アルバイトを雇用するうえで、人事担当者に発生する業務の一つが給料の計算です。そしてこれが意外に一筋縄にいきません。時給に勤務時間を掛けるだけの簡単なお仕事と思いきや、実際は分単位での勤怠管理や残業、休日出勤に対する割増賃金の扱いなど判断に困ってしまうことも少なくありません。そこで今回は、アルバイトの給料計算について、方法はもちろん、合わない場合の対処も含めてくわしく解説します。

アルバイトに支払う給料の計算方法は?合わない場合の対処術も紹介

  • 2023.01.18
  • 2023.01.18

アルバイトを雇用するうえで、人事担当者に発生する業務の一つが給料の計算です。そしてこれが意外に一筋縄にいきません。時給に勤務時間を掛けるだけの簡単なお仕事と思いきや、実際は分単位での勤怠管理や残業、休日出勤に対する割増賃金の扱いなど判断に困ってしまうことも少なくありません。そこで今回は、アルバイトの給料計算について、方法はもちろん、合わない場合の対処も含めてくわしく解説します。

アルバイトの給料計算に必要なもの

アルバイトの給料計算に必要なもの

アルバイトの給料をスムーズに算出するために欠かせないのが、計算に関わる項目の準備・確認です。必要なものはあらかじめ揃えておきましょう。というわけで以下、具体的に紹介します。 

就業規則 

常時10人以上の従業員を雇用する企業は、労働条件をまとめた就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出を行う必要があります。この就業規則には、賃金についての規定も必ず記載しなければなりません。 

アルバイトの給料計算は、就業規則のなかでも主にこちらの規定などを確認しながら行います。 

賃金規定

賃金に関するルールは膨大な量になりがちです。そのため、就業規則から切り離して別途規定を作成する企業も多く見受けられます。当然、そこには計算方法の定義も含まれるわけですが、加えて、支払方法、締切日、支払時期、昇給、休業手当など、それぞれ労働基準法を遵守したうえで整理しておく必要があります。

従業員情報

給料計算には、従業員個人の情報も必要です。とりわけ、役職や勤務年数が個人の給料に大きく影響してくる企業であれば、計算が複雑化するきらいもあります。そうなればやはり、各人の情報収集は前もって終えておきたいところです。また、源泉徴収を考慮すると、所得控除の有無も当然、一人ひとりに対して把握が求められます。労働条件に関しても同様です。個々に交わした労働契約書はくまなく確認しておきましょう。

タイムカード

勤務日数や時間を記載した書類も必要です。この場合、タイムカードやシフト表・勤務実績表などが該当します。もちろん、デジタルツールで管理しても構いません。 

なお、アルバイトの給料計算は基本的に1分単位です。15分単位など、時間の切り捨てができないことは、あらかじめ認識しておきましょう。

アルバイトの給料計算で注意したい割増賃金

アルバイトの給料計算で注意したい割増賃金

アルバイトが残業や休日出勤などを行った際、通常の時給に対して割増で賃金を支払う必要が出てきます。以下、シチュエーション別に言及。煩わしく思われるかもしれませんが、いずれも必須知識です。確実におさえましょう。

時間外労働に対する割増賃金

労働基準法第32条では、次のように書かれています。 

使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

労働基準法第32条

ここでの「8時間/1日」「40時間/1週間」がいわゆる法定労働時間です。 

法定労働時間を超えて従業員を働かせた場合、企業は時間外労働として割増賃金を支払わなければなりません。基本、通常時給の1.25倍ですが、月間60時間を超える場合は、1.5倍に膨れ上がります。 

割増率については、「法定休日とは?所定休日(法定外休日)との違いや法改正による変更点など解説」も参考にしてください。 

なお、仮に1日の労働時間を7時間と設定している職場で、1時間以内の残業が発生した場合、8時間を超えないため時間外労働には該当しません。

深夜労働

労働基準法第37条4項に基づき、午後10時から午前5時までの間で働いた場合、従業員は深夜労働として扱われます。企業は時間外労働と同様に、通常時給に1.25を掛けた額の割増賃金を支払わなければなりません。

休日労働

労働基準法第35条、そして労働基準法第37条4項の規定に基づき、休日に働いた従業員には、通常時給の1.35倍を掛けた額の割増賃金を支払う必要があります。

割増賃金が重複した場合

割増条件に複数該当する従業員が出てきた場合、賃金は合算して支払われます。 

たとえば、時間外労働が22時以降の深夜に及ぶ場合、時間外労働分の25%と深夜労働分の25%を足した50%分の割増が適用されます。つまり賃金は通常時給の1.5倍です。

アルバイトの給料を計算する具体的な方法

アルバイトの給料を計算!

