本記事はずばり交通費の支給についてです。人事担当者であっても意外と曖昧な方は少なくないかもしれません。特に近年は、コロナ禍でリモートワークを導入する企業も増えてきました。在宅勤務での取り扱いは、当然、従来のそれとは変わってきます。そのあたりも含めて、基準やアルバイトへの設定、注意点など解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

交通費支給について基準やアルバイトへの設定、注意点など解説

  • 2022.11.17
  • 2022.11.17

本記事はずばり交通費の支給についてです。人事担当者であっても意外と曖昧な方は少なくないかもしれません。特に近年は、コロナ禍でリモートワークを導入する企業も増えてきました。在宅勤務での取り扱いは、当然、従来のそれとは変わってきます。そのあたりも含めて、基準やアルバイトへの設定、注意点など解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

アルバイト・パートを採用したい
(無料) 求人のお問い合わせはこちら ≫
入力は簡単1分。料金などまずは相談。

交通費支給の対象項目

交通費支給の対象項目に当たる電車通勤

正社員でもアルバイトでも雇用形態を問わず、多くの企業が従業員に対して交通費を支給しています。一方で、交通費は通勤交通費と旅費交通費の2種類が存在するのはご存じでしょうか。人事目線ではそれぞれ支給方法が異なることも含めて把握しておかなければなりません。

以下、それぞれの詳細です。 

通勤交通費(通勤手当)

通勤交通費とは、自宅から職場までの通勤にかかる交通費です。公共交通機関の代金やガソリン代などが該当します。おそらく一般的には“通勤手当”の呼称がなじみ深いでしょう。 

支給されるのが当たり前と思われがちですが、実は支払い義務に対する規定は特にありません。そう、支給はあくまでも企業側の判断に委ねられるのです。そうはいってもやはり、ほとんどの企業が支給しています。逆になければ、従業員の負担軽減や働きやすさに影響を及ぼすため、結局は必須といえそうです。 

なお、厳密には福利厚生の一つとして数えられています。 

旅費交通費 

旅費交通費とは、出張の際などで扱う交通費です。業務上、掛からざるをえないこの費用は、通勤交通費と異なり、支払う義務があります。業務内容によっては日常的に発生することもあるため、その場合、清算方法には規定が必要です。 

交通費支給の主な方式

交通費支給の主な方式

通勤交通費の支給方式については主に3種類存在します。「全額支給」「一部支給」「一律支給」です。以下、それぞれ説明します。 

全額支給 

全額支給 とは、従業員の自宅から勤務先まで、通勤に掛かる費用のすべてを支給する方法です。 

無論、お住まいが遠方にある従業員に対しては多額の交通費が発生するため、企業側の支払いは嵩みます。とはいえ、従業員にとっては安心でしょう。

一部支給(規定内支給) 

規定内支給とも呼ばれる一部支給の方式は「1日1,000円まで」「月2万円まで」など、日ごと月ごとに上限が設けられて支給されます。遠方に住む就業者からすれば、自身で負担しなければならない額が出てくることもあり、やや酷に感じるかもしれません。他方、企業側の立場で考えると、できれば近隣者を採用したいがゆえに設けている規定だといえるでしょう。 

一律支給 

「1日500円」「一律1万円」など、全従業員に日ごと月ごと一律に交通費を支給する方式です。決まった額のみの支給で済むのは、従業員ごとに交通費の計算をする必要がないことを意味します。企業側にとって大きな負担軽減になるのは容易に想像できるでしょう。ただし、従業員が受ける印象はまた別です。通勤に掛かる費用が指定の額を超える方にとっては、なかなか受け入れられないルールかもしれません。 

交通費支給の基準や決まり

交通費支給の基準や決まり

既述のとおり、通勤交通費の支給にあたっては、交通手段、支給の基準、 

計算方法などを就業規則や給与規定で決めておく必要があります。 

以下、パートやアルバイトに対する交通費の決め方含めて、おさえておきたいポイントです。 

交通費は誰が決めるのか? 

通勤交通費は大抵の場合、企業が支給額を決定します。そのため、企業は採用時に従業員の居住地と最寄り駅を確認し、そこから勤務地までの往復交通費を算出しなければなりません。 

その際、基本は自宅から勤務地までの最短ルートを前提とします。もちろん、従業員の申告制でも問題なければかまいません。が、一任してしまうことで(交通費を多く受け取ろうと)意図的に遠回りのルートを選択されるリスクが考えられます。不正防止のためにも企業側が管理しましょう。 

なお、公共の交通機関を利用する必要がないと判断できるケースは、交通費を支給しない選択もできます。実際のところ「職場までの距離が2km以内の場合、交通費を支給しない」といったルールを設けている企業も多いようです。 

通勤手段は自由なのか? 

