離職する理由は人によって異なりますが、企業活動を続けていく中で従業員の退職は避けられません。退職が決まると人事担当者は退職手続きを進めますが、その際に退職者からの求めに応じて会社側が発行するのが「離職票」です。雇用保険や失業手当を受け取るために必要な重要書類ですが、どのように準備すれば良いのでしょうか。そこで今回は、離職票の書き方や退職者に送付するまでの流れなどをくわしく解説していきます。

離職票とは?書き方や退職者へ送付するまでの流れ、トラブルなど紹介

2022.10.31

離職する理由は人によって異なりますが、企業活動を続けていく中で従業員の退職は避けられません。退職が決まると人事担当者は退職手続きを進めますが、その際に退職者からの求めに応じて会社側が発行するのが「離職票」です。雇用保険や失業手当を受け取るために必要な重要書類ですが、どのように準備すれば良いのでしょうか。そこで今回は、離職票の書き方や退職者に送付するまでの流れなどをくわしく解説していきます。

離職票とは何か?

離職票

離職票とは具体的にどのようなものなのでしょうか? 

以下に、離職票の基本情報や種類、退職証明書との違いなどを紹介します。

離職票の概要

離職票とは、会社を離職した証明になる書類のことで、正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といいます。会社を退職した人が失業状態にあるときに、ハローワークで求職したり雇用保険を受けたりするために必要な書類です。 

離職票は会社側から退職者個人に対して渡す書類ですが、発行はハローワークが行います。そのため、届け出の期限や書式が定められており、その内容に則って手続きを行う必要があります。 

退職証明書との違い 

退職証明書とは、従業員が退職したことを証明するために会社が発行する書類のことです。ハローワークに提出するものではなく、会社側から退職者に対して発行する書類です。離職票とは違って公的な書類ではありません。そのため、退職証明書が必要なケースは限られ、基本的には退職者から求められた場合にのみ発行します。 

退職証明書が必要となるケースは主に以下の2つです。 

国民健康保険や国民年金の加入手続きを行う際に、何らかの事情で離職票の発行が困難な場合、代替手段として退職証明書を提示することで手続きを進められます。 

また退職者が、転職先の企業から退職理由や履歴書などの記載内容を確認するために退職証明書の提出を求められるケースもあります。すべての企業が求めてくるわけではありませんが、退職者から退職証明書の発行を求めてきた場合には必ず応じなくてはいけません。ただし、退職してから2年以上が経過している場合は、会社側が退職証明書発行の申請に応じる必要はありません。 

離職票には2種類ある 

離職票には、「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」の2種類があります。 

離職票-1は、失業手当の振込先となる金融機関や口座番号を申請するための書類で、離職票-2は、離職理由や離職前の賃金支払い状況を記載した書類が該当します。離職票-2の記載内容によって、失業手当の支給額や開始時期、支給期間が変わってくるため、退職の理由や退職前に支払っていた給与の額を間違えないように記載することが大切です。 

なお、離職票-2は、複写式の3枚つづりになっています。 

離職票-2は、会社側で必要事項を記入したのち、ハローワークに確認・押印してもらってから、離職票-1とあわせて退職者に送付します。 

離職票の手続きが必要になるケース 

離職票は退職者がハローワークで求職したり失業手当を受けたりするために必要な書類です。そのため、転職先が決まっている人はハローワークを利用する必要がないため、離職票を発行する必要はありません。ただし、本人が交付を求めている場合は発行する必要があります。また、退職者の年齢が59歳以上の場合は、本人の希望に関わらず必ず離職票を発行しなければなりません。 

そして、退職者が離職票というものがあるということを知らないケースもあるので注意が必要です。離職票は退職者の今後の生活に関わる重要書類なので、企業側の担当者は失業手当の申請を行う予定があるかを確認して、離職票の発行の有無を確認することが大切です。 