前項で述べた割増賃金のルールも踏まえて、実際にアルバイトへ支払う給料を計算してみましょう。時給の概念、勤務時間の集計方法とあわせて、以下言及します。ぜひ、実践知識として役立ててください。

時給の捉え方

文字どおり1時間あたりの給料が時給です。多くの企業では、アルバイトのみならず契約社員や派遣社員に対しても用いられています。また、基本的に休憩時間はカウントされず、(従業員が有給休暇を取得する場合は別ですが)大抵は実際に働いた分だけ賃金が発生する仕組みです。なお、切り捨てを行うことはできません。

勤務時間の集計

勤務時間は1分単位で集計しなければなりません。なかには15分、30分など、独自の設定で管理されている企業もみられますが、労働基準法の観点では違反になる恐れもあるため注意も必要です。また、1ヶ月の労働時間を合計した際に1時間未満の端数が生じた場合、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて算出します。時間外や深夜、休日など割増賃金が発生する時間帯についても同様です。

支給額の計算

各従業員情報とあわせて時給や勤務時間が出揃ったなら、実際に支給する額を計算しましょう。計算式は次のとおりです。 

通常賃金+割増賃金 
※通常賃金=時給×勤務時間 
※割増賃金=時給×割増率×時間外勤務時間 
【例】時給1,000円で働く従業員の1ヶ月の勤務時間が、通常の80時間に加えて時間外でも10時間計上された場合(深夜、休日には該当しない場合) 
 通常賃金:1,000円(時給)×80時間(勤務時間)=80,000円 
 割増賃金:1,000円(時給)×1.25(割増率)×10時間(時間外勤務時間)=12,500円 
 80,000円+12,500円=92,500円 

控除額の計算

アルバイトであっても、勤務状況によっては雇用保険や社会保険などへの加入義務が発生します。その場合の控除は、次のとおりです。 

各控除の種類と計算方法
各控除の種類と計算方法

ツールの活用も便利

アルバイトの給料計算は複雑です。そのため、効率よく進めるにはツールを活用するのも一つの手段だと考えます。こうしたツールのなかには、支給額の計算だけでなく、各種控除や税金の計算、シフト管理を行えるものまであり、非常に便利です。導入によって、労務作業の時短や業務負担の軽減、そして計算ミスの防止につながる期待が持てます。 

【主なツール】
ジョブカン給与計算
給料らくだ
PCA給与DX 

給料計算が合わないとアルバイトから指摘された場合

アルバイトの給料について再度計算する様子

アルバイト従業員に給料を支給した際、当人から「給料の計算が合わない」といった指摘を受ける場合があります。その際、どのように対応すればよいのでしょうか。 

まずは、当然ですが、支払った給料をあらためて確認しましょう。認識どおりの額であれば、再度、計算します。このとき、とりわけ次の項目に注意してください。 

仮に間違いが発覚した場合、本人には速やかに謝罪しましょう。同時に、給料の差額分に対する調整方法についての案内も忘れずに行います。 

ここで気を付けたいのが、実際の額より少なく支払ってしまったケースです。給料を多く支払ってしまった場合は、翌月分で調整してもかまいません。しかし、少ないとそうはいきません。労働基準法第24条の「全額支払いの原則」に基づき、直ちに不足分を補う必要があります。とはいえ従業員の同意があった場合は翌月の調整も可能です。が、トラブル防止も兼ねて、速やかに支払うことに越したことはないでしょう。 

また、給料の間違いを訂正する際は、源泉所得税や雇用保険料などの控除額も再度計算し直すことになります。 

なお、賃金の不足分請求には、時効があることも覚えておきましょう。従業員がその権利を行使できるのは、給料日から2年間と定められています。

アルバイトの給料計算についてのポイントまとめ

アルバイトの給料計算についてのポイントまとめ

アルバイトの給料計算について、幅広くお伝えしてきました。まず大事なのが、準備です。就業規則や賃金規定に沿って、一人ひとりの勤務状況やポジションを確認しておく必要があります。また、計算方法に関しても、前提知識である時給や勤務時間の解釈を間違えてしまうと、たちまち労働基準法に抵触する問題に発展する恐れがあるため、どうしたって軽視できません。加えて計算ミスも当然起こり得ることです。仮に従業員当人から指摘があった場合は、直ちに調査をし、間違いがあった場合はしかるべき対処に努めましょう。 

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