企業の成長・発展に、優秀な人材の採用や定着は欠かせません。しかしながら労働力人口の減少などにより、現実問題として人材確保は年々難しくなっています。本記事では、人材確保のアイデアを具体的に10個ピックアップ。加えて企業の取り組み事例もお伝えします。ぜひ、自社の採用戦略を見直すヒントにしてください。

人材確保のアイデア10選-具体的な方法・取り組み事例も紹介-

  • 2024.08.02
  • 2024.08.02

企業の成長・発展に、優秀な人材の採用や定着は欠かせません。しかしながら労働力人口の減少などにより、現実問題として人材確保は年々難しくなっています。本記事では、人材確保のアイデアを具体的に10個ピックアップ。加えて企業の取り組み事例もお伝えします。ぜひ、自社の採用戦略を見直すヒントにしてください。

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人材確保とは?

階段を駆けるビジネスマン

人材確保とは、事業運営に必要な人材を採用し、定着させていくことです。したがって、単に欠員補充で人を雇うことだけを指す言葉ではありません。組織の継続的な成長のため、スキルや資質を湛えた方々を計画的に獲得・育成することが求められます。

こうした人材は、いうなれば企業にとって最大の資産かつ競争力の源泉です。彼・彼女らを仲間として招き入れ、活躍してもらうことが、生産性の向上や業績アップにつながります。反対に、人材不足に陥れば、事業運営に支障をきたし、最悪の場合、企業の存続さえも危ぶまれることになるでしょう。そのため、人材確保は経営戦略上の重要な課題として位置付け、トップダウンで取り組む必要があります。場当たり的な採用活動ではなく、中長期的な視点に立った人材戦略を練ることが大切です。

人材確保が困難な組織が抱える問題・課題

深く悩んでいるビジネスマン

人材確保に苦戦する組織には、あらゆる面で多くの問題や課題が見受けられます。本章ではそれらについて、「採用管理」「定着管理」「就労条件」「理念・価値観」の観点から、厚生労働省が取りまとめた事例を基に言及します。

参照:厚生労働省 人材確保に「効く」事例集

採用管理の面

採用管理で起こっている問題は次のとおりです。

また、これらを踏まえ、次の課題が挙げられます。

人材確保の第一歩は、自社に合った人材を見つけることです。そのためには、(自社の)ニーズを明確にし、それに合った採用戦略・戦術を確立していく必要があります。当然、応募者を見極めていく過程も大事です。求人方法だけでなく、選考プロセスの最適化についても工夫を重ねるなどして、優秀な人材の獲得に努めることが求められます。

定着管理の面

定着管理の面で起こっている問題は次のとおりです。

また、これらを踏まえ、次の課題が挙げられます。

採用した社員に長く活躍してもらうには、定着管理の取り組みが欠かせません。特に、新入社員の受け入れ体制の整備は重要です。職場環境になかなか適応してもらえないまま早期離職につながるケースはそこかしこで見受けられます。改善にはやはり、きめ細かなフォローが必須です。

また、社員のキャリア形成を支援し、公正な評価を行うことも求められます。そうやって、社員のモチベーションを高めることも非常に大切です。総じて、社員が「この会社で頑張ろう」と思える職場環境づくりが課題といえます。

就労条件の面

就労条件の面で起こっている問題は次のとおりです。

また、これらを踏まえ、次の課題が挙げられます。

就労条件の改善は、もはやどの組織においても命題といえます。長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進など、社員のワークライフバランスを支える取り組みは、先述した採用・定着の観点からも非常に大事です。もちろん、これは雇用形態を問いません。アルバイト・パートの方々の処遇や福利厚生、そのほか職場環境の整備全般も併せて見直す必要があります。

