.9%増)
- ネパール:145,587人(前年比23.2%増)
参照:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和5年 10 月末時点)
外国人を雇用する事業所の状況
外国人を雇用する事業所数も増加傾向にあります。令和5年10月末時点で318,775所です。前年が298,790所だったため、1年で19,985所も増えています。対前年増加率も6.7%と、前年の4.8%を超える上昇度合いです。
都道府県別で見ると、上位は次のとおりです。
- 東京:79,707所(全体の25.0%)
- 大阪:25,450所(全体の8.0%)
- 愛知:25,225所(全体の7.9%)
事業所規模別では、「30人未満」規模の事業所が最も多く、全体の61.9%を占めています。中小企業の多くが外国人を雇っていることがわかります。
また、産業別のシェアはこちらです。
産業 | 割合 |
---|---|
製造業 | 27.0% |
サービス業(他に分類されないもの) | 15.7% |
卸売業、小売業 | 12.9% |
宿泊業、飲食サービス業 | 11.4% |
建設業 | 7.1% |
医療、福祉 | 4.4% |
情報通信業 | 4.2% |
教育、学習支援業 | 3.9% |
その他 | 13.5% |
製造業だけで30%近い数字です。これは、(日本の製造業が)外国人労働力に多少なりとも依存していることを示しています。
参照:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年 10 月末時点)
外国人を雇用する方法

多くの事業所で多くの外国人が雇われている現状がわかったところで、実際に雇用するにはどのような方法があるのでしょう。大きくは正社員、アルバイト、派遣社員と、雇用形態別に分けられます。以下、それぞれ要点をお伝えします。
正社員として雇う
正社員として外国人を雇用できれば、長期的な活躍が見込めます。もちろん、育成には時間をかけることが必要です。一方で、在留資格の取得や更新、社会保険の加入など、事務手続きが複雑になることもあります。
アルバイトとして雇う
アルバイトとして外国人を雇用するのは、欠員補充など一時的に人が必要なケースが多いでしょう。そのため、主に留学生が対象になる傾向にあります。人手が足りない場合、戦略的にもやはり有効です。他方、週28時間以内の労働時間制限など懸念される問題もいくつか出てきます。
▶関連記事:外国人留学生のアルバイト雇用をメリットや問題点など交えて解説
派遣社員として雇う
本記事の主題でもある派遣社員として外国人を雇用する場合も、アルバイト同様、必要な期間にあわせて効率よくアプローチできます。管理のほとんどは派遣会社が担当するため、雇用に際してさほど大きな負担がかからずに済むでしょう。
派遣で雇うケースが定番化しつつあることは、前述の労働者や事業所の増加とも密接につながっているはずです。
そのほかメリット・デメリットについては、次章よりくわしく取り上げます。
外国人を派遣で雇うメリット

前項を踏まえ、まずは外国人を派遣で雇うメリットからお伝えします。ずばり、次のとおりです。
- 人員を確保できる
- ダイバーシティを実現できる
- 海外ビジネスを視野に入れられる
- リスクヘッジしやすい
以下、それぞれ詳述します。
人員を確保できる
日本の労働市場は、年々、人手不足が深刻化しています。従来と同じやり方でこの苦境を乗り越えるのは困難だというのが、どの業界でも大方の見方です。そうしたなか、外国人を雇用することは打開策の一つとして数えられています。とりわけ製造業や建設業、介護業界などでは慢性的な人手不足に悩まされていますが、外国人派遣労働者を活用することで、大なり小なり(その問題を)食い止められている部分もあるようです。
ダイバーシティを実現できる
外国人を雇用することは、職場のダイバーシティ(多様性)につながります。(ダイバーシティは)企業のブランディングにも影響を及ぼすほど、昨今、注目を集めている組織の在り方ですが、実際に文化的背景や価値観が異なる人材が加わることで得られるメリットは思いのほか大きいと思ってよいでしょう。彼・彼女らの柔軟なアイデアが戦略や戦術の幅を広げることは往々にしてあります。
▶関連記事:ダイバーシティ採用とは?企業の取り組み事例やアンケート調査の結果も交えて解説
海外ビジネスを視野に入れられる
グローバル化が進む現代のビジネス環境において、海外展開は多くの企業にとって無視できない戦略の一つです。まさにその基盤を整えるのに、外国人を雇用することが役に立つでしょう。外国人とのコミュニケーションを通じて、従業員一人ひとりの意識も変わってくるはずです。個々のパフォーマンスの引き出しが増えた結果、組織の成長へと大いにつながる期待が持てるでしょう。
リスクヘッジしやすい
派遣雇用の特性上、契約期間や更新条件などを柔軟に設定できます。そのため、比較的容易に人員調整を行えるでしょう。正社員で雇ってしまった場合は、解雇通知にはそれなりに高いハードルを要します。トラブルが起きる可能性も否めません。そうしたリスクヘッジのみならず、派遣雇用であれば、日々の仕事ぶりから能力や適性を見極め、状況に応じて正社員への登用を検討することも可能です。
外国人を派遣で雇うデメリット