通勤手段は、基本、公共の交通機関です。また、一般的に交通費は定期代金で支給します。経費削減のため、1ヶ月単位ではなく3ヶ月または6ヶ月で支給する企業も少なくありません。 

一方、従業員のなかには、居住地の交通の便や本人の体調などの諸事情により、自転車やバイク、自動車の通勤を希望される方もいらっしゃいます。しかし、大抵の企業はこれらを認めていません。なぜなら、企業は通勤中の従業員の怪我などに対しても責任を負う必要があり、公共交通機関以外の交通手段を用いられると労災のリスクが高くなってしまうからです。 

とはいえ、以下のようなルールを設けるなどして、許可する企業もあります。 

定額支給 

1日または1ヶ月の金額を決めて支給することで、公共の交通機関以外の手段でも通勤を認めるケースです。 

具体的には次のようなルールが挙げられます。 

道2km未満で全額課税、2km〜10km未満で4,200円、10km〜15km未満で7,100円 

大抵は、非課税の限度額を上限として支給する企業が多いようです。 

通勤距離にガソリン代を掛け算 

自宅から勤務先までの距離を調べて、その往復距離に規定のガソリン代を掛けた額を支給するのも一つのルールとして存在します。定額支給と同じく、非課税の限度額が適用されるやり方です。企業にも従業員にも公平な計算方法である一方、ガソリン代の変動には気を付けなければなりません。

領収書による実費計算 

通勤によるガソリン代を領収書清算するのも、単純に理に適ったやり方だと思います。 

企業側にとっても明快なルールです。他方、プライベート使用との区別がつきにくいデメリットも考えられます。 

なお、近年ではコロナ禍の感染防止や健康促進といった観点から、自転車通勤を推奨する企業が増加傾向にあるのも事実です。主な通勤手当としては、駐輪場代が支払われています。 

パートやアルバイトに対する交通費支給 

交通費は、正社員でなくとも、つまりパートやアルバイトに対しても支払われるものです。しかし、なかには週の日数や一日の勤務時間を条件に支給する企業も存在します。金額も、定期代に限らず出社日数分あるいは定額制などを設け、さまざまな支給方法があるようです。 

交通費支給の際に知っておきたい非課税の基準 

交通費は、福利厚生の一環として支給される手当です。この分は、本来、給与所得の一部と考えられるため、所得税が発生します。ただし、ある額までは非課税です。 

税金が課されるのは「公共交通機関または有料道路を利用している」「1ヶ月あたりの交通費が15万円を超える」場合などが挙げられます。 

一方で、自動車やバイク、自転車を使用している場合、距離と費用次第で非課税か否か決まります。(既述の内容ですが)非課税の上限額はたとえば2km〜10km未満であれば4,200円、10km〜15km未満であれば7,100円です。

通勤手当のうち非課税となる上限金額を下表にまとめました。 

区分自動車・自転車の通勤手当の上限金額 
片道55㎞以上の場合31,600円
片道45km以上55km未満の場合28.000円
片道35km以上45km未満の場合24.400円
片道25km以上35km未満の場合18.700円
片道15km以上25km未満の場合12.900円
片道10km以上15km未満の場合7.100円
片道2km以上10km未満の場合4.200円
片道2km未満の場合0円
交通機関利用者の通勤用定期乗車券1ヶ月のうち、最高限度額は150,000円
通勤手当や通勤用定期乗車券 (有料道路含む)有料道路・交通機関の通勤手当+自転車・自動車の通勤手当の合計額のうち、最高限度額は150,000万円

交通費支給に関して企業が注意すべきこと

交通費支給に関して企業が注意すべきこと

ここまで述べてきたことを踏まえて、交通費を支給する際の注意点をいくつか紹介します。下記の内容は、確実におさえておいてください。 

支給額によっては課税対象になる

交通費には非課税枠が定められているため、超えることで課税対象になります。 

具体的には、公共交通機関や有料道路を使用した場合、月15万円以上の交通費を支給すると課税対象です。また、自動車やバイクを使った場合は、再三お伝えしているとおり「2km~10km未満で4,200円」「10km~15km未満で7,100円」など距離に応じて上限が決められています。 

