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最低賃金とは?

最低賃金は、労働者の生活を守り、公正な労働条件を確保するために、法律によって定められた賃金の最低限度額です。これは、企業が労働者に支払わなければならない最低限の賃金水準を示すものであり、すべての労働者に適用されます。「労働者の生活の安定」「労働条件の改善」「事業の公正な競争の確保」「地域経済の健全な発展」などが主な目的です。
さて、最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。前者は、各都道府県で設定される最低賃金です。その地域で働く方すべてに適用されます。通常、地方最低賃金審議会で答申のやり取りを行い、10月に入って正式に改定されます(毎年、10月1日以降が発効日です)。
そして後者ですが、これは、特定の産業や職種に対して設定される最低賃金を指します。地域別最低賃金より高い水準で設定されることがほとんどです。
繰り返しお伝えしますが、使用者は、労働者すべてに対して最低賃金の額以上を支払う義務があります。正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、派遣社員など、すべての雇用形態が対象です。また、試用期間や研修中といった条件も問いません。仮に、最低賃金を下回った場合は、ペナルティを科されます。
いわずもがな、最低賃金の改定にはくれぐれも注意を払い、違反しないように気を付けましょう。
最低賃金引き上げの現状

最低賃金引き上げについて、最新情報は下表のとおりです。
都道府県 | 最低賃金額(円) | 発効年月日 | 改定前の額(円) | 引き上げ額(円) |
---|---|---|---|---|
北海道 | 1,075 | 10月4日予定 | 1,010 | 65 |
青森 | 1,029 | 11月21日予定 | 953 | 76 |
岩手 | 1,031 | 12月1日予定 | 952 | 79 |
宮城 | 1,038 | 10月4日予定 | 973 | 65 |
秋田 | 1,031 | 3月31日予定 | 951 | 80 |
山形 | 1,032 | 12月23日予定 | 955 | 77 |
福島 | 1,033 | 1月1日予定 | 955 | 78 |
茨城 | 1,074 | 10月12日予定 | 1,005 | 69 |
栃木 | 1,068 | 10月1日予定 | 1,004 | 64 |
群馬 | 1,063 | 3月1日予定 | 985 | 78 |
埼玉 | 1,141 | 11月1日予定 | 1,078 | 63 |
千葉 | 1,140 | 10月3日予定 | 1,076 | 64 |
東京 | 1,226 | 10月3日予定 | 1,163 | 63 |
神奈川 | 1,225 | 10月4日予定 | 1,162 | 63 |
新潟 | 1,050 | 10月2日予定 | 985 | 65 |
富山 | 1,062 | 10月12日予定 | 998 | 64 |
石川 | 1,054 | 10月8日予定 | 984 | 70 |
福井 | 1,053 | 10月8日予定 | 984 | 69 |
山梨 | 1,052 | 12月1日予定 | 988 | 64 |
長野 | 1,061 | 10月3日予定 | 998 | 63 |
岐阜 | 1,065 | 10月18日予定 | 1,001 | 64 |
静岡 | 1,097 | 11月1日予定 | 1,034 | 63 |
愛知 | 1,140 | 10月18日予定 | 1,077 | 63 |
三重 | 1,087 | 11月21日予定 | 1,023 | 64 |
滋賀 | 1,080 | 10月5日予定 | 1,017 | 63 |
京都 | 1,122 | 11月21日予定 | 1,058 | 64 |
大阪 | 1,177 | 10月16日予定 | 1,114 | 63 |
兵庫 | 1,116 | 10月4日予定 | 1,052 | 64 |
奈良 | 1,051 | 11月16日予定 | 986 | 65 |
和歌山 | 1,045 | 11月1日予定 | 980 | 65 |
鳥取 | 1,030 | 10月4日予定 | 957 | 73 |
島根 | 1,033 | 11月17日予定 | 962 | 71 |
岡山 | 1,047 | 12月1日予定 | 982 | 65 |
広島 | 1,085 | 11月1日予定 | 1,020 | 65 |
山口 | 1,043 | 10月16日予定 | 979 | 64 |
徳島 | 1,046 | 1月1日予定 | 980 | 66 |
香川 | 1,036 | 10月18日予定 | 970 | 66 |
愛媛 | 1,033 | 12月1日予定 | 956 | 77 |
高知 | 1,023 | 12月1日予定 | 952 | 71 |
福岡 | 1,057 | 11月16日予定 | 992 | 65 |
佐賀 | 1,030 | 11月21日予定 | 956 | 74 |
長崎 | 1,031 | 12月1日予定 | 953 | 78 |
熊本 | 1,034 | 1月1日予定 | 952 | 82 |
大分 | 1,035 | 1月1日予定 | 954 | 81 |
宮崎 | 1,023 | 11月16日予定 | 952 | 71 |
鹿児島 | 1,026 | 11月1日予定 | 953 | 73 |
沖縄 | 1,023 | 12月1日予定 | 952 | 71 |
全国加重平均 | 1,121 | — | 1,055 | 66 |
なお、現状をよりくわしくチェックしたいなら、ぜひこちらの記事をお読みください。目安公表からの一連の流れをタイムリーに解説しています。
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最低賃金引き上げによるデメリット

