高校生をアルバイトとして雇える時間帯

法律(労働基準法第61条)では、「高校生かどうか」ではなく「年齢」によってアルバイトできる時間帯が定められています。具体的には、18歳未満の方の場合、原則22時から翌朝5時までの時間帯はアルバイトができません。裏を返せば、18歳未満の高校生がアルバイトできる時間帯は、通常、午前5時から午後10時までの間ということです。他方、高校生でも18歳になっている場合は、労働時間の制限が生まれません。そのため、午後10時以降の勤務(深夜や早朝勤務)でも問題ないといえます。もちろん、校則やお住まいの地域の条例で禁止されている可能性もあるため、深夜・早朝にアルバイトをさせる場合は、それらの確認は必要です。そのうえで特に違反することがなければ、学業に支障をきたさない範囲で働いてもらうとよいでしょう。
ちなみに、上記はいわば通例です。実際は例外もあります。たとえば、18歳未満でも深夜勤務の必要性を厚生労働大臣が認めた地域または期間に限っては、労働外時間を「午後11時~午前6時」にずらすことが可能です。労働基準法の下では15歳になってから最初の3月31日を過ぎていればアルバイトは行えます。したがって、16歳、17歳の方が深夜に働いている光景も、決して珍しくないのです。また、農林事業・保健衛生業・電話交換業務など特定の職業に関しても、18未満が勤務できるという規定が存在します。さらには、災害や非常時などのやむを得ない状況においても同様に適用されます。
と、これらは、いずれも特殊なケースです。基本的には、高校生を午後10時から午前5時までの間に働かせてはいけない認識でいることが、無難かと思われます。
なお、2022年4月1日より成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、高校生が働ける時間や職種については、特に変更がないまま現在に至ります。
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高校生のアルバイト勤務に関わる主な法律の内容

前項では主に時間帯を中心にお伝えしましたが、以下、労働基準法に沿ってより広い観点で説明します。
労働時間に関するルール
前述のとおり、18歳未満の高校生を22時から翌朝5時までの深夜帯で働かせることは、原則できません。特定の条件下を除いて、違反した場合、雇う側は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられることになります。
また、あわせておさえておきたいのが労働基準法第32条の内容です。そこでは、18歳未満の方の勤務時間について原則、「1日に働けるのは8時間まで」「1週間に働けるのは40時間まで」と定められています。特段理由もなくこれを守らなかった場合は、当然、法律違反です。なお、高校生であれ18歳以上の方には、割増賃金を支払うことを条件に「1日8時間」「1週間で40時間」を超えて働いてもらってもかまいません。が、実際のところ、高校生に対しては残業を禁止にしている企業がほとんどです。
休日に関するルール
休日の取り方も労働基準法で定められています。週休制の場合、毎週1日以上の休みは必須です。また、変動週休制であれば、4週で4日以上の休日を与えなければなりません。
休憩時間に関するルール
勤務中の休憩時間については、1日の労働時間が6時間を超える場合は最低でも45分、8時間を超える場合は最低でも1時間の休憩の付与が必要です。この条件は労働基準法第34条で定められています。そして、高校生のアルバイトにも適用されているルールです。と、ここで胸に刻んでほしいのが、法律による休憩時間の基準は、あくまでも最低時間だということ。職種・職場によってはさらに長い休憩が必要となるケースもあるかもしれません。したがって、アルバイトに無理をさせることなく働いてもらうためにも、自社あるいは現場に合った休憩時間を設けることをおすすめします。
高校生に任せてはいけない業務
業務内容もまた、年齢によって制約される要素の一つです。労働基準法第62条や63条では、危険または有害性の高い業務に当たる職種での高校生採用を制限または禁止しています。代表的な業務は次のとおりです。
- 重量物の取り扱い
- 運転中の機械の掃除、検査、修理など
- 足場の組立
- 感電の危険性がある業務
- 墜落の恐れがある高さ5メートル以上の場所での業務
- 酒席に侍する業務
- 特殊な遊興的接客業(バー、キャバレー、クラブなど)
補足すると、居酒屋やレストランなどお酒を提供するからといって必ずしも高校生を働かせてはいけないわけではありません。禁止されるのは、あくまでキャバクラやガールズバーなど、接待を伴うお店での勤務です。
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高校生をアルバイトとして雇う際の“時間”以外の注意事項

