看護師不足は、なぜ起きているのか。本記事では、看護師不足の理由を紐解き、改善策までお伝えします。この悩ましい問題に対峙している現場のスタッフ、院長、経営者の方々の参考になれば幸いです。

看護師が不足する理由~危機・問題、課題、対策もまとめて解説~

  • 2024.07.22
  • 2024.07.22

看護師不足は、なぜ起きているのか。本記事では、看護師不足の理由を紐解き、改善策までお伝えします。この悩ましい問題に対峙している現場のスタッフ、院長、経営者の方々の参考になれば幸いです。

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看護師不足の実態

悩む看護師

看護師不足の実態は就業者数や有効求人倍率の動向からも見て取れます。以下、それぞれ詳述します。

看護師の就業者数について

厚生労働省の調査によると、看護師の就業者数は1990年の約83.4万人から2020年の173.4万人へと、ここ30年で大きく増加しています。

参照:看護師等(看護職員)の確保を巡る状況

この数値だけを見ると、看護師は不足していないのではないかといった向きもあるかもしれません。しかし、需要に届いていないのが実状です。というのも高齢化の影響で、ニーズ自体が非常に増えています。そう、30年間で倍以上増えても、この数では足りないのです。

なお、2025年には推計で約182万人の就業者数が見込まれています。が、必要とされるのは188万~202万人だといいます。人口構造を加味すると、今後さらに深刻化することは容易に考えられるでしょう。 

参照:医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(概要)

有効求人倍率からわかる不足の現実

令和4年の看護師の有効求人倍率(全国平均)は2.53倍でした。1を超えれば売り手市場と呼ばれるなかでこの数値は、まさに人手不足を表わしているものといえます。なお、前年は2.37倍です。年々、状況が深刻化していることも如実にわかります。

参照:看護師 – 職業詳細 | job tag

看護師不足に陥る理由

看護師を表現

看護師不足はさまざまな理由が考えられます。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

少子高齢化による需給バランスの偏り

高齢者人口が急増する一方で、若年層の減少により看護師の供給が追いつかないのが現状です。当然、1人当たりの対応は増えます。そうした状況下で働き続けるのは、やはり困難です。離職者が増えるのもやむを得ないでしょう。

パブリックイメージの悪化による心理的応募ハードルの高さ

看護師のパブリックイメージが悪化していることも、採用難の一因だと考えます。看護業界の長時間労働や精神的ストレスの大きさは、度々社会問題としても取り扱われているため、そうしたネガティブな側面が頭に刻まれている向きも少なくないでしょう。採用ターゲットに当たる方のなかにも、看護師になることを躊躇される方は思いのほか多くいらっしゃるかもしれません。

タイムパフォーマンスが重視されることによる訴求のずれ

現代社会ではタイムパフォーマンスが重視される傾向にあります。特に若年層に顕著です。にもかかわらず、看護職の求人ではこのトレンドを訴求できていないことがしばしば見受けられます。“とてもじゃないがタイパなど言っていられない”ことがなければ、現場の見直しも含めて、訴求方法を工夫する必要がありそうです。

ノウハウを持たないことによる採用の失敗

看護師の求人をただ何とはなしに出しても、そう簡単には事を運べないはずです。実際、専門職ゆえ、少なからず採用ノウハウが要求されます。戦略も戦術もないままいたずらに進めてしまっては、いつまでもたっても欲しい人材を確保できないでしょう。

不規則な勤務形態による生活への支障

夜勤や早朝勤務が続くと、生活リズムが乱れ、健康への影響も出てきます。特に家庭を持つ看護師にとっては、仕事と家庭の両立が難しくなるため、それを理由に離職されるケースも少なくありません。

過重労働による業務負担

前述した少子高齢化による需給バランスの偏りから、一人に対する業務負担は年々、嵩む一方です。ただでさえ夜勤などで心身が疲弊しやすい職業にもかかわらず、長時間勤務や休日勤務で過重労働になれば、遅かれ早かれ離職につながり、看護師不足はさらに深刻化していくでしょう。

結婚・出産・育児などによるライフステージの変化

従業員が結婚、出産、育児などライフスタイルに変化があったときには、仕事との両立が困難(あるいは不可能)になります。にもかかわらず、「復職支援制度が整備されていない」「シフトの融通が利かない」「上司の理解がない」……等々、柔軟性に欠ける職場の場合、人が離れていくのも無理はないでしょう。

教育体制が整備されていないことによる成長機会の欠如

看護師としてのキャリアを築くためには当然、スキルアップが必要です。が、自力で学ぶのには限界があります。そのため、教育体制が十分に整っていない場合は、それを理由に早期離職を選択する新人看護師の方もいらっしゃいます。こうした環境では、一向に人材は確保できないでしょう。

