働き方が多様化するなかで、雇用形態の選択肢も近年は広がってきているように感じられます。そして今回、フォーカスするテーマはずばりアルバイトと業務委託の違いについてです。雇う側であれば確実に知っておきたいことを中心に、それぞれのスタイルからメリット・デメリットまで幅広く言及します。

業務委託とアルバイトの違いは?各メリット・デメリット交えて解説

  • 2023.04.07
  • 2023.04.07

働き方が多様化するなかで、雇用形態の選択肢も近年は広がってきているように感じられます。そして今回、フォーカスするテーマはずばりアルバイトと業務委託の違いについてです。雇う側であれば確実に知っておきたいことを中心に、それぞれのスタイルからメリット・デメリットまで幅広く言及します。

求人・採用にお悩みの企業様へ

契約面でみる業務委託とアルバイトの違い

業務委託とアルバイトを比較

業務委託とアルバイトでは、契約の内容が異なります。具体的には給与や勤務時間、仕事の進め方、社会保険の加入についてなどです。業務委託契約に関する基礎知識を中心に以下、その違いをお伝えします。

業務委託契約とは?

業務委託契約は、自社の従業員ではない個人(主にフリーランスやサブビジネスを行っている方)と結ぶものです。就業場所や時間、進め方は基本的に自由に任せているケースが多いと思われます。なかでも場所を問わない点は、企業側にとって便利だといえるでしょう。極端な話、世界中の方に仕事をお願いできるわけです。あらためてまとめると、社外の人間とのパートナー契約が、この業務委託契約に当たります。

ただし、この言葉自体、すなわち“業務委託契約”は、実のところ法律上で定められたものではありません。厳密には「委任契約」「準委任契約」「請負契約」の用語として扱われ、ケースバイケースでそれぞれ使い分けられています。

委任契約

委任契約とは、文字どおり業務を委任し、遂行してもらった分に対して報酬を支払うものです。弁護士が被告の弁護を行うなどいわゆる法律行為の業務が該当します。

準委任契約

準委任契約の場合、適用されるのは「病院で患者の診察を行う」「美容室でお客様の髪をカットする」「クライアント企業に常駐してシステム開発を行う」といった法律行為から外れる業務です。なお、報酬の支払いなどは基本、委任契約と変わりません。

請負契約

請負契約とは、委託者として発注側が受託者(請負人)に、成果物への報酬を支払う契約を指します。仮に納品された成果物に欠陥や不備があった場合は、委託者が受託者に対して修正あるいは損害賠償を求めることも可能です。総じて、委任契約や準委任契約が“行為”自体を依頼することに対して、請負契約では品質を求めることになる傾向にあります。

アルバイトは直接雇用

アルバイトに対して企業が結ぶのは「雇用契約」です。企業は業務の指導や勤務時間の指定ができ、アルバイトの方々は取り交わした契約内容のもと、それらの指示に従い業務を行っていきます。

なお、雇用契約を結ぶ(企業が直接従業員として雇用する)と、法律上その個人は「労働者」です。これによって労働法が適用され、たとえば福利厚生や社会保険への加入といった手続きが発生することになります。

報酬面でみる業務委託とアルバイトの違い

報酬面でみる業務委託とアルバイトの違い

前項では広い観点として契約面から大まかな違いをお伝えしましたが、以後、細かい要素で比較していきます。一つは報酬面です。それぞれ明確に異なることはもちろん、モチベーションになり得るポイントやよくある要望、手続きについてなど付随する特性まで理解しておくと、いざ雇う際にも役立つでしょう。

業務委託は成果報酬制

業務委託の場合、基本、成果報酬制です。つまり、時間ではなく遂行した業務に応じて報酬が支払われます。受託者側からすると、自身の専門分野や報酬の高い案件を選択したくなるものですが、なかにはスキル向上のための経験重視で賃金にさほどプライオリティを置かない向きがあるのも確かです。

また、税金の手続きについても、アルバイトとははっきりとした違いがみられます。アルバイトであれ雇用契約なら企業側が年末調整を行う一方で、業務委託に関していうと、彼・彼女らが自身で確定申告を済ませなければなりません。なお、確定申告を行う際の所得区分は「雑所得」あるいは「事業所得」が該当します。

アルバイトは時間単価制

企業が直接雇用するアルバイトに対しては、時給や日給を定め、勤務時間あるいは労働日数と掛け合わせそれを支払います。税金に関しては、年間で合計した給与が103万円を超えた場合、負担するのは本人たちです。これは学生も主婦(主夫)も変わりません。そうしたなか、アルバイト従業員から扶養内で働きたいことを理由に103万円以下に抑えたい要望が出てくるケースがあります。その際はシフトの調整などを図ることになるでしょう。なお、所定労働時間を超えて働かせた場合には、残業代を支給しなければなりません。