理念・価値観の面

理念・価値観として起こっている問題は次のとおりです。

また、これらを踏まえ、次の課題が挙げられます。

組織の理念や価値観もまた、人材確保に大なり小なり影響を及ぼします。経営理念を社員に浸透させることを疎かにしている企業は、意外と多いものです。裏を返せば、これが差になり明暗を分けていることもいえるかもしれません。ビジョンそして仕事の意義を共有することはきわめて重要です。社員の能力開花も、自律的に働く意識(≒帰属意識)の醸成からはじまるといっても過言ではないでしょう。企業と社員の価値観を摺り合わせ一体感を高められれば、自社で働くことに、きっと誇りを持ってもらえるはずです。

人材確保に向けた10のアイデア

アイデアを表現

問題・課題を踏まえて、本章では人材確保のためのアイデアを具体的に10個紹介します。ずばり、次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

求人広告での訴求内容を見直す

求人広告の質を上げていくことは、採用力を高めるうえで欠かせません。訴求の仕方も含めて内容の見直しを図る場合、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

いずれにもいえることとして、求職者の立場から知りたい情報は何かを考えていくことが肝要です。

求人掲載サービスを見直す

求人媒体の使い分けや求人掲載サービスを見直すことも、採用成功のカギを握ります。具体的には以下のイメージです。

媒体の特性を見極めることはもちろん、一つに固執しないフレキシブルな選択も大切です。多角的なアプローチは相乗効果を生み出します。可能であれば、複数利用することも検討してみてください(そのうえで自社に最適な組み合わせを追求しましょう)。

採用手法を見直す

採用手法の工夫により、マッチング精度は格段に高まることがあります。たとえば、次のようなやり方が挙げられます。

このように、そもそも採用手法を見直すことも、状況を好転させる一つのアイデアです。サービスの見直し同様、柔軟な発想だといえます。

採用基準を見直す

従来の採用基準を一新することも、停滞する事態を打開するには有効です。基準を見直したことで、本当に欲しかった人材から募が来るようになるケースは往々にしてあります。では、いくつか例を挙げましょう。

採用基準は時代に合わせることも大事です。トレンドにも目配りしつつ、最適化を図ってみてください。

▶関連記事:採用条件、採用基準について決め方や注意点など解説

採用時期を見直す

求人は出すタイミングを見誤ると、採用チャンスを逃しかねません。もちろん、一概にどの時期が優位とはいえませんが、以下のように、傾向から戦略を立てることは可能です。

たとえば、中途採用は通年で行うのがよいのか、はたまた転職者が増える時期を狙い撃つのがよいのか……等々、正解が都度変わる選択を余儀なくされるケースで大切なのは、やはり柔軟性です。傾向を踏まえたうえで見直せる余地があれば、リスクもケアしつつ対応できると望ましいでしょう。

応募者管理を見直す

応募者管理も疎かにしてはいけません。適切に行えるか否かで採用全体の精度と効率は大きく変わってきます。というわけで、応募者、企業、双方にとってスムーズな採用プロセスを実現するアイデアがこちらです。

これらの取り組みは、いわば優秀な人材を確保するための基盤強化です。(応募者にとって)安心かつ(企業側にとって)安定したフローの確立は、先々を見据えてもなお、プラスに寄与します。

内定者フォローを見直す

内定辞退のリスクを念頭におかないまま、内示を出した後は悠長に構える方がいらっしゃいます。が、それによって、他社に取られてしまうケースは決して珍しくありません。入社までは手厚いフォローが大事です。内定者との信頼関係を築き、不安を解消することに注力しましょう。具体的には次のとおりです。

これらの取り組みを通じて、内定者が入社まで安心して過ごせるよう環境を整えられれば、少なからず内定辞退のリスクは低減できるでしょう。

勤務形態を見直す

勤務形態を見直すことも一考の価値があります。働き方の選択肢が広がることを望む求職者の方々は、思いのほか多いものです。以下のような柔軟な勤務形態によって、多様な人材を引きつけられる可能性は大いに考えられます。