最低賃金の引き上げは、先に挙げた主な目的(「労働者の生活の安定」「労働条件の改善」「事業の公正な競争の確保」「地域経済の健全な発展」など)のためとはいえ、企業やお店、施設にとっては少なからず頭を悩ますものです。具体的には次のデメリットが考えられます。
- 人件費の増加
- 雇用数の縮小
- 組織文化への影響リスク
以下、それぞれ簡単に説明します。
人件費の増加
最低賃金を引き上げることは、いうまでもなく人件費の増加を意味します。人が足りないとそこかしこで嘆く声が大きくなっている昨今、たとえ採用につなげても、そこから先はこの賃金コストにどう対峙していくかの問題が出てくるわけです。商品価格への転嫁(引き上げ)やサービスへの影響など、コスト削減のために何かしら犠牲をも払う必要もあるでしょう。状況によっては、福利厚生(の縮小)にさえ手を掛けなければならなくなるかもしれません。
雇用数の縮小
最低賃金の引き上げによって人件費が嵩むのであれば、採用活動を控えざるを得ないことにもなりかねません。限られた予算で運営している企業では、よっぽど欲しい人材でもない限り、やはり積極的な求人は躊躇してしまうはずです。結果、雇用数は縮小し、人手不足に追いやられるリスクも高まるわけですが、それは理解しつつもジレンマに悩まされる組織は、思いのほか多いと考えます。
給与体系の綻び
最低賃金の引き上げは、時に組織文化をぐらつかせるほど、ドタバタを生む恐れがあります。というのも、最低賃金の引き上げは、うまく管理できないと給与体系のバランスを崩すことにもなりかねません。仕事に精を出しその頑張りで昇給をつかみ取った方もいれば、法律上、自動的にそうなるケースもあります。これを安易に一緒くたにしてしまうと、公正さは失われるでしょう。そうなると当然、モチベーションやチームワークに支障をきたすことが懸念されます。こうした賃金に対する不満が高まり離職者が増えていくのは、当然、起き得るリスクです。
最低賃金引き上げによるメリット

