定期採用とは

定期採用とは、毎年同じ時期に新卒の学生を一括で採用する人事制度です。そのため、文字どおり新卒一括採用とも呼ばれます。
決められた採用情報の解禁日にあわせて、新卒採用を開始するのが主な流れです。そうやって統制されてきた背景には、就職活動が学業の妨げにならないようにという理由があります。
本章で取り上げるトピックは次のとおりです。
- 日本における定期採用の現状
- 通年採用との違い
- 中途採用との違い
以下、それぞれ詳述します。
日本における定期採用の現状
日本企業における定期採用は、4年制大学の卒業生を対象に、4月の入社に向けて行うのが一般的です。そうはいっても近年は、秋入社や通年採用に移行している企業も少なくありません。そこにはグローバル化が進んでいる趨勢や人材確保の観点がうかがえます。今後もこの傾向は続くのではないかというのが大方の見方です。
通年採用との違い
定期採用と通年採用の大きな違いは、採用活動を行う時期が異なることです。繰り返しますが、前者は、特定の時期に採用活動を集中して行います。3月卒業の学生を対象に、前年の夏頃から採用活動を本格化させ、翌年の4月入社に備えるといった具合です。一方で後者は、年間を通して自由に採用活動が行われます。欠員補充が必要であれば、随時募集するといったスタイルです。
中途採用との違い
中途採用も基本、通年採用と同じスタンスです。一年通じて、必要なタイミングで採用活動が行われます。対象が転職者であるのに対して、新卒も含まれる点が通年採用との違いですが、そう考えると、定期採用とはまるで異なるのがわかります。
定期採用のメリット

長らく定期採用が定着している背景には、当然、ポジティブな理由があります。具体的には、次の3つのメリットです。
- 採用計画を立てやすい
- まとまった人員を確保できる
- 教育コストを抑えやすい
以下、それぞれ詳述します。
採用計画を立てやすい
毎年の採用時期が固定されれば、その分、計画は立てやすくなります。選考プロセスや内定者フォローなどの一連の流れに対する取り決めも同様です。
まとまった人員を確保できる
企業は定期採用を行うことで、一度にまとまった人員を確保できます。これは上述したように、採用計画を立てやすいからこそ実現できるメリットです。慌てた状態で大量募集しても、なかなか思うようにはいかないでしょう。定期採用であれである程度、傾向を踏まえて計画を実行できます。つまり定期採用は、人員が集まることを見越せる意味で戦略的なのです。
教育コストを抑えやすい
新卒の社員には教育・研修が必須です。組織図や企業理念の共有、ビジネスマナーのレクチャー、業務内容を中心とした各部署についての説明、そのほかメンターによるOJTなど、それなりにコストがかかります。そうはいっても定期採用では、これらを一斉に行えます。入社のタイミングが同じだからこそ、講師の手配や研修資料の作成などを効率的に進められる点はやはりメリットです。と同時に、新入社員同士で切磋琢磨できる関係、環境が生まれる期待も持てます。うまくいけば人材育成の相乗効果につながるでしょう。
定期採用のデメリット

前述のメリットがある一方で、定期採用には次のようなデメリットが挙げられます。
- 繁忙期の負担が大きい
- 市況の変化に順応しづらい
- 求める人材に出会うチャンスを逃しやすい
以下、それぞれ詳述します。
繁忙期の負担が大きい
定期採用は、採用活動の時期が集中するため、その期間は人事部門を中心に非常に大きな負担がかかります。この繁忙期に備えるため、人事部門では通常業務との兼ね合いで人員を確保する必要があり、一時的な応援体制を組む企業も少なくありません。業務過多の状況長期化によって、人事担当者の心身が蝕まれていくことは容易に想像できます。
市況の変化に順応しづらい
定期採用では、人員の算出などは過去の実績をベースにするため、目まぐるしい市況の変化に柔軟に対応することがどうしても困難になるきらいがあります。経済情勢の悪化による人員過剰もあるかもしれません。はたまた新規参入したくとも人員不足で動けない事態に陥ることも考えられます。
求める人材に出会うチャンスを逃しやすい
定期採用では、新卒者の入社時期が年度の節目に集中するため、以降に優秀な人材と出会っても、次年度まで待たなければなりません。特に成長真っ只中の企業の場合、欲しい人材の要件が短いスパンで変わることはざらにあります。そうなると、一度ならず二度、三度と機会損失が起きてしまっても、何らおかしくないでしょう。
定期採用のコツ

