内定承諾書とは、企業が採用の内定を決めた求人応募者に対し、入社の意志を確認するために送付する書類です。企業側は応募者側に採用の内定を確約し、内定者側は企業へ就職の意志を伝えることができます。今回のテーマはずばり内定承諾書です。目的や法的効力の有無、書き方(項目の作り方)、送り方……等々、幅広い切り口で解説します。

内定承諾書とは?書き方や送り方、法的効力の有無など企業向けに解説!

  • 2023.02.15
  • 2023.02.15

内定承諾書とは、企業が採用の内定を決めた求人応募者に対し、入社の意志を確認するために送付する書類です。企業側は応募者側に採用の内定を確約し、内定者側は企業へ就職の意志を伝えることができます。今回のテーマはずばり内定承諾書です。目的や法的効力の有無、書き方(項目の作り方)、送り方……等々、幅広い切り口で解説します。

内定承諾書とは?

内定が決まった就活生

冒頭でも簡単に述べましたが、内定承諾書は、内定を出した方に入社の承諾を確認してもらうために取り交わすものです。本章ではまず確実におさえておきたい基本概要をお伝えします。

内定承諾書を取り交わす大まかな流れ

内定承諾書は「入社誓約書」とも呼ばれるように、送付先の内定者が本当に入社する意志があるのかどうかを確認する役割があります。そして内定者が、届いた書類に署名・捺印をして返送すれば、すなわち入社意思を示したことになります。が、そうすんなり進むとは限りません。というのも、あまねく求職者は、複数の企業に応募しています。そのため企業からすると、もう一押しが肝要です。そこで内定承諾書を送り、合意形成を図ります。やはり、内定を出した段階では、まだ安心できない状況です。だからこそ内定承諾書によって、確かな意思を表示してもらう必要があります。そうやってたとえば「以後の就職活動を終了し、正当な理由なく入社を拒否しない」といった約束まで交わし、晴れて採用へとこぎ着けられるわけです。そのタイミングでようやく企業は、新入社員を迎える準備が行えます。

内定通知書との違い

内定承諾書と混同しやすいものに「内定通知書」があります。こちらは文字どおり内定を出したことを応募者に通知するための書類です。お察しのとおり、あくまで内定の事実を伝えることが主題で、入社意思までは確認しません。大きくはこの点が内定承諾書と異なります。いわば企業から応募者(内定者)へのお知らせに当たる内定通知書ですが、これに回答するように応募者(内定者)から企業宛てに送るのが内定承諾書です。

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内定承諾書の目的

内定者のアイコン

内定承諾書の役割が、内定を出した応募者の入社意思を確認することであるのは、繰り返しお伝えしているとおりですが、真の目的がそこに終始するかというと決してそうではなく、また別の思惑があるのも確かです。拙稿ではあえて、内定承諾書が機能する(役割を超えた)その先の狙いについて言及します。

内定辞退を防ぐため

内定承諾書を取り交わすことで、企業と応募者の間では労働契約が成立します。これによって、応募者側からすると文字どおり内定承諾を誓約したわけです。裏を返せば内定辞退を断ち切ったことを意味します。つまり企業目線からは、内定辞退を防止すべく内定承諾書を介したともいえます。

▶関連記事:内定辞退についてよくある理由や防止策などわかりやすく解説

欲しい人材を早く確保するため

自社が獲得したい人材は、大抵、他社にとっても価値の高い逸材です。挙って周りが内定を出す前に生き馬の目を抜くごとく、内定承諾書で貴重なホープを手繰り寄せたいところでしょう。他社と比較する前に応募者を確保することは、まさしく内定承諾書を取り交わす理由であり目的の一つなのです。

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応募者の意思を尊重するため

企業は、内定を出した応募者には、可能な限り入社をして欲しいと望んでいます。それゆえ、最終面接の時点で自社が第一志望であるかを確認する企業も少なくありません。しかし、せっかく内定を出したにもかかわらず、どうしても辞退するケースは出てきます。が、だからといって悲観しすぎることはないでしょう。内定承諾書の送付を機に、あらためて自社について考えてもらうことも大事です。むしろ、内定承諾書を目にすることで応募者側はより冷静な判断ができるかもしれません。その意思を最大限尊重するためにも、内定承諾書の送付は大事なのです。

内定承諾書の法的効力

内定承諾書のデータが格納されているPC

内定承諾書はいわば誓約書でもあると伝えましたが、一たび取り交わし合意に至った場合、少なからず法的な効力は生まれるのでしょうか。以下、法的効力の有無と(内定承諾書取り交わし後の)内定辞退や取り消しについて言及します。

法的効力の有無

結論からいうと、内定承諾書自体に法的な効力はありません。そのため、内定承諾書に署名・捺印を行い返送しても、応募者がその企業に入社する義務は発生しないのです。一方で企業からすると、混乱を招く恐れがあります。内定者が入社するまでの期間に入念に準備したことが無駄になり、それだけならまだしも、ほかの応募者に不採用通知を送った結果、採用活動が振り出しに戻ってしまうのは、やはり大きな痛手です。ただし、内定承諾書があることで企業の印象としては一定の信頼を得られるでしょう。また、この書類によって民法上、労働契約は成立します。

応募者が内定辞退する場合

前述のとおり、内定承諾書に合意を示したことによって、企業とは労働契約が結ばれています。したがって、内定者が入社を承諾しながら後に辞退した場合、扱いとしては、「内定辞退」ではなく「労働契約の解除」です。そして、労働契約解除の意志を示した日から2週間経過した時点で解約は成立します(民法第627条)。 

