内定者が入社日の延期を打診する主なケース
入社日の延期を打診された場合、内定者がやむを得ない事情を抱えている可能性は大いに考えられます。以下、主なケースをいくつかピックアップしていきます。
現職の引き継ぎ
まずは現職の引き継ぎ完了を理由にしたケースです。進行中のプロジェクトを担当していたり、特定の専門知識が必要な業務を任されていたりする場合、後任者への指導や業務の文書化に相応の期間を要することも考えられます。実際、入社日の延期を検討する内定者は少なからずいらっしゃいます。
家族の事情
家族の事情による延期要請は、個々のケースによって具体的な内容が異なります。代表的なものとして、家族の健康問題が挙げられるでしょう。内定者の近親者が急病や長期入院を余儀なくされる場合、現実的に生活面や医療面でのサポートが必要です。
また、家族の転勤や引っ越しが急遽決まった場合、結婚や出産といったライフイベントなどもよくある延期理由といえます。新しい生活環境の整備や各種手続き、人生の重要な節目への対応には、大なり小なり時間を要するためです。
健康上の問題
内定者自身の健康上の問題が延期要請の理由になることもしばしば見受けられます。突然、病にかかることも決して珍しくありません。特に、入院や手術が必要な状況では、回復期間が予想以上に長引くことが考えられます。入社日を延期せざるを得ないといえるでしょう。いうまでもなく過度なプレッシャー、ストレス、不安障害といった心の健康問題に直面している場合も同様です。心身の安定を取り戻すためにやはり時間はかかります。
その他プライベートな事情
プライベートな事情を優先し、入社日の延期を打診する内定者もいます。具体的には、長期にわたる海外渡航などが挙げられるでしょう。既に予約済みの海外旅行や、以前から計画していた語学研修などがその例です。これらの場合、事前に計画されていたスケジュールとの調整が困難で、入社日の延期を検討せざるを得ない可能性が出てきます。
入社日の延期を理由に内定取り消しは可能？
入社日の延期を理由とした内定取り消しについては、法的に「合理的な理由」が必要とされているため、単なる延期希望だけでは理由として不十分とみなされる可能性があります。
また、事情を考慮せずに即座に内定を取り消すことは、企業のイメージや信頼を損なうリスクがあるでしょう。内定取り消しを検討する際には、内定者に対して誠意を持って説明し、建設的な対話を通じて代替案を模索することが重要です。
裏を返せば、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があることで取り消しはできます。求人に明記された入社日から内定者都合で大幅に遅延する場合、企業側に相応の不利益を与えることもあるでしょう。こうしたケースでは妥当と見なされるのが一般的です。それでも、上述したように慎重に検討することは必要でしょう。
入社日の延期を巡って交渉が決裂するケース
入社日の延期を打診され交渉を行う際、企業側と内定者側の事情が合致せず、交渉が決裂するケースがあります。交渉決裂は双方にとって望ましい結果でないとはいえ、ビジネス上の制約や組織運営の都合により、やむを得ず内定取り消しに至る場合が稀に見られるのも現実です。以下、交渉が決裂に至る主なケースを解説していきます。
即戦力の確保が急務
企業が新たな人材を迎える際、即戦力としての役割を期待することは少なくありません。特に、急成長中のプロジェクトや人手不足に直面している部署では、入社予定者がすぐに業務に携われることが求められるでしょう。
このような状況で内定者から延期の打診があると、企業は計画の再調整を余儀なくされ、業務の進行に支障をきたす恐れが出てきます。予定どおりの人員配置が実現しないことによって、プロジェクトの遅延やクライアントとの信頼関係に影響を与えるリスクも伴います。結果、内定を取り消す判断に至るわけです。
求職者に譲歩が見られない
