ハローワークがまとめる有効求人倍率とは?

ハローワーク(別称、公共職業安定所)とは、厚生労働省が運営する総合的な雇用サービス機関です。有効求人倍率は、ここでまとめられます。その数値は、求職者1人に対して何件の求人があるかを示すものです。本章では、その計算方法と確認できる場所(厚生労働省のサイト )についてお伝えします。
有効求人倍率の計算方法
有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割って算出されます。有効求人数は、その月にハローワークに登録された新規案件と前月から引き継がれた求人の合計です。有効求職者数も同様。新たに求職者登録を行った方も加わります。仮に有効求人数が1,000件、求職者が500人だとしましょう。このとき成り立つ計算式は「1,000÷500」です。つまり、有効求人倍率は2。そう、求職者1人に対して2件の求人があることを意味します。この数値は、求人市場の需給バランスを示すものです。当然、採用計画や戦略に活用できます。
▶関連記事:有効求人倍率とは?推移や傾向、計算での求め方など簡単に解説
有効求人倍率を公表している厚生労働省のサイト
厚生労働省の公式Webサイトでは、有効求人倍率に関するデータを月次更新で公開しています。
厳密には、当サイトの集計結果にある「結果の概要」から全体像はもちろん、各都道府県や業種別の有効求人倍率が確認可能です。ここには直近のデータも含まれます。推移を把握する際にも、(一目でチェックできるため)便利でしょう。
ハローワークがまとめる有効求人倍率の推移

前項で紹介した厚生労働省の公式Webサイトでは、雇用形態別のデータも扱っています。本章では、ハローワークがまとめる「アルバイト・パート」「社員」の有効求人倍率をピックアップ。それぞれの最新情報にフォーカスします。
アルバイト・パートの有効求人倍率
2024年7月のアルバイト・パート採用における有効求人倍率(季節調整値)は、1.20倍でした(※2024年8月30日 厚生労働省発表)。2024年は、物価高もあってか有効求人数の減少が目立ちます。その結果、前年と比べて有効求人倍率が低下し続けている状況です。しかしながら今後は、(価格転嫁が一段落したお店、企業が増えてきたため)徐々に求人数も増え、求人倍率は上がってくるものと思われます。
人手不足に悩みつつも求人を躊躇っていた向きが一定数あったなかで、いよいよ動きが出てきそうです。
なお、都道府県別に見ると、東京都はすでに求人倍率の上昇が見られます。ここから全国的にこの傾向は広がっていくでしょう。さらに職種に目を向けると、前月よりも比較的大きく上昇していることがわかります。求人市況はまさに、変化の真っただ中です。
▶関連記事:最新!アルバイト・パートの有効求人倍率(エリア・職種別あり)
社員の有効求人倍率
2024年7月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.27倍でした(※2024年8月30日 厚生労働省発表)。社員採用もアルバイト・パートと同様に、昨年と比べて有効求人数の減少が目立ちます。が、前述のとおり価格転嫁も落ち着き、ここから先は流通が活発化することは十分に考えられるでしょう(すでにその動きは始まっています)。とりわけ、2024年問題も相まってドライバー需要が高まっているのは如実に感じられます。フリーターや第二新卒の方々の動きも要注目です。繁忙期に人手不足に陥らないよう積極的に仕掛けていきましょう。
▶関連記事:最新!社員の有効求人倍率(エリア・職種別あり)
ハローワークがまとめる都道府県別の有効求人倍率

