人手不足なのに人件費を削減する理由、狙い

人手不足にもかかわらず人件費を削減する背景には、少なからずそうせざるを得ない状況があるわけです。ざっと挙げると次のような理由が考えられます。
- 物価高に圧迫されている
- 最低賃金の引き上げに圧迫されている
- 利益の確保を優先したい
- 余剰資金を捻出したい
- 人員配置を見直したい
- 人に依存しない環境を構築したい
外的な要因もあれば企業としての狙いもうかがえます。以下、これらについて補足します。
物価高に圧迫されている
原材料費や輸送費、エネルギーコスト……等々をはじめ物価は軒並み上昇しています。現況下でやり繰りするには、人件費の削減も致し方ないのかもしれません。特に中小企業にとっては、価格転嫁が難しい場合が多く、利益率が大幅に低下するリスクを伴います。生き残りを図るためにもコスト削減を余儀なくされることが多く、その一環として人件費の見直しを行うケースが増えているわけです。
最低賃金の引き上げに圧迫されている
毎年、最低賃金は引き上げられています。もちろん、昇給は労働者からすると歓迎されるべき(雇う側の多くも実はなるべくそうしたいと考えている)ことですが、企業にとっては悩ましいのも確かです。結果、人件費を見直そうと社員の採用を控えること(もしくはパートタイム労働者の増員)につながっていきます。
利益の確保を優先したい
経済が不安定な状況下では、特に利益の確保に頭を悩ますことが増えるでしょう。これを最優先すべく人件費に手をかけるのも無理はありません。企業の存続に直結するための重要な経営戦略の1つとして削減へと舵を切るわけです。
余剰資金を捻出したい
組織の持続的な成長を支えるためには資金調達が必要な場合があります。ゆえに人件費を削減するわけです。そうやって捻出した余剰資金は、新規事業の立ち上げ、設備、ツールの導入などに充てられます。これらを視野に入れるとなると、手っ取り早く人件費が削られやすいのでしょう。
人員配置を見直したい
業務効率を高めたいときにも、人件費を削除する話がよく上がります。採用で人をどんどん集めていくよりも、人員配置を見直せば少ない人的リソースでも業務を円滑に回せるのではないかという考えです。実際は思いどおりにいかないことがほとんどでも、ひとまず検討する組織は多いように見受けられます。
人に依存しない環境を構築したい
テクノロジーが進化し続ける昨今、業務の自動化やAIの活用などを促進する企業も少なくありません。人でなくてもできる仕事が増えたことで、人件費をどうするかは当然議論に上がってきます。これ以上の採用に不要論を唱える向きもさえもあるでしょう。いずれにしても、人手不足の深刻化がますます問題視されるなか人に依存しない環境を構築しようとする組織は、この先も多く出てくるものと思われます。
人手不足のなか人件費を削減することで懸念されるリスク

前述した理由や狙いもあり、人手不足でも人件費削減を検討される企業は多く存在します。他方、それによって生じるリスクも否めません。具体的には次のとおりです。
- 従業員のモチベーションが下がる
- 人手不足がさらに深刻化する
- 業績がさらに悪化する
以下、それぞれ補足します。
従業員のモチベーションが下がる
人件費削減は従業員のモチベーションに直結し、なおかつパフォーマンスにも影響します。特に人手不足の状況では、個々の従業員にかかる負担が増えがちです。にもかかわらず報酬が減るようなことがあれば、不満も同時に蓄積されていくでしょう。
人手不足がさらに深刻化する
人とは対照に業務だけが増え続ける状況下では、どうしても従業員は疲弊していきます。休職や離職につながるケースも少なくありません。残された従業員に負担が嵩む一方なら、“逃げた方が得策”と考え次々と辞めていくでしょう。いわゆる連鎖退職です。この悪循環が生まれれば、これまで以上に人手不足は深刻化します。
業績がさらに悪化する
人件費の削減は前述したように人手不足に拍車をかけます。業務の中核を担う人さえもがこの状況に陥れば、生産性の低下は避けられず、サービスの質や顧客満足度にも悪影響を及ぼし、結局は業績悪化にもつながっていくでしょう。社内外問わず失われた信頼関係を取り戻すことはそう容易ではありません。人件費削減がもたらすリスクが思いのほか大きいことは、しっかりと念頭におくべきでしょう。
人手不足ゆえに人件費以外でコストを削減する場合

