ハローワークがまとめる「有効求人倍率」について解説します。取り上げるトピックは、有効求人倍率の計算方法、雇用形態別・地域別・業種別の傾向、採用戦略への生かし方、そのうえでの注意点……等々です。「採用市場の動向を把握したい」「効果的な採用計画を立てたい」方は、ぜひ参考にしてみてください。

ハローワークがまとめる「有効求人倍率」とは?推移と最新傾向、注意点を解説

  • 2024.09.05
  • 2024.09.05

ハローワークがまとめる「有効求人倍率」について解説します。取り上げるトピックは、有効求人倍率の計算方法、雇用形態別・地域別・業種別の傾向、採用戦略への生かし方、そのうえでの注意点……等々です。「採用市場の動向を把握したい」「効果的な採用計画を立てたい」方は、ぜひ参考にしてみてください。

料金や特定エリアのデータなど確認
(無料)求人掲載のお問い合わせ ≫
入力1分!とりあえず相談。

ハローワークがまとめる有効求人倍率とは?

緑が印象的なハローワークの文字

ハローワーク(別称、公共職業安定所)とは、厚生労働省が運営する総合的な雇用サービス機関です。有効求人倍率は、ここでまとめられます。その数値は、求職者1人に対して何件の求人があるかを示すものです。本章では、その計算方法と確認できる場所(厚生労働省のサイト )についてお伝えします。

有効求人倍率の計算方法

有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割って算出されます。有効求人数は、その月にハローワークに登録された新規案件と前月から引き継がれた求人の合計です。有効求職者数も同様。新たに求職者登録を行った方も加わります。仮に有効求人数が1,000件、求職者が500人だとしましょう。このとき成り立つ計算式は「1,000÷500」です。つまり、有効求人倍率は2。そう、求職者1人に対して2件の求人があることを意味します。この数値は、求人市場の需給バランスを示すものです。当然、採用計画や戦略に活用できます。

▶関連記事:有効求人倍率とは?推移や傾向、計算での求め方など簡単に解説

有効求人倍率を公表している厚生労働省のサイト

厚生労働省の公式Webサイトでは、有効求人倍率に関するデータを月次更新で公開しています。

参照:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

厳密には、当サイトの集計結果にある「結果の概要」から全体像はもちろん、各都道府県や業種別の有効求人倍率が確認可能です。ここには直近のデータも含まれます。推移を把握する際にも、(一目でチェックできるため)便利でしょう。

ハローワークがまとめる有効求人倍率の推移

有効求人倍率の推移を簡素に表現

前項で紹介した厚生労働省の公式Webサイトでは、雇用形態別のデータも扱っています。本章では、ハローワークがまとめる「アルバイト・パート」「社員」の有効求人倍率をピックアップ。それぞれの最新情報にフォーカスします。

アルバイト・パートの有効求人倍率

2024年7月のアルバイト・パート採用における有効求人倍率(季節調整値)は、1.20倍でした(※2024年8月30日 厚生労働省発表)。2024年は、物価高もあってか有効求人数の減少が目立ちます。その結果、前年と比べて有効求人倍率が低下し続けている状況です。しかしながら今後は、(価格転嫁が一段落したお店、企業が増えてきたため)徐々に求人数も増え、求人倍率は上がってくるものと思われます。 

人手不足に悩みつつも求人を躊躇っていた向きが一定数あったなかで、いよいよ動きが出てきそうです。 

なお、都道府県別に見ると、東京都はすでに求人倍率の上昇が見られます。ここから全国的にこの傾向は広がっていくでしょう。さらに職種に目を向けると、前月よりも比較的大きく上昇していることがわかります。求人市況はまさに、変化の真っただ中です。

▶関連記事:最新!アルバイト・パートの有効求人倍率(エリア・職種別あり)

社員の有効求人倍率

2024年7月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.27倍でした(※2024年8月30日 厚生労働省発表)。社員採用もアルバイト・パートと同様に、昨年と比べて有効求人数の減少が目立ちます。が、前述のとおり価格転嫁も落ち着き、ここから先は流通が活発化することは十分に考えられるでしょう(すでにその動きは始まっています)。とりわけ、2024年問題も相まってドライバー需要が高まっているのは如実に感じられます。フリーターや第二新卒の方々の動きも要注目です。繁忙期に人手不足に陥らないよう積極的に仕掛けていきましょう。

▶関連記事:最新!社員の有効求人倍率(エリア・職種別あり)