従業員が退職する際に人事担当者が行う手続き

■離職票の交付の流れ 

ここまでご紹介した内容を踏まえて、従業員が退職する際に人事担当者が行う手続きの流れを解説します。

業員に退職届(願)を提出してもらう 

ハローワークに当該従業員が退職したことを証明する必要があるため、自己都合で退職する場合は、必ず退職届(願)を提出してもらう必要があります。 

離職票の発行を希望するかの意思確認 

退職すると連絡が取りにくくなるため、退職の意向がはっきりした時点で離職票が必要かを退職者に確認する必要があります。 

本人の希望に関わらず、退職者全員に離職票を発行する会社もありますが、退職者から離職票は不要との意思表示があった場合は、離職票の発行を省略しても問題はありません。 

離職証明書をハローワークに提出

退職者が離職票を希望した場合、雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出します。提出する際には、離職理由や在職時の賃金を証明するための資料を添付する必要があります。 

企業には、すべての従業員を雇用保険に加入させる義務が生じますが、退職者は退職するその日から雇用保険の対象から外れることになります。そのため、雇用保険被保険者資格喪失届は、離職票が必要かどうかに関わらず必ず提出しなければいけません。 

ハローワークへの提出期限は、従業員ではなくなった日の翌日から10日以内です。もし、退職者が離職票の交付を希望しない場合は、雇用保険被保険者資格喪失届のみの提出で問題ありません。 

ハローワークが離職票を交付

ハローワークは、事業主から届いた離職証明書を精査し、内容に問題がなければ「離職票-1」と「離職票-2」の2種類の離職票を会社に交付します。 

ここで退職者が行う作業は特にありません。 

離職票を退職者に送付

事業主はハローワークから送られてきた2種類の離職票を退職者に送付します。退職者の手元には退職日から数えて10日前後で届くのが一般的です。 

退職者は届いた離職票をハローワークに提出して、失業手当受給の手続きを行います。

離職票を書く際に必要なこととは

離職票を書く際に必要なこととは

人事担当者が離職票を書くために、いくつか把握しておくべきことがあります。 

以下に、離職票の記入事項と書く際に注意すべきポイントについて紹介します。 

離職票に記載する情報

人事担当者が記載するのは、複写用紙の1枚目に当たる離職証明書です。 

記入事項は下記のとおりです。

離職票を書く際に注意すべきこと

前述した通り、退職日の翌日から10日以内に手続きを行わなければなりません。 

速やかに手続きを進めるためにも、退職が決まった時点で上記の記入事項を事前にまとめておくことが大切です。 

提出期限内での届け出をし忘れてしまうと、退職する従業員が失業給付金を受け取れないなどの労使トラブルになる可能性があるため注意が必要です。 

また、育児短時間勤務制度などを利用するなどして、退職者が時短勤務をしていた場合、実際に支払った賃金を記載する必要があります。 

離職票の賃金日額算定の項目は、失業給付金の基本手当の算定に使われるため、実際に支払った賃金を記載することが大切なのです。 

ただし、企業の倒産や解雇などで退職する場合は「会社都合による退職」となるため、勤務時間短縮前の賃金日額によって基本手当の日額が算定されます。その場合、「雇用保険被保険者短縮措置等適用時賃金証明書」の添付が必要です。 

離職票の手続きは電子申請でも可能

離職票の手続きは2011年11月から電子申請でも可能になりました。 

また、2020年4月からは大企業での電子申請が義務化となり、手書きで申請書類を作成する手間がなくなったことにより作業時間が大幅に短縮することができます。 

離職証明書の内容は退職者本人が離職理由を確認し署名する必要がありますが、電子申請の場合、別途「離職証明書の記載内容に関する確認書」というものが用意されていて、退職者に記載して送ってもらうことで代用することが可能です。 

