求人系キーワードとは？
求人系キーワードとは、求職者が仕事を探す際に使用する検索語句のことです。求人広告の見え方やアクセス数に少なからず影響を与えます。適切なキーワードを選ぶことは、ターゲットに定めた求職者を正しく捉え、効率よく応募を促すために欠かせません。というわけで本章ではまず、求人広告におけるキーワード選定の重要性と考慮すべきポイントについて掘り下げます。
キーワード選定が求人に及ぼす影響
求人系キーワードは、ユーザーのニーズを満たすことで（※）、検索エンジン最適化すなわちSEOにつながります。そう、うまくいけば求人情報が検索結果で上位に表示されるようになるわけです。求人の視認性が高まるため、結果的に多くの応募者との接点が生まれやすくなるでしょう。また、特定のスキルや経験がある応募者をターゲットにした場合においても、キーワードを巧みに扱うことで、自分事化したユーザーをたぐり寄せるといった効果が期待できます。
さらには、企業のブランドイメージや価値観を表すキーワードの選定も有効です。これによって、求職者に対しては企業の独自性や魅力を強調して伝えられます。
求職者が自身のニーズや興味に合致すると感じる機会を増やせれば、求人情報へのクリック数、ひいては応募数の向上にまで良い影響を及ぼしてくれるはずです。
※厳密にはGoogleをはじめとした検索エンジンのアルゴリズムに応じた検索結果として表示されます。
キーワード選定で大切なこと
キーワード選定で大切なことは求職者の視点、心情です。彼・彼女らは、その求人が自分に当てはまることかどうかを瞬時で判断します。具体的には「募集対象は正社員かアルバイトか」「探している職種か」「職場環境や労働条件、待遇等々が魅力的か」といったポイントはまず気にするところでしょう。勤務シフトやリモートワークの有無、未経験応募の可否などもパッと見て求職者自身が望むものだとわかれば、とりあえず詳細をチェックしてみようかという気持ちになるはずです。
もちろん、求人情報の中身にも気になるキーワードは織り込む必要があります。業務内容のリスト化や、必要以上に専門的にならないよう工夫することも大事です。それらによって情報が直接的かつ簡潔に伝われば、応募に対する心理的ハードルも下がるのではないでしょうか。（安心感につながると思われます。）
よく検索される求人系キーワード
前項を踏まえて、求職者は実際どのようなキーワードに関心があるのでしょうか。検索回数、ハッシュタグ、上昇度にフォーカスし、それぞれ具体的にピックアップします。
※「検索回数」のデータはKeyword Toolを使用（2023年4月～2024年3月）
※「ハッシュタグ」のデータはハシュレコを使用（2024年4月時点）
検索回数が多いキーワード
以下、1年間で平均検索回数（検索ボリューム）が多かった主な求人系キーワードです。20個を厳選しています。
- 「ハローワーク 求人」
- 「正社員 求人」
- 「求人 アルバイト」
- 「求人サイト」
- 「求人 シニア」
- 「高収入 バイト」
- 「求人 高収入」
- 「在宅勤務」
- 「在宅ワーク 求人」
- 「フルリモート 求人」
- 「日払い バイト」
- 「短期 バイト」
- 「バイト オープニングスタッフ」
- 「年齢不問 求人」
- 「土日休みの仕事」
- 「未経験 正社員」
- 「未経験 エンジニア」
- 「未経験 転職」
- 「学歴不問 求人」
- 「求人 寮完備」
検索回数急上昇中のキーワード
以下、1年間で検索回数（検索ボリューム）が伸びた主な求人系キーワードです。10個を厳選しています。
- 「求人 スカウト」
- 「求人 高収入」
- 「ものづくり 求人」
- 「60歳以上 求人」
- 「70歳以上 求人」
- 「完全在宅 求人」
- 「在宅ワーク 求人」
- 「求人 障がい者雇用」
- 「求人 短期バイト」
- 「求人 16時まで」
ハッシュタグで人気のキーワード
以下、求人に関する人気のハッシュタグです。10個を厳選しています。
- #臨時収入
- #専業主婦
- #副業
- #副収入
- #収入アップ
- #稼ぐ
- #稼げる副業
- #バイト仲間
- #仕事探し
- #在宅ワーク
バイトルフリーワードランキング