ハローワークがまとめる都道府県別の有効求人倍率

労働者とRecruitの文字

続いて、ハローワークがまとめる都道府県別の有効求人倍率についてお伝えします。 2024年7月のデータは下表のとおりです。 

※就業地別・季節調整値
※新規学卒者を除きパートタイムを含む

都道府県2024年7月の有効求人倍率
北海道1.05
青森1.25
岩手1.30
宮城1.24
秋田1.41
山形1.46
福島1.40
茨城1.51
栃木1.27
群馬1.40
埼玉1.16
千葉1.23
東京1.12
神奈川1.13
新潟1.44
富山1.57
石川1.43
福井1.83
山梨1.50
長野1.46
岐阜1.55
静岡1.26
愛知1.25
三重1.37
滋賀1.24
京都1.23
大阪1.03
兵庫1.14
奈良1.32
和歌山1.24
鳥取1.44
島根1.60
岡山1.43
広島1.32
山口1.72
徳島1.26
香川1.61
愛媛1.43
高知1.17
福岡1.06
佐賀1.45
長崎1.36
熊本1.39
大分1.50
宮崎1.40
鹿児島1.24
沖縄1.10

倍率が高い都道府県の傾向

2024年7月、もっとも有効求人倍率が高かった都道府県は、福井県(1.83倍)でした。次いで山口県(1.72倍)、香川県(1.61倍)と続きます。これらは、比較的小規模な地方都市であるため、人口に対して求人が多いのかもしれません。また、地域経済の構造も影響していると考えられます。

倍率が低い都道府県の傾向

2024年7月、もっとも有効求人倍率が低かった都道府県は、大阪府(1.03倍)でした。次いで北海道(1.05倍)、福岡県(1.06倍)と続きます。これらの地域では求職者が多く、特にサービス業や非正規雇用の比率が高い印象です。求人と求職者のバランスが崩れやすいともいえるかもしれません。

ハローワークがまとめる業種別の有効求人倍率

さまざまな業界の人とRecruitの文字

ハローワークがまとめる業種別の有効求人倍率についてお伝えします。2024年7月のデータは下表のとおりです。

※全国計
※常用(パート含む)

業種2024年7月の有効求人倍率
管理的職業従事者0.95
専門的・技術的職業従事者1.84
製造技術者(開発)1.93
製造技術者(開発を除く)0.74
建築・土木・測量技術者5.44
情報処理・通信技術者1.49
その他の技術者13.72
医師,歯科医師,獣医師,薬剤師2.12
保健師,助産師,看護師1.94
医療技術者2.98
その他の保健医療従事者1.89
社会福祉専門職業従事者2.58
美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者0.18
その他の専門的職業0.76
事務従事者0.41
一般事務従事者0.33
会計事務従事者0.67
生産関連事務従事者1.40
営業・販売事務従事者0.99
外勤事務従事者2.70
運輸・郵便事務従事者3.23
事務用機器操作員0.35
販売従事者2.00
商品販売従事者1.88
販売類似職業従事者2.66
営業職業従事者2.15
サービス職業従事者2.96
家庭生活支援サービス職業従事者3.10
介護サービス職業従事者3.90
保健医療サービス職業従事者3.08
生活衛生サービス職業従事者3.15
飲食物調理従事者2.80
接客・給仕職業従事者2.89
居住施設・ビル等管理人0.94
その他のサービス職業従事者1.68
保安職業従事者6.37
農林漁業従事者1.10
生産工程従事者1.50
生産設備制御・監視従事者(金属製品)0.94
生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く)1.88
機械組立設備制御・監視従事者0.71
製品製造・加工処理従事者(金属製品)2.01
製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)1.70
機械組立従事者0.64
機械整備・修理従事者4.11
製品検査従事者(金属製品)0.99
製品検査従事者(金属製品を除く)1.62
機械検査従事者0.93
生産関連・生産類似作業従事者0.86
輸送・機械運転従事者2.15
鉄道運転従事者0.73
自動車運転従事者2.56
船舶・航空機運転従事者0.69
その他の輸送従事者0.72
定置・建設機械運転従事者1.85
建設・採掘従事者5.05
建設躯体工事従事者8.50
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く)4.56
電気工事従事者3.24
土木作業従事者5.98
採掘従事者3.91
運搬・清掃・包装等従事者0.70
運搬従事者1.11
清掃従事者1.42
包装従事者0.99
その他の運搬・清掃・包装等従事者0.30

倍率が高い業種の傾向

2024年7月、もっとも有効求人倍率が高かったのは、その他の技術者を除いては、建設躯体工事従事者(8.50倍)でした。次いで保安職業従事者(6.37倍)、土木作業従事者(5.98倍)と続きます。総じて、建設業界が高い傾向にあり、これは、震災復興や大阪万博のような大規模プロジェクトに対する人材ニーズの急増などが背景に挙げられるでしょう。

倍率が低い業種の傾向

2024年7月、もっとも有効求人倍率が低かったのは、その他の運搬・清掃・包装等従事者を除いては、美術家及びデザイナー、写真家、映像撮影者(0.18倍)でした。以降は、一般事務従事者(0.33倍)、事務用機器操作員(0.35倍)と続きます。事務職の求人倍率が、他の業種に比べて低いのは、おそらく時代の流れでしょう。デジタルツールの導入による業務効率化が、そこかしこで影響しているものと思われます。

有効求人倍率のデータを採用戦略に落とし込むには?