外国人を派遣で雇用することには、前述したメリットがある一方で、デメリットも存在します。主に次のとおりです。
- 受け入れまでに時間を要する
- 急遽帰国される可能性がある
- コミュニケーションエラーが起きやすい
以下、それぞれ詳述します。
受け入れまでに時間を要する
外国人を派遣で雇用する際には、受け入れ準備に一定の時間を要することがあります。たとえば、派遣元との契約手続きやビザの取得です。この段階でてこずるケースは意外と多く見られます。また、派遣される外国人スタッフに対する事前の研修や日本での生活に関するサポートも欠かせません。加えて、既存スタッフにも文化や労働習慣の違いを理解してもらえるよう社内の教育が必要でしょう。派遣スタッフのモチベーション低下や早期離職のリスクを避けるべく、こうした受け入れまでの手順一つひとつに対しては、なるべく丁寧に、時間を割けるようにしておくことが大事です。
急遽帰国される可能性がある
外国人の場合、よくあるのが予期せぬタイミングで急遽帰国しなければならない状況が発生することです。具体的な理由としては「母国の家族に何か起きた」「在留資格の更新が母国で必要」などが挙げられます。現場の混乱を招かないよう、こうしたことはあらかじめ想定し、速やかにカバーできる人員体制を築いておきましょう。
コミュニケーションエラーが起きやすい
外国人を派遣雇用するとなると、言語や文化の違いから、コミュニケーションエラーが発生することは容易に想像できます。業務指示の誤解や情報の伝達ミスなどは、そこかしこで見られる事象です。仕事の進め方もそうでしょう。彼・彼女らとのギャップを寄り添って埋めていかなければ、業務効率の低下はもちろん、人間関係の悪化さえ引き起こしてしまいます。
外国人を派遣で雇う際の注意・確認事項

