従業員がタイムカードを押し忘れることに手を焼いている人事担当者、スタッフ管理責任者も多いのではないでしょうか。できることなら、給料はタイムカードに記録された情報だけで管理したいところでしょう。そう、実際は減額するなど勝手な真似をしてしまうと、法的リスクが伴うというわけです。さて、本記事では、タイムカードの押し忘れに関して、管理するうえでのポイントを解説します。適切な対応などにも言及。ぜひご参照ください。

タイムカードの押し忘れで給料なし、タダ働きは違法?減給は可能?

  • 2024.08.13
  • 2024.08.13

従業員がタイムカードを押し忘れることに手を焼いている人事担当者、スタッフ管理責任者も多いのではないでしょうか。できることなら、給料はタイムカードに記録された情報だけで管理したいところでしょう。そう、実際は減額するなど勝手な真似をしてしまうと、法的リスクが伴うというわけです。さて、本記事では、タイムカードの押し忘れに関して、管理するうえでのポイントを解説します。適切な対応などにも言及。ぜひご参照ください。

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タイムカードを押し忘れた従業員に対する扱いの妥当性

悩む人事担当者

タイムカードの押し忘れは、労働時間の管理や給与計算に影響します。その際はもちろん、法律を遵守し、従業員の権利を保護しなければなりません。本章では、タイムカードを押し忘れた従業員に対する扱いについて、法的な観点から述べていきます。

タイムカードの打刻は法律上の義務?

従業員にとって、タイムカードの打刻自体は、法律上の義務ではありません。他方、使用者(企業)は、労働時間を適切に把握・管理する責任が伴います。これは、労働基準法で定められていることです。そのため、タイムカードを導入している場合は、なるべく打刻忘れがないようにと注意・督促、そのほか企業として何か手を打つ必要が出てきます。とはいえ、打刻忘れを理由に重い処分を下すことは不適切です。タイムカードの打刻は、あくまでも労働時間の管理を補助してくれるものといった認識でいなければ、行き過ぎたアクションを取ってしまいかねません。

欠勤にして給料を支払わないのは?

タイムカードを押し忘れた従業員を欠勤扱いにし、給料を支払わないといったことは果たしてできるのでしょうか。結論、(タイムカードの押し忘れを理由にすると)違法です。労働契約法第六条では、「労労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」と定められています。

また、労働基準法第二十四条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されています。これらに基づけば、実際の労働に対して給与という形で還元しなければならないことは明らかです。

罰金を設けることは?

タイムカードの押し忘れが起きないよう、罰金を科すのはどうでしょう。はい、これも違法です。労働基準法第十六条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められています。したがって、“タイムカードの押し忘れは罰金”といったルールを設けたなら、この条文に抵触するがゆえに、企業側が逆にペナルティを受けるわけです。

減給は可能?

タイムカードの押し忘れを理由に、減給処分を下すことも原則、認められません。減給自体に対しては、労働基準法第九十一条で、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。ここで気を付けたいのは、この規定は懲戒処分としての減給を想定している点です。タイムカードの押し忘れのように単純なミスに対して適用するものではありません。

タイムカードの押し忘れで企業がケアすべきリスク

トラブルを文字で表現

労働安全衛生法第六十六条の八の三では、こう記されています。

「事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。」

つまり、従業員の労働時間を正確に把握する義務がある企業にとって、タイムカードの押し忘れは、大きな弊害になり得ます。単なる従業員の不注意だと片付けられない点も煩わしいでしょう。最悪、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。

というわけで、ケアすべき具体的なリスクは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

給料の請求を巡るトラブル

タイムカードの押し忘れが、給与請求を巡るトラブルの火種になることも十分に考えられます。実際の労働時間とタイムカードの記録に差異が生じ、(管理側が)後者を正とした場合、揉めることになっても何らおかしくないでしょう。当然、従業員は実働分の給与を請求するはずです。対して、企業側がその事実を証拠の有無も含めて認識していなければ引き下がらない可能性もあり得ます。そのまま労働争議に突入することだってあるはずです。と、厄介なのは仮に事態が収束しても、従業員からの信頼は失わざるを得ません。モチベーションの低下、そして離職につながるのが容易に想像できます。そうならないよう、何かしら手を打っておく必要があるのです。

時間外労働の上限規制に抵触

タイムカードの押し忘れは、時間外労働の管理にも影響を及ぼします。労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が厳格化されるなか、タイムカードの押し忘れにより正確な労働時間が把握できなければ、知らず知らずのうちにこの法令に違反してしまうかもしれません。これは、タイムカードに残業時間が記録されなかった(管理側が把握できていなかった)がために起き得る悪夢です。

タイムカードの押し忘れが起きないための対策

チームで勤怠管理を行う様子

前述したリスクを回避するにはやはり、タイムカードの押し忘れを防ぐことに注力しなければなりません。いわずもがな、企業にとって重要な課題です。では、具体的には何をすればよいのでしょうか。有効な対策に挙げられるのは、ずばり、次のとおりです。

タイムカードの設置や仕組みを変える

今のままで果たしてよいのか、タイムカードの使い方について根本的に見直してみるのも大事です。たとえば、設置場所一つ変えただけでもよい結果につながる期待は持てます。オフィスの入口や従業員が必ず通る場所に設置できていますか。理想は、無意識でもタイムカードの存在を認識できることです。の機会を増やせます。