続いて、ハローワークがまとめる都道府県別の有効求人倍率についてお伝えします。 2024年7月のデータは下表のとおりです。
※就業地別・季節調整値
※新規学卒者を除きパートタイムを含む
都道府県 | 2024年7月の有効求人倍率 |
---|---|
北海道 | 1.05 |
青森 | 1.25 |
岩手 | 1.30 |
宮城 | 1.24 |
秋田 | 1.41 |
山形 | 1.46 |
福島 | 1.40 |
茨城 | 1.51 |
栃木 | 1.27 |
群馬 | 1.40 |
埼玉 | 1.16 |
千葉 | 1.23 |
東京 | 1.12 |
神奈川 | 1.13 |
新潟 | 1.44 |
富山 | 1.57 |
石川 | 1.43 |
福井 | 1.83 |
山梨 | 1.50 |
長野 | 1.46 |
岐阜 | 1.55 |
静岡 | 1.26 |
愛知 | 1.25 |
三重 | 1.37 |
滋賀 | 1.24 |
京都 | 1.23 |
大阪 | 1.03 |
兵庫 | 1.14 |
奈良 | 1.32 |
和歌山 | 1.24 |
鳥取 | 1.44 |
島根 | 1.60 |
岡山 | 1.43 |
広島 | 1.32 |
山口 | 1.72 |
徳島 | 1.26 |
香川 | 1.61 |
愛媛 | 1.43 |
高知 | 1.17 |
福岡 | 1.06 |
佐賀 | 1.45 |
長崎 | 1.36 |
熊本 | 1.39 |
大分 | 1.50 |
宮崎 | 1.40 |
鹿児島 | 1.24 |
沖縄 | 1.10 |
倍率が高い都道府県の傾向
2024年7月、もっとも有効求人倍率が高かった都道府県は、福井県(1.83倍)でした。次いで山口県(1.72倍)、香川県(1.61倍)と続きます。これらは、比較的小規模な地方都市であるため、人口に対して求人が多いのかもしれません。また、地域経済の構造も影響していると考えられます。
倍率が低い都道府県の傾向
2024年7月、もっとも有効求人倍率が低かった都道府県は、大阪府(1.03倍)でした。次いで北海道(1.05倍)、福岡県(1.06倍)と続きます。これらの地域では求職者が多く、特にサービス業や非正規雇用の比率が高い印象です。求人と求職者のバランスが崩れやすいともいえるかもしれません。
ハローワークがまとめる業種別の有効求人倍率

ハローワークがまとめる業種別の有効求人倍率についてお伝えします。2024年7月のデータは下表のとおりです。
※全国計
※常用(パート含む)
業種 | 2024年7月の有効求人倍率 |
---|---|
管理的職業従事者 | 0.95 |
専門的・技術的職業従事者 | 1.84 |
製造技術者(開発) | 1.93 |
製造技術者(開発を除く) | 0.74 |
建築・土木・測量技術者 | 5.44 |
情報処理・通信技術者 | 1.49 |
その他の技術者 | 13.72 |
医師,歯科医師,獣医師,薬剤師 | 2.12 |
保健師,助産師,看護師 | 1.94 |
医療技術者 | 2.98 |
その他の保健医療従事者 | 1.89 |
社会福祉専門職業従事者 | 2.58 |
美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者 | 0.18 |
その他の専門的職業 | 0.76 |
事務従事者 | 0.41 |
一般事務従事者 | 0.33 |
会計事務従事者 | 0.67 |
生産関連事務従事者 | 1.40 |
営業・販売事務従事者 | 0.99 |
外勤事務従事者 | 2.70 |
運輸・郵便事務従事者 | 3.23 |
事務用機器操作員 | 0.35 |
販売従事者 | 2.00 |
商品販売従事者 | 1.88 |
販売類似職業従事者 | 2.66 |
営業職業従事者 | 2.15 |
サービス職業従事者 | 2.96 |
家庭生活支援サービス職業従事者 | 3.10 |
介護サービス職業従事者 | 3.90 |
保健医療サービス職業従事者 | 3.08 |
生活衛生サービス職業従事者 | 3.15 |
飲食物調理従事者 | 2.80 |
接客・給仕職業従事者 | 2.89 |
居住施設・ビル等管理人 | 0.94 |
その他のサービス職業従事者 | 1.68 |
保安職業従事者 | 6.37 |
農林漁業従事者 | 1.10 |
生産工程従事者 | 1.50 |
生産設備制御・監視従事者(金属製品) | 0.94 |
生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く) | 1.88 |
機械組立設備制御・監視従事者 | 0.71 |
製品製造・加工処理従事者(金属製品) | 2.01 |
製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く) | 1.70 |
機械組立従事者 | 0.64 |
機械整備・修理従事者 | 4.11 |
製品検査従事者(金属製品) | 0.99 |
製品検査従事者(金属製品を除く) | 1.62 |
機械検査従事者 | 0.93 |
生産関連・生産類似作業従事者 | 0.86 |
輸送・機械運転従事者 | 2.15 |
鉄道運転従事者 | 0.73 |
自動車運転従事者 | 2.56 |
船舶・航空機運転従事者 | 0.69 |
その他の輸送従事者 | 0.72 |
定置・建設機械運転従事者 | 1.85 |
建設・採掘従事者 | 5.05 |
建設躯体工事従事者 | 8.50 |
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) | 4.56 |
電気工事従事者 | 3.24 |
土木作業従事者 | 5.98 |
採掘従事者 | 3.91 |
運搬・清掃・包装等従事者 | 0.70 |
運搬従事者 | 1.11 |
清掃従事者 | 1.42 |
包装従事者 | 0.99 |
その他の運搬・清掃・包装等従事者 | 0.30 |
倍率が高い業種の傾向
2024年7月、もっとも有効求人倍率が高かったのは、その他の技術者を除いては、建設躯体工事従事者(8.50倍)でした。次いで保安職業従事者(6.37倍)、土木作業従事者(5.98倍)と続きます。総じて、建設業界が高い傾向にあり、これは、震災復興や大阪万博のような大規模プロジェクトに対する人材ニーズの急増などが背景に挙げられるでしょう。
倍率が低い業種の傾向
2024年7月、もっとも有効求人倍率が低かったのは、その他の運搬・清掃・包装等従事者を除いては、美術家及びデザイナー、写真家、映像撮影者(0.18倍)でした。以降は、一般事務従事者(0.33倍)、事務用機器操作員(0.35倍)と続きます。事務職の求人倍率が、他の業種に比べて低いのは、おそらく時代の流れでしょう。デジタルツールの導入による業務効率化が、そこかしこで影響しているものと思われます。
有効求人倍率のデータを採用戦略に落とし込むには?