高校生をアルバイトとして雇う際、いくつかの注意事項が挙げられます。それは、法律で定められている“時間”に関することや前項で触れた業務内容だけではありません。以下取り上げる細かな配慮やケアも、非常に大事です。
校則を確認する
法律上では、18歳以上なら深夜の時間帯でもアルバイト勤務が可能です。ただし、高校生の場合は校則で深夜のアルバイトを禁止している学校も存在します。そのため、事前の確認が必要です。彼・彼女らが校則違反をおかさないためにも大事なことですが、企業側にとってもずさんな管理では、「校則に抵触するにもかかわらず高校生を働かせている」といった風評被害を受ける可能性があります。くれぐれもご注意ください。
なお、アルバイトに関するルールは学校によって異なります。許可証の提出や親の同意など、条件次第で認められるケースも踏まえて、なるべく細かい点まで確認するようにしましょう。
学業を優先させる
アルバイトを理由に学業を疎かにさせてしまうことは、彼・彼女たちのためにもなるべく避けたいところです。当然、成績が下がれば親御さんたちも心配するでしょう。あるいは、企業に対する印象もマイナスに作用する恐れすら考えられます。
したがって、仮に雇う場合は、部活動の試合前やテスト期間中で忙しいときにはシフトの融通を利かすなど、アルバイトと学業の両立を図れるよう柔軟に管理していきましょう。そのほか、相談しやすい雰囲気づくりを意識することも大事です。
保護者の同意書を提出してもらう
校則問わず、高校生をアルバイトとして雇用する際は、そもそも保護者の同意が必要です。提出された同意書は、勤務中のトラブルや損害が生じた際に、保護者が責任を負うもの(承諾書)として効力を発揮します。逆にいうと保護者の同意なしで働かせるようなことはあってはいけません。
所得税と住民税がかかるケースも想定しておく
高校生をアルバイトとして雇う際は、所得税と住民税が掛かるケースも想定しておきましょう。一般的に高校生であれば親の扶養親族にあたりますが、収入が年間103万円を超えると所得税が、年間124万円を超えると住民税がかかることになります。これらはアルバイト代に課税され、親の扶養控除38万円も対象から外れる仕組みです。
上記を踏まえて、アルバイト従業員から「扶養内に収まるよう管理してほしい」とお願いされることがあります。もちろん本人自身もきちんと計算しておく必要はありますが、彼・彼女らに安心して働いてもらうには、企業側の真摯な対応が不可欠です。労働時間など適宜、調整・管理してあげてください。
▶関連記事:税法上の扶養とは?条件や手続き、社会保険上の扶養についても解説
高校生がアルバイト先を選ぶ主なポイント

高校生の採用を決めたからといって、すんなり応募が来るとは限りません。当然、訴求するには工夫が必要です。本章では、高校生がアルバイト先に求める主な条件や選ぶポイントについて解説します。
高校生を歓迎しているか
自身が高校生であるがゆえに、アルバイト先を探すにあたっては、大人ばかりに囲まれうまく溶け込めないのではないかと一抹の不安を覚える方も少なからずいらっしゃいます。だからこそ、募集要項には明確に「高校生歓迎」「高校生の仲間の仲間もいる」と記載した方がよいでしょう。同年代、そして何より自身と同じ高校生がいることがわかれば、人間関係に対する懸念も和らぎ、また学業についても優先してくれるだろうと安心感をもたらせるはずです。
柔軟に働けるか
先述したとおり、学業と両立するためには、部活の試合前やテスト期間中、優先的に休みが取れる環境が望ましいです。シフトの融通が利くかどうかは、当然、アルバイト選びに重要なポイントだといえます。したがって、求人の際は、「1日2~3時間でもOK」「週1~2日の勤務から可」「その他、応相談」など、柔軟に働けることをしっかりアピールしましょう。
通いやすいか
通いやすさはアルバイト選びのなかで優先順位の高いポイントだと考えられます。おそらく、学校帰りに直接職場に向かうことも視野に入れて選ぶはずです。加えて、働いた後、自宅までどれぐらいかかるかも、疲れ切った身体を考慮するとどうしたって無視できないでしょう。
ゆえに地域をターゲットに採用を行うのであれば、これらを加味すると求人にも生かせるかもしれません。
社会勉強になるか
「高校生がアルバイトしたい理由は何でしょう?」と問われれば、「えっ、そんなのお小遣いを稼ぎたいからに決まっている」と、このような向きがほとんどかもしれません。が、実際はもちろんそんなことはなく、たとえば、将来を見据えて働くことを経験したいがゆえにアルバイトを検討する高校生なども、思いのほか多くいらっしゃいます。この場合、彼・彼女たちは社会勉強の観点でアルバイトを探しているわけです。
当然、職種によって仕事で得られるスキルは異なります。顧客対応、関係者とのコミュニケーション、業務の進め方……等々、何を磨くことが自身の成長につながるのか。目の前の進路への悩みと相まって、この時期、高校生たちは一生懸命未来の自分を模索しています。頻繁に焦りを覚えることもあるでしょう。だからこそ、高校生の採用を視野に入れる際、企業はその潜在意識に応えていく必要があります。しからば、求人募集のなかで社会人として役立つものをいかにうまくプレゼンできるかが、採用につなげるための一つのカギになるはずです。
高校生をアルバイトとして雇うなら、前提知識の把握が必要!

高校生をアルバイトとして雇う場合は法律によってさまざまな制限があることをまず知っておく必要があります。とりわけ時間に関する知識は必須ですが、実際、気を付けることは業務内容や同意書の取り交わし、校則などさまざまな要素があり、決して一筋縄ではいきません。さらには採用活動、そしてその先の労務管理も同様です。前提知識が曖昧ななかで何とはなしに進めてしまっては、行き詰まる可能性が高くなります。
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▶関連記事:高校生採用完全ガイド:高校生雇用促進のポイントを徹底解説!
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