給与明細書の発行義務

所得税法において、雇用主は給与の支払いを受ける者に対しては明細書を交付することが定められています。したがって、アルバイトに対しては給与明細書の発行が必要です。他方、業務委託の場合、企業が支払うものは“給与”でなく“報酬”として扱われるため、発行の義務はありません。

福利厚生面でみる業務委託とアルバイトの違い

賃金を含めた待遇の違いを示唆するイメージ

続いて、福利厚生面における業務委託とアルバイトの違いをお伝えします。法定福利厚生をメインに取り上げつつ、法定外福利厚生についてもざっと言及。いずれにしても、企業側にアクションが必要か否かをしっかり把握しておきましょう。

業務委託の保険加入手続きについて

業務委託の方は社会保険に個人で加入する場合、全額自己負担です。企業側は手続きする必要はありません。同様に労災保険や失業保険なども対象から外れます。したがって、企業側に保障の義務はなく、業務委託の方は諸々、自身での管理を余儀なくされます。

アルバイトの保険加入手続きについて

アルバイトを雇用した際、一定の条件下では、国民健康保険・国民年金保険・社会保険・雇用保険への加入手続きが必要です。たとえば社会保険の場合、従業員数101人以上の企業が該当します。また、労災保険は問答無用にすべての従業員の加入が義務付けられ、雇用保険に関しても31日以上の雇用見込みがあり、なおかつ所定労働時間が1週間で20時間以上の労働者に対しては全員、必須です。 

なお、労災保険と雇用保険は「労働保険」として一元化されるケースもあります。加入するためには、労働基準監督署または公共職業安定所に「保険関係成立届」を提出するなどの手続きを行わなければなりません。 

▶関連記事:個人事業主が従業員(アルバイト含む)を雇用する際の手続きについて

法定外福利厚生について

社会保険料の負担や児童手当拠出金の納付など法定福利厚生に該当するものに対して、通勤手当や住宅手当など企業が独自に設けている福利厚生が「法定外福利厚生」です。以前は正社員に限って与えられていましたが、昨今はアルバイトであっても、そこに不合理な差が生まれないよう法律上でも規定されるようになっています。なお、あくまで雇用契約内の話です(業務委託は適用外です)。

▶関連記事:同一労働同一賃金とは?パートタイム・有期雇用労働法の解説交えて言及!

業務委託契約における企業側のメリットとデメリット

業務委託契約における企業側のメリットとデメリット

業務委託とアルバイト、ここまでいくつかの項目で各特徴とともに違いを浮き彫りにしてきましたが、メリットやデメリットにおいても、紐解けばそれぞれ独自の視点が露わになってきます。本章ではまず、業務委託契約で考えられるメリット、そしてデメリットを紹介します。

業務委託契約を結ぶメリット

まず、企業が業務委託を活用するメリットとして、人件費以外のコストを抑えられる点が挙げられます。業務委託先の企業や個人は自社で雇用しているわけではないため、労働基準法が適用されません。そのため、保険料の負担や、備品(携帯電話・パソコン・ロッカーなど)を提供せずに済みます。また、スキルの高い人材であれば、新入社員のように教育する時間や手間もかからず、教育コストの削減にもつながります。同様に各方面から人材を集められれば、業務内容に合わせて適材適所で各人を割り当てられるため、効率的にプロジェクトを進められるでしょう。仮に普段、煩わしいルーティン業務(事務作業など)があれば、委託一つでその分のリソースを空けられます。結果、生産性向上にもつなげられる期待が持てます。

業務委託契約を結ぶデメリット

おそらく大抵は業務委託によってコスト削減が実現できると思われますが、一方で当たり前と高を括っていると、思いもよらず痛い目に遭う可能性があります。というのは専門性が高い分野になればなるほど、それなりに成果報酬が嵩むことが考えられるからです。

また、そもそも打診した依頼や契約を相手側が受けるあるいは継続してくれるとは限りません。引く手あまたの方であれば、金額が倍々ゲームになり、気付けば大きな赤字につながることも決して珍しくないのです。加えて、業務委託に頼りすぎたせいで自社の人材が育たないケースもよく見聞きする話です。外部に依頼してばかりしていると、従業員のスキルや知識を向上させる機会がなくなり、社内になかなかノウハウが蓄積されないといった状況ができてしまいます。

さらには、たとえ経験値が高くその道のプロフェッショナルだとしても、委任する側の要求に応えてくれないことが往々にしてあります。進捗管理の難しさもそう。意思疎通がとれないといった悩みを抱える企業は、やはり多い印象を受けます。

