退職が決まっていても有給休暇の消化は労働者に認められた正当な権利です。だからこそ、企業側が対応を誤ると、トラブルに発展する恐れがあります。たとえ人手が足りず業務の引き継ぎがすんなりいかずとも、それは有給休暇の取得を拒否する理由にはなりません。本記事では、退職予定者が有給休暇を取れないことで揉めるリスクやケースについて取り上げます。法律の内容理解も踏まえて適切に対処できるよう、ぜひお役立てください。

退職予定者と有給休暇で揉めることはよくある?やむを得ず取れない場合は?

  • 2025.07.09
  • 2025.07.09

退職が決まっていても有給休暇の消化は労働者に認められた正当な権利です。だからこそ、企業側が対応を誤ると、トラブルに発展する恐れがあります。たとえ人手が足りず業務の引き継ぎがすんなりいかずとも、それは有給休暇の取得を拒否する理由にはなりません。本記事では、退職予定者が有給休暇を取れないことで揉めるリスクやケースについて取り上げます。法律の内容理解も踏まえて適切に対処できるよう、ぜひお役立てください。

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退職予定者の有給休暇を企業は拒否できる?

退職時の有給休暇を巡るトラブルの多くは、企業側がその消化、申請を拒否できると誤認している点にあるように思います。ゆえに、まずは有給休暇に関する法律について確認することが必要です。以下、具体的に解説します。

退職予定者に有給休暇を消化させないのは労働基準法違反

年次有給休暇の取得については、労働基準法第39条で次のように定められています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

これは、(上記条件を満たした方であれば)有給休暇に残日数がある場合、原則として退職日までにすべて取得することが可能であることを意味します。特に退職日が決まっている場合には、会社側が時季変更権を行使できないため、「退職者だから」という理由で有給の申請を拒否することは労働基準法に抵触します。

時季変更権の行使について

上述のとおり、退職予定者には未消化の有給休暇を取得する権利があります。他方、企業もまた事業の正常な運営に支障をきたす場合には有給休暇の取得時期を変更できる権利を持っています。これが時季変更権です(同じく労働基準法第39条に記載されています)。 しかしながら、退職が決まっている労働者には原則として行使できません。つまり、退職が決まった従業員から「退職日までに取得したい」と申し出があった場合、企業側はこれを拒否できないと理解しておきましょう。

退職予定者と有給休暇を巡って揉めることのリスク

人事担当者の女性が退職予定者の有給休暇について悩む様子

退職が決まった従業員から有給休暇の申請があった場合に企業が適切に対応できなければ、揉め事に発展する可能性は大いに考えられます。法令違反にとどまらず、社内外の信頼を損ねることにもなるでしょう。組織運営はもとより、採用活動にさえ影響が及ぶはずです。以下、退職における有給休暇の消化を巡り揉めた場合に想定されるリスクをいくつか列挙します。

行政指導や是正勧告

繰り返しお伝えしますが、有給休暇の申請は退職間際であっても拒否することは認められません。パートタイム労働者が対象でも同様です。

そして、企業がこの権利を侵害した場合、労働基準監督署の調査が入り、是正勧告や指導票が出されることがあります。さらに、改善が見られなければ、労働基準法第119条にもとづき、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性も出てきます。

こうした失態は、悪評としてすぐに拡散される時代です。行政からの注意だけでなく、企業としてのコンプライアンス体制そのものが懐疑的な目に晒されるでしょう。

企業イメージの悪化

前述のとおり、悪評はすぐに広まります。消化可能な有給休暇を与えない企業と一度烙印を押されたなら、たちまちパブリックイメージの低下につながりかねません。自社に対するネガティブな印象は、取引先のみならず、新たな仲間になり得たであろう採用ターゲットにも影響が及びます。近年はSNSや口コミサイトを通じて、在職者や退職者が企業に関する情報を匿名で発信することも多いため、特に注意が必要です。人事・労務における対応のまずさが、人材確保の足かせとなる現実を、決して見過ごしてはいけません。

