人手不足の昨今、パート従業員に残業してもらいたいケースもあるでしょう。パート従業員に残業してもらうには、採用時に書面で取り決めをしておくことが必要です。また、当然ながら労働基準法に則り残業代を支払う義務もあります。
この記事では、パート従業員の残業時間の上限や、残業代の算出方法、関連する法律などをわかりやすく解説します。よい人材に長く働いてもらえるためにも、ルールに基づき職場環境を整えましょう。

パートの残業について、時間の上限や残業代の計算方法など解説

2022.11.11

人手不足の昨今、パート従業員に残業してもらいたいケースもあるでしょう。パート従業員に残業してもらうには、採用時に書面で取り決めをしておくことが必要です。また、当然ながら労働基準法に則り残業代を支払う義務もあります。 この記事では、パート従業員の残業時間の上限や、残業代の算出方法、関連する法律などをわかりやすく解説します。よい人材に長く働いてもらえるためにも、ルールに基づき職場環境を整えましょう。

パート従業員に残業させることはできる?

忙しすぎてパート従業員にも残業して手伝ってほしい人

パート従業員の残業については、採用の際、具体的な残業時間を明記した労働条件通知書を取り交わしていれば特に問題ありません。もちろん、残業させる場合は、その分の賃金を支払う必要があります。以下、くわしく言及します。

パート従業員が残業できる条件

前述のとおり、パート従業員に残業をお願いすることは、労働条件通知書に時間外労働について定めがあれば法律上可能です。そもそも労働条件通知書とは、文字どおり採用時にパート従業員に提示する労働条件を記した書面を指します。主な項目は、就業時間や賃金などです。また、月に何時間程度発生するのかまで記載されている必要があります。

パート従業員の残業を巡って起こり得るトラブル

パート従業員とは、フルタイム稼働でないことを前提に労働契約を結んでいます。当然、その働き方を選ぶ理由はさまざまです。介護や子育て、持病との兼ね合いなどが挙げられます。そうした背景はともあれ、残業が多いとやはり、トラブルが生じることになりかねません。 

時間外労働の可能性や残業時間については、採用時に書面だけではなく口頭でもコミュニケーションをとり、納得してもらうよう努めましょう。属人生の高い業務を担当される方に対しても長時間の残業をお願いすることはくれぐれも避けるべきです。

パート従業員に対する残業代

パート従業員に対しても会社都合であれば、きちんと残業代を支払う義務があります。時間帯によっては割増分も必要です。

パート従業員の残業時間の上限について

パート従業員の残業時間の上限

 パート従業員との間に36協定が締結されていない場合は、法定労働時間の上限を超える残業をさせることはできません。 以下、残業時間の上限について説明します。

残業時間の上限は労働基準法で決められている

残業時間については、労働基準法に定めがあり、原則として、以下のルールを守らなくてはなりません。 

多くの場合は、パート従業員はフルタイムの正社員よりも勤務時間が短い取り決めで働いています。仮に残業をしても「1日8時間、週40時間、週1日の休暇」を超えることはまず考えられません。

それでも事情があって、労働基準法を超える時間、働いてほしいシチュエーションが出てくるかもしれません。その際は労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)の締結が必要です。

36協定の締結による残業時間

36協定締結後は、以下のルールのなかで法定労働時間を超えた残業が可能です。

なお、特別な事情で上記の限度時間を超える場合は「特別条件付き協定」の範囲内で残業が可能です。 

特別条件付き協定を結んだ場合

特別条件付き協定を結んだ場合は、原則以下のルールを守らなければなりません。

36協定の締結条件と違反による罰則

36協定は、労働組合あるいは労働者の過半数を占める集団の代表者と書面によって締結されるものです。

裏を返せば、この条件に当てはまらない場合は36協定は締結できず、パート従業員に法定労働時間を超える残業や休日労働を行わせることはできません。 

そして36協定を締結した場合は、書面を労働基準監督署に届け出ることが求められます。そのうえで1年ごとに更新が必要です。これらの規定を守れなければ法律違反に当たります。労働基準法第119条の定めに則って、30万円以下の罰金・6か月以下の懲役が科せられる可能性があります。

