短期バイトで働く人が雇用保険に入りたくない主な理由

短期バイトで働く人が雇用保険に加入したくないのはなぜか。主な理由は次のとおりです。
- 手取りが減少するため
- 手続きを煩雑に感じるため
- 必要性を感じないため
以下、それぞれ補足します。
手取りが減少するため
雇用保険に加入すると、給与から一定の保険料が天引きされます。レギュラー雇用ならまだしも、短期バイトのように収入が限られているなら、少しでも手元に残るお金を増やしたいと考える人が多いようです。
手続きを煩雑に感じるため
雇用保険の加入手続きは雇用主が行いますが、労働者も雇用保険被保険者証の提出や必要事項の記入などを求められます。短期にもかかわらずそうやって手間がかかることに煩わしさを禁じ得ない方は、確かにいらっしゃいます。
必要性を感じないため
雇用保険に入ったところで短期バイトでは失業給付を満たすわけでもありません。そのため、必要性を感じられない方がほとんどでしょう。それ以上に、前述した手取りが減ることの勿体なさや手続きに対する面倒を避けたい気持ちが優先されるのだと考えます。
短期バイトなら雇用保険に加入しなくても大丈夫?

では、短期バイトの場合は雇用保険に加入しなくてもよいのでしょうか。結論、条件によります。週に20時間未満の勤務や、30日以内の契約などの場合、法律上、雇用保険に入る必要はありません。
▶参照 : 厚生労働省「雇用保険の適用基準」
しかしながら、適用条件があるにもかかわらず加入させていない場合は、労働者の権利を侵害することにもつながるため、違法に当たる可能性が出てきます。
なお、雇用保険等の一部を改正する法律案(令和10年10月1日施行予定)では、雇用保険の被保険者の要件のうち週所定労働時間が見直され、「20時間以上」から「10時間以上」に変更されます(適用対象が拡大されます)。
▶参照:雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要
雇用保険についてくわしく解説

人事担当者であれば、勤務条件と雇用保険の必要有無を照合するだけでなく、やはり本質的な理解が大切です。ただ何とはなしに「短期バイトなら加入してもらわなくてもよい」と考えていては、少し入り組んだケースでまた迷うことになりかねません。本章では、おさらいも兼ねて今一度、雇用保険について解説します。
雇用保険とは?
そもそも雇用保険は、失業した際の生活の安定を図るための制度です。週20時間以上かつ31日以上の契約期間がある場合には加入が義務付けられています。
主な給付金
雇用保険の加入によって給付金も発生します。いくつかざっと挙げましょう。
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 高年齢雇用継続給付
以下、それぞれ簡単に説明します。
求職者給付
就職の意思と能力があり、求職活動を行っている方に対する給付金です。被保険者期間などの条件を満たした場合に与えられます。
就職促進給付
就職促進給付は、早期再就職や職業訓練のための支援です。「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」「常用就職支度手当」などが該当します。
▶参照:就職促進給付について
教育訓練給付
教育訓練給付は、キャリア形成やスキルアップを支援するために支給されます。こうした制度があることを共有できると、自社の印象もまた変わるでしょう。
▶参照:教育訓練給付制度
高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は60歳以上65歳未満の就労者を雇用する場合に支給される補助金です。しかしながら、すでに段階的縮小、廃止が決定しています。
▶関連記事:高年齢雇用継続給付金が廃止へ!いつから?なぜ?申請、計算方法も紹介
被保険者の種類
被保険者についての理解も、雇用保険を学習するうえで欠かせません。以下、4種類(一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者)を取り上げます。
一般被保険者
一般被保険者とは、通常、雇用保険に加入することが義務付けられている労働者です。短期バイトの場合でも、週の労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合は、一般被保険者として雇用保険に加入する必要があります。
高年齢継続被保険者
高年齢継続被保険者とは、同一事業主の適用事業に被保険者として65歳に達した日の前日から引き続き雇用され、その後も雇用されている方を指します。
短期雇用特例被保険者
短期雇用特例被保険者は、季節業務に期間を定めて雇用される方や、過去一定期間に2回以上1年未満の雇用に就くことを繰り返してきた方などを指します。なお、同一事業所に連続して1年未満の雇用期間で働き、極めて短い離職期間で入・離職を繰り返し、都度、特例一時金を受給しているような労働者は該当しません(一般被保険者として取扱います)。
日雇労働被保険者
日雇労働被保険者は、日々雇用される者または30日以内の期間を定めて雇用される方が対象です。なお、同一事業主に2ヶ月の各月において18日以上雇用された場合は、その翌月の最初の日から一般被保険者として扱われます。
雇用保険の加入義務がない労働者とは?
雇用保険の加入義務がないケースは一とおり知っておきましょう。一部例外もありますが、該当する労働者は次のとおりです。
- 労働時間が週20時間未満
- 雇用期間が31日未満
- 学生
- 特定の期間に限定して働く季節労働者
- 官公庁に雇用される人
以下、それぞれ補足します。
労働時間が週20時間未満
雇用保険の加入要件の一つに「週の所定労働時間が20時間以上であること」があります。それゆえ、繰り返しお伝えしているとおり短期バイトで週の労働時間が20時間に満たない場合は、加入義務が無いのです。
雇用期間が31日未満
雇用契約の期間が31日未満の場合も、雇用保険に加入する必要はありません。ただし、契約更新を繰り返して実質的に長期雇用とみなされる場合は話が変わります。雇用契約書に「更新の可能性あり」と記載されていても同様です。
学生
学生は基本、雇用保険の対象外です。ただし、夜間・通信制の学校に通っている人や、休学中の学生、大学院生などは例外に当たり、雇用保険に加入する必要が出てきます。
特定の期間に限定して働く季節労働者
季節労働者とは、農業や漁業、スキー場の運営、リゾート地での勤務など、特定の季節に限って雇用される人を指します。彼・彼女たちも基本的に加入義務はありませんが、雇用期間が4ヶ月を超えかつ週30時間以上働く場合は適用対象です。
官公庁に雇用される人
官公庁(国や地方公共団体)に常勤の職員として雇用される公務員は、一般的に雇用保険の適用対象外です。これは、離職時に他の法令や条例に基づく退職手当などが支給され、その内容が雇用保険の給付を上回ると認められるためです。 一方、非常勤職員や再任用職員など、雇用形態や勤務時間によっては雇用保険の適用対象に含まれます(例のごとく週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合です)。
短期バイトの雇用保険に加入する手続きで気を付けたいこと

