人材確保や定着を目的として、家賃補助を取り入れる企業も少なくありません。確かに求職者もしくは従業員目線では、福利厚生の一つとして魅力的に映るように思えます。他方、制度設計や運用面に不安が伴う向きもあるでしょう。本記事では、そのような考え得るメリット・デメリットも含めて、会社が行う家賃補助について解説します。

家賃補助とは?相場や会社へのメリット・デメリットなどくわしく解説

  • 2025.07.15
  • 2025.07.15

人材確保や定着を目的として、家賃補助を取り入れる企業も少なくありません。確かに求職者もしくは従業員目線では、福利厚生の一つとして魅力的に映るように思えます。他方、制度設計や運用面に不安が伴う向きもあるでしょう。本記事では、そのような考え得るメリット・デメリットも含めて、会社が行う家賃補助について解説します。

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家賃補助とは?

家賃のサポートを表現

家賃補助とは、文字どおり家賃を補助するわけですが、つまるところ、企業が従業員の住居にかける費用を賄う制度です。本章ではまず、基本知識として混同しやすい社宅との違いや、巷での浸透度、支給額の相場観などをお伝えします。

社宅との違い

家賃補助と社宅制度は、従業員の住まいを支援する点で共通していますが、そもそもの仕組みや税金に関するルールはまるで異なります。社宅の場合、会社が保有・賃借する住居を従業員に貸し出す形式です。大なり小なり手間が要るでしょう。ただ税金に関していうと、従業員から一部の賃料を受け取ることで、会社の負担分を課税対象から外せます。他方、家賃補助だとどうしても給与の一部とみなされるため、所得税や住民税、社会保険料が掛かってくるわけです。

制度ありの割合

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)による2020年の調査では、対象企業のうち44.0%が家賃補助制度を導入していると公表されています。また、従業員数が300人以上いる企業では、約71.4%と高い割合であることも特徴的です(ちなみに当時、従業員30人未満の企業で35.8%、30〜99人規模の企業で48.2%、100〜299人規模の企業では62.5%が、福利厚生制度の施策として取り入れていたようです)。

そのほか、正社員に限らず、有期雇用の方にもいくらか支給している企業も珍しくないことがこの調査では浮き彫りになっています。おそらく背景には、都市部での家賃高騰が続くなかでいかに求職者にアピールできるかといったところもあるのかもしれません。採用難であればなおさらでしょう。

平均支給額(相場)

厚生労働省の『令和2年就労条件総合調査の概況』によると、家賃補助も含む住宅手当の平均支給額は月額1万7,800円と公表されています。ただし、実態としては地域や企業規模によって補助する額は区々でしょう。あくまで平均値としての相場観と捉えた方がよさそうです。これは、家賃補助に限らず、あらゆる特別な手当でいえることだと考えます。

近年の傾向

近年はコロナ禍や物価高騰により住居費の負担が増加したことを受け、支援を強化する動きが広がっているように思えます。再三お伝えしているように、人手不足対策にもなっているはずです。地方から都市部への人材流入を促す狙いもきっとあるでしょう。家賃補助額を増やす企業さえ増えているのではないでしょうか。そのほか、自治体の家賃支援と併用する例や、若い世代を中心に手厚い待遇などもしばしば見受けられます。

家賃補助制度の導入で期待できるメリット

前述のとおり、家賃補助制度を導入する企業は増加傾向にあります。それはやはり、期待できるメリットが大きいでしょう。以下、いくつか列挙します。

従業員エンゲージメントを高められる

家賃補助は従業員、とくに一人暮らしの若手社員や地方出身者にとっては、少なからずありがたい制度のはずです。毎月の家賃を抑えられれば、プライベートの充実にもつなげられるでしょう。そうなれば、仕事においてもやりがいが生まれてくると思われます。いわゆる従業員エンゲージメントの向上が見込めるわけです。

採用活動でアピールできる

家賃の負担を補助してくれることは、賃貸で暮らす求職者にとってそれは魅力的なはず。ゆえに求人票や採用ページにはなるべく大きく「住宅補助あり」と記載したいところです。それぐらい訴求ポイントしてはインパクトのあるものだと考えます。競合他社との差別化を図るうえでも効果的です。

企業イメージがアップする

個人の生活にダイレクトに影響するのは、給与はもちろん、家賃補助などの福利厚生も当然挙げられます。これが内外問わず認知されれば、採用ブランディングとしても生かせるはずです。一つの制度の導入がそうやって自社の価値を高めるきっかけになることは往々にしてあります。うまくいけば、社員を大切にする会社としてイメージアップが図れ、採用においては母集団を形成しやすくなり、従業員の定着にも寄与する好循環を築けるでしょう。

家賃補助制度の導入で懸念されるデメリット

家賃補助制度の導入は魅力的である一方、運用や制度設計において注意すべき点もあります。以下、企業側が導入前に知っておきたい主なデメリットを紹介します。

運用にコストがかかる

まず、先述したように家賃補助は給与所得の扱いです。従業員の課税所得が増え、それに伴って企業の社会保険料負担額も嵩みます。また、制度の設計や周知、申請受付、管理などの事務手続きにかかる労力もそれなりに大きなものです。試行錯誤もつきものでしょう。さらには、従業員への説明やトラブル対応の体制を整える必要もあります。

不公平感による不満が生まれる

家賃補助の制度は、不公平感を生むリスクも伴います。たとえば、持ち家の従業員の方からすると恩恵はありません。そこに大なり小なり不満を持たれる可能性があります。また、細かな設定も同様。「世帯主限定」や「勤務地からの距離条件」など条件が明確であればまだしも、制度をわかりにくくしたり、曖昧さを生んだりすることが実際は多いようです。結果、不信感を抱く従業員もしばしば見受けられます。

家賃補助でよくあるルール

家賃補助について多くの企業では条件付きで設定しています。その際、ルールの曖昧さは前項でも触れたように不信感や不公平感を生み出しかねません。だからこそ、明確なルールが必要です。

いくつか具体的に挙げましょう。

これらは一般的なものです。ただ、通勤時間などは手段、そして解釈が難しいところがあるかもしれません。いずれにしても、制度の乱用を防ぐと同時に、支給対象の公平性を保つべく、適切にルールを設けることは不可欠です。内容はできるだけ具体的かつ明確に記載し、運用マニュアルや社内規定に落とし込みましょう。なお、就業規則を変更した場合は、管轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります(労働基準法第89条)。

会社として家賃補助制度を取り入れるなら

家賃補助制度は、採用力の強化や社員の定着促進といった観点から有効な施策になり得ます。一方で、制度設計や運用ルールが曖昧だと不公平感を招き、むしろ逆効果になる恐れがあるのも確かです。導入を検討する際は、自社の経営状況や人員構成、拠点の立地、想定される対象者のニーズなどを踏まえて、慎重に制度を構築することが求められます。目的と実態に即した設計・運用ができてこそ、家賃補助は本来の効果を発揮するでしょう。そして、せっかく導入するのであれば、その魅力をきちんと伝える術も大切です。特に使う媒体は大事。家賃補助に限らずですが、福利厚生をしっかり打ち出せる求人サービスを活用すれば、求職者のインサイトを捉え、より多くの応募につながるはずです。

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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所の代表を務める荒武慎一氏

アラタケ社会保険労務士事務所 

代表 荒武 慎一

同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。

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