本章では、dipの求人媒体「バイトル」における検索キーワードのランキングを紹介します。アルバイト・パート市場の動向を読み取るとともにキーワード選定の参考にしてください。
以下、2024年3月の地域別バイトルフリーワードランキングTOP5です。
| 【関東】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 在宅 |
| 2位 | 日払い |
| 3位 | 短期 |
| 4位 | オープニング |
| 5位 | 高校生 |
| 【東海】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 短期 |
| 2位 | 在宅 |
| 3位 | 日払い |
| 4位 | ゴールデンウィーク |
| 5位 | 内職 |
| 【関西】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 在宅 |
| 2位 | 短期 |
| 3位 | 日払い |
| 4位 | オープニング |
| 5位 | 高校生 |
| 【北海道・東北】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 在宅 |
| 2位 | 短期 |
| 3位 | 日払い |
| 4位 | ゴールデンウィーク |
| 5位 | 札幌 |
| 【甲信越・北陸】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 短期 |
| 2位 | 在宅 |
| 3位 | 日払い |
| 4位 | ゴールデンウィーク |
| 5位 | 高校生 |
| 【中国・四国】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 在宅 |
| 2位 | 短期 |
| 3位 | 日払い |
| 4位 | ゴールデンウィーク |
| 5位 | 広島 |
| 【九州・沖縄】 | キーワード |
|---|---|
| 1位 | 在宅 |
| 2位 | 日払い |
| 3位 | 短期 |
| 4位 | ゴールデンウィーク |
| 5位 | 高校生 |
ほとんどの地域で「在宅」が1位という現状から、リモートワークや自宅で作業できる仕事への関心の高さがうかがえます。こうした働き方を重視する傾向は今後もしばらく続くでしょう。
また、「短期」も人気のワードです。主に学生のニーズでしょうか。あわせて「日払い」も上位であることから、全体的に働きたいときに働く、つまりは柔軟性を求める方が多いように考えます。
そのほか季節要素も高いニーズです。「ゴールデンウィーク」など長期休暇を前に“稼ぎたい！”といった意欲が感じられます。
このように直近の人気キーワードから求職者の傾向や心情を探れると、求人広告の内容も戦略的に作成することができるはずです。
求人系キーワードの有効な活用法
さて、ここからは求人系キーワードをどのように活用していけばよいかに焦点を当てます。具体的には、ターゲットや媒体別の最適化、そして求人情報内での視認性を意識することが大事です。求人広告の効果を最大限に高めるべく、適切にアプローチできるようにしましょう。
ターゲット別に最適化を図る
たとえば、「新卒採用」「経験豊富なミドル世代」「特定のスキルを有する専門職」など、ターゲットによってアプローチの方法は異なります。キーワード選定も同様です。各ターゲットに応じたキーワードを考える必要があります。もちろん、ただキーワードを並べるだけではいけません。それらがターゲットにとって有益な情報として機能する文脈で表現することが大事です。
媒体別に最適化を図る
求人情報を掲載する際、大前提、各媒体の特性は理解しておかなければなりません。求人サイト、SNS、オウンドメディア……等々、キーワードをどのように設置するかで結果は変わります。ロングコンテンツとマイクロコンテンツではユーザーの検索意図からしてまるで別です。当然、訴求の仕方も柔軟に切り分けていく必要があります。総じて（Google検索にせよハッシュタグ検索にせよ）、他社情報も目配りしつつ、求職者の行動パターンあるいはセオリーに則り内容に反映させていくことが肝心です。