不透明なキャリアパスによる将来への不安

前述した成長機会の欠如と同じで、看護師として働くにあたり自身のキャリアパスを描けるかどうかががわからなければ、不安を抱えたまま従事することになります。昇進の道が明確でなければければ、当然、モチベーションは下がるでしょう。辞められてしまうのも時間の問題です。

看護師不足によって生じやすくなる危機・問題

ネガティブな感情を持つ看護師を表現

理由だけでなく、看護師不足によって起きることも把握しておきましょう。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

医療ミス

看護師が不足し一人の業務負担が増加すれば、注意力や集中力の低下が危ぶまれます。たとえ無意識であっても疲労は蓄積するものです。そうなると、頭の回転も鈍化します。医療ミスが起きてしまうのも当然です。これが頻発すれば、病院の信用にも悪い影響を与えてしまいます。それ以上に患者の安全が脅かされる状況を何とかしなければなりません。元凶はもちろん看護師不足です。大きなリスク、トラブルを招く前に、対策を講じておく必要があります。

従業員の体調不良

繰り返しお伝えしますが、長時間勤務や夜勤が増えれば、体調に支障をきたすのは当たり前です。メンタルまでやられてしまうと、回復の目途も立たなくなるかもしれません。それを避けるにはやはり、看護師不足を食い止めることが必要です。

閉院・廃業

看護師不足のためにサービスを提供できず、患者を受け入れられないケースがあります。この状況が続くと、経営自体が困難になり、やむなく閉院・廃業を決断しなければならないでしょう。これは特に地方の小規模な病院やクリニックで起きやすいことです。看護師を確保できず経営が立ち行かなくなることは、決して珍しくありません。

実際、帝国データバンクの調査では、2023年度の医療機関の休廃業・解散は過去最多の709件を記録しています。

参照:医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)

看護師不足に直面する病院の課題

指示を出す看護師

理由そして起き得る問題・危機を踏まえて、看護師不足に直面する病院はどのような課題と向き合う必要があるのでしょうか。挙げられるのは主に次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

採用要件の最適化

採用要件については定期的に見直しましょう。とはいえ、最適解を出すのはそう簡単ではありません。この課題に向き合うには、先入観をいかに無くせるかがポイントです。これまで求め続けてきた基準に固執せず、柔軟に考えていく必要があります。

労働条件の最適化

適正な勤務時間や休暇制度の整備、夜勤の負担軽減など、働きやすい環境を作っていくこともまた看護業界の課題です。そうはいってもやはり、どうしても無理をしないといけない場面も出てくるでしょう。もちろん限度はありますが、やむを得ない制約のなかで、どう落としどころ(最適なライン)を見つけるかがカギを握ります。

育成プログラムの最適化

最適な育成プログラムの確立は、どの現場においても取り組んでいきたい大きな課題です。

教育・研修の実施は必須ですが、内容も当然、効果的なものでなくてはなりません。新人看護師だけを対象にするのではなく、各フェーズでスキルアップを図れると望ましいでしょう。外部研修やメンター制度の導入も加えられると、さらに充実が図られます。

機器・設備のデジタル化

医療機器や設備のデジタル化は、業務効率を向上させ、看護師の負担を軽減するための有効な手段です。たとえば、電子カルテの導入や、そのデータの保存先をクラウド化することで、煩雑な事務作業を削減し、看護師が本来の業務に集中できる環境が作り出せます。業界全体で高齢化が進むなか、こうした世界観の構築に抵抗する向きもあるかもしれませんが、彼・彼女らを説得することも含めて、極めて重要な課題です。

看護師不足を解消するための対策

男性看護師

さて、それでは看護師不足を食い止める、あるいは回避するための対策を紹介します。具体的には次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

求人方法を見直す

採用活動の成果が芳しくなければ、従来の求人方法にテコ入れが必要かもしれません。思い切って利用する求人媒体を変えるのも一つの手だと考えます。これまで何となく使っていたサービスは果たして看護師採用と相性がよかったのでしょうか。なお、dipが提供する『バイトルPRO』は、看護業界はじめ専門職の求人に特化したサービスです。人材獲得はもちろん、ミスマッチを回避する期待も持てます。

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また、求人広告の書き方に工夫を凝らしてみるのも有効です。たとえば、看護師の魅力を伝える動画やインタビュー記事を掲載することで、職場の雰囲気や働き方を具体的に伝えてみてはどうでしょう。なるべくリアルな情報に触れたい求職者のニーズに応えられれば、自院とのマッチ度が高い人材に出会えるかもしれません。

支給手当を増やす

看護師としてのキャリアをサポートするためには、支給手当を増やすことも検討したいところです。夜勤や時間外に対する報酬アップ、はたまた特定の資格や専門スキルに対して技能手当を導入するなど、やり方は色々とあるでしょう。

