看護師の人手不足が深刻化しています。有効求人倍率の上昇、必要な看護師数に対するギャップ(推計)はまさにその表象です。この問題は医療現場にどのような影響を与えるのでしょうか。そもそも、なぜ看護師が不足しているのでしょうか。本記事では、看護師の人手不足について現状と影響、原因と課題を分析し、解決策を探っていきます。

看護師の人手不足について現場への影響から原因、課題、解決策まで解説

  • 2024.07.19
  • 2024.07.22

看護師の人手不足が深刻化しています。有効求人倍率の上昇、必要な看護師数に対するギャップ(推計)はまさにその表象です。この問題は医療現場にどのような影響を与えるのでしょうか。そもそも、なぜ看護師が不足しているのでしょうか。本記事では、看護師の人手不足について現状と影響、原因と課題を分析し、解決策を探っていきます。

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護師が直面している人手不足の現状

悲しんでいる看護師

看護師は、いわずもがな医療を支える重要な存在です。にもかかわらず、多くの現場では十分な人員を確保できていません。本章ではまず、客観的なデータを用いて看護師不足の現状を明らかにします。

看護師の有効求人倍率

看護師の有効求人倍率は、ここ数年、上昇が顕著です。厚生労働省の「職業情報提供サイト(看護師)」によると、令和4年時点で看護師の有効求人倍率(平均)は2.53倍に達しました。1人の求職者に対して2.53件の求人があるこの状況は、いわゆる売り手市場の状態です。地域によって変動があるものの、この傾向は人手不足を如実に物語っているといえます。

2025年に推計される看護師の数

厚生労働省が2017年時点の看護職員就業者数を基に、直近3カ年分の伸び率(指数平滑法)を乗じて算出した2025年の推計値は約182万人でした。(当初、175万人程度と予測されていましたが、ワークライフバランス改善によって離職率などが下がると見られ、この数値に行き着いています。)

▶参照資料:医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(概要)

2025年に必要な看護師の数

2025年に必要とされる看護師数は、厚生労働省の推計では3つのシナリオが示されています。

シナリオ①
188万人(就業中の全看護職員において、1ヶ月の超過勤務時間が10時間以内、1年あたりの有給取得5日以上が達成された場合)
シナリオ②
190万人(就業中の全看護職員において、1ヶ月の超過勤務時間が10時間以内、1年あたりの有給取得10日以上が達成された場合)
シナリオ③
202万人(就業中の全看護職員において、1ヶ月の超過勤務時間なし、1年あたりの有給取得20日以上が達成された場合)

いずれのシナリオでも、看護職員の需要に達さないどころか、それなりに開きが出ると見込まれています。人口構造の変化はおそらく歯止めが利かないでしょう。しからば、何かしらの方策を打つことは、喫緊の課題です。

▶参照資料:医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(概要)

看護師の人手不足が現場に与える影響

電卓を持つ院長

慢性的な人手不足が続く医療現場では、さまざまな弊害が生じます。その窮状は患者だけでなく医療従事者にも及ぶものです。とりわけ次の3つは大きな影響だと考えます。

以下、それぞれ詳述します。

患者の安全性低下

看護師の人手不足は、患者の安全性に直結する重大な問題です。実際に、厚生労働省の調査でも、患者対看護師の比率が高いほど患者の死亡率が上昇することが示されています(たとえば、常時4人の患者に対し1人の看護師が担当する場合と比べて常時7〜8人の患者を1人の看護師が見る場合、死亡率は23%上昇します)。

参照資料:コメディカル不足に関して~看護師の人数と教育~

人員配置が手薄であれば、十分な観察や援助ができなくなるのは当然です。結果、医療事故のリスクは高まります。特に急性期病棟や認知症患者の増加する病棟では、手厚い看護体制の確保が不可欠です。

病床数の減少

病床を維持するためには、相応の看護師数を満たす必要があります。そのため、看護師の確保が困難になると、病院は病床数を減らさざるを得ません。病床が減れば、入院を必要とする患者を受け入れられなくなります。これはもはや、医療を必要とする人々の「いのち」に関わる問題です。

