アルバイトの同意書が必要な場合とは?

アルバイトの同意書が必要な場合は、ずばり次のとおりです。
- 未成年者の就労
- リスクの伴う業務
- 個人情報の取扱い
- 非開示契約
- 副業や競業避止義務
以下、それぞれ簡単に説明します。
未成年者の就労
未成年者の労働契約は、親権者または後見人の同意を得て、自ら締結しなければなりません。これは、労働基準法や民法の規定に基づいています。したがって、未成年者をアルバイトとして雇用する場合は、必ず同意書を確認しましょう。なお、次のセクションでもくわしくお伝えします。
リスクの伴う業務
危険な業務や特殊な技能を要する仕事については、年齢にかかわらず同意書を求められるケースがあります。これは従業員の安全確保と、雇用主の責任範囲を明確にするためです。
個人情報の取扱い
個人情報を扱う業務に対しては、情報の適切な管理と機密保持に関する同意書が必要になってきます。これは、企業の情報セキュリティポリシーに基づく措置です。
非開示契約
企業の機密情報や知的財産に接する可能性がある業務では、非開示契約(NDA)の締結が必要です。企業の利益を保護すべく、この同意書(契約)は取り交わされます。
副業や競業避止義務
副業を認める場合や、競合他社での就労を制限する場合に、同意書が必要となることがあります。これは企業の利益相反を防ぐためです。
同意書が必要な未成年者のアルバイトについて

前述のとおり、未成年者がアルバイトを始める際には、原則として保護者の同意が必要です。先にピックアップした労働基準法の第58条1項や民法第5条に、その趣旨が記載されています。
と、あわせて知っておきたいのが労働基準法第56条や57条、そして61条の内容です。満15歳に達した日以後の最初の3月31日までは、対象者を雇用することは禁止されています。また、満15歳以上でも、学校長の証明書、親権者の同意書を事業場に備え付けておかなければなりません。なお、彼・彼女らを深夜(午後10時~午前5時)に働かせることは、原則禁止です。
保護者の同意を得ることは、未成年者の健全な労働環境を確保するだけでなく、雇用主にとっても法的リスクを軽減する重要な手続きです。未成年者の雇用に際しては、これらの法的要件を十分に理解し、適切に対応することが求められます。
同意書の一例
アルバイトの同意書には、いくつかの項目に対する記入が必要です。以下、一例を示します。
項目 | 概要 |
---|---|
就労者氏名 | アルバイトとして就労する人の氏名を記入する欄。 |
生年月日 | 就労者の生年月日を記入する欄。就労者の年齢確認のために使用。 |
住所 | 就労者の現在の住民票に登録されている住所を記入する欄。 |
就労場所 | アルバイトの就労先の場所(会社や店舗の住所)を記入する欄。 |
就労時間 | アルバイトの就労時間(開始時間と終了時間)を記入する欄。 |
雇用期間 | 期間の定めの有無を記入する欄 例:有り。令和〇〇年〇月〇日から令和〇〇年〇月〇日 |
業務内容 | アルバイトで行う具体的な業務内容を記入する欄。 |
保護者氏名 | 保護者の氏名を記入する欄。 |
保護者住所 | 保護者の住所を記入する欄。 |
保護者連絡先 | 保護者への緊急連絡が必要な場合に使用する連絡先(電話番号など)を記入する欄。 |
保護者の同意 | 未成年者がアルバイトを行うことに対する保護者の同意を示す欄。 |
同意日 | 同意する日付を記入する欄。 |
宛先 | 同意書の提出先である会社または担当者の名前を記入する欄。 |
同意書の内容は、法的な保護と雇用関係の明確化を目的とする点は共通しているものの、厳密には業種や企業の方針によって異なります。自社について曖昧であれば、法務部門や専門家等に相談するとよいでしょう。
同意書以外に未成年のアルバイトで必要な書類