いずれも、昨今は特にお仕事を探すうえで重視されている取り組みです。これらを通じて、組織力アップも図れます。

待遇・福利厚生を見直す

待遇や福利厚生の充実は、他社求人との差別化を図るうえで非常に大切です。具体的には次のような取り組みが求められます。

もちろん、企業によっては実現が難しい部分もあると思われます。が、まずは現状の待遇・福利厚生のままでよいのかどうかを確認し、仮に改善の余地がありそうなら、どこまでなら可能かを慎重に精査しましょう。あくまで見直す姿勢が大事です。

組織デザインを見直す

採用や定着は、組織のあり方そのものとも深く関わります。組織構造の抜本的な見直しを行うことで、より魅力的な職場環境を提供できたなら、それは人材確保と定着の促進につながります。具体的に挙げられる取り組みは、次のとおりです。

硬直化した組織を変革することが、人材が集まり定着する土台づくりといっても過言ではありません。組織の成長のためにも大切です。

▶関連記事:組織デザインとは?人事担当者が押さえるべきポイントを解説

人材確保のアイデアを形にした具体的かつ画期的な方法

アイデアが閃いた人を表現

抽象的なアイデアを、具体的な手法に落とし込むことも重要なステップです。本章では、人材確保のアイデアを実践する方法をいくつか紹介します。いずれも近年、導入が進む画期的な取り組みや制度です。ぜひ、ご参照ください。

採用動画

文字情報だけではどうしても会社の魅力は伝えきれません。そこで効果的なのが採用動画です。視覚的に訴求できるため、求職者にリアルな情報を届けられます。ポイントは次のとおりです。

動画制作は一度に多くの情報を伝える手段として非常に有効です。ぜひ、自社の特性を最大限に生かした魅力的な採用動画を作ってみてください。

▶関連記事:採用サイトは動画が効果的!トレンド・事例交えてコツやポイントを解説

オウンドメディアリクルーティング

オウンドメディアリクルーティングとは、自社が保有するメディアを通じて求職者との接点を持つ手法です。これによって企業に対する認知度、ブランド向上が期待できます。うまく運用できれば、応募も増えるようになるでしょう。ポイントは次のとおりです。

オウンドメディアでの情報発信は、求職者との信頼関係を築くのに有効です。自社の強みを生かしたコンテンツを継続的に発信することで、求職者に対して一貫したメッセージを届け、魅力を高めることができます。

▶関連記事:オウンドメディアリクルーティングとは?運用方法や事例も交えて実践的に解説

採用アウトソーシング(RPO)

採用アウトソーシング(RPO)とは、採用業務の一部または全部を外部に委託する手法です。専門のプロフェッショナルに任せることで、採用活動の効率、質の向上が期待できます。ポイントは次のとおりです。

自前主義にこだわらず、専門家の知識と経験を活用することもときには必要かもしれません。少なからず検討する価値はあるでしょう。

▶関連記事:採用アウトソーシング(RPO)とは?気になる採用代行サービスの話

リファラル採用

リファラル採用とは、社員からの紹介で人材を募る手法です。自社を知る人間からの紹介ゆえに信頼できる部分は大きく、定着にも寄与しやすいと考えます。ポイントは次のとおりです。

紹介する社員もまた、自社に貢献しようと優秀な人材に声をかけるケースが多いように見受けられます。採用難といわれる時代だからこそ、社員のネットワークも最大限に活用したいところです。

▶関連記事:リファラル採用とは?報酬の決め方や違法性、トラブル回避策など解説

社内公募制度

社内公募制度もリファラル採用に近い発想でしょう。採用ターゲットはずばり、今いる社員です。彼・彼女らの配属を最適化し、組織全体のパフォーマンス向上につなげていきます。ポイントは次のとおりです。