福利厚生を強化する

看護師が働きやすい環境を整えるためには、福利厚生の強化も視野に入れましょう。たとえば、健康診断やメンタルヘルスケアの充実、リフレッシュ休暇、育児支援や介護休暇制度の整備などが挙げられます。

採用プロセスを一新する

いっそのこと採用プロセスを一新してみてはどうでしょう。たとえば、「応募者の取りこぼしを防ぐために面接日程の調整を自動化で対応していく」「オンラインで面接を実施する」「面接で質問する内容の方向性を変える」「一度、看護師が働く現場の様子を見てもらう」……等々、これまでとは変わったやり方を取り入れることで、状況が好転するきっかけになるかもしれません。

復職をサポートする

結婚・出産・育児などで一度職場を離れた看護師が、再び職場に戻るための体制を整えることも大事です。家庭との両立を可能にすべく融通が利く柔軟なシフト制度の導入や、ブランクを埋めるための研修プログラムの実施など、復職しても安心できるサポートがあれば、前向きに検討してもらいやすいでしょう。

eラーニングを導入する

看護師の継続的な学習とスキルアップを支援するには、eラーニングの導入が効果的です。忙しい看護師にとって、時間と場所を選ばずに学習できるeラーニングは便利ゆえにありがたいでしょう。最新の医療知識や技術を学ぶためのオンラインコースや、シミュレーションを活用した実践的なトレーニングを提供することで、看護師として働き続けるモチベーションを高められると考えます。

医療DXを取り入れる

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、看護師不足の解消に一役も二役も買ってくれるはずです。たとえば、電子カルテシステムや遠隔医療の導入により、業務効率を向上させることができます。また、AIを活用した診断支援システムも業務軽減に大きく寄与するはずです。とはいえ、資金・運用面で断念される病院、施設も少なくないでしょう。が、近年はそうしたハードルを下げたツールも出てくるようになっています。dipが提供するコボットもまた同様です。

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政府の支援を活用する

政府も看護師不足の解消には動いています。具体的には「復職支援」「離散防止・定着促進」「養成支援」「財政支援」の4つです。うまく活用できれば、看護師確保につながるものと思われます。

復職支援

復職支援については、看護師の就業促進事業を行うナースセンターの設置や看護師資格保有者の届け出制度が挙げられます。ナースセンターとハローワークの連携強化も図られ、医療機関の人材充足や求職者支援が進められています。

離散防止・定着促進

離散防止・定着促進については、看護師を含む医療従事者の勤務環境改善が該当します。都道府県ごとに設置されている「医療勤務環境改善支援センター」も象徴的です。

養成支援

養成支援は、看護師資格保有者の母数を増やすための取り組みです。看護学以外を専攻して大学を卒業した人や、社会人として一定の就労経験を経た人に向けて行われています。

財政支援

財政支援では、医療機関・事業所に向けて「地域医療介護総合確保基金」が用意されています。これは、看護職員関係事業を実施するための基金です。看護人材の確保推進や資質向上が図られます。 

参照:看護職員確保対策

看護師不足解消のヒントにしたい事例

患者と手を取り合う看護師

看護師不足を解消するためには、対策とあわせて成功事例を参考にすることも有効です。本章では、2つの事例を紹介します。ここから得られるヒントも、ぜひ活用してみてください。

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「医療法人・沖縄徳洲会・武蔵野徳洲会病院」様は、これまで主に人材紹介サービスと紙媒体を使って採用活動を行っていましたが、色々と問題も多く、根本的に何かを変える必要がありました。

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▶事例詳細:バイトルPROで施設オープンに必要な有資格者の獲得に成功。採用単価も市内平均の8分の1に。

看護師不足には理由がある!改善できることからコツコツと。

ハートを手に取る看護師

看護師不足の問題は、その実態を正確に把握し、原因の分析と適切な対策を講じることで徐々に解消へと近づいていけると考えます。しかし、そう簡単なものではないのも確かです。特に理由を洗い出していくと、その多様性、複雑性はまさに看護師不足問題の難しさそのものを表わしているようにも見えます。やはり、コツコツとそれらを潰していくことが、途方に暮れそうになるかもしれませんが、最適解なのかもしれません。そのなかで優先的にどれからテコ入れしていくのかは大事なポイントでしょう。社内整備、働きやすい環境づくりがある程度できれば、それを強みに求人を出していけると、相乗的に効果が出せるようになるはずです。拙稿で紹介した事例もヒントにしつつ、できることから丁寧に取り組んでいきましょう。

▶関連記事:看護師の人手不足について現場への影響から原因、課題、解決策まで解説


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