本記事では、アルバイトの離職率が高い職場の特徴や原因を探るとともに、定着率を高める方法まで幅広く解説。人材確保に苦戦されている人事担当者や経営者の方のお役に立てれば幸いです。

アルバイトの離職率が高い職場の特徴や原因、定着につながる対策を解説

  • 2024.09.24
  • 2024.09.24

本記事では、アルバイトの離職率が高い職場の特徴や原因を探るとともに、定着率を高める方法まで幅広く解説。人材確保に苦戦されている人事担当者や経営者の方のお役に立てれば幸いです。

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アルバイトの離職率について

退職願を出すアルバイトスタッフ

まずはアルバイトの離職率について基本的なことからお伝えします。計算方法に加え、実際のデータ、さらには未充足求人が多い業種もピックアップ。これらを把握するだけでも、市況感含めてアルバイトの離職に対する解像度は全然変わってくるでしょう。

離職率とは?どう計算する?

離職率は、特定の期間内に辞める(離職する)従業員の割合を示す指標です。次の計算式によって求めることができます。

離職率(%) = (離職した従業員の数 / 期間初めの従業員数) × 100

たとえば、年度の初めに従業員数が200人いたとしましょう。一年間に30人が退職した場合の離職率はこのように計算されます。 

(30 / 200) × 100 = 15%

アルバイトの離職率は?

厚生労働省が公表した『令和5年上半期雇用動向調査結果の概況』によれば、アルバイト(パートタイム労働者)の離職率は、2022年上半期が13.7%、2023年上半期が13.5%でした。前者は入職率が13.2%で離職超過の状況だったわけですが、1年経ってそれは解消されたようです(入職率は15.1%でした)。しかしながら、業種・職種によってはいまだ採用よりも辞める人が多い状況は見られます(常用労働者全体では「不動産業,物品賃貸業」「学術研究,専門・技術サービス業」が該当)。そもそも離職者が多いこと自体は大いに問題です。「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」「医療,福祉」などの業界は、顕著にその傾向にあります。

未充足求人が多い業種は?

「未充足求人」とは、従事してほしい仕事があるものの、適切な応募者が見つからずに募集(補充)し続けている求人(人)を指します。令和5年6月末日時点の未充足求人数は14,894,000人、このうちアルバイトの未充足求人数は6,606,000人でした。以下、産業別、職業別にいくつか未充足求人のデータを抜粋します(参照:『令和5年上半期雇用動向調査結果の概況』)。

産業別 未充足求人(単位:千人)
宿泊業、飲食サービス業:336.0(うちアルバイト266.2)
卸売業、小売業:255.2(うちアルバイト124.8)
医療、福祉:221.6(うちアルバイト90.9)
職業別 未充足求人(単位:千人)
サービス職業従事者:409.7(うちアルバイト302.8)
販売従事者:209.9(うちアルバイト143.0)
専門的・技術的職業従事者:335.2(うちアルバイト63.6)

上記で挙げた業種・職種は、欠員率も高い傾向にあります。

アルバイトの離職率が高いことによるリスク

奥に広がるRISKの文字

アルバイトの離職率が高い職場は、少なからず経営上のリスクを抱えています。採用コストの増加、品質の低下、企業イメージの損失に直結し、最悪の場合、事業の継続さえ危ぶまれるでしょう。本章ではこれらについて深掘ります。

採用コストが嵩む

新規採用には、広告費、応募対応、選考管理、研修・教育といったさまざまなコストが必要です。これらが繰り返し発生すると全体の運営効率に当然、影響を及ぼします。経験豊富なスタッフの流出となると、さらに大きな痛手でしょう。

サービスの質、生産性を上げられない

アルバイトが頻繁に入れ替われば、一から教わらないといけない新人と教育係を任されるベテランのバランスは崩れていきます。スタッフ間の連携やチームワークの構築は難しくなる一方です。そうなると、サービスの質と生産性に支障をきたすでしょう。作業効率の低下、ミスの頻出など悪循環に陥る恐れがあります。

企業イメージとして認識される

アルバイトの離職率が高ければ、いわゆるブラック企業の烙印を押されるかもしれません。従業員の不安も増すばかりです。このようなネガティブなイメージが固定化されると、当然、採用も困難をきわめます。人手不足の問題は、どんどんと深刻化していくでしょう。

閉店に追いやられる

アルバイトが多く辞めることで営業できなくなるお店は決して少なくありません。昨今は人手不足倒産の件数も増えています。実際、欠員が増えると、特に小規模なビジネスや個人経営の場合、事業継続は難しいでしょう。売上の低迷も含めて、資金繰りに問題が起きやすく、閉店という最悪の結果に至らざるを得なくなります。

