短時間からでも働けるアルバイトは魅力的です。一方で、管理する側は意外と知っておくべきことが多いのも事実。その一つが休憩時間かもしれません。
本記事ではアルバイトの休憩時間の定義や設定方法について、社労士監修のもと労働基準法に沿って解説します。

アルバイトの休憩時間の決め方って?法律に沿って解説

2022.11.15

短時間からでも働けるアルバイトは魅力的です。一方で、管理する側は意外と知っておくべきことが多いのも事実。その一つが休憩時間かもしれません。 本記事ではアルバイトの休憩時間の定義や設定方法について、社労士監修のもと労働基準法に沿って解説します。

アルバイトの休憩時間は法律で定義されている

アルバイトの休憩時間

アルバイトの勤務時間については十分に説明していても、休憩時間や休憩の取り方については曖昧に放置していませんか? そのせいで従業員が不満を募らせ、離職にまで至ることも決して少なくありません。 

アルバイトの休憩時間の取り方は、労働基準法第34条によって定められています。案外知られていないことかもしれません。ただし、一部の業種では例外もあるため注意が必要です。 

それでは、確実におさえておきたい基礎知識から紹介しましょう。

勤務時間に応じて休憩時間は変わる

アルバイトの休憩時間は、勤務時間によって取るべき長さが変わります。労働基準法では、労働時間が6時間以下の場合は休憩必須ではありません。が、労働時間が6時間を超えて8時間以下なら少なくとも45分、8時間を超えるなら最低1時間の休憩時間が必要です。 

もちろん、業務内容によっては身体的な負担が大きいケースもあるため、たとえ6時間以下でも休憩時間を設けてかまいません。と、残業に及んだ場合は休憩時間についての規定がないことも知っておきましょう。

労働時間(1日あたり) 法律上で必要な休憩時間 
6時間以内 なし 
6~8時間以内 45分以上 
8時間超~ 60分以上 

休憩付与に規定される3つの原則

休憩時間の設定方法については、労働基準法第34条第2項によって、細かく3つの原則が規定されています。これは、要注意です。思い込みでここの認識が間違っている企業の人事担当者側は珍しくありません。図らずも違法とされないようしっかりと把握しておきましょう。

途中付与の原則

休憩は労働時間の途中に与えられるべきと、労働基準法第34条1項には規定されています。仮に8時間勤務であれば、8時間の労働時間のなかで60分以上の休みを挟んでいかなければなりません。 

裏を返せば、8時間連続で働いたあとに休憩時間を設けたり、始業前の60分を休憩時間とみなしたりすることは、法律違反に当たります。

一斉付与の原則

休憩は労働者に対して一斉に与える必要があると、労働基準法第34条第2項で定められています。たとえば電話応対のために交代で休憩時間をずらしてもらうといった対応は、厳密には法律上で認められていません。そうはいっても実際は、多くの業種で許容されています。運輸・交通、金融・広告、映画・演劇などの娯楽関連、接客、通信、保健衛生、官公署事業関連……等々挙げればキリがありません。いずれにしても一斉に休憩を取ることで業務に支障をきたす恐れがあるため、対象外に区分されています。この場合、企業側は労使協定を結ぶ必要もなく交代制での休憩時間設定が可能です。

自由利用の原則

休憩時間に働かないことも原則として規定されています。昼食をとりながらの電話対応、会議や接客の時間までの職場待機など明らかに自らの意思に反した行動です。これでは、とても休んでいる状態とはいえません。休憩時間はあくまでも労働者にとって自由に利用できる時間でなければならないのです。

給与計算例から浮き彫りになる休憩時間の規定が及ぼす落とし穴

休憩時間も含まれるアルバイトの給与明細書

法律上、休憩時間に対して給料は支給されません。 

一見、当たり前の話ですが、気を付けたいのが勤務時間との兼ね合いです。 

たとえば、時給1,000円で6時間勤務の場合、基本、休憩時間はないため6時間×1,000円で6,000円がその日の給料として算出されます。一方で、6時間30分の勤務だとどうでしょう。この場合、45分の休憩時間が必要です。すると実働時間は5時間45分になり、給料は5,750円に下がってしまいます。

上記は、30分長く勤務したにもかかわらず、かえって減給に陥る例です。拘束時間に対して割にあわない事態を招いては、アルバイト従業員が不満を募らせるのも容易に想像できます。

だからこそ、人事労務管理においては、適切な人員配置とシフト管理が重要です。 

そのほか、やむを得ず1日の実働時間が8時間を超えた場合は、原則25%以上の残業手当をつけることも知っておきましょう。加えて、月単位で60時間を超えたなら、さらに25%以上の手当を要することもあります。

休憩時間の規定を守らなかった場合は?

給与明細書の封筒

休憩時間は、労働基準法によって厳しく規定されています。決して侮ってはいけません。違反すると、雇用主に対して6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。 

失われるのは罰金の額だけではないはずです。労働基準監督署の監査が入ったことやペナルティを被った事実によって自社がブラック企業の烙印を押されたしまう恐れがあります。つまり、会社としての社会的信用を失うわけです。そもそも休憩時間のルールをきちんと考慮せずに、無理矢理そうでなくとも漠然と働かせてしまうこと自体、リスクにさらされているといえます。休憩時間の設定は、少なからず従業員の離職につながる要素です。 

したがって、罰則を受けないことはもちろん、職場の労働環境を守るためにも、アルバイトの休憩時間は正しく理解し、曖昧な部分があればつぶしておくようにしましょう。

アルバイトの休憩時間を設定するうえでの注意点

アルバイト従業員向けのタイムシフト

繰り返しお伝えしますが、休憩時間については、法律で規定されているため違反事項に当たればペナルティを受けることになります。そして、それ以外にもつい見落としがちな部分や、誤解を招きやすい要素があるため、細心の注意を払うことが必要です。以下、くれぐれも軽視してはいけない大事な項目です。 