求職者から入社日の延期を打診された場合、採用側もなるべく落としどころを見つけようとするかもしれません。しかしながら、その要望に対して求職者に譲歩が見られない場合、双方の信頼関係に亀裂が生じかねないでしょう。企業は通常、新入社員のスムーズな入社を前提として計画を進めます。にもかかわらず、強硬な態度を取られてしまうと、仮に調整をつけられたとしても、不安は残ることになるはずです。ゆえに先々のことを考えると、内定取り消しも無難な判断といえます。
理由が不明瞭
内定者が入社日を延期したい理由を明確に伝えない場合、企業としても適切な判断が難しくなります。他の候補者の選考がまだ続いているなら、なおさらでしょう。内定取り消しも致し方なく、交渉決裂に至ることが考えられます。
延期が再三に渡る
一度は延期の打診を受け入れたとしても、それが何度も繰り返されると、さすがに内定者に対して懐疑的にならざるを得ません。採用決定を白紙に戻す決断も視野に入れるのは当然でしょう。
当落線上に他の候補者がいる
前述したように、他の候補者の選考がまだ続いている場合も考えられます。入社日の延期を打診してきた内定者に変わって他の候補者の採用に差し替える判断も一つの選択肢です。同等のスキルや経験を持ち当落線上にいたなら、よりその決断が現実的かもしれません。
入社日を延期させないための対策
入社日の延期に頭を悩ませることも多いでしょうが、事前の対策によってうまくいけば回避も可能です。以下、スムーズな人材確保の実現につなげるアクションをいくつか紹介します。
入社日までに余裕を持って内定を出す
入社日までに余裕を持って内定を出すことで、内定者も個人のスケジュールが組みやすくなるはずです。大事なのは彼・彼女たちを慌てさせないこと。入社準備を安心して行えるよう、採用プロセスの見直しも必要かもしれません。
内定通知前に求職者の状況をきちんとヒアリングする
求職者の入社可能日については、面接の段階で、明確に確認しておく必要があります。単に「いつから入社可能ですか」と尋ねるだけでなく、入社時期に影響する可能性のある要因を具体的にヒアリングするとよいでしょう。
求職者が抱える個人的な事情や制約について、率直に話せる雰囲気を作ることも重要です。入社日に関する希望だけでなく、その背景も聞ける範囲で把握できることで、企業側としても適切な配慮やサポートに力を注げます。
入社日の変更が難しい旨をきちんと伝える
入社日の変更が困難であることもきちんと伝えておきましょう。内定者自身の意識も当然大事です。たとえば、プロジェクトの開始日や他のメンバーの研修スケジュール、入社に向けた各種手続きについては内定承諾の前に念押しで確認を入れましょう。その時点で辞退される可能性もありますが、後々状況がややこしくなるリスクは軽減できるはずです。
入社日の遅延も埋められる！人材確保におすすめのサービス
どれだけ事前対策を講じても、内定者の事情によって入社日の延期が避けられないケースは発生します。このような場合、企業としては業務への影響を最小限に抑えるため、迅速な人材確保が求められるでしょう。
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内定の取り消しに至らぬよう入社日の交渉は事前に行うこと！
企業が入社日延期の交渉を受けた際は、内定を取り消すのか交渉を続けるのか悩ましいところだと思います。延期要請の背景には内定者のやむを得ない理由があることも理解し、可能な限り協力的に受け入れられればよいのですが、企業もまた安易に承諾できない事情を抱えていれば、一筋縄にはいきません。そうはいってもやはり、双方の言い分を客観性に基づき判断するのがいわゆるオーソドックスな対処法です。しかし、それ以前に、十分な準備を心がけることも疎かにしてはいけません。どうしても内定を取り消すしか手段がない状況に陥らないよう入社日の交渉は余裕を持って行うことが必須です。時には交渉が決裂するケースも考えられます。そうした事態も含めて、予防策を講じることは不可欠です。仮に対策を講じてもなお調整が困難な場合は、拙稿で紹介したスポットバイトを確保するサービスを活用するのも一つの手でしょう。そうやって、計画的なアプローチと状況に応じた柔軟な判断が肝になります。
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