社内リソースに目を向けることは、すなわち組織の見直しをも意味します。企業の成長と発展を支えるためにはやはり、一人ひとりの力を最大限発揮させることが大事です。

▶関連記事:社内公募制度とは?流れや面接方法、メリット・デメリットなど解説

ハイブリッドワーク

ハイブリッドワークとは、出社とリモートワークを組み合わせた働き方です。仕事をする環境を臨機応変に使い分けられるため、モチベーション、そして生産性の向上が期待できます。採用、定着、両面において効果的だといえるでしょう。ポイントは次のとおりです。

柔軟に働くことを重視される求職者は、近年、ますます増えてきています。そのニーズに応える意味でも、ハイブリッドワークは有効です。

▶関連記事:ハイブリッドワーク(勤務)とは?デメリットや課題についても解説

サバティカル休暇

サバティカル休暇とは、永年勤続などを条件に長期休暇を付与する制度です。これにより、社員はメリハリをつけて働くことができます。この制度があることで自社に興味を持つ求職者の方も少なくないでしょう。ポイントは次のとおりです。

長期にわたって働き続けられる職場環境を提供するためには、やはりさまざまな工夫が必要です。サバティカル休暇もまた、組織全体の活力につながる効果的な取り組みだと考えます。

▶関連記事:サバティカル休暇とは?福利厚生制度の一つとして企業向けに紹介

厚生労働省が提唱する人材確保に効果的な取り組み

厚生労働省の写真

厚生労働省は、企業の人材確保を支援すべく、効果的な取り組みについて具体的に提唱しています。その分野は実に多岐に渡ります。具体的には、「募集」「選考」「配置・配属」「評価・処遇」「教育訓練・能力開発」「労働条件」「労働環境」「人間関係」「福利厚生」「経営理念」「組織文化」の観点からの提案です。本章にて、紹介します。

参照:厚生労働省 人材確保に「効く」事例集

募集に関する取り組み

募集に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

求人における表示内容の工夫

求人票の内容を工夫することは、少なからず応募数アップにつながります。求職者が知りたい情報はなるべくくわしく記載しましょう。とりわけ、一緒に働く従業員の声や職場の雰囲気は、より丁寧に伝えたいところです。なお、とある企業では「年休取得率」「産休育休取得率」「平均勤続年数」「平均残業時間」などの情報を記載したことで、競合他社との差別化が図れ、結果につながったといいます。

求人媒体の工夫

効果的な募集活動を行うためには、適切な求人媒体を選択することも重要です。従来のハローワークや求人誌から、Web求人やSNSにプラットフォームを変えたところ、幅広い層にリーチできるようになったといった話もよく見聞きします。もちろん、アナログなやり方も侮れません。事業所の玄関前に求人票を掲示することで、近隣住民の目に留まり、短期採用につながったケースなどもあるようです。

採用形態・求人条件の見直し

人材確保が難しい場合、採用形態や求人条件自体を見直すことも必要でしょう。たとえば、採用時の雇用形態(正社員・パート等)や、経験・資格の要件(未経験・無資格も可)、試用期間の設定方法などを柔軟に変更することで、応募者の幅を広げることができます。実際に、とある企業では、シフト制の勤務において、勤務時間や休日を求職者のニーズに合わせて柔軟に設定できるようにしたところ(「週5日勤務」を「週1日勤務から可能」に変更、「1日8時間勤務」を「1日3時間勤務から可能」など)、多様な働き方を希望する人材からの応募を増やすことに成功したといいます。

自社の魅力を求人以外でもアピール

求人以外でも、自社の魅力をアピールすることは大切です。日頃から企業PRを行い、自社の認知度や関心度を上げる努力をしている企業は、求人時にもその効果を発揮しやすいでしょう。とある企業では、広報も兼ねて研修会や研究会など外部と交流する機会を積極的に設けているといいます。採用を優位に進めるのに、一役も二役も買っているはずです。