ほかにも仕組みに対してテコ入れするのも重要かつ有効です。今日、多くの企業で使われている勤怠管理アプリはまさにその典型。従業員が使うパソコンの起動時に自動で(勤怠管理アプリが)表示されるよう設定しておけば、自然とタイムカードを押すことができるでしょう。スマートフォンアプリと連携させられると、なお便利。押し忘れのリスクは大きく減らせるはずです。

チームで管理する

タイムカードの押し忘れを個人の責任だけに帰するのではなく、チーム全体で管理する体制を整えることも大事です。具体的な方法を以下にまとめています。

施策詳細効果
声かけの習慣化チームメンバー同士で退勤時に「タイムカード押した?」と声をかけ合う習慣を作る相互チェック機能が働き、押し忘れのリスクが低減
管理担当の輪番制週単位や日単位でタイムカード管理の担当者を決め、チーム全員の打刻状況を確認する役割を設けるチーム全体で労働時間管理に対する意識が高まる
チーム会議での確認    定期的なチーム会議の議題に、タイムカードの押し忘れの状況共有を含める継続的な意識付けを行う

このようなチームでの取り組みは、単に押し忘れを防ぐだけでなく、労働時間管理の重要性に対する従業員の意識を高める効果もあります。

便利なシステムを導入する

あらゆるシステムがそうであるように、タイムカードもまたテクノロジーの恩恵を賜れば、便利で楽な世界を築けます。昨今、台頭している方法のいくつかをまとめました。

打刻方法詳細メリット
スマートフォンアプリによる打刻         専用のスマートフォンアプリをGPS機能と連携させることで、特定の場所に到着したときには自動で打刻いつでもどこでも簡単に打刻可能
ICカードを利用した打刻社員証などのICカードをかざすだけで打刻タイムカードを探す手間が省け、押し忘れのリスクが減少
指紋認証による打刻生体認証技術を活用し、指紋による打刻を実現ICカードの紛失や貸し借りによる不正打刻のリスクを軽減
Webブラウザからの打刻社内のイントラネットやクラウドサービスを利用し、Webブラウザから簡単に打刻できるシステムを構築在宅勤務やリモートワーク時でも正確な労働時間管理が可能

なお、これらを導入する際は、従業員のプライバシーに対する配慮、個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。

タイムカードの押し忘れが起きてしまったら

勤怠管理をする女性

適切な対策を講じていても、タイムカードの押し忘れが完全になくなることはありません。そのため、押し忘れが発生した際の対応方法も、事前にきちんと決めておくことが大切です。具体的には、次の二点を重要なアクションとして推奨します。

以下、それぞれ詳述します。

対象の従業員に確認

タイムカードの押し忘れを発見した場合、まずは対象の従業員に確認してください。その際、気を付けたいポイントをまとめました。

対応方法詳細
速やかな対応押し忘れを発見したら、できるだけ早く従業員に確認しましょう。時間が経過すると、正確な労働時間の把握が難しくなる可能性があります。
プライバシーへの配慮確認は、他の従業員に聞こえないよう、個別に行います。タイムカードの押し忘れを公の場で指摘することは、従業員の心理的負担を増やす可能性があります。
事実確認に徹する確認の際は、責めるような態度を取らず、純粋に事実関係を把握することに努めます。押し忘れの理由や状況を丁寧に聞き取ることで、再発防止にも役立つ情報が得られる可能性があります。
実際の労働時間の確認      タイムカードに記録されていない時間帯の業務内容や、同僚との連絡記録などを確認することで、実働状況を把握しやすくなります。

労働時間の正確な記録は、従業員自身の権利を守ることにもつながります。その旨、しっかり伝えるところまでが大事です。タイムカードの重要性を、今一度、認識してもらいましょう。

手書き、手入力で対応してもらう

タイムカードの押し忘れが発覚した際、(実際の労働時間を)手書きや手入力で記録してもらう方法も、比較的ポピュラーです。その手順を簡単にまとめてみました。

対応方法概要
専用のフォームの用意    タイムカードの押し忘れに対応するための専用フォームを用意し、日付、出勤時間、退勤時間、業務内容の概要などを記入する欄を設けます。
上長の確認手書きや手入力で記録された労働時間については、必ず直属の上長が確認し、署名または捺印を行います。
速やかな処理手書きや手入力で記録された情報は、速やかに勤怠管理システムに反映させます。
記録の保管手書きのフォームは電子化できると望ましいと考えます。なお、原本は一定期間保管しておきましょう。
再発防止の指導押し忘れの原因を分析し、再発防止のための指導を行います。

タイムカードの押し忘れをカバーできる体制をしっかり作りつつ、原則、“押し忘れない”ように周知・教育することが肝心です。

タイムカードの押し忘れですぐ給料に手を付けるのは危険!

タイムレコーダー

タイムカードの押し忘れがあるにもかかわらず、記録された情報をそのまま給与に反映してしまうのは大なり小なりリスクを伴います。タイムカードを押すことは決して従業員の義務ではありません。義務があるのはむしろ企業側、事業者側です。労働時間を適切に管理できないまま、一方的にタイムカードに基づいて事を進めてしまっては、トラブルに発展するのは容易に考えられます。

押し忘れに対しては、原因や状況を従業員に確認したうえで、あらためて労働時間を把握するよう動いてください。そもそも、(タイムカードの押し忘れを)単なる従業員の不注意とせず、管理システム全体の問題として捉えることも大事です。そうやって企業と従業員が協力し現況を改善できたなら、また一つ組織の絆が生まれるのではないでしょうか。


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