閉鎖・閉院

人手不足は経営悪化につながります。看護師もまた例外ではありません。看護師確保は、病院経営の根幹です。不足することによって、病棟の閉鎖や閉院さえも起こり得ます。特に、地域の医療を支える小規模の病院ほど危険です。

看護師が不足する原因

看護師と高齢者

看護師の人手不足は、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。個人の事情、職場環境、社会構造の問題まで、多角的に紐解く必要があるでしょう。本章では8つの原因を取り上げます。具体的には、次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

高齢者の増加

高齢者人口の増加は、医療ニーズの拡大を意味します。当然、それに伴い看護師も増えていなかければなりません。しかしながら、ほとんどの現場でその数が追いついていません。少子化も相まって人材確保は非常に困難な状況です。

専門スキルを持った人材の不足

高齢者ケアの需要増加に伴い、在宅医療の重要性も高まっています。しかし、訪問看護に従事できる経験豊富な看護師は慢性的に不足しているのが実状です。同様に、専門知識とスキルを持った方もなかなか見つかりにくく、人材不足に拍車をかけています。

過重労働

看護師不足によって、一人あたりの業務負担は嵩んでいきます。休憩時間の削減、時間外労働の常態化、休日出勤の増加……等々、過酷な労働状況はもはや社会問題です。こうした身体的にも精神的にも厳しい環境は、当然、離職につながります。

プライベートの時間を確保できない勤務形態

不規則な交代制勤務は、看護師の働き方の特徴の一つです。しかし、その影響でプライベートな時間を十分に確保できず、仕事と生活の両立を困難にさせています。たとえば、育児や介護に忙しい方であればなおさらです。ワークライフバランスに配慮した柔軟な勤務体系の構築が求められます。

教育体制の未整備

看護師には、教育と能力開発の機会が不可欠です。これは、看護師たち自身も求めています。が、体制が未整備であれば、(特に新人からすると)不安になる一方です。当然、モチベーション低下にもつながります。離職に発展するのも致し方ないでしょう。かといって、そもそも現場が人手不足であれば、じっくり時間をかけてレクチャーするのも難しいと思われます。こうした悪循環は、後述する連鎖退職とも無関係ではありません。

不透明なキャリアパス

看護師のキャリアパスが不透明なことも、仕事へのやりがいを失わせる要因の一つです。管理職や専門看護師など、さまざまなキャリアの選択肢はあるものの、その道筋が見えにくければ、将来のビジョンが描けません。そうなると、どうしても仕事への意欲は削がれてしまいます。

待遇面の不満

看護師の給与水準は、他の職種と比べて決して高いとはいえません。過酷な勤務に対して報酬が見合っていないと感じる看護師の方も少なくないでしょう。賃金の伸び悩みに加え、正規雇用と非正規雇用の格差も問題視されています。したがって、こうした待遇改善への取り組みの遅れが、看護師離れを助長している可能性も十分考えられます。

連鎖退職

人手不足は、一人ひとりの負担を増大させ、さらなる離職を招く悪循環を生みます。同僚の退職によって職場の人間関係が変化することもあるでしょう。これらは、連鎖退職のトリガーです。残された看護師からすると、これ以上やっていけないと思うのも無理はないでしょう。モチベーションの維持はどうしても難しくなり、また一人新たな離職者が出てくるわけです。

看護師の人手不足解消に向けての課題

看護師の打ち合わせ風景

看護師の人手不足を解消するためには、さまざまな課題をクリアにしていく必要があります。本章で取り上げるのは、次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

多様な人材確保

看護師の人手不足を解消する方法の一つが、属性を絞らず多様な人材にアプローチすることです。育児や介護で一時的に離職した潜在看護師や外国人看護師も採用ターゲットの範囲に入れられると、人材確保のチャンスが広がるでしょう。もちろん、そう簡単に事が進むとは限りません。だからこそ、課題設定として適切だと考えます。