選考に関する取り組み

選考に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

採用面接時の丁寧な説明

採用面接は、企業と応募者が互いを知る貴重な機会です。有効に活用しない手はありません。業務内容や労働条件について詳細に説明することが、入社後のミスマッチ防止につながります。仕事内容や労働条件の説明はもちろん、オフィスを見学してもらってもよいでしょう。

採用母集団の拡大

人材確保が難しい場合、採用母集団を拡大することも考えていきたいところです。従来の採用基準や対象を見直し、より幅広い人材にアプローチすることで、応募数アップは図れます。とある運送会社では、女性ドライバーの採用にも注力。これは、チームの意見を反映させる取り組みだったといいます。

配置・配属に関する取り組み

配置・配属に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

採用者の受入れ体制への配慮

新しく採用した従業員が職場に馴染み、早期に戦力となるためには、あらかじめ受け入れ体制を整えておくことが必要です。特に、新入社員は新しい環境に不安を感じやすいため、きめ細かい配慮が求められます。歓迎ムードを作り、積極的に話しかけるなど、あたたかく迎え入れてください。

たとえば、同年代の同僚と交流できる機会を意図的に作り出し、早く打ち解けてもらうよう取り組んでいる企業も多いようです。法人内に複数の小規模事業所がある場合は、初任研修を同年代合同で行うのもよいでしょう。

離職防止・モチベーション維持のための配置転換

適切な配置転換は、離職防止やモチベーション維持、さらには人材育成にも効果があります。業務の大変さや責任の重さに適応できないまま退職してしまう従業員が多かったというとある企業では、社員面談を定期的に行い、臨機応変に配置転換を実施した結果、定着率向上につながったようです。

評価・処遇に関する取り組み

評価・処遇に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

納得性のある人事評価の実施

正当な評価だと感じられる納得性の高い人事評価システムの構築は、多くの企業が挙げる課題の一つです。それらに対して不満や不信感を与えてしまうと、たちまち社員のモチベーションは下がります。早期離職にもつながるでしょう。とある企業では、評価内容のマニュアル化や、一部コメントの統一といったルールを決めただけでも、高い納得感を得られるようになったといいます。

将来展望を持てるキャリアパスの設計

従業員が将来のキャリアを明確にイメージできるようなキャリアパスを設計することは、長期的な定着を促進するうえで非常に重要です。とある企業では、社内に「主任」ポストを新設するだけで、状況が好転したといいます。具体的には、自薦・他薦を問わず対象者を募集し、5名を新たに「主任」に任命。彼・彼女らの意見交換が積極的に行われるようになり、組織全体の活性化にもつながったようです。

役割・貢献・価値を確認できる処遇

社内における自身の役割、貢献、価値が明確になれば、それは働く意欲につながります。とある企業では、リーダー格のアルバイトスタッフに役職手当を支給したところ、本人の責任感の醸成も相まって、長期に渡り活躍してくれたようです。

長期勤続に対する評価

長らく会社に貢献してきた従業員に対しては、目に見える形で評価(感謝)を示すことも大事です。とある企業では、長期勤続者には特別手当を支給することにしたところ、定着率が上がったといいます。添えたメッセージカードもポイントだったかもしれません。長期勤続の時点である程度、帰属意識は高いと思われますが、確固たるものにするにはやはり、何かしら手を打つのに越したことはないでしょう。

教育訓練・能力開発に関する取り組み

教育訓練・能力開発に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

定着しやすい新人教育の実施

新入社員が円滑に職場に適応し、早期に戦力となるためには、適切な新人教育システムが不可欠です。特に、本人の習熟度に合わせた段階的な教育が求められます。うまくいけば、定着率向上が図れます。以下、取り組む際のポイントです。

成長を実感できる体制の構築

従業員が自身の成長を実感できる環境を整えることは、モチベーション向上と定着率改善に大きく寄与します。とある企業では、経験年数別・職種別などの体系的な育成制度の整備に加え、キャリアパスを構築するのにロードマップを敷き、段階ごとに必要な能力を明示するようにしたようです。また、別の企業では従業員の自主的な能力開発を支援するため、以下のような取り組みを行っています。

