パートの離職率や継続期間について

パートがすぐ辞める職場について解像度を高めていく前に、労働市場の概況をざっと念頭において損はないでしょう。本章では、離職率そして継続期間に言及します。なお、後者は古いデータになってしまいますが、早期離職の方が一定数いることは、普遍的な事象として今日へと連綿と続く悩ましい問題だとわかるはずです。
離職率
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、2022年のパートタイム労働者の離職率は23.1%でした。前年の21.3%よりも1.8%上昇しています。フルタイム労働者の離職率11.9%と比較すると、約2倍以上の数値です。パートの方々に定着してもらうことの難しさがわかります。
なお、産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」の離職率が26.8%ともっとも高く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が19.4%でした。
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継続期間
パートタイム労働者の継続期間を示すデータとしては、更新状況を追っていくとよいでしょう。厚生労働省がまとめた「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」を取り上げ、お伝えすると、まず、雇用期間の定めの有無については、“ある”が54.6%、“ない”が45.4%でした。定めがある場合、一定期間で契約更新が行われます。そのなかで一度も更新しなかった割合は、12.1%。もちろん、雇用期間の長さによって印象は変わりますが、データ上、ここに該当するのは早期離職者です。10%を超えることは結構な数だと考えます。
新人のパートが辞める理由とは?

では、前述したデータも踏まえて、パートがすぐ辞める職場について深掘りしましょう。まずは、新人パートが辞める理由を考えます。主に挙げられるのは次のとおりです。
- 仕事内容のアンマッチ
- 労働条件の不満
- 職場の人間関係
以下、それぞれ詳述します。
仕事内容のアンマッチ
仕事内容が思っていたものと異なることを理由に辞める方は少なくありません。これは、パートに限らず辞める新人のほとんどに起きている問題です。求人情報や面接時の説明と実際の業務内容にギャップがあると、当然、不満を抱きやすくなります。また、求める能力に対して、新人パートが持つスキルや経験が一致しない場合も同様です。さらには、不相応に重い責任が課されても、心理的負担が増し、離職のリスクが高まります。
労働条件の不満
いざそこで働き始めて、仕事や職場のことがわかってきたときに、労働条件が割に合わないといった不満を覚える方もよく見受けられます。不相応の低賃金あるいは融通が利かないシフト体系のなかでは、どうしても長く続けようとは思わないでしょう。私生活とのバランスを整えるためにパートという働き方を選んだ方ならなおさらです。また、同一労働・同一賃金のルールにこそ当てはまらないものの、ほかの雇用形態の方(正社員の方など)と比べて、待遇・福利厚生に差があった場合もまた、パート従業員のモチベーション低下につながることがあります。
職場の人間関係
職場の人間関係も当然、従業員の定着に関わります。時短勤務など働き方が特殊な分、必要以上に周囲に気遣うパートの方も多いでしょう。孤立感も抱きやすい立ち位置だと考えます。コミュニケーションの機会が少ないと、馴染めないまま辞められるケースも出てくるはずです。ギスギスした雰囲気なんてもってのほか。とにもかくにも、人間関係は非常に大事な要素です。
パートがすぐに辞めがちな職場環境とは?

前述したように、パートがすぐ辞める理由は職場環境が大いに影響していることがわかります。とりわけ明白なのが、コミュニケーション不足の職場です。そういった環境では、パート従業員が孤立しやすくなります。彼・彼女らは仕事に対する不安や不満が募る一方です。また、上司や先輩の指示が曖昧であったり、質問しづらい雰囲気を醸し出されたりすると、不信感をも抱かれるでしょう。加えて、初期研修やOJTが体系的に行われていない場合も同様です。本能的に“ここに居てはいけない”と思わせてしまうかもしれません。
シフトについても、パートがすぐ辞める職場には共通する問題があります。端的に述べると柔軟性に欠けることです。たとえば、家事・育児との両立を図ろうとパートという働き方を選んだはずが、シフト変更が容易に行えないなど融通が利かない場合、そこで働く意味を成しません(突発的な残業が多い、休日出勤……等々に至っては論外といっても過言ではありません)。離職されるのも無理はないでしょう。
そして、“人”です。人柄、人間関係が歪なものだと、その集合体として職場が荒れるのは当然です。ハラスメントなどは言語道断。パート従業員のみならず心身を圧迫するような不要なストレスが生じやすい職場環境は、往々にして早期離職が多発しています。人を大事にしないところに人が根付くわけがありません。
パートがすぐに辞めがちな職場で起きていること(事例)