社会保険料に影響する

社会保険料は交通費も収入に含めて算出されます。社会保険料は従業員と企業が折半で負担するものです。そのため、高額になれば当然、両者、負担が増えてしまいます。 

社会保険料の負担という観点からも、交通費に対しては、一定の上限額を定めるのがよいでしょう。 

有給取得時の交通費の有無を決めておく

人事担当者のなかには、従業員が有給休暇を取得した際、交通費をどうするか判断に迷われる方がいらっしゃいます。たとえば「1ヶ月ごとに定期を支給している従業員が半月の有給休暇を取得したケース」「週3回しか出勤されない従業員が1日の有給休暇を取得したケース」などです。 

いずれも、あらかじめ就業規則に入れておくことでスムーズに解決を図れます。 

通勤していないにもかかわらず通勤手当を支給すれば、給与の一部とみなされて課税対象になる可能性が出てくる一方で、支給しないことで労働基準法の附則第136条に記載される「従業員の不利益」に該当してしまうリスクも生じかねません。 

だからこそ「有給休暇を取得した場合、当該日の交通費は支給しない」「定期代支給者の勤務日が月15日以下の場合、定期代ではなく日ごとの交通費を支給する」といった有給取得時の交通費に関する事前の共有が大事なのです。

リモートワークにおける交通費支給について

リモートワークにおける交通費支給について

コロナ禍による感染防止の観点から、リモートワークを導入する企業が多くなってきました。通勤いらずなら当然、交通費は発生しません。したがって、企業としては交通費の支給ルールを見直す必要が出てきます。 

まず、社員全員がリモートワークの場合、一律に交通費支給なしでかまわないでしょう。交通費の支給自体は法的に定められているものではないため、給与の一部として支給していない限り、労働基準法違反には該当しません。 

しかし、ほとんどの企業がそうであるように、週に数日は出勤したり、部署によっては通常と同様の出勤が必要になったりとさまざまな形があるのも事実です。 

では、どのように対応すればよいのでしょうか。 

おそらく、日ごとの交通費と定期代を月内単位で比較し、通勤日数を条件に支払い方法を調整するといったやり方が主流のように思います。 

都内の交通網を例に挙げると、川崎~東京間をJRで通勤をしている従業員の場合、切符利用では往復620円掛かります。方や、1ヶ月の定期代は9,220円です。しからば、15日以上出勤した従業員には、定期代を支給をした方が安くなることがわかります。こうした計算をもとにルールを定めていけるとよいでしょう。 

と、最近はリモートワークを促進すべく、通勤手当の代わりに在宅勤務手当を支給する企業も珍しくありません。これは一律支給にしやすく、交通費に比べて入り組んだ規定を組む必要もないでしょう。なかにはそもそも自社オフィスを持つことにこだわらない企業も見受けられます。賛否あるかもしれませんが、少なくとも諸々の節約につなげられる点においては、有益な方針といえそうです。 

交通費支給に関する理解を深め、適切なルールを設けよう

交通費支給を計算する電卓

 交通費の支給はどこの企業も行っていることで、今さら目新しく思えない向きもあるでしょう。しかし、意外とその内容はさまざまです。支給方法によっては、従業員の離職防止や採用活動によい影響をもたらす期待さえ持てます。 

そうしたなか、ディップが提供する求人広告掲載の各種サービスは、求人に悩む担当者にとって一つの打開策につながるでしょう。たとえば、交通費の打ち出し方一つをとっても柔軟に訴求できるはずです。

料金、掲載時期、制作フローなど確認したい!
⇒雇用・求人サービスへのお問い合わせ
ご相談は無料。入力も簡単です。

【公式】バイトルならアルバイト求人募集の掲載料金プランを選択可能
┗日本最大級のアルバイト・パート求人サイト。認知度も高く、さまざまなユーザー層から利用されています。独自のサービス機能で求職者と素早くマッチングします。

【企業向け/公式】バイトルNEXT – 掲載料金表あり!社員採用なら
┗社員を目指す方のための求人サイト。NEXT(ネクスト)ユーザーは55%が20~30代です。社員になる意欲の高い、第二新卒層を含めた若手社員の採用が見込めます。

【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!
┗資格・経験を持った人材や専門職の求人サイト。応募者の7割が業界経験者です。プロフェッショナルな人材の募集にぜひご利用ください。

【企業向け/公式】はたらこねっと – 掲載料金プランあり。派遣以外も!
┗日本最大級の社員/派遣/パートの求人サイト。業界最大級の案件数で、就業経験のある方が77%を占めます。幅広い年齢層から利用されている求人サイトです。

TOP