デメリットに続いては、外国人を派遣で雇用する際の重要な注意点や確認事項をお伝えします。これらは法規にかかわるため、デメリット以上にしっかりと念頭におかなければなりません。また、派遣前、派遣開始時、派遣期間終了後といったようにそれぞれのフェーズにて存在します。
注意・確認が必要なものは、ずばり、次のとおりです。
- 労働派遣契約書 ※派遣前に注意・確認
- 在留資格 ※派遣前に注意・確認
- 外国人雇用状況の届出 ※派遣開始時に注意・確認
- 退職証明書の発行 ※派遣期間終了後に注意・確認
以下、それぞれ詳述します。
労働派遣契約書
派遣前には、労働派遣契約書の内容を確認する必要があります。主な項目についてまとめると下表のとおりです。
項目 | 情報 |
---|---|
業務内容 | 具体的な業務 |
就業場所 | 実際に勤務する場所 |
就業時間 | 1日の労働時間、休憩時間、残業の可能性など |
派遣期間 | 開始日と終了日 |
賃金 | 時給や月給、賞与の有無などの報酬に関すること |
社会保険の適用 | 健康保険、厚生年金、雇用保険などの適用状況 |
安全衛生に関する事項 | 労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制 |
苦情処理に関する事項 | 問題が発生した際の対応方法や窓口 |
これらの項目を事前に確認し、必要に応じて派遣会社と協議することで、後々起こり得るトラブル回避にもつながります。あわせて、契約内容が労働関係法令に違反していないかどうかも慎重に確認しましょう。
在留資格
外国人労働者の在留資格(外国人が日本で合法的に働くための基本的な条件)も派遣前にしっかりと確認しておかなければなりません。確認事項の中身についていくつか具体的に挙げましょう。
まず、資格の種類です。「特定技能」や「人文知識」、「国際業務」などそのタイプが業務内容に適しているかどうかを確認します。(在留資格によっては就労時間や業種に制限があります。合わせて確認が必要です。)
そして在留期間。在留カードに記載されているものが、予定されている派遣期間をカバーしているかどうかを確認します。
留学生の場合は、資格外活動許可を取得しているかどうかも確認します。
最後に更新の可能性です。派遣期間中に在留期間を更新する場合があるかどうかを確認します。
在留資格の確認を怠ると、不法就労とみなされ、企業側も罰則が適用される恐れがあります。そのような事態に陥らないよう、くれぐれも注意しましょう。
外国人雇用状況の届出
派遣開始時には、外国人雇用状況の届出が必要です。これは、外国人を雇用する事業主に義務付けられています。具体的な項目と内容は下表のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
届出の義務 | すべての事業主は、外国人労働者の雇入れ・離職の際に、その都度、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等を確認し、ハローワークへ届け出る必要があります。 |
届出の期限 | 雇入れの場合は雇った日から、離職の場合は離職した日から、それぞれ翌月の末日までに届け出る必要があります。 |
届出の方法 | ハローワークの窓口に届出用紙を提出するか、インターネットを通じて電子申請を行います。 |
必要な情報 | 氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可の有無などを届け出る必要があります。 |
罰則 | 届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。 |
この届出は、外国人労働者の適正な雇用管理や、労働市場の集計データとして使うためにも重要です。
退職証明書の発行
派遣期間終了後には、退職証明書の発行が労働基準法で義務付けられています。記載事項は主に、雇用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金もしくは退職理由です。(雇い主が)証明書を請求された場合は、遅滞なく交付するようにしましょう。
外国人を雇う派遣会社の主な役割やサポート

外国人雇用にあたっては当然、派遣会社の役割やサポートも理解しておく必要があります。挙げられるのは主に次のとおりです。
- 在留資格の取得支援
- 労務の管理
- 語学と文化の教育
以下、それぞれ詳述します。
在留資格の取得支援
派遣会社が外国人に対して行う支援の一つが、在留資格の取得に関するものです。どの資格を選定すればよいかのアドバイスから、在留資格認定証明書交付申請書や関連書類の作成、入国管理局への申請手続き(代行)、期間更新のサポートまで、幅広く対応してくれます。
労務の管理
外国人の労務管理も派遣会社が多くを担当します。主な内容は下表のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
労働時間の管理 | 労働時間の記録(時間外労働含む)、有給休暇の管理など。 |
給与計算・支払い | 給与の計算、支払い、源泉徴収など。 |
社会保険手続き | 健康保険、厚生年金、雇用保険の加入手続きなど。 |
労働条件の説明 | 労働条件通知書の作成・交付、就業規則の説明など。 |
健康管理 | 健康診断の実施、結果通知など。 |
労働災害への対応 | 労働災害発生時の対応や労災保険の手続きなど。 |
語学と文化の教育
外国人が派遣先でスムーズに適応できるよう、語学と文化に関する教育機会を派遣会社は提供してくれます。日本語教育はもとより、日本の職場におけるマナーや慣習、文化の違いなどを理解してもらうのに、研修プログラムを用意してもらえることは非常に貴重なものです。労働安全衛生に関することも、日本独自の価値観が少なからずあります。それらを意識してもらうためにも意味がある支援です。
外国人を派遣で雇用するのにおすすめのサービス

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外国人を派遣で雇用するポイントまとめ
というわけで、外国人の派遣雇用について、市況の全体像(現状)からメリット、デメリット、注意・確認事項、そしておすすめのサービスまでお伝えしてきました。
外国人を派遣で雇用することは、人材確保やグローバル展開の基盤づくりにつながるなど企業にとってプラスの面も多い一方で、言語や文化の違いによるコミュニケーションエラーや、ビザ手続きの複雑さ、急遽帰国されるリスクなどもついて回ります。これらを踏まえて、いかに(外国人の派遣雇用を)戦略的に進められるかが、結局のところは肝要です。
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