プロフェッショナルな人材の確保

医療の高度化・専門化に対応するためには、一定の経験とスキルを有するプロフェッショナルな看護師の確保が欠かせません。具体的には、認定看護師や特定行為研修修了者を採用していくことが必要です。当然、こうした即戦力人材の獲得競争は激化する傾向にありますが、向き合うべき課題だと考えます。

労働条件のアップデート

過酷な労働条件は看護師の離職を招く大きな要因です。長時間労働や休暇の取得難などが蔓延っている現場なら、すぐにでも見直す必要があるでしょう。現状の労働条件を改善し、看護師が働きやすい環境を整えることは急務の課題です。

職場環境のアップデート

労働条件とは別に職場環境の改善も課題です。たとえば、いつまでも非効率でアナログなやり方では心身は疲弊する一方でしょう。また、院内が清潔感に欠けるようであれば、テコ入れは不可欠です。これは当然、患者にとっても悪影響を及ぼします。そのほかメンタルヘルスのサポートなども必要です。

組織風土のアップデート

病院の重苦しい空気を組織風土にまで持ち込む必要はありません。ネガティブな雰囲気は、大なり小なり看護師のモチベーションに関わります。風通しが悪くならないよう積極的にコミュニケーションを取ったり、自由に意見をいえる関係性を築いたりと、できることはあるはずです。

看護師の人手不足に対する解決策

病床と看護師の女性

看護師の人手不足を解消するには、先に挙げた原因、課題に対して多角的にアプローチしていく必要があります。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

待遇・福利厚生の改善

看護師不足を食い止めるには、賃金水準の引き上げや諸手当の拡充などの待遇改善に加え、育児・介護休業制度の整備、社宅・寮の提供など福利厚生の充実化も図っていく必要があります。これは、人材獲得と離職防止の両面で有効です。

シフト管理の徹底

過度な長時間労働や業務負担の偏りを防ぐには、適切なシフト管理が欠かせません。勤務体制の構築、勤務間インターバルの確保など、問題の火種が生まれないよう徹底して行う必要があります。看護師一人ひとりの希望を踏まえて、柔軟に対応できるようにしましょう。

テクノロジーの導入

いまや看護業務の効率化と負担軽減にもテクノロジーを駆使する時代です。電子カルテの導入、バイタルサインのモニタリングシステム、センサーを活用した見守りシステムなど、さまざまなテクノロジーが看護の現場で導入されつつあります。人手不足解消のための投資だと考え、積極的に取り組みたいところです。

教育体制の構築

成長できる環境は、仕事を続ける原動力になり得ます。ゆえに教育体制の構築は不可欠です。新人看護師への丁寧な指導、キャリア開発を支援する研修制度、専門性を高めるための認定看護師教育など、それぞれのキャリアステージに合わせて学びの機会を提供できると望ましいでしょう。そのほかオンラインでも実施するなど柔軟なプログラム設計も求められます。

キャリアパスの明確化

看護師のモチベーション向上のためには、キャリアビジョンを明確に示してあげることも大事です。いわゆるラダー制度(キャリアアップできる仕組み)の導入は、看護師としてのキャリアの幅を広げてくれます。その結果、安易に辞められることも減らせるはずです。

メンター制度の導入

先輩(メンター)が後輩(メンティー)をフォロー、レクチャーするメンター制度は、人材育成と定着促進に効果的です。業務面だけでなく、メンタル面でのサポートも行います。もちろん、メンターも日々学ばなければなりません。そうした観点も含めて、まずは制度として確立できるようにしましょう。

求人広告の書き方を見直す

人手不足が著しい看護業界では人材獲得競争が激化する傾向にあります。だからこそ、いかに求人広告で訴求できるかが肝心です。状況を打開するには、これまでの書き方を見直した方がよいかもしれません。キャリアアップの機会、働きやすい職場環境など、求職者のニーズを捉えた内容はもちろん、写真や動画を効果的に使うなど見せ方にも工夫が必要です。

▶関連記事:求人広告の書き方を例・テンプレートを交えて解説。応募を集める求人とは?