例外が適用される業種

建設事業、自動車運転の業務、医師、鹿児島と沖縄における砂糖製造業については、上記と適用内容が異なります。2023年3月31日までは上限規制がなく、2024年4月1日以降は、それぞれの職業で別途取扱いが定められる予定です。したがって、これらの仕事の残業可能時間については、個別に確認する必要があります。

パート従業員の残業代の計算方法

パート従業員に対する残業代の計算

パート従業員の残業代を算出する際、基本的にその分は通常の時給計算と変わりません。ただし、残業が法定労働時間を超えた場合や深夜あるいは休日労働に及んでしまうと25%~75%の割増料金を上乗せして支払う必要があります。 

以下、具体的なシチュエーションも交えつつお伝えします。 

割増賃金がかかる場合

所定労働時間とは、企業ごとに定められた就業規則による労働時間のことです。法定労働時間はすでに述べたとおり「1日8時間、週40時間」までと上限が設けられています。この規定を超えて残業が発生した場合は、通常の時給に25%の割増賃金がかかることになります。

【割増率まとめ】 
所定時間外労働…0% 
法定時間外労働…25% 
法定時間外労働(月60時間以上)…50%(条件により25%になる可能性あり) 
深夜の法定時間外労働…75%(条件により50%になる可能性あり) 
深夜労働…25% 
法定休日での労働…35% 

法定時間外労働

1か月で60時間以上の労働をした場合、大企業は50%の割増賃金を上乗せして残業代を算出します。中小企業は2023年3月31日まで25%の割増賃金で算出することができますが、2023年4月1日以降は大企業と同じく50%の割増料金を支払う必要があります。 

深夜の法定時間外労働

午後10時~午前5時までの深夜帯に1か月60時間を超える法定外労働をした場合、大企業の場合は深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%の割増料金を支払わなければなりません。 

中小企業の場合は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率25%=50%となりますが、こちらも2023年4月1日以降は大企業と同じ割増賃金になります。 

なお、労働基準法の定めは「最低基準」ですので、労使協定によって、法律を上回る割増率を定めることは可能です。 

深夜労働のみの場合は、25%の割増賃金で算出されます。 

法定休日での勤務

労働基準法により、週1日・4週間のうち4日以上の法定休日が必要になります。この法定休日に労働をした場合、35%の割増賃金で残業代は算出されます。 

具体的な計算例 

たとえば、所定労働時間が9時から16時で、時給1,500円のパート従業員が9時から21時まで勤務した場合はどうでしょう? 

まず労働時間は、休憩の1時間を除いた11時間です。このうち、法定労働時間の8時間に達するまでの1時間は法定内残業となり、通常の時給を支払います。つまり、8時間を超えた分の3時間が時間外労働です。この分は割増賃金を支払います。 

ではこの日の残業代を実際に計算してみます。 

1,500(円)×1(時間)=1,500(円) 
1,500(円)× 1.25(割増)×3(時間)=5,625(円) 
 
残業代合計:1,500(円)+5,625(円)=7,125(円) 

罰則について

残業代を支払うことは企業の規模を問わず、会社側の義務です。残業代を支払わなければ、労働基準法第119条により、30万円以下の罰金または6か月以下の懲役となる可能性があります。

パート従業員の残業について把握すべきポイントまとめ

パート従業員3名

パート従業員に残業をしてもらうことは、採用時に書面で取り決めていれば可能ですが、残業時間は法律を守り、残業代は適切に支払わなくてはなりません。 

今は労働者側も、法律や残業代に関して、疑問に思ったことを簡単にスマホで調べられる時代です。法律をしっかり守っている企業は良い雇用先として、良い人材が集められる可能性があります。 

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