つまるところ、社員が能動的に働けるように促すことが、人材確保につながっていくのだとわかります。

労働条件に関する取り組み

労働条件に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

労働条件の整理

労働条件を整理するにあたっては、次のステップが考えられます。

  1. 労務管理の実態や事業所の業務内容に合わせて、就業規則の見直しを実施
  2. 業種や働き方に適した服務規程の追記
  3. 現状の労働条件の反映
  4. 36協定を提出している場合には、実態に合った時間数に修正
  5. 情報管理やハラスメントなど必要な項目の追加

社員に理解してもらうためにも、明確にまとめておくことが必要です。

納得性のある賃金体系の構築

賃金は従業員のモチベーションに直結します。納得してもらえる賃金体系かどうかは、定期的に見直しを図りましょう。労働者のニーズはさまざまです。それらに応じられるよう構築していくことが求められます(例:固定給、インセンティブの割合など事前に選べる制度など)。

労働時間の短縮と適切な管理

長時間労働は社員の健康や私生活に悪影響を及ぼします。当然、離職につながるリスクは高いでしょう。そうならないよう、とある企業では次の3点を実行。従業員のワークライフバランスが改善されたようです。

  1. 毎日勤務開始時に当日の退社予定時間を全員の前で宣言し、可能な限り予定時刻に退社する
  2. 予定時刻を過ぎた場合は急ぎの作業以外は翌日に持ち越すなど、業務の優先順位を付ける
  3. 管理者が率先して早く帰るようにし、周囲への意識付けや帰宅しやすい雰囲気作りを行う

休暇が取得しやすい職場づくり

適切な休暇取得は、従業員の心身のリフレッシュと業務効率の向上につながります。裏を返せば、休暇を取得しやすい職場環境を整えることで、従業員の満足度を高めることができるでしょう。実際、有給休暇の取得日数を社員全員で決める取り組み(「ホリデープロジェクト」)なども行われているようです。

退職金制度の整備

退職金制度は、長期勤続を促進する一つの有効な方法です。社員にとっては自身の将来の生活保障につながるため、安心して働き続けられるでしょう。まさに、定着する理由になり得ます。

労働環境に関する取り組み

労働環境に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

労働負荷を軽減する措置

先述したように、業務上の過度な負担は、従業員の心身の健康に悪影響を与えます。離職につながるのも無理はありません。では、労働負荷を適切に管理し、軽減するにはどのような措置が必要なのでしょう。実例のあった対策を3つ列挙します。

  1. 業務シフトを工夫して、法定以上の休憩時間をとれるようにした
  2. 従業員が休憩する場所がなかったため、休憩スペースを新設した
  3. 腰痛対策の健康診断の導入や、職場での体操の実施、負担の少ない作業方法の周知などを行った

これらによって、離職者を減らすことができたといいます。

多様な働き方を可能とする制度の導入

従業員のライフスタイルやニーズの多様化に対応し、柔軟な働き方を可能とする制度を導入することで、より幅広い人材の確保と定着を図ることができます。とある企業では、短時間正社員制度を新設。具体的なアクションはこちらです。

  1. 正社員の1日当たりの拘束時間を短縮(例:5:30~20:00までの拘束時間を11:00~20:00の9時間に短縮)
  2. 早朝の人手不足には、非常勤のパート社員を別途募集して対応
  3. 賃金は据え置きとし、従業員の私的な時間の増加による満足度向上を図った

実際に、従業員の士気を上げるには十分な取り組みだったといいます。

働き続けやすい制度の導入

従業員のライフイベントに対応し、長期的に働き続けられる環境を整備することは、優秀な人材の確保と定着に効果的です。とある企業では、結婚・出産を機に退職してしまう社員が多かったため、以下のような取り組みを行いました。