アルバイトの離職率が高い職場の特徴

「辞めたい」と悩むアルバイトスタッフ

アルバイトの離職率が高い職場には、少なからず共通点があるものです。具体的には次のような特徴が当てはまります。

以下、それぞれ簡単に説明します。

労働条件がよくない

アルバイトに限った話ではありませんが、労働条件がよくないとやはり、辞める方はどんどんと出てきます。低賃金、長時間労働、融通が利かない不規則なシフト……等々はまさに典型。ほかと比較してよい職場があれば、そちらに流れるのも無理はないでしょう。

求人と実態が異なる

求人広告と現場の実態に乖離があれば、スタッフは入って早々に不信感を募らせることでしょう。当然、離職にもつながりやすくなります。認識の齟齬も同様です。たとえ意図的でなくても、実際の職場(労働)環境に対して求人内容が曖昧な職場は往々にして早期離職を招きやすい傾向にあります。「チームワークを重視した職場」と謳いながら個々の業務に追われることが日常茶飯事であったり、「万全な教育体制」と打ち出しているにもかかわらず、放置される時間が多かったりと、そういう職場は実によく見受けられます。

スタッフ同士の人間関係がよくない

スタッフ同士の人間関係が悪い職場も、辞める人を多く生み出しがちです。それもそのはず、職場の雰囲気は従業員の士気にもつながります。これがよくなければ、人は定着しないでしょう。いじめはもってのほか。派閥さえも明白化すればストレスの温床です。

掃除や雑務をアルバイトにいつも押し付ける

朝の掃除をアルバイトだけで行う職場も少なくないでしょう。そのほかの雑務も同様。悲しいかな、それらをとりあえずアルバイトに押し付け、社員の方々がふんぞり返っている光景を目にしたことがあります。果たして、そのような会社で人は長く働きたいと思うのでしょうか(いや、思わない)。任せるにしても、最低限のリスペクトや感謝を伝えることは必要だと考えます。

特に業務の指示もなく放置されるアルバイトが多い

アルバイトの離職率が高い職場では、教育体制や指示系統がずさんなところも少なくありません。大抵の場合、スタッフが放置される状況を作ってしまうため、不安の増幅から辞める人が次々とあらわれます。

オフィスが汚い

オフィスが汚い職場も、アルバイトの離職率は高い傾向にあります。特にトイレは大事です。不衛生な場所で働くと気分が滅入るのも仕方ありません。辞める人が多いのも容易に頷けます。

価値観が古い

古い価値観が蔓延る職場は、若い方に限らず離職者を生みやすい環境です。融通が利かないこと、不便なシステムなどに、ストレスや不安な心情を抱くのも無理はありません。彼・彼女らのほとんどは、そこに居続けることに大なり小なり危機感を覚えています。

アルバイトの離職率が高い原因

虫眼鏡に映し出される要因の文字

前述したアルバイトの離職率が高い職場に見られる特徴は、まさにその原因とも直結するケースがほとんどです。なぜ、離職率が高いのか。主に次の理由が考えられます。

以下、それぞれ簡単に説明します。

従業員管理が疎かになっている

従業員管理が疎かであればアルバイトの離職を簡単に招いてしまいます。実際の労働時間にミスや説明不足の面があれば、たちまち不信感が芽生えるでしょう。給与に関わってくればなおさらです。蔑ろに扱われていると感じれば、従業員の不安、そして不満は蓄積します。遅かれ早かれ、辞めた方がよさそうという思考へと変わっていくわけです。

シフトの融通が利かない

昨今はシフトの柔軟性を重視する方が多いなかで、ここの融通が利かないと、働きづらいと思われ、辞められてしまう懸念は高まるでしょう。実際、家事・育児、学業、就職活動……云々と私生活のバランスが崩れてしまうことを理由にした離職はそこかしこで起きています。

長時間労働

長時間労働など過度に負担を掛けると、アルバイトの健康を損ないます。当然、ワークライフバランスも保てないでしょう。こうした環境で働き続けてもらうのは、さすがに無理があると考えます。そうはいっても、それを強いる状況があるのもまた確かです。

時給がなかなか上がらない

いくら頑張っても時給が上がらなければ、モチベーションの低下につながります。そこで他社の求人を見て魅力的に感じれば、辞める方が出てくるのも当然です。もちろん、闇雲にアップさせればよいわけではありませんが、人の定着に影響しやすい要素なのは間違いないといえるでしょう。

教育制度が整っていない

アルバイトからスキルアップを図ろうと入社する方も決して少なくありません。そうした期待とは裏腹に、教育制度が整っていなければ(そもそも育てる気が見られなければ)、本人にとってはミスマッチと感じるわけです。結果、環境を変えようと動き、離職に至ります。

アルバイトの定着率を上げるためには?