定期採用のメリット・デメリットを踏まえたうえで、採用を成功させるにはどのようなアクションが必要なのでしょう。本章では定期採用のコツを3つ紹介します。それぞれ次のとおりです。
- 採用ペルソナを明確にする
- 採用プロセスの最適化を図る
- 多様な人材組織を目指す
以下、詳述します。
採用ペルソナを明確にする
定期採用に限らず、求人には明確な目的とターゲットが不可欠です。とりわけ後者は、なるべく詳細に定義しておいた方が、一括採用ではブレずに済むでしょう。これを突き詰めたものがいわゆる「採用ペルソナ」です。採用に至るまでのストーリーのなかでキャラクターが立つように明確化できれば、採用に携わる人のみならず、従業員全員が採用要件を把握しやすくなります。新入社員に対する理解促進にもつながり、組織はまた一段と団結力が高まるでしょう。
▶関連記事:採用ペルソナの作り方をテンプレートに使える具体例も交えて解説
採用プロセスの最適化を図る
定期採用における一連の流れに対しては、多くの企業で課題があると指摘されています。具体的には効率アップやミス軽減などです。改善の余地があれば、積極的に見直しを図った方がよいでしょう。昨今は、デジタルツールを活用した応募者の自動管理など、採用業務自体、どんどん進化しています。こうした動きに乗り遅れないよう、トレンドへの目配りも含めて、採用プロセスの最適化に注力することが大事です。
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多様な人材組織を目指す
定期採用で入社される方はどうしても新卒の学生ばかりになるため、組織内の多様性が損なわれがちです。しかし、近年の社会情勢を鑑みると、多様な視点や価値観を取り入れることが重視されています。そこで定期採用においても、次のような取り組みが求められます。
- 中途採用との併用
- ダイバーシティ採用の促進
- 障がい者雇用の拡大
中途採用の併用については、経験ある転職者も積極的に迎え入れ、新卒社員とのハイブリッド組織を形成していくことが狙いです。
▶関連記事:中途採用比率の公表義務化を解説!企業への影響や対応にも言及
また、性別や国籍、年齢などに捉われず、多様な背景を持つ人材を積極的に確保していくダイバーシティ採用も、この先当たり前になってくるでしょう。
▶関連記事:ダイバーシティ採用とは?企業の取り組み事例やアンケート調査の結果も交えて解説
障がい者雇用も多様な人材組織を作るには、視野に入れておきたい手法です。障がいの有無に関わらず能力を正しく評価できることは、企業風土のアップデートにもつながります。
▶関連記事:障がい者雇用とは?メリット・デメリット、助成金の話など
このように、定期採用においても多様な人材を取り込むことで、組織の活性化や新しい価値創造が期待できます。ただし多様性を追求しすぎると、元来魅力的だった企業文化の希薄化や求心力の低下につながる可能性もあるため、バランスを取ることが肝心です。
定期採用を見直すタイミング

定期採用は長年にわたり日本の企業で行われてきた採用形態ですが、環境の変化に伴い見直す必要が出てきているのも確かです。では、実際、どのタイミングで検討していくのがよいのでしょうか。具体的に挙げるなら、次のとおりです。
- 市況が変化したとき
- 自組織が成長したとき
以下、それぞれ詳述します。
市況の変化
企業を取り巻く市況は常に変化しています。特に近年は技術革新やグローバル化の影響で、事業環境の変化サイクルが短くなっています。ゆえに近い将来ではなく、連綿と続く未来を見据えることが大事です。が、実際は定期採用のように長期的な視点で人材計画を立てることは難しくなっています。
たとえば、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、リモートワークが一気に普及したのは記憶に新しいところです。このとき、サービス業では非対面での商談が増え、製造業でもデジタル化の要請が高まりました。
こうした世相によって求めるスキルセットも変わってきます。当然、定期採用の是非も問われるでしょう。市況の変化はまさにそれを告げるシグナルです。
自組織の成長
組織が成長する過程でも、求める人材が変化することがあります。たとえば、創業期には汎用的なゼネラリストを求めていたものの、事業が軌道に乗ると専門性の高いスペシャリストが必要となるケースなどです。
また、事業拡大に伴い、組織の規模が大きくなったときも一つの分岐点に挙げられます。従来の定期採用だけでは、必要な人材を確保できない可能性も出てくるでしょう。
そのほか、本来であればもっと飛躍的に成長するはずだったのが思いのほか停滞しているように感じられる企業も、状況を打破するために従来の定期採用を見直す必要(というよりも価値)があると考えます。
定期採用のこれから

繰り返しお伝えしているように、定期採用は長年にわたり日本企業で主流となってきた採用形態です。が、近年の環境変化に伴い、その在り方を見直す必要が出てきています。
少子高齢化が進み、かつ新規学卒者数が減少するなかで、優秀な人材を定期採用のみで確保することは正直、困難です。だからこそ、通年での中途採用に切り替える企業も増えてきています。
もちろん、拙稿で取り上げたようにメリットがあるのも確かです。したがって、大事なのはフレキシブルな取り組み方だと考えます。自社の事業環境に合わせて、定期採用と通年採用をうまくミックスさせるのも一つの手です。新卒一括採用に固執することが果たして最適解なのか。しっかり精査したうえで、次のフェーズに突入することをおすすめします。
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