採用戦略を示唆するStrategyの文字

有効求人倍率のデータは、採用活動において重要な指標です。その一方でこの数値に振り回されてもいけません。自社のニーズに合わせることも大事です。とはいえ、有効求人倍率のデータを参考にロジカルにアプローチすることはできます。たとえば、有効求人倍率が高いときに求人を出す場合は、いかに他社と差別化を図るか、あるいは接点強化のために手法やサービスを変えるかといった工夫が必要です。他方、有効求人倍率が低い時期でも、求職者だけでなく、求人数が増えている可能性があります。そうなるとやはり、自社が際立つ施策を打っていかなければなりません。

いずれにしても、求人市況の動向を先読みしたうえで、いかに戦略的にアプローチできるかが問われます。採用チャンスは年間通じて思いのほか多いものです。

ハローワークがまとめる有効求人倍率の注意点

注意点を表現

ハローワークがまとめる有効求人倍率は、採用戦略に使えるデータである一方で、いくつか気を付けなければならないことも存在します。本章でお伝えする注意点を、しっかり念頭におくことが必要です。

あくまで対象はハローワークユーザー

ハローワークが公表する有効求人倍率は、同機関を利用する求職者と雇用主のみが対象です。そのため、ハローワーク外での動きは含まれておらず、全体の雇用市場が完全に反映されているわけではありません。加えて、後述するハローワークの利用率低下についても把握しておくことが大切です。

ハローワークの利用率は低下傾向

ハローワークの利用率は1999年以降、民間の職業紹介市場の拡大に伴い減少しています。もっとも象徴的なのはオンライン上での採用活動の台頭です。いまや採用活動の王道は、ハローワークではなく求人誌でもなく、求人情報サイトへの掲載でしょう。あるいは、自社で採用ホームページを持ち、そのなかで発信する企業も増えています。こうした変化からも、ハローワークの統計データが限定的な情報源でしかないことは明らかです。

参照:労働市場における雇用仲介の現状について

「社員」は正社員だけではない

「社員」の有効求人倍率と聞くと、つい正社員だけのデータとして捉える方が一定数いらっしゃいます。しかし実際のところ、ハローワークが公表するそれは、正社員だけでなく派遣社員や契約社員なども該当します。「季節調整値」や「パートを除くor含む」といった条件も同様です。それらを理解したうえで数字を把握しなければなりません。安易に都合よく認識しないよう気を付けましょう。

ハローワークの有効求人倍率は使い方次第で採用活動に役立てられる!

虫眼鏡と人材

ハローワークが公表する有効求人倍率から、大なり小なり求人市況は見えてきます。その情報をいかにうまく活用できるかは、採用活動の成功につながるほど大事です。有効求人倍率をただの統計としてではなく、戦略的なツールとして使うことが肝になります。もちろん、前述したように対象はあくまでハローワーク利用者に限られるため、近視眼的にならないよう注意も必要です。そうはいってもやはり、求人サイトとあわせて使っている事業所も多いため、有効な材料やヒントになり得ます。ぜひ、自社の採用に役立ててください。

▶関連記事:ハローワークに求人を出すには?掲載条件、登録方法などくわしく解説

▶関連記事:ハローワークに求人を出す際の掲載料金は?出し方、費用まとめて解説


求人掲載・採用業務のサポートや料金についてなど、ぜひ気軽にお問い合わせください。
また、貴社に合わせたデータが必要な場合や、賃金設定のご相談も無料で承っております!

最安価格、最速掲載もここから相談!
(無料)求人・採用のお問い合わせ ≫
入力は簡単1分。とりあえず相談。

【公式】バイトルならアルバイト求人募集の掲載料金プランを選択可能
┗日本最大級のアルバイト・パート求人サイト。認知度も高く、さまざまなユーザー層から利用されています。独自のサービス機能で求職者と素早くマッチングします。

【企業向け/公式】バイトルNEXT – 掲載料金表あり!社員採用なら
┗社員を目指す方のための求人サイト。NEXT(ネクスト)ユーザーは55%が20~30代です。社員になる意欲の高い、第二新卒層を含めた若手社員の採用が見込めます。

【企業向け/公式】バイトルPRO(プロ) – 掲載料金例あり!
┗資格・経験を持った人材や専門職の求人サイト。応募者の7割が業界経験者です。プロフェッショナルな人材の募集にぜひご利用ください。

【企業向け/公式】はたらこねっと – 掲載料金プランあり。派遣以外も!
┗日本最大級の社員/派遣/パートの求人サイト。業界最大級の案件数で、就業経験のある方が77%を占めます。幅広い年齢層から利用されている求人サイトです。

【公式】面接コボット – 応募者対応の自動化で面接管理が楽に!
┗求人サイトからの応募対応を自動化できるサービス。チャットボットを通じ、日程調整まで効率よく進めてくれます。

【公式】採用ページコボット – 費用・実績も紹介!採用サイト制作サービス
┗採用ページ作成サービス。求人まとめサイトとの自動連携や求人検索エンジンへの対応により外部集客を強化します。

TOP