求人情報内で見つけやすくする
たとえ求職者の欲しい情報に該当するキーワードが記載されていたとしても、目につきにくければ機会損失につながります。そういった勿体ない失敗を招かないためにも工夫は欠かせません。一つは主要項目の構造化が挙げられます。たとえば給与・福利厚生など特に気になると思われる情報はそれぞれ見出しとして置くとよいでしょう。視覚的に区別しやすくなるはずです。また、ページ内検索やフィルター機能を搭載するのもよいでしょう。どこに欲しい情報が載っているのかわからないままスクロールさせるよりも、簡単に絞り込めるならそちらの方が心理的にも負担は少ないものと思われます。キーワードをいたずらに組み込むだけではユーザーファーストといえません。すぐに離脱されないように、あくまで求職者の視点で設計するようにしましょう。
求人系キーワードを使う際の注意点
求人系キーワードを使うにあたっては前述した有効な活用法とあわせて念頭におきたいポイントがあります。具体的には次のとおりです。
- 乱用を避ける
- 誤解を招かないようにする
- 長期的なトレンドか一過性のブームかを見極める
- 求人広告の法的規制に気を付ける
これらの注意点について、以下詳述します。
乱用を避ける
キーワードを過剰に盛り込むことは、求職者に対して不自然または不快な印象を与える可能性を孕みます。よく見受けられるのがSEO（検索エンジン最適化）を意識し過ぎたケースです。対策キーワードを多く記載すればするほど検索順位が上がるといったことはありません。あくまで読み手のニーズを満たしているかどうかが重要です。
誤解を招かないようにする
求職者の関心を引くキーワードだからこそ、誤解を招くケースもしばしば見受けられます。たとえば、「キャリアアップ支援あり」というフレーズを見てみましょう。この場合、“キャリアアップ”だけが独り歩きしてしまうと、本来は研修やセミナーへの参加支援を意味していたにもかかわらず、求職者はこれを昇進や給与アップの機会が多くあると捉えることも考えられます。こうならないためにも、極力具体的な情報を提供することが必要です。
長期的なトレンドか一過性のブームかを見極める
キーワードには寿命があります。時間が経過してもその価値を維持し続けられるかそうでないか。先に挙げたよく検索されるキーワードやバイトルのランキング上位のそれについてもやはり、先々ニーズが高いかを冷静な目で見ていくべきでしょう。過去に成功したからといってそのキーワードにいつまでもこだわるのは悪手です。もちろん一過性のブームだからといって蔑ろにしてもいけません。むしろ、瞬間的には飛躍した効果を生む期待が持てるため、タイミングを逃さないように気を付ける必要があります。つまるところ、両者をうまく使い分けることが大切です。
求人広告の法的規制に気を付ける
求人広告には当然ながら法的規制があります。たとえば、差別的表現の禁止です。性別、年齢、国籍、障害の有無などで採用対象を線引きしてはいけません。誇大広告にも気を付けましょう。強みを大げさに伝えたくなるのもわかりますが、募集内容はあくまで事実に基づいたものでなければ法に抵触します。そのほか、特定の資格や経験を要求する際も注意が必要です。この場合、職務遂行に必須であることを明示しなければなりません。
求人広告はこれらのルールを前提にくれぐれも慎重に作成すべきです。
▶関連記事：求人広告の書き方を例・テンプレートを交えて解説。応募を集める求人とは？
求人系キーワードを採用活動に生かしていこう！
求人系キーワードは、大なり小なり採用活動に影響を与えるものです。拙稿にてニーズの高いキーワードの共有から、有効な活用法、そして使用する際の注意点に至るまで取り上げましたが、いずれも採用担当の皆様にとって有益な情報だと考えます。求人広告の可視性を高め、より質の高い応募者を引き寄せるためにも、ぜひお役立てください。
求人系キーワードを採用戦略に生かしていくことは、自組織の成長と地続きです。求人市況の変化も視野に入れ、積極的に取り組んでいきましょう。
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