在職社員からの不信感

退職予定者が受けた不当な扱いは、社内でも悪い印象として蓄積されます。在職中の社員が「自分も将来こうなるのでは」と感じれば、さっさと有給休暇を取得して離職へと動こうとすら思われるかもしれません。そのように、一人ひとりのモチベーションが下がる恐れがあること自体がリスクです。最悪、連鎖退職につながることも考えられるでしょう。

退職予定者と有給休暇を巡って揉めやすいケース

実際に有給休暇を巡ってはどのような場合に揉めてしまうのか。たとえ制度を理解していても、現場の判断や手続きの遅れにより、思わぬトラブルに発展することは往々にしてあります。以下、具体的に列挙します。

企業側が最終出勤日の引き延ばしを執拗に要求するケース

前もって退職の申し出を受けてもなお、組織の状況如何では、引き留めもしくは最終出勤日の延長を打診したくなることもあるでしょう。とりわけ後者は、なかなか折れずに交渉を続けるケースが見受けられます。よくあるのが、退職者が有給休暇の全消化を希望した結果、実質的な最終出勤日が想定より早まってしまい、引き継ぎや業務の整理が間に合わなくなるパターンです。退職時期が繁忙期と重なったり、後任の採用・育成が停滞したりといった苦境や苦難も考えられます。それゆえ、「せめて有休は一部だけにしてほしい」「最後の1週間は出勤してほしい」といった要望が出るのもわからなくありませんが、やはり労働者の権利を脅かしてはいけません。なかには「このままだと周囲に迷惑がかかる」「円満退職に水を差すことになる」と言い、本人の希望を暗に押さえ込もうとする方もいますが、いずれにしても、執拗にお願いしたところで相手の顰蹙を買うだけです。なるべく後腐れなく送り出せるように無理な真似は控えましょう。

やむを得ず取れない場合に従業員から買い取りを要求されるケース

退職届の提出が遅れた場合や、有給休暇の残日数が多い場合には、すべてを消化しきれず、従業員から「未消化分の買い取り」を求められることがあります。つまり、やむを得ず取れない場合です。確かに在職中の買い取りは基本的に認められません。しかしながら、退職により消化の機会を失う場合に限っては、例外的に買い取りが可能です。これを知らずに要求を突っぱねた場合、双方の認識の齟齬で揉めることが考えられます。したがって、こうしたルールは確実に把握したうえで、就業規則に明記するなどして徹底管理することが必要です。

有給休暇が消化期間中にも追加されるケース

退職が決まった最中にさらに有給休暇が付与されることがあります。これもまた労働者の権利として取得可能です。逆にいうと、企業側は申請を拒否することはできません。にもかかわらず、理不尽に思い突っぱねようとする向きも考えられます。そうなれば、揉めること必至です。結局は、有給休暇制度の正しい理解と、付与日、退職日の把握が疎かであったばっかりに起きてしまうトラブルだといえます。

退職予定者の有給消化を巡って揉めないために

有給休暇の扱い方ひとつで、企業の信頼が揺らぐことがあります。そこからトラブルに発展することも大いに考えられるなか、企業としては、正しい理解と周知、共有できる制度構築が不可欠です。したがって、退職時の有給取得は、原則断れないことを前提に現場と人事の連携をあらかじめ図れる体制を整備しておきましょう。就業規則への記載もその一つだと考えます

そもそも安易な退職を防ぐことが大切です。従業員と揉める・揉めない以前に、信頼関係を築くことが求められます。加えて、ミスマッチのない人材を確保していくことも大事です。そのため、利用する求人サービスも、ニーズに応じて選定しましょう。(dipはバラエティ豊かなサービスで以て細かなニーズにお応えします!)

採用・定着どちらも注力することが肝要です。

今後は、単に人を集めるだけでなく、「定着」と「活躍」まで見据えた採用戦略が求められます。人材・人手不足が続くなかで、自社の魅力をどう伝え、どう働く場を整えていくか──その姿勢こそが、安定した雇用環境を確立するための大きな一歩となるでしょう。


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