新人アルバイトが初出勤の前に抱きやすい感情

初出勤のアルバイトに適切な声かけを行うためには、新人アルバイトの気持ちを理解する必要があります。本章ではまず、新人アルバイトが初出勤の前に抱きやすい感情について解説します。
不安や緊張
多少なりとも経験があったとしても初出勤はどうしてもドキドキするものです。これがたとえば高校生や大学生ならなおさらでしょう。彼・彼女らにしたら未知の環境に足を踏み入れること自体が大きな挑戦です。不安や緊張を抱くのも無理はありません。
具体的には、どのような雰囲気の職場なのか、先輩や同僚と上手くやっていけるのか、仕事をうまくこなせるのか……等々の感情が渦巻いているでしょう。また、自分は何をすればよいのか、どのように振る舞えばよいのかなどの迷いから、不安が大きくなることも考えられます。
希望と期待
不安や緊張がある一方で、新たな経験が自分の成長やスキルの向上につながるのではないかといったように、彼・彼女らが希望と期待を抱いていることも考えられます。加えて、職場での人間関係の構築や出会いにも胸を躍らせているかもしれません。いずれにせよ、そうしたワクワク感に応えてあげられるよう、雇う側はしっかり声をかけ、ウェルカムな態度で迎え入れることが大切です。
初出勤のアルバイトに対して積極的に声をかける重要性

いろいろな思いを抱える初出勤のアルバイトに対して、声かけは非常に大事です。安心をもたらすことやモチベーションアップはもちろん、その後の職場定着にもつながるでしょう。一方で、特に声をかけずにいると新人ゆえに不安は増幅するかもしれません。ともすれば早期退職を招くリスクすら生じます。
というわけで以下、初出勤のアルバイトに対して積極的に声をかける重要性を解説します。
リラックスにつながる
初出勤のアルバイトが直面する壁の1つは、職場環境へのスムーズな適応です。だからこそ周囲のスタッフからの温かい声かけがあると、緊張が和らぎリラックスした状態で仕事に取り組めます。加えて、リラックスできていると周りに質問をしやすくなるため業務に慣れやすかったり、周りとのコミュニケーションが円滑になったりするなどのメリットもあります。
モチベーションアップにつながる
緊張している新人にとって、先輩や上司からの温かい声かけは大きな安心感をもたらします。声かけによって自分が受け入れられていると感じられれば、モチベーションが上がり、職場に対する親しみや愛着が生まれたり、自ら動いて学ぼうと積極的な姿勢が芽生えたりとプラスの要素を多く生み出すでしょう。
定着への足がかりになる
新人アルバイトが初出勤の日に受ける印象は、長きにわたって働いてくれるどうかにも影響します。これは決して大げさな話ではありません。初日から積極的に声をかけられたり、温かく迎えられたりすれば、少なからずポジティブなイメージを持てるでしょう。そしてその安心感が、職場定着の足がかりになるわけです。
声をかけなければ不安が膨らむ
繰り返しお伝えしているように、新人アルバイトはさまざまな心配事を抱えています。そのため、初出勤時に何の声かけもないままだと、その不安はいっそう増幅することでしょう。声をかけられず、孤立感が生まれれば、ここには居場所がないと職場に対してネガティブな印象を強く覚えるはずです。
声をかけなければ嫌悪感が生まれる
前述したネガティブな印象は嫌悪感にも近いかもしれません。初出勤時に誰からも声をかけられず、チームの一員として受け入れられていないと感じれば、彼・彼女らの働く意欲は削がれるでしょう。その状態で働き続けることは心身の疲弊やストレスにもつながります。
声をかけなければ早期離職も起こり得る
仕事内容や職場の雰囲気をつかみ取ろうとするなかで、誰からも声をかけられず不安や孤独感を抱えたまま業務に着手(あるいは放置)させてしまうと、大きな不信感が生まれます。そうなると、その環境に馴染む前に見切りをつける方も出てくるはずです。いわゆる早期離職を招いてしまいます。
初出勤のアルバイトに声をかけるタイミング

初出勤のアルバイトに対して声をかけたくともタイミングを図れず躊躇していませんか。もちろんそれは声をかけないことの理由にはなりません。本章では、彼・彼女たちに声をかける適切なタイミングについていくつか取り上げ、それぞれ簡単に解説します。
出勤直後
まずは出勤直後です。このタイミングでの声かけは特に重要といってもよいでしょう。たとえ忙しく丁寧に声をかけられない場合であっても、挨拶をするだけで新人アルバイトはホッとするものです。
オリエンテーションor業務開始前
オリエンテーションや業務開始前は、実際の業務が始まっていないため、比較的リラックスした状態でコミュニケーションが取れるでしょう。この段階では、これから始まる業務に対する不安が高まることが多いため、簡単な声かけや質問に対するフォローが肝心です。
休憩時
休憩時は、新人アルバイトにとって一息つける貴重な時間です。そのため、あまり仕事に関する話を振らずに、たわいのない話や世間話など、リラックスした雰囲気のコミュニケーションを心掛けましょう。ただし、新人アルバイトから業務に関する質問や相談があった場合は、もちろんきちんと答えてください。休憩中に話せる人がいないことで孤立感を一気に覚える方は少なくありません。たとえば午前中に忙しかった方も、このタイミングで積極的に声をかけましょう。
退勤前
退勤前は、緊張の一日を終えた新人アルバイトを労う意味でも必ず声をかけたいところです。翌日以降の不安軽減にもつながるでしょう。また、多くの人から声をかけられたことで職場のサポート体制に対する信頼度もぐっと上がるものと思われます。
初出勤のアルバイトにかけたい具体的な言葉