有効求人倍率のデータは、採用活動において重要な指標です。その一方でこの数値に振り回されてもいけません。自社のニーズに合わせることも大事です。とはいえ、有効求人倍率のデータを参考にロジカルにアプローチすることはできます。たとえば、有効求人倍率が高いときに求人を出す場合は、いかに他社と差別化を図るか、あるいは接点強化のために手法やサービスを変えるかといった工夫が必要です。他方、有効求人倍率が低い時期でも、求職者だけでなく、求人数が増えている可能性があります。そうなるとやはり、自社が際立つ施策を打っていかなければなりません。
いずれにしても、求人市況の動向を先読みしたうえで、いかに戦略的にアプローチできるかが問われます。採用チャンスは年間通じて思いのほか多いものです。
ハローワークがまとめる有効求人倍率の注意点

ハローワークがまとめる有効求人倍率は、採用戦略に使えるデータである一方で、いくつか気を付けなければならないことも存在します。本章でお伝えする注意点を、しっかり念頭におくことが必要です。
あくまで対象はハローワークユーザー
ハローワークが公表する有効求人倍率は、同機関を利用する求職者と雇用主のみが対象です。そのため、ハローワーク外での動きは含まれておらず、全体の雇用市場が完全に反映されているわけではありません。加えて、後述するハローワークの利用率低下についても把握しておくことが大切です。
ハローワークの利用率は低下傾向
ハローワークの利用率は1999年以降、民間の職業紹介市場の拡大に伴い減少しています。もっとも象徴的なのはオンライン上での採用活動の台頭です。いまや採用活動の王道は、ハローワークではなく求人誌でもなく、求人情報サイトへの掲載でしょう。あるいは、自社で採用ホームページを持ち、そのなかで発信する企業も増えています。こうした変化からも、ハローワークの統計データが限定的な情報源でしかないことは明らかです。
「社員」は正社員だけではない
「社員」の有効求人倍率と聞くと、つい正社員だけのデータとして捉える方が一定数いらっしゃいます。しかし実際のところ、ハローワークが公表するそれは、正社員だけでなく派遣社員や契約社員なども該当します。「季節調整値」や「パートを除くor含む」といった条件も同様です。それらを理解したうえで数字を把握しなければなりません。安易に都合よく認識しないよう気を付けましょう。
ハローワークの有効求人倍率は使い方次第で採用活動に役立てられる!

ハローワークが公表する有効求人倍率から、大なり小なり求人市況は見えてきます。その情報をいかにうまく活用できるかは、採用活動の成功につながるほど大事です。有効求人倍率をただの統計としてではなく、戦略的なツールとして使うことが肝になります。もちろん、前述したように対象はあくまでハローワーク利用者に限られるため、近視眼的にならないよう注意も必要です。そうはいってもやはり、求人サイトとあわせて使っている事業所も多いため、有効な材料やヒントになり得ます。ぜひ、自社の採用に役立ててください。
▶関連記事:ハローワークに求人を出すには?掲載条件、登録方法などくわしく解説
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