スポットワーカーとは

スポットワーカーとは、(数時間あるいは1日のみなど)企業の一時的なニーズに応じて働く人たちのことです。本章ではまず、用語に対する定義、混同されやすいギグワーカーとの違い、該当する職種、よくある勤務形態といった基本概要をお伝えします。
用語の定義
スポットワーカーは、「スポット(臨時の、その場限りの)」と「ワーカー(働く人)」を組み合わせた造語であることからもわかるように、まさに一時的に必要とされ働く人材を表現した言葉です。広義では、短時間・短期間の雇用で働く場合は一様にスポットワーカーとして扱われます。
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ギグワーカーとの違い
スポットワーカーは時に、ギグワーカーと混同されることがあります。実際は同じように捉えてもそう支障をきたすことはないと思われますが、そもそもの話をすると、ギグワークはスポットワークの一種です。ゆえにスポットワーカーも当然、ギグワーカーを内包します。そのほか明確な違いでいうと、ギグワーカーは個人事業主としてフリーランスで活動するのが一般的なのに対し、契約形態により異なる場合もありますが、スポットワーカーは企業に(一時的とはいえ)雇用される場合も含まれます。(ギグワーカーと同様に内包される)単発バイトで働く人たちなどがまさにその典型です。
▶関連記事:ギグワークとは?意味や種類、メリット・デメリットなど簡単に解説
スポットワーカーが多い職種
スポットワーカーが活躍している職種は多岐にわたります。たとえば、飲食業界。繁忙期あるいは(人が混む)週末だけ働くスタッフがスポットワーカーに該当します。
小売業界でも、商戦期やセール時期など、一時的に人手が必要な時期にはスポットワーカーを採用するケースが多く見受けられます。
加えて、イベント業界も同様です。展示会やコンサートの開催にあたって、受付や会場を案内してくれるスタッフがいますが、実は彼・彼女らがスポットワーカーのケースも珍しくありません。
スポットワーカーの典型的な働き方
スポットワーカーの勤務形態は、企業のニーズに応じて区々です。とはいえ、それぞれ典型的な特徴はあります。具体的に、下表にまとめました。
業界 | スポットワーカーの勤務形態 |
---|---|
飲食業界 | 平日は本業に従事し、週末(主に土日祝)、短時間でも副収入を得るために働く。 |
小売業界 | 繁忙期限定。たとえば、クリスマスや大晦日のみアルバイトとして働く。 |
イベント業界 | 本業の合間にイベントスタッフとして働く。会場設営、受付、案内などさまざま。 |
普段は別の仕事をしている人たちが、スポットワーカーとしてスキマ時間を有効活用しているわけです。タイムパフォーマンスが重視される昨今において、こうした働き方は徐々に主流になりつつあります。
日本国内でスポットワーカーが注目を集める背景

続いて、日本国内でスポットワーカーが注目を集めるようになった背景について解説します。
働き方改革の余波
政府主導の働き方改革により、労働者の就労に対する意識は大きく変化しました。長時間労働の見直しやワークライフバランスの推進などもその一環です。と同時に、空いた時間で収入を得ようとする動きが広まっています。まさに、スポットワーカーが続々と増えてきている現状です。
アルバイト採用の難化
少子高齢化に伴う労働力人口の減少により、アルバイトの採用が年々困難になっています。前章で取り上げた飲食業界や小売業界も、人材確保は重要な課題です。だからこそ、必要な時だけ働いてくれるスポットワーカーが重宝されるのは、容易に頷けます。いま、注目を集めているのも、こうした背景があるからだといえるでしょう。
スポットワーカーを雇うメリット