短期バイトであっても雇用保険に加入してもらうケースはあります。手続きをスムーズに進めるためにも、しっかりと要領を得ることは大事です。以下、気を付けるポイントをピックアップします。
雇用保険印紙保険料の納付
短期バイトのなかでも、日雇い労働者に該当する場合は、雇用保険料が給与天引きではなく「雇用保険印紙」を通じて納付されます。雇用主が印紙を購入し、賃金支払い時に適用する仕組みです。
賃金日額 | 印紙保険料 | 事業主負担額 | 労働者負担額 |
---|---|---|---|
11,300円以上 | 176円 | 88円 | 88円 |
8,200円以上11,300円未満 | 146円 | 73円 | 73円 |
8,200円未満 | 96円 | 48円 | 48円 |
一般保険料の納付
雇用保険印紙の貼付だけでなく、一般保険料も納付しなければなりません。 これは、事業の種類ごとに定められた保険料率(労働者負担の目安は0.3%〜0.4%)に基づき算出されます。
加入漏れなどのリスク
従業員が雇用保険の適用条件を満たしているにもかかわらず未加入だった場合、雇用保険の各種給付が受けられず、従業員が不利益を被る可能性が出てきます。リスクとして念頭におきたいのは、法的責任が生じるケースです。具体的には、雇用主側に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることがあります。
短期バイトの募集には『スポットバイトル』がおすすめ

雇用保険について理解を深めたなら、短期バイトの募集も安心して行えるはずです。急な欠員補充や必要なタイミングで効率よく人を雇いたいといったニーズは、深刻化する人手不足と物価高の問題を解消する意味でも年々高まりつつあります。そうしたなか、dipが提供するサービス『スポットバイトル』は短期雇用人材の獲得をお考えならうってつけのサービスです。掲載は無料。即日マッチング可能。dipが支給するボーナス制度はワーカーのモチベーションアップにも寄与します。レギュラーバイトにつながる期待も持てるため、柔軟な採用を可能にします。
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雇用保険の知識を広げることは短期バイトの採用にも不可欠

短期バイトの採用をスムーズに進めるためにも、雇用保険の知識を持つことは必須です。適用基準や手続きについて曖昧なままでいると、トラブルを引き起こしかねません。雇用保険に入りたくない従業員にも、適用条件を満たすなら、給付金の話などを交えて一とおりしっかり説明するべきでしょう。もちろんそのためには、雇う側が雇用保険について正しく、そしてくわしく理解することが求められます。
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【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所
代表 荒武 慎一
同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。