青空をバックにUPの文字と矢印

アルバイトの離職率が高い職場の特徴や原因がわかったうえで、改善につながるためには、どのようなアクションが必要なのでしょうか。本章では、いくつかアルバイトの定着率を上げるための対策を紹介します。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ簡単に説明します。

▶関連記事:アルバイトの定着率を向上させるには?早期離職の理由と対策を解説

採用戦略を見直す

採用戦略が曖昧なばっかりに、ミスマッチの人材を獲得してしまうことはよくあります。応募者に求めるスキルや価値観などもあらためて整理したうえで、早期離職にならないよう利用媒体の選定、選考プロセス……等々、立て直していくことが大事です。

求人媒体を見直す

求人媒体が適切でない場合も、欲しい人材と接点を持てず、ミスマッチが起きやすくなります。そうならないためにも、ターゲットが利用する媒体はどれか、または同じ業界で強いサービスはどれか、といった視点で慎重に選定することが必要でしょう。求人媒体を変えることは、採用だけのためではありません。入社後の定着にも影響してくるのです。

勤務形態を見直す

勤務形態を臨機応変に動かせることで、従業員に働きやすくなったと感じてもらえるかもしれません。たとえば、在宅勤務や短時間勤務をOKにするなどです。自社に対する印象も変わる期待が持てるでしょう。

新人教育を見直す

アルバイトが業務に慣れる前に辞めてしまわないよう、新人教育にもなるべく力を入れたいところです。その際、強く叱責するなどネガティブな方向に舵を切ってはいけません。大事なのは、ここで働ける、やっていけるというイメージを持たせられるかどうかです。現場で必要なスキルや知識の習得はもちろん、メンター制度を取り入れてもよいでしょう。安心して業務に取り組める環境を整え、定着率の向上につなげてください。

昇給制度を見直す

昇給制度が不透明だと、アルバイトのモチベーションが低下し、早期離職につながることがあります。昇給時期や評価基準を明確にし、努力や成果が正当に報われる仕組みを整えることは非常に大事です。その際、業界の相場や他社動向への目配りも疎かにしてはいけません。可能な限りでも魅力的なものに変えられれば、定着率にも寄与することになるでしょう。

▶関連記事:アルバイト・パートの昇給について時給アップの事例も交えて解説

人事考課を見直す

人事考課において公平かつ透明性に問題があれば、当然、従業員のモチベーションは下がります。これが起きないようやはり定期的に見直すことが必要です。また、アルバイトの方が自身の努力や成果が正当に評価されていると感じるためには、社員とも同じ基準であることが望ましいと考えます。さらに、その評価が昇給やインセンティブにまで反映されれば、定着率も上がっていくことでしょう。

▶関連記事:パートに人事考課を導入するメリットやコツ、評価シートの書き方など解説

コミュニケーションのあり方を見直す

コミュニケーションも当然大事です。そのあり方を抜本的に見直すことで、エンゲージメントの高い職場環境へと生まれ変わる期待は十分に持てます。ミーティングや面談も定期的に行えるとよいでしょう。スタッフ間同士の対話の時間も積極的に作れるとなお望ましいと考えます。大切なのは、信頼関係です。良好なものを築ければ、働きやすさにもつながります。定着率アップも見込めるはずです。

アルバイトの離職率が高い職場は要注意!

赤の下線が引かれたまとめの文字

アルバイトの離職率が高い職場は、悪循環を引き起こしています。そこでは、原因を究明できないままただいたずらに採用を行い、人材を獲得できたと思ってもふたを開けてみればミスマッチだったというケースが無自覚に繰り返されているのです。その間、どんどん人が辞めていけば当然ながら労働力不足のピンチに陥ります。この状況は経営危機につながる恐れがあり、非常に深刻です。しかも、こうした職場は連鎖退職が起きやすく、リスクが現実になる可能性は十分に考えられます。

しからば、拙稿で取り上げた諸々に対する見直しは不可欠です。勤務形態の柔軟性を高めること、新人教育プログラムの充実、公正な昇給制度の導入、透明で公平な人事考課の実施、そして開かれたコミュニケーションの促進……等々に加え、定着につなげる戦略的な採用、求人媒体の選定と、離職率を下げる打ち手はいくつもあります。ぜひ、積極的に取り組んでみてください。

▶関連記事:パートがすぐ辞める職場の特徴とは?長く続けてもらうための対策方法も紹介


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