最低賃金の引き上げによってデメリットが生じる一方で、メリットがあることも確かです。つい、ネガティブな要素ばかりに目がいきがちですが、メリットまでしっかり把握できると動き方も変わってくるでしょう。具体的には次のとおりです。
- 離職率の低下
- 生産性の向上
- 企業評価を一新するチャンス
以下、それぞれ簡単に説明します。
離職率の低下
待遇面を理由に離職する人は思いのほか多いものです。ゆえに最低賃金の引き上げがこれを回避することは、当然あり得ます。賃金アップは従業員にとって多少なりとも喜ばしいことです。辞めることを検討していたなかで“まだ頑張れる”と、前向きになってもらえるかもしれません。
生産性の向上
賃金アップは、前述のとおり、仕事(職場)に対して少なからず前向きな気持ちをもたらすものです。そうなると、大なり小なりパフォーマンスにも良い影響を及ぼすことでしょう。業務効率にも同様の期待が持てます。結果的に、最低賃金の引き上げは、生産性向上に一役買うわけです。
企業評価を一新するチャンス
最低賃金の引き上げは必ず行わなければならないものですが、そうなると、待遇面で競合他社と横並びになることも少なくありません。ここで思い切って差をつけることで、自社に対する求職者の印象をよくできるかもしれません。あるいは、改定額がわかったタイミングで先に賃上げを実施するのも有効です。いずれしても、世の中の変化を機に企業評価が一新されることは往々にしてあります。そのチャンスをメリットと捉えることは、十分可能です。
最低賃金引き上げによる会社への影響

前述したデメリット、そしてメリットからもわかるように、最低賃金の引き上げは、企業に対して大なり小なり影響を及ぼします。あらためて整理しましょう。
賃金の引き上げにより人件費が増えるため、特に中小企業や人手が多く必要な業界では、コスト負担が大きくなります。利益を減らすのか、商品の値段を上げるのか、はたまた、残業を禁止にするのか、正社員雇用を減らすのか……等々、対応にはいくつもの選択肢が浮上してくるでしょう。一方で、マイナスの影響ばかりではありません。従業員の生活が少しでも豊かになれば、感謝そして安心感を持って長く働いてくれる可能性もあります。端から悲観的にならず、引き上げが実施されることを前提にどういったアクションを講じていくべきかしっかり考えていく方が、つまるところ建設的です。続けて次章にて、その辺りをもう少し具体的にお伝えします。
最低賃金引き上げで会社がすべきこととは?

最低賃金の引き上げに際して、ただルールを守るだけでなく、会社としてすべきことをしっかりと把握しておく必要があります。そのうえでまず大事なのは、コスト全体の見直しです。人件費が増えることで利益率の圧迫が懸念されますが、だからといって従業員の削減や(比較的支給額の多いスタッフの賃金を下げるなど)給与体系の調整は避けるべきです。これらは生産性や一人ひとりのモチベーションに支障をきたす恐れがあります。ゆえに取り組むべきは、無駄な支出の削減や経費の最適化です。これは業務効率の改善も含まれます。業務フローを変えるだけでコスト削減につながれば、人件費が増えた分もカバー可能です。
また、働き方も見直せる余地があるかもしれません。柔軟な勤務形態はまさにその典型です。時短勤務のニーズは少なからずあり、そうした声に応えつつ人員配置をうまく行えれば、最低賃金が上がっても、そう人件費は嵩まず、かつ費用対効果も高水準を維持できるでしょう。
さらには、最低賃金の引き上げを契機に、キャリア育成に注力することも重要です。スキルアップの機会を提供し、従業員が成長できる環境を整えることで、長期的には、彼・彼女らが自社の中核を支えてくれる期待が持てます。結果として、最低賃金の引き上げが企業の未来に向けた投資となるのです。
このように、最低賃金の引き上げを、単にコストが増えるだけと捉えるのではなく、従業員のスキル向上や働きやすい環境づくりを進める好機とし、会社全体の基盤を強化していく方へと舵を切れるのが望ましいでしょう。
最低賃金の引き上げがもたらすものはデメリットだけではない!

最低賃金の引き上げは、一見すると企業にとって負担が増えるだけのように思われますが、拙稿でお伝えしたように、捉え方次第ではメリットへ転化することも可能です。
待遇改善も含めて、従業員が働きやすい環境を整えるにはよいタイミングだと考えます。この機会を有意義に活用できたなら、モチベーションそして生産性が上がることも期待できるでしょう。スキルアップを支援するなど、本格的に育成に注力することも大事です。最低賃金の引き上げは、人が辞めない組織づくりのきっかけになり得ます。ぜひ、デメリットを払しょくできるよう意識、行動をアップデートしてみてください。
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