未成年者をアルバイトとして雇用する際には、同意書以外にも次の書類が必要です。
- 履歴書
- 身分証明書
- 雇用契約書
- 銀行口座情報
- 所得税に関する書類
- マイナンバー
以下、それぞれ簡単に説明します。
履歴書
履歴書は、応募者の基本情報や経歴を把握するための重要な書類です。未成年者の場合、一般的には学校名や学年、保護者の情報などが含まれます。なお、保護者欄は世帯主に書いてもらいましょう。また、住所などを「同上」と省略してもいけません。正しい情報を明確に記入する必要があります。
身分証明書
年齢、そして本人かどうかをきちんと確認するために、身分証明書も提示してもらいましょう。具体的には、年齢証明書、住民票記載事項証明書、戸籍抄本などが該当します。なお、学生証や保険証は法律上、年齢を証明する書類ではないため、注意が必要です。
雇用契約書
雇用条件を明確にしたうえで労使間の合意を文書化するために、雇用契約書(保護者の署名欄付き)も必要です。勤務時間、給与、休日などはもちろん、試用期間などの項目も必要に応じて(労働条件に関わるものであれば)含めるようにしてください。
銀行口座情報
給与支払いのために、本人名義の銀行口座情報(コピー)も忘れてはいけません。未成年者には、保護者名義ではなく、本人名義の口座を用意してもらいましょう。
所得税に関する書類
アルバイトの給与には所得税は課税されます。そのため、扶養控除等申告書の提出が必要です。その際、保護者の扶養に入っているかを確認しましょう。
マイナンバー
マイナンバー制度の導入により、アルバイトを含むすべての従業員からマイナンバーの提供を受ける必要があります。
場合に応じて必要な書類
業種や職種によっては、次の書類を追加で用意してもらう必要があります。
- 健康診断書(飲食業など)
- 資格証明書(特定の技能が必要な職種)
- 誓約書(機密情報を扱う業務など)
いずれにせよ、これらに対して個人情報の取り扱いには十分注意を払い、必要に応じて保管期限を設定するなど、適切に管理しましょう。
未成年者を雇ううえで配慮すべきこと

未成年者をアルバイト雇用する際には、書類関連にとどまらず、多くの配慮が必要です。法律上の制限を遵守することはもちろん、未成年者の心身の健康や学業への影響などにも十分に意識を注がなければなりません。とりわけ、以下の5点は大切です。
- 最低年齢の確認
- 労働時間の制限
- 危険な業務の禁止
- 学業との両立
- 職場環境の整備
それぞれ簡単に説明します。
最低年齢の確認
未成年者の雇用において、最初に確認すべきは年齢です。繰り返しお伝えしますが、原則、15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童を雇うことは禁止されています。
一方で、例外として13歳以上(15歳未満)で、者非工業的業務かつ軽易な業務に就かせる場合は、所轄の労働基準監督署長の許可を得て働いてもらうことが可能です。ただし、後述するように労働時間や業務内容には厳しい制限があることを忘れてはいけません。
労働時間の制限
18歳未満の者、いわゆる年少者に対しては、その心身の発達段階を考慮して労働時間に関する特別な制限が設けられています。
まず、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させることは禁止されています。これは未成年者の過労を防ぎ、適切な休息を確保するための措置です。また、変形労働時間制の適用も認められていません。
さらには、午後10時から午前5時までの深夜労働もご法度です。この規制は、(未成年者が夜間の活動に従事することなく)十分な睡眠と休息を取ることができるよう配慮されています。
危険な業務の禁止
未成年者の安全を確保するため、危険や有害な業務への就労も禁止されています。具体的に該当するのは、重量物の取扱いや有毒ガスにさらされる業務、危険な機械の運転や高電圧の配電盤の操作……等々です。これらは、(未成年者ゆえの)身体的特性や経験不足から、事故や健康被害につながるリスクが高いと判断されています。
学業との両立
未成年者で特に学生アルバイトを雇う場合、彼・彼女らが学業と両立できるよう取り計らう必要があります。
アルバイトは貴重な社会経験の場ですが、学業を犠牲にしてしまうのは本末転倒です。そのため、授業や試験期間、部活動、その他イベント等々と重ならないよう、融通が利くシフト体系に調整することが必要でしょう。そのうえで実際、成績に影響が出ていないかなどを定期的に確認することも大切です。未成年者に限った話ではありませんが、スタッフを公私ともに充実させてあげられる職場は、人材獲得・育成においてもよい影響を生みやすいと考えます。
職場環境の整備
未成年者が安全で快適に働ける職場環境を整備することは、そもそも雇用主の責務です。たとえば、ハラスメント行為が起きないためには、研修の実施や相談窓口の設置などの対策が求められます。また、時間外労働も同様です。よっぽどのことがない限り生じないよう管理を徹底する必要があります。業務のフォロー、安全教育も当然、疎かにしてはいけません。このように、どうすれば彼・彼女たちが働きやすいかを考え、一つひとつしっかりおさえることが、未成年者の安心やパフォーマンス向上につながっていきます。
アルバイトの同意書も含めて、法改正や社会情勢への目配りが大事!

人手不足の問題が年々深刻化するなかで、未成年者のアルバイト雇用は、いまや人材確保の有効な手段の一つに数えられています。その際、知っておかなければならないのが同意書についてです。内容についてはあらためて拙稿をおさらいしていただけるとよいでしょう。と同時に、法改正や社会情勢の変化にも常に注意を払うことも大切です。状況によっては、雇用管理の方法を根本的に見直す局面にさえ出くわすかもしれません。特に成人年齢の引き下げに伴う18歳・19歳の扱いなどは、把握・理解が不可欠です。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。