専門スキルの高い人材を確保しつつ、上述したデメリットを払拭していくには、やはり採用活動に注力し、社内に新たなメンバーを迎え入れることが一つ有効でしょう。そこで推奨したいサービスが「バイトルPRO」です。ターゲットやコンセプトを明確に設定し訴求。その業界に特化した資格・スキルを持つ求職者とのマッチングが期待できます。

プロ志向の人材が確保できるサービス
⇒バイトルPROへのお問い合わせ(無料)
料金やプラン、些細なことでもご相談可能
サービスのご案内についてはこちら▼
即戦力・専門職の人材募集に特化 
サービスの導入事例をピックアップ▼
採用コスト削減!人材要件にもマッチ

アルバイト契約における企業側のメリットとデメリット

アルバイト契約における企業側のメリットとデメリット

アルバイト契約においても当然、企業側にもたらすメリットがあれば、念頭に置くべきデメリットも存在します。採用活動に取り組む際は、今一度それぞれ把握しているか否か、確認してみてください。

アルバイトを雇うメリット

短期でも長期でも柔軟に募集できる点は、やはりアルバイトを雇うメリットの一つに挙げられるでしょう。また、双方でシフトに合意が取れれば、コストを無駄に掛けることなく効率的にプロジェクトを進められます。繁忙期だけ集中的に働いてもらうことも可能です。人手不足を補う意味でも、アルバイト採用は積極的に取り組む価値があるといえます。マッチングの高い人材であれば、育成も検討したいところです。アルバイトの方々の戦力をどう活用するかで業績が変わることも考えられます。うまく育てながら長期的に貢献してもらえれば、それは理想的です。いずれにしても、そうした選択肢やビジョンが生まれること自体、メリットと捉えてよいのかもしれません。

アルバイトを雇うデメリット

学生アルバイトに多いのが、サークル活動やイベント、テストなどを理由に一定期間まとめて休まれるケースです。また、卒業や新年度を迎えるタイミングなどは、多くのアルバイトが一遍に辞めることも覚悟しておいた方がよいでしょう。他方、離職理由が時期に依存しない傾向にある主婦(主夫)に対しても、目配りは必要です。家庭の都合があるため、想定したシフトで回らないことは多々見受けられます。総じてアルバイト全般にいえることとして、急な欠勤も付きまといます。柔軟に対処できる体制づくり、と同時に新たな採用活動も視野に入れることが大切です。

業務委託とアルバイトの違いの把握は人事知識の基本!

AとBの積み木を業務委託とアルバイトになぞらえた画像

業務委託とアルバイトには、契約タイプ、勤務時間や場所を含む働き方、報酬と給与の概念、保険への加入、確定申告の手続き……等々、多くの違いがあります。とりわけ労働法による労働者としての保護の有無は象徴的です。アルバイトは雇用契約を結ぶため「労働者」に該当し保護される一方で業務委託は、自営業・個人事業主と変わらないために対象から外れています。ゆえにアルバイトを雇った場合は(一定の条件下で)各種保険への加入手続きが必要になるわけです。メリット・デメリットについても多様な観点から見出すことができます。もちろん、企業側の事情を考慮すると一概にいえるものではありません。大切なのは、あらゆるパターンを知ることです。総合的に比較したうえで、どの雇用形態の人材を採用するか検討するとよいでしょう。

なお、dipでは企業の求人ニーズに合わせたターゲティングがスムーズに行えるサービスを提供しています。バイトテロ対策につながる最適な人材を採用すべく、ぜひ、導入をご検討ください。

掲載までの期間や料金などを確認したい
(無料)求人掲載のお問い合わせ ≫
採用プロセスについても相談可◎

【公式】バイトルならアルバイト求人募集の掲載料金プランを選択可能
┗日本最大級のアルバイト・パート求人サイト。認知度も高く、さまざまなユーザー層から利用されています。独自のサービス機能で求職者と素早くマッチングします。

【企業向け/公式】バイトルNEXT – 掲載料金表あり!社員採用なら
┗社員を目指す方のための求人サイト。NEXT(ネクスト)ユーザーは55%が20~30代です。社員になる意欲の高い、第二新卒層を含めた若手社員の採用が見込めます。

【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!
┗資格・経験を持った人材や専門職の求人サイト。応募者の7割が業界経験者です。プロフェッショナルな人材の募集にぜひご利用ください。

【企業向け/公式】はたらこねっと – 掲載料金プランあり。派遣以外も!
┗日本最大級の社員/派遣/パートの求人サイト。業界最大級の案件数で、就業経験のある方が77%を占めます。幅広い年齢層から利用されている求人サイトです。

TOP