求人媒体を見直す

求人広告を掲載する媒体によって成果が変わることは決して珍しくありません。特に看護師というスキルや経験を要する職種であればなおさらです。なお、dipが提供する求人掲載サービス『バイトルPRO』は、看護業界はじめ専門職の求人に特化しています。人材獲得はもちろん、ミスマッチのリスクも減らせるため、おすすめです。

▶おすすめのサービス:【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!

面接選考を見直す

面接選考の方法も一工夫入れることで、質の高い採用につながります。具体的には、コンピテンシー面接の導入、複数の面接官による評価、ロールプレイングの活用などです。また、採用要件を思い切って変えていくのも有効でしょう。スキルや経験だけに固執するのではなく、応募者の人柄や仕事への姿勢に目を向けることで、新たな気づきを得られるかもしれません。

▶関連記事:看護師を採用する際に面接で聞くべき質問とチェックポイント

人手不足を回避!看護師の採用成功事例

看護師の女性3名

原因、課題を知り、解決策の引き出しが増えたうえで、さらなるヒントを求めるなら、事例のなかにそれはあるかもしれません。本章では、2つの採用成功事例を紹介します。

有資格者の採用に成功!

兵庫県尼崎市と大阪市阿倍野区で特別養護老人ホームを運営している社会福祉法人平成会グループ様は、有資格者の採用を目指し『バイトルPRO』を導入。結果、低コストで効果的な採用に成功しました。

従来は紙媒体や人材紹介会社に頼っていたといいます。が、思い切って利用するサービスを変え、結果を出した点は多くの病院、施設にとって参考になるはずです。なお、同社はその後、採用サイトを制作できるサービス『採用ページコボット』も導入し、盤石の人員体制を築いています。

参照事例:バイトルPROで施設オープンに必要な有資格者の獲得に成功。採用単価も市内平均の8分の1に。

採用要件にピッタリの人材を獲得!

医療法人 沖縄徳洲会 武蔵野徳洲会病院様は、看護助手の採用において、長らく人材紹介サービスや紙媒体の求人広告を利用。が、採用スピードやコストに課題感を抱いていました。

そこで、『バイトルPRO』の採用課金型のプランを導入。採用コストを削減しながら、求める要件にマッチする人材の獲得を目指します。結果、大成功。ポイントはいくつかあります。

まず、同病院が重視したのは、コミュニケーション力です。患者やその家族とうまく対話できるかどうかを重点的に見ていったのこと。

もちろん、バイトルPROのサービス内容もこの結果につながっています。担当者は、現場スタッフの声をもとに求める人物像を明確にし、複数の原稿パターンを提案し。写真を使って職場の雰囲気を伝え、仕事内容だけでなく大切にしている理念も盛り込むなど、細やかな工夫を凝らしました。

掲載後は、一ヶ月もしないうちに10名からの応募あり。その後、要件にぴったりの人材を採用します。いまでは即戦力として活躍中。以前は現場とのギャップを感じる採用者もいたようですが、バイトルPROの導入によって、ミスマッチが起きずに済んだといいます。

参照事例:採用コストを削減。“共感”重視の求人原稿で採用要件に合う人材からの応募を獲得。

看護師の人手不足回避のために、今、動くことが大事!

医師と看護師

というわけで看護師の人手不足について、現況から成功事例まで網羅的に解説しました。課題の洗い出し、施策の実行など、できることは着実かつ愚直にやっていかなければ、事態を変えることは難しいでしょう。加えて、中長期的な視点で人材確保の戦略を描くことも大切です。多様な人材の獲得、専門性の高い人材の育成、定着率の向上など、計画的かつ複合的なアプローチが求められます。

看護師不足の問題は一朝一夕には解決できませんが、根気強く取り組むことで少なからず改善されていくものです。まずは自院の状況を把握し、目指すゴールへと向かっていきましょう。今、動くことが大事です。サービスのご利用もぜひ、ご検討ください。

▶関連記事:看護師が不足する理由~危機・問題、課題、対策もまとめて解説~


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