企業が内定取り消しを行う場合

企業側が内定取り消しを行う場合、雇用契約が成立しているとみなされるため、実際は「解雇」として扱われます。そのため、安易に取り消しはできません。というのも、解雇には「正当な理由」が必要だからです。労働契約法第16条 によると“客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする”と定められています。したがって、内定承諾書を取り交わした後であれば、なおさら取り消しは難しいかもしれません。

▶関連記事:アルバイトを解雇するには?妥当な理由、方法、流れについて解説

上記のとおり、内定承諾書自体には法的効力はなくとも、間接的に法律と結びついていることはわかります。いずれにせよ、内定承諾書は企業も応募者もお互いが誠意ある対応のもと締結することが大切です。

内定承諾書の記載項目と書き方

求人動向と企業の担当者たち

内定承諾書の役割や目的、法的効力の有無までわかったところで、いよいよ書類作成についてです。以下、主な記載項目の紹介と書き方を説明します。

記載項目

内定承諾書に設ける主な記載項目を補足事項交えてまとめました。

●提出年月日 
内定承諾書の提出日(確認日)の記入欄を設けます
●企業名・代表者名
企業名と代表者名を記載しておきます
●内定通知書の受領年月日
契約内容の把握している証として同封する内定通知書の受領年月日の記入欄を設けます
●内定承諾の意思確認
内定承諾の確認欄として入社する意思を示すテキストをチェック欄とあわせて記載します
●内定者本人の捺印及び署名欄
捺印欄とあわせて内定者が自筆で署名できるスペースを設けます
●(必要であれば)保証人の捺印及び署名欄 
必要に応じて、内定者本人と同様に、保証人の署名欄や捺印スペースを設けます
●誓約内容
以下のように、内定の承諾に当たって、当人に約束してもらいたいことを記載します
・内定承諾書提出後は正当な理由なく入社を拒否しないこと
・内定期間中に下記のような事項が生じた際は、内定を取り消されても不服を申し立てないこと
健康上の問題が発生したとき
書類や選考時の面接で虚偽があったとき
犯罪行為や非行があり、社員として不適切と判断されたとき
勤務に何らかの支障をきたす事象があったとき
・書類は遅延なく返送すること
・氏名や住所などに変更があった場合は速やかに連絡すること

記載する際のコツ

内定後、応募者へスムーズに発送できるよう、内定承諾書は事前にひな形を用意しておくと便利です。追加内定を含めたイレギュラーな状況にもタイムリーに対応できます。

内定承諾書の送り方

内定承諾書を郵送で送るイメージ

内定承諾書の送付手段は、基本的に郵便やメールが一般的です。が、ただ何とはなしに送ってしまっては、最悪、トラブルが生じる恐れもあります。内定承諾書はいわば内定者と企業をつなぐ大事な架け橋です。同封する内定通知書や労働条件通知書も例外ではありません。これらを内定者へ印象よく届けられるよう、以下の注意事項をぜひ、ご一読ください。

発送前に内定の旨を連絡する

内定承諾書は単独で送付することはほとんどありません。大抵の場合は、同時にもしくは事前に内定の連絡を行います。内定承諾書だけを郵送してしまうと、唐突なだけでなく大雑把な印象を与えかねません。内定者が不安や不信感を覚えないよう、内定が決まり次第、その旨だけは先に伝えるようにしましょう。

同封する内定通知書を淡白な内容にしない

内定を承諾するか否か検討する応募者にとって、同封する内定通知書は判断材料の一つになり得ます。だからこそ、淡白な内容にしてはいけません。具体的には各書類の説明、内定承諾書の返送期限や入社に関する情報、企業への問い合わせ窓口の紹介などに加え、応募に対するお礼まで伝えられるとよいでしょう。

返信用封筒もあわせて送る

内定承諾書を送り返してもらう際の「返信用封筒」も忘れてはいけません。当然、切手も相手に用意させないようにしましょう。宛名も同様です。企業名や所在地、担当部署、担当者名まで企業側で記入(貼付)し、同封してください。

情報漏洩のリスクに気を付ける

内定承諾書の送付によってプライバシーや機密情報などが漏洩するリスクは十分に考えられます。そのため、郵送の際は工夫が必要です。たとえば、厚手で中身が透けない封筒を使用するなど、細心の注意を払いましょう。また、メールの場合はくれぐれも宛先を間違わないよう気を付けなければなりません。加えて、ウイルス対策などセキュリティ面のケアも不可欠です。

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内定を出して採用活動は終わりではありません。内定承諾書を送付し、内定者から入社の意思を確かに受け取るまで、企業側はなかなか安心できないはずです。もちろん、労働契約が成立しても、その後、内定辞退が起こることも考えられます。そうこう絶えない気苦労が容易に想像できる人事のお仕事ですが、やはりそのなかでも内定承諾書の取り扱いは特別なことかもしれません。いわば採用活動における仕上げの一押しです。決して一筋縄ではいかず、役割、目的の理解はもちろん、書き方、送り方まで随所で気を配る必要があります。それゆえおすすめしたいのが人事業務の効率化を図れるサービス「コボット」です。内定承諾書はもちろん、内定通知書や労働条件通知書などの作成をすべてオンラインで済ませることができます。入社までの手続きがスムーズに完結するうえ、作業時間も減少。何よりペーパーレスであるため、その後の手続きや管理も楽に行えます。気になる方はぜひ導入ご検討いただけますと幸いです。

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