懸念されるリスクからもわかるように、人手不足の状況で人件費に手をかけるのは悪手です。コストを削減する場合は、人件費以外で対応した方がよいでしょう。というわけで、代替案は次のとおりです。
- 設備や資材のコストを抑える
- エネルギーコストを抑える
- オフィススペースを減らす
以下、それぞれ補足します。
設備や資材のコストを抑える
現行設備の使用状況で無駄になっている部分がないかを確認し、必要に応じてリース契約の見直しや購入先の変更を検討しましょう。たとえば、古い設備を最新の省エネモデルに変更することは、初期投資が必要ですが、長期的には運用コストの削減につながります。また、資材の仕入れ先を多様化し価格交渉を行うことで、これまで以上にコストを抑えられる可能性もあるでしょう。さらに、資材の使用計画を最適化することも効果的です。在庫管理を徹底することで、余分な資材の発注を防げると考えます。
エネルギーコストを抑える
エネルギーの使用状況も詳細に把握し、適宜調整を行いましょう。電気一つをとっても有効です。たとえばLED照明や高効率の空調設備に切り替えることで、消費電力を大幅に減少できます。太陽光パネルや風力発電などの再生可能エネルギーの導入もそう。長期的にみてコスト削減が大いに期待できるでしょう。そのほか料金プランなど契約自体を見直してもよいかもしれません。
オフィススペースを減らす
リモートワークを導入している場合、オフィススペースの最適化によってコスト削減が図れるでしょう。使用頻度の低い会議室や空きデスクを無くすなど、縮小した分、賃料を減らせるのであれば、それこそ検討の余地はあると考えます。
人手不足なのにどうしても人件費を削減したい場合

人手不足のなか人件費を削減することは悪手と述べましたが、それでもなお必要に迫られる場合、業務の在り方や採用手法・媒体にも目を向けましょう。以下、それぞれについて言及します。
業務プロセスを見直す
業務プロセスには少なからず無駄はあるものです。たとえば、思考停止のまま手作業に終始しているタスクはありませんか。デジタルツールでの自動化、データの一元管理などが可能であれば、わざわざ人を増やさなくてすむかもしれません。また、人員配置も適切にアサインできているかは定期的に見直すべきです。組織デザインの結果、人件費を削減しても問題ないと判断できるのなら、それはリスクを最小限に抑える裏付けといえるでしょう。
▶関連記事:組織デザインとは?人事担当者が押さえるべきポイントを解説
採用手法を見直す
採用手法を従来の求人広告に固執せず、他のやり方を試してみるのも一つです。たとえば、社内公募やリファラル採用などは外部コストをかけずに行えます。人手不足の解消と人件費削減を両立させる意味でも有効です。
▶関連記事:リファラル採用とは?報酬の決め方や違法性、トラブル回避策など解説
▶関連記事:社内公募制度とは?流れや面接方法、メリット・デメリットなど解説
求人媒体を見直す
費用対効果の観点で求人媒体を検証したとき、人件費を削らなくともコスト最適化が図れるかもしれません。求人サイトだけで見ても、ターゲットに特化したサービスを選べていないなど、そもそものアプローチに問題があるケースはしばしば見受けられます。前述した採用手法もそうですが、人件費を効率よく使うためにも現状のアクションを今一度見直しましょう。
▶関連記事:求人媒体(採用媒体)とは?おすすめやランキングTOPも紹介
人手不足なら安易に人件費を削減しないように!

人手不足なのに人件費を削減するのには相応の理由がある一方で、果たしてそれが最善策なのかを問い直すことも非常に大事です。人件費に手をかけたばっかりに多大な損失を招くことは往々にしてあります。まさに従業員の離職は最たるもの。人手不足を食い止めるためにも、安易な人件費の削減は禁物です。ぜひ、拙稿で取り上げた代替案や見直すべきポイントを参考に自社にとっての最適解を導き出してください。
求人掲載・採用業務のサポートや料金についてなど、ぜひ気軽にお問い合わせください。
また、貴社に合わせたデータが必要な場合や、賃金設定のご相談も無料で承っております!
▶【公式】バイトルならアルバイト求人募集の掲載料金プランを選択可能
┗日本最大級のアルバイト・パート求人サイト。認知度も高く、さまざまなユーザー層から利用されています。独自のサービス機能で求職者と素早くマッチングします。
▶【公式】スキマ時間のスポットワーカー募集ならスポットバイトル
┗スキマ時間で「働きたい」と「働いてほしい」をつなぐ求人マッチングサービス。求人は無料で掲載できます。
▶【企業向け/公式】バイトルNEXT – 掲載料金表あり!社員採用なら
┗社員を目指す方のための求人サイト。NEXT(ネクスト)ユーザーは55%が20~30代です。社員になる意欲の高い、第二新卒層を含めた若手社員の採用が見込めます。
▶【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!
┗資格・経験を持った人材や専門職の求人サイト。応募者の7割が業界経験者です。プロフェッショナルな人材の募集にぜひご利用ください。
▶【企業向け/公式】はたらこねっと – 掲載料金プランあり。派遣以外も!
┗日本最大級の社員/派遣/パートの求人サイト。業界最大級の案件数で、就業経験のある方が77%を占めます。幅広い年齢層から利用されている求人サイトです。
▶【公式】面接コボット – 応募者対応の自動化で面接管理が楽に!
┗求人サイトからの応募対応を自動化できるサービス。チャットボットを通じ、日程調整まで効率よく進めてくれます。
▶【公式】採用ページコボット – 費用・実績も紹介!採用サイト制作サービス
┗採用ページ作成サービス。求人まとめサイトとの自動連携や求人検索エンジンへの対応により外部集客を強化します。