この確認書で退職者が確認するのは以下の2つの項目になります。 

  1. 離職証明書の記載内容のうち、離職理由欄以外の記載内容について事実と相違ないか
  2. 事業主が記入した離職理由について、異議があるかないか

電子申請を利用することで作業時間の短縮やペーパーレス化など様々なメリットがありますが、窓口に出向くことなく手続を済ませられるため、新型コロナウイルスに感染するリスクを少しでも減らしたいという方にもぴったりの申請方法といえます。 

離職票に関するよくあるトラブル

離職票に関するよくあるトラブル

退職時のトラブルは、企業の評判や今後の採用活動に影響を与える可能性があるため注意が必要です。 

ここでは、離職票に関するよくあるトラブルについて紹介しますので、無用なトラブルを回避するためにもぜひ参考にしてください。 

会社と退職者で離職理由の認識が異なる

離職票に関するトラブルで最も多いのは「会社側と退職者側で退職理由が一致しない」というもの。退職理由は、失業手当の金額や期間などに影響する可能性があるため非常に重要なポイントです。 

そのため、退職者は企業が記載した離職理由に異議があれば申し立てを行うことができ、双方の主張が食い違う場合はハローワークで協議が行われます。このような行き違いを起こさないためには、離職票を発行する前の段階で退職者と十分にコミュニケーションを取り、双方で退職理由について認識のズレがないようにしておくことが大切です。 

退職理由が自己都合退職の場合には、必ず退職届を提出してもらう必要があります。同じ自己都合退職でも「正当な理由のある自己都合の離職」と「正当な理由のない自己都合の離職」では失業手当の条件が変わります。企業側は退職者と何度も面談を行い、離職理由によって失業手当の条件に影響があることを理解してもらったうえで、離職理由を確認してもらうと良いでしょう。

離職票が送付されてこない

退職者側から「いつまでたっても離職票が送付されてこない」というクレームを受ける可能性もあります。その場合、企業側が手続きをうっかり忘れていたり、ハローワークの処理が遅れているなどの理由が考えられます。それ以外によくあるのは、退職者が離職票の申請手続きが必要だということを認識していないというパターンです。 

こうしたトラブルを回避するためにも、企業側は離職票が重要な書類であることを退職者にしっかりと説明することが大切です。少しでも離職票の必要性があると判断した場合は発行しておくと良いでしょう。 

助成金が受給できなくなる

離職票に関わるトラブルは、退職者の失業手当に関するものだけではなく、企業が受け取る助成金について影響が出るケースもあります。労働者が離職する場合、大きく分けると「自己都合」と「会社都合」がありますが、数年以内に会社都合退職の労働者がいる場合は、雇用関係の助成金が受給できない可能性があります。 

キャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金などの雇用関連助成金は、雇用の安定や労働者の処遇改善を促すための制度です。会社都合で退職させるというのはその趣旨に反しているため、支給対象から外れてしまいます。 

会社都合退職とは、主に倒産やリストラ、退職勧奨による退職などが当てはまりますが、そのような理由での離職は、不支給要件となる「解雇等」に該当します。雇用関連助成金では、会社都合退職を1人でも出すと支給対象から外れることがほとんどなので、退職理由についてはしっかりと確認する必要があります。 

会社が受けられる助成金については、厚生労働省で詳しく紹介されているのでそちらも参考にしてみてください。

参考:事業主の方のための雇用関係助成金|厚生労働省

離職票についてのまとめ

離職票を示唆するイメージ

離職票に関するトラブルは、退職者の生活に大きな影響を及ぼすかもしれない重要な問題です。これまで勤めてきた企業との最後の接点となる離職票のやり取りでトラブルが生じると、退職者は企業に対してネガティブな印象を持ってしまうかもしれません。 

これまで会社のために働いてくれた退職者の未来のためであると捉えて、退職する従業員には最後まで丁寧に向き合うことが大切です。 

また、新しい従業員を探している企業の人事担当の方には、正社員向け求人サイトである「バイトルNEXT」の利用をおすすめします。 

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