初出勤のアルバイトに対して声をかける重要性やタイミングはわかりつつも、いざ話しかけるにも何と言葉を投げればよいのか困る方もいらっしゃるかもしれません。本章では、 初出勤のアルバイトに対してかけたい言葉をいくつか具体的に紹介します。
出勤直後に声をかける場合
出勤直後の声かけでは、まず挨拶をしましょう。「おはようございます、今日はよろしくお願いします」と明るいトーンで声をかけるだけで、歓迎していることは伝えられます。また、「何か困ったことがあれば、いつでも聞いてくださいね」といった寄り添う姿勢を示す言葉を添えることで、安心感も与えられるでしょう。そのほか、「今日は少し緊張するかもしれませんが、気負わず頑張りすぎないようにしましょう」など良い意味で力を抜いてもらう言い回しも好印象を与えるはずです。
オリエンテーションor業務開始前に声をかける場合
オリエンテーションや業務の開始前にも張り詰めた空気にならないよう「初日だからまだ何もわからなくて大丈夫ですよ」や「何か質問があれば、いつでも聞いてくださいね」や「皆さん気さくな方なので安心してください」……等々、新人アルバイトの不安な気持ちをほぐすように声をかけてみてください。
休憩時に声をかける場合
休憩時間は、世間話や趣味など雑談のイメージです。一緒にランチに誘い自己紹介がてら堅苦しくならない話題を振りまいてください。その一方で、くわしくは後述しますがプライベートに踏み込みすぎないよう気を付けましょう。そのほか「休憩室は自由に使ってくださいね」など、職場の中を案内するのもよいかもしれません。
退勤前に声をかける場合
退勤前の声かけでは、お疲れさまと労いつつ「初日で慣れないことも多かったと思いますが、何とかなりますよ」と心理的に負担が和らぐような言葉を添えてあげるとよいでしょう。明日からもよろしくお願いしますと気持ちよく帰ってもらえるように心がけてください。
初出勤のアルバイトに声をかける際の注意点

声のかけ方一つで、むしろ不安を与えてしまうこともあります。本章では、そうした注意点をピックアップ。ざっと挙げましょう。
- 叱責やプレッシャーを与えない
- 過剰に馴れ馴れしくしない
- プライベートに踏み込みすぎない
- 退勤後までしつこく話しかけない
総じていえるのは、初出勤のアルバイトとの距離を一気に縮めようとしないことです。以下、それぞれくわしく解説します。
叱責やプレッシャーを与えない
新人アルバイトにとって初めての環境。業務に慣れるまでの間は多くのスキルや知識を吸収する必要もあるでしょう。もちろん、ミスも同様です。しかしながら、初日から叱責する方もいらっしゃいます。また、無意識であれプレッシャーを感じさせるような言葉を使う方も時折見受けられます。「これぐらいできて当たり前ですよ」「早く仕事を覚えてね」「皆、期待しているよ」といった言葉がまさにそれです。もちろんそうした発破をかけることを求めている人もいるかもしれません。それでも不必要に煽るのは特に初出勤の方には避けたいところです。
過剰に馴れ馴れしくしない
初出勤のアルバイトに対して、緊張や不安を和らげようと(あるいは場を和ませようと)馴れ馴れしく接する方が時々見受けられます。そうした態度や姿勢はポジティブにも捉えられるとはいえ、度が過ぎると相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。そのため、初出勤のアルバイトに声をかける際は、適度な距離感、丁寧で礼儀正しいコミュニケーションが無難です。
プライベートに踏み込みすぎない
新人アルバイトが早く職場に慣れるように、仕事以外の話をするのは効果的ですが、これもまた馴れ馴れしさ同様過剰に踏み込んではいけません。話したくないこともあるはずです。それが心理的に苦痛になることも想像してあげてください。したがって、家庭環境や交友関係、趣味や休日の過ごし方など、プライベートな情報を掘り下げる会話はなるべく控えましょう。
退勤後までしつこく話しかけない
初出勤のアルバイトに対して積極的に声をかけようとするあまり、退勤後も話を続けるのは注意した方がよいでしょう。ちょっとはよいかもしれませんが、退勤後はやはりプライベートな時間です。そこの線引きができていないと、煩わしく思われるでしょう。ようやく勤務時間が終わり一日の緊張や不安からとりあえず解放される瞬間です。そこを邪魔してしまえば、最後の最後にネガティブなイメージを持たれてしまいかねません。
スポットワーカーに対しても気持ちよく声をかけよう!

スポットワーカーとは、短時間のスキマに働く人のことです。ここ数年で、浸透してきた働き方といえるかもしれません。単発のアルバイトのため、その日限りでサヨナラのケースがほとんどですが、それでもきちんと声をかけてあげなければ、パフォーマンス(どちらかというとモチベーション)に影響することは大いに考えられます。逆に気持ちのよい声かけから、その職場を気に入りリピートしてもらえることも期待できるでしょう。ひいてはレギュラーバイトとして雇えるチャンスがそこには転がっています。
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初出勤のアルバイトに対する声のかけ方が人材定着には肝要!

初出勤のアルバイトは、安心感を求めます。いうなれば、彼・彼女たちが得たいのは、一緒に働く人たちとうまくやっていけることの自信や実感です。これは声かけ一つが大きく作用します。もちろんお店や施設、会社側にとっても大事です。初日の印象いかんで定着するか否かが決まるといっても過言ではありません。それほど初出勤のアルバイトに対する声のかけ方は人材定着に肝要です。
拙稿で述べてきたタイミングや適切な言い回し、注意点などもぜひとも参考にしつつ、新たな仲間を気持ちよく迎え入れてください。
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