では、企業がスポットワーカーを雇うことで具体的にどのようなメリットがあるのかお伝えしましょう。ずばり、次のとおりです。
- 欠員補充がしやすい
- 人件費を削減できる
- 長期雇用リスクを回避できる
- 長期採用も視野に入れられる
以下、それぞれ詳述します。
欠員補充がしやすい
スタッフが突発的に辞めるなどして欠員補充が必要な場合、従来の求人では時間がかかり、欲しいタイミングで動員できない可能性があります。即座に人手不足を解消するためには、なるべく応募のハードルを上げないようにする、あるいは、あらかじめ人を多く確保しておくことが考えられますが、ミスマッチやコスト面の負担はどうしても拭えません。が、スポットワーカーなら、比較的経験者も多く、契約期間も短いためこれらを払しょくしてくれる期待が持てます。それ以上にやはり、スキマ時間での労働ニーズが高まるなか、スポットワーク案件に人が集まりやすいことは、何より価値のあるメリットだといえるでしょう。
人件費を削減できる
スポットワーカーの活用は、前述したように人件費の削減につながります。雇用保険や社会保険などの費用も発生しません。あくまでスポットワーカーの場合は実働時間分の給与支払いのみで済みます。
長期雇用リスクを回避できる
景気変動や業績悪化によって事業規模が縮小することは、経営上、当然覚悟しておく必要があります。そのうえで長期雇用になかなか足を踏み出せず、とはいえ人手不足には困っているといったジレンマを抱える企業も多いことでしょう。他方、スポットワーカーであれば、短期雇用かつ人手不足をケアできるわけです。この柔軟性はまさにメリットです。
レギュラー採用も視野に入れられる
時に、スポットワーカーにしておくのが勿体ないほど優秀な人材に出会うこともあります。この場合、レギュラー雇用への移行も可能です。パフォーマンスに限らず、その人物に惚れ込んだならば、打診してもよいかもしれません。これが浸透するとおそらく、採用のあり方自体も変わってくるでしょう。
スポットワーカーを雇うことの懸念点

スポットワーカーを雇うことは、前述したようなメリットがある一方で、いくつか懸念点も存在します。具体的には、次のとおりです。
- ミスマッチが起きやすいのではないか
- 教育する時間を作りにくいのではないか
- コミュニケーションが取りづらいのではないか
- 人事管理が煩わしくなりやすいのではないか
以下、それぞれ詳述します。
ミスマッチが起きやすいのではないか
スポットワーカーに対して、職務経歴書のチェックや面接の時間を十分に確保することができないケースも少なくありません。そもそも誰でもよいからと募集を行う企業も多く見受けられます。しからば、ミスマッチが起きても何らおかしくないといえるでしょう。このリスクを軽減するには、最低限クリアしてほしいスポットワーク向けの人材要件を定義する必要があります。
教育する時間を作りにくいのではないか
スポットワーカーにお願いする業務のなかには、少なからず教育の時間を要するケースもあるでしょう。が、短期間、短時間でさっと対応してもらうのに、わざわざ研修の時間を長くとるのは、現状、なかなか難しいように思います。 一人ひとりのスキルにバラつきがあることを前提に、サポート係を用意するなど色々と工夫が求められるはずです。
コミュニケーションが取りづらいのではないか
短期間、短時間では社内コミュニケーションが取りづらいかもしれません。 これは既存のスタッフの生産性にもかかわってきます。業務に必要な情報共有がスムーズに行えないようなら、 スポットワーカーを雇うこと自体、見直さなければならなくなるでしょう。よっぽど欠員補充が急務でない限り、無理に推し進めない方が賢明のようにも思います。こうした問題もまた、あらかじめ対策を講じておくことが必要です。
人事管理が煩わしくなりやすいのではないか
スポットワーカーを雇うことで、勤怠管理や給与計算など、人事管理の手間が増える可能性があります。 短期間で入れ替わりが激しいスポットワーカーの労務管理を、既存の人事システムで行うのは難しいケースも多いでしょう。 欠勤対応などにも苦慮するかもしれません。したがって、スポットワーカーの活用に際しては、人事管理の効率化も課題といえます。
スポットワーカーを採用する際のコツ