前述のとおり、パートがすぐに辞めがちな職場には、いくつかの共通項があります。では、実際にそこでは何が起きているのでしょうか。本章では、具体的な事例を挙げて解説します。
聞いていた業務と違った
このケースにおける問題点は次のとおりです。
- 求人情報と実際の業務内容に齟齬が発生
- 入社前の業務説明が不十分
- 従業員の適性や希望を考慮しない配置
求人票の書き方から入社に至るまでのフォローまで改善の余地は大いにあると考えます。
働き方の融通が利かない
このケースにおける問題点は次のとおりです。
- シフト調整における柔軟性の欠如
- 従業員の個人的な事情への配慮不足
- 人手不足による過度な負担
やはり人手不足に陥らないためにはどうするか、そして勤務形態(の管理)を見直すことが必要だと考えます。
雰囲気、人間関係がよくない
このケースにおける問題点は次のとおりです。
- 人に冷たくドライな職場風土
- 教育体制、フローの欠如
- スタッフ間の不和の表出
いずれも、規模が小さい事業所にありがちな問題です。新人パートに定着してほしいのであれば、既存スタッフ全員の意識改革が必要でしょう。
パートに長く働いてもらうための対策

パートがすぐ辞める理由、該当する職場の特徴までわかれば、あとは対策を講じていくことで状況の好転が期待できます。具体的には次のアクションが必要です。
- 適切な人材配置に基づく採用
- 選考段階での明確な業務説明
- 柔軟な働き方の導入
- 教育機会の創出
- コミュニケーションの活性化
以下、それぞれ詳述します。
適切な人材配置に基づく採用
応募者のスキルや経験、性格に応じた業務を割り振ることで、無理なく働ける環境を整えることができます。こうした適材適所の配置を行えば、働きやすさが向上し、離職率の低下にもつながるはずです。パートに長く働いてもらうためにも有効でしょう。
選考段階での明確な業務説明
業務内容は選考段階でなるべく具体的に伝えるようにしましょう。逆に、曖昧な伝え方をしてしまうと、求職者が勝手に解釈し、入社後のミスマッチが生じやすくなります。そうならないためにも、求人情報そして面接時、どちらもきちんと明示することが大切なのです。加えて、求めるスキルや人物像まで伝えられると、なお望ましいでしょう。安易に辞められないよう、丁寧な説明が必要とされます。
柔軟な働き方の導入
シフト制の導入や勤務時間の調整を可能にすることで、従業員は自身の生活スタイルに合わせて働けます。パート勤務の方にとっては特にありがたいことでしょう。家事と仕事の両立が図れる環境は貴重です。柔軟に働ける職場ゆえに、安易に辞めることは減っていくと思われます。
教育機会の創出
パートの方が不安を覚えないよう研修や業務に関するレクチャーの時間を設けることも大事です。教育を通じて、仕事に対するやりがいが生まれれば、同時に貢献したい気持ちも少なからず高まっていくと思われます。スキルアップにつなげられる点も本人にとってポジティブに作用するはずです。結果、長く働いてくれることが大いに期待できるでしょう。
コミュニケーションの活性化
パートの方とのコミュニケーションを日常的に取ることは、安心感や信頼関係を築くうえで欠かせません。自身の役割理解はもとより、質問・相談がしやすい点なども働きやすいと感じてもらうのに大事です。何気ない会話一つでも風通しを良くしてくれます。そうした環境は、ストレス軽減にもつながり、結果的に長く働いてもらえる可能性が高まるはずです。
パートが辞める理由に向き合い、職場環境の改善を図ろう!

パートがすぐ辞める理由、職場環境の特徴を紐解いていくと、結局はネガティブな要素がほとんどです。つまり、そこには改善の余地があるといえます。拙稿でお伝えした内容をあらためて整理し、テコ入れできるところから順に対策を講じてもらえれば、大なり小なり、良い方向へと進むのではないでしょうか。コミュニケーションの活性化などは意識一つでできるはずです。ぜひ、積極的に取り組んでみてください。
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