勤務時間が影響する休憩の有無

パートのシフトでは「朝10時出社の夕方16時退社」が短い時間で効率良く稼ぎたい方を中心に人気の傾向にあります。とりわけプライベートで子育てや介護に努める方々が多く希望しているようです。6時間未満の勤務時間であれば、法的に休憩時間が不要なため拘束時間を無駄にしたくないニーズが一定数あることがわかります。一方、6時間を超えてしまうと、既述のとおり休憩時間が発生することから給与は下がる計算です。 

このとき、拘束時間と時給を単純に掛け合わせると、ギャップが生じてしまいます。思い込みが原因とはいえ、納得しない方もなかにはいらっしゃるかもしれません。トラブルに発展させないためには、やはり休憩時間ついてあらかじめ認識の齟齬がないようはっきり説明すべきでしょう。

休憩時間の確保

休憩時間はしっかりとってもらうことも大事です。繁忙期には特に気を付けてください。 

どうしても決められた時間には休憩が取れない場合は、給料が発生しますが、あくまでそれはイレギュラーです。妥当な理由なく労働者が休憩なしで働きたいと申告してもそれは違法に当たります。たとえ休憩時間を削ってまで働くことが双方にとってメリットだとしても、基本、認められません。

休憩時間と休息時間は違う

休憩時間と休息時間は似て非なる言葉です。労働基準法において、意味は大きく異なります。 

前者は、労働基準法で定められた用語ではまさしく休憩の扱いになる時間ですが、後者は、法令上で決められたものではありません。一般的には、役所や会社独自の規則上でもそうであるように、お手洗いのために席を立つなど勤務中のささいな休憩あるいは仮眠をとるためのごく短い時間と考えられています。

もちろん、休息した従業員に対して相当分の額を給料から差し引いてはいけません。

休憩時間の電話当番は労働時間に該当

休憩時間中は、原則、労働してはいけません。既述のとおり、お昼休みの電話当番や会議や顧客の来訪に備えて待機することは労働の延長とみなされます。 

労働基準法の一節「使用者は第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない」のなかの“自由に”は「職場にいなくても良い」「仕事をする必要がない労働から離れた状態である」という意味です。つまり、着電や接客に随時対応しなければならない状態は、休憩時間とは認められないのです。

アルバイトの休憩時間を適切に確保するためのポイント

アルバイトの出勤カレンダー

企業側が休憩時間を適切に設定しなければ、従業員の意欲低下や労働環境の悪化につながるでしょう。特に、休憩を取れている人、取れていない人が混在するような不平等な状況は、職場の人間関係も壊しかねません。 

そうならないよう休憩時間の確保は不可欠です。労働環境を整えるためにも、以下のポイントをおさえましょう。

アルバイトの採用決定時にしっかり確認する

アルバイトの採用時には、休憩時間を含めた労働条件について慎重に書面を取り交わすようにしましょう。書面で内容が明示されていれば、万が一トラブルが起きたとしても、話し合いを円滑に進められるはずです。

管理職や上司が進んで休憩をとる

休憩時間が書面上だけの話になってはいけません。いかなる理由でも、忙しくて休憩が取れる雰囲気ではなければ、その状況自体がまず問題です。大事なのはアルバイトが休憩しやすい環境づくりでしょう。そのうえで、管理職や社員の方々が積極的にメリハリをつけて休憩時間を守る姿を見せることが大事です。

電話応対は当番制にする

休憩中、やむを得ず電話応対のために待機する必要がある職場では、交代で休憩を取るようなシフトを組むとよいでしょう。原則として休憩時間は一斉に取ることにはなっていますが、業務に差し支える業種であれば問題ありません。 

休憩時間を小分けにする

どうしても45分や60分といった休憩時間をまとめて取りにくい環境もあるでしょう。その場合は休憩時間を小分けにすることができます。たとえば30分の2回休憩、15分の4回休憩といった具合です。

勤怠管理システムを導入する

アルバイトのシフトは、複数のスタッフの希望にあわせて作成するものです。そのため、管理は煩雑になる傾向にあります。そうしたなか対策案として有効なのは、シフト管理業務を効率化できる勤怠管理システムの導入です。ぜひ、検討してみてください。

アルバイトの休憩時間は正しい理解のうえ設定しよう!

休憩中のアルバイト従業員

アルバイトの休憩時間を正しく理解することは、シフト設定業務はじめ従業員の管理において必要不可欠です。もちろん、適切にコミュニケーションを図っていくことも求められます。入社手続きや雇用契約の際にしっかりと書面を取り交わし、曖昧な状況を作らないようにしましょう。

そうはいってもやはり、これらの手続きは手間がかかるうえに、書面の場合、紛失や情報漏洩などのリスクもあります。 

そこでおすすめしたいのが人事労務管理システム「コボット」の導入です。電子サインによって雇用契約もオンラインで完結できます。人事労務に関する書類を電子化することで一元管理も可能。効率的なシフト設定に寄与します。

休憩時間には、法律で定められたルールがあります。 法律に則したシフト設定が、労働環境を守ることにもつながるのです。

【監修者の紹介】

アラタケ社会保険労務士事務所の代表を務める荒武慎一氏 

アラタケ社会保険労務士事務所 

代表 荒武 慎一

同志社大学卒業後、富士ゼロックス株式会社を経て、平成27年アラタケ社会保険労務士事務所を開設。平成30年すばるコンサルティング株式会社取締役エグゼクティブコンサルタントに就任。助成金セミナーを各地で開催し、難解な助成金を分かりやすく解説することで高い評価を得ている。社会保険労務士、中小企業診断士。

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