メリットと懸念点、相反するといってもよい両者を踏まえて、本章では実際にスポットワーカーを雇う際にはどういったアクションが必要なのかを紹介します。具体的には次のとおりです。
- 明確な業務マニュアルを用意しておく
- 各人のスキルを事前に確認しておく
- 教育係を決めておく
- フィードバックの時間も設ける
これらは、ずばり、スポットワーカーを採用するコツです。以下、それぞれ詳述します。
明確な業務マニュアルを用意しておく
スポットワーカーがスムーズに業務に入れるように、一連の流れがわかりやすくまとめられたマニュアルを用意できるとよいでしょう。 仕事の手順や職場のルール、その日のタイムスケジュールなどが明確であれば、スポットワーカー側の立場でも安心でしょう。
各人のスキルを事前に確認しておく
スポットワーカーを雇う際は、一人ひとりのスキルレベルや経験だけはきちんと確認しておきましょう。専門的な知識が必要な職種であればなおさらです。誰彼かまわず採用するにも、いざ業務に当たるその日、その時間に彼・彼女らが何もできなかったら意味がありません。ミスマッチの防止を図るべく、最低限の採用基準は必ず設けてください。
教育係を決めておく
スポットワーカーが業務に安心して取り掛かれるようにする意味でも、教育係をつけることは有効です。わからないことは都度、聞ける体制を築ければ、生産性が大きく落ちることもないでしょう。もちろん、人員に余裕があるからこそできる対策です。常日頃からいかに人を確保しておくことが大事か如実にわかります。この先、スポットワーカーの採用を検討するなら、あらかじめそうした組織体系を強固にすることも念頭におきましょう(つまり、積極的に採用活動を行いましょう)。
フィードバックの時間も設ける
スポットワーカーに対して勤務後、簡単な振り返りの時間を設けるだけでも、彼・彼女らからの印象は変わります。その際、働きぶりを褒めることで、自社に対する帰属意識さえも芽生えるでしょう。また、業務のフィードバックだけでなく、雑談を交えたコミュニケーションも同様に効果的です。この先またどこかで縁が生まれるかもしれません。だからこそ、その日限りのスポットワーカーにも寄り添い、働きやすい職場環境だと思ってもらえるように努力する必要があるのです。
スポットワーカーの時給について

では、最後のトピックとしてスポットワーカーの平均時給について取り上げます(dipが提供する『バイトル』に掲載されている求人の集計データです)。
2024年7月は、全国・全職種でスポットワーク(1日のみと1週間以内と1ヶ月以内)におけるアルバイト・パートの平均時給が1,740円でした。ちなみに、スポットワーカー以外も含めた勤務期間を問わない全体の平均時給は1,275円です。このデータから、スポットワーカーの時給は、比較的高くなる傾向にあることがわかります。
また、興味深いのは1年前に当たる2023年7月の数値です。そう、昨年同時期、スポットワーカーの平均時給は1,382円でした。この1年で顕著に増えたのは、最低賃金の引き上げもありますが、スポットワーカーに対するニーズが高まったことも一因でしょう。まさに、スポットワークが広く浸透してきていることの表象といっても過言ではありません。今後もこの傾向は続くと思われます。
▶関連記事:2024年度の最低賃金(地域別、全国平均)~引き上げ額は?いつから適用?~
▶関連資料:無料でダウンロードできる平均時給レポート(随時更新!)
そのほか、個別にいくつかピックアップし、簡単にまとめたものが下の表です。
2024年7月 アルバイト・パート(短期) | 全国 | 東京都 | 愛知県 | 大阪府 |
キッチンスタッフ | 1,110円 | 1,232円 | 1,064円 | 1,137円 |
レジ打ち | 1,145円 | 1,254円 | 1,114円 | 1,301円 |
イベントスタッフ | 1,456円 | 1,387円 | 1,398円 | 1,495円 |
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スポットワーカーの採用も戦略の一つに!

以上、スポットワーカーについて、さまざまな切り口から解説しました。基本概要、メリット、懸念点、採用時のコツ、平均時給……等々、おさえておいて損はない内容のはずです。
ざっとおさらいしましょう。
少子高齢化が進み、働き手不足が叫ばれる昨今、スポットワーカーの活用は企業の人材戦略として欠かせません。欠員補充や繁忙期対策だけでなく、スポットワーカーからの長期採用を見据えた活用も有効でしょう。
一方で、採用時のミスマッチ防止や、効果的な教育プログラムの整備など、運用面での工夫もまた必要不可欠です。
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