  1. 妊娠を契機として退職しそうな社員に対して、個別のフォローを実施
  2. 経営方針として継続就労を希望していることを伝える
  3. 復職後の仕事と育児の両立において障害となることについて、事前に予測されることを話し合う
  4. 復職後の仕事と育児の両立に関係のある制度を紹介する
  5. 周囲の職員に対して、復帰や仕事と育児の両立について理解を得るためのフォローを上長が行う

これらにより、育児休業前後の社員の不安が軽減され、スムーズな職場復帰が実現できたようです。

女性の働きやすい職場環境を整備する

女性が働きやすい環境を整備することは、労働力人口が減る昨今、もはや不可欠といってもよいでしょう。特に、ホモソーシャル要素が強い(従来男性中心だった)職場では、この点に注意を払う必要があります。うまくいったケースを挙げると、そこでは次の取り組みが行われていた模様です。

  1. 倉庫を改造し、女性専用のロッカールームを整備した
  2. トイレの清潔感維持に特に注意を払い、将来的には女性専用トイレの設置を計画
  3. 育児中の女性が仕事と家庭を両立できるよう、提携している近隣保育園の利用条件などを明確にした

こうした取り組みは、如実に女性からの応募数を引き上げます。

人間関係に関する取り組み

人間関係に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

円滑な職場コミュニケーションが生まれる環境づくり

職場でのコミュニケーションを活性化させることで、チームワークの向上や問題の早期発見・解決につながります。事実、以下の取り組みによって職員の主体性、士気は高まった企業もあるようです。

  1. 週1回金曜日に全員で集まりミーティングを実施し、業務における問題点や情報共有に努めた
  2. 社内レクリエーションの実施により、コミュニケーションの活発化に取り組んだ
  3. 事業主から従業員に対するメッセージカードを活用し、目に見える形で日頃の感謝を伝えるようにした

管理者に対する部下との関係に関する指導

管理者と部下の良好な関係は、職場の雰囲気づくりはもちろん、業務効率の向上にも一役買う大事な要素です。それゆえ、管理者のコミュニケーションスキルが求められます。管理職研修を実施し、マネジメントのあり方について学ぶ機会を設けましょう。管理職の意識改革が進めば、おのずと職場全体のコミュニケーションは改善されるはずです。

職場の人間関係を把握し必要な指導を行う

職場の人間関係に不穏な動きがないかどうかは、常日頃、敏感になっていたいものです。いじめ、パワハラ、セクハラ、もってのほかです。一人ひとりが意識を高く持つべきでしょう。そうしたなか、具体的には、以下の取り組みが効果的だったようです。

  1. 社長直々に、職場でのハラスメントは許さないことを表明し、具体的な相談・苦情対応、調査、防止策を職員に周知した
  2. 相談窓口を明確に示し、職員が安心して相談できる体制を整備した
  3. 就業規則の服務規程内容を見直し、「職員の心得」を更新した

こうした職場環境の改善に取り組む姿勢が明確になること自体、大事だと考えます。

福利厚生に関する取り組み

福利厚生に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

社会保険への加入

社会保険への加入に関して、実際に政府の取り組みとして適用範囲は広がりつつあります。とは別に社会保険加入を契機に従業員の生産性向上も併せて注力したいところです。

各種福利厚生の充実

社員のニーズに合わせた福利厚生制度の充実は、エンゲージメントに寄与し、定着率にもよい影響を及ぼすはずです。具体的には、次のような取り組みが挙げられます。

  1. 職場の近くに住んだ従業員に家賃補助として手当を支給した
  2. 人間ドックの費用負担制度を新設し、従業員の健康管理と福利厚生の強化を図った
  3. 従業員の子どもに対して「入学祝金」を提供した

こうした従業員に対する生活支援は、少なからず帰属意識の向上につながります。

経営理念に関する取り組み

経営理念に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

従業員の意識(価値観など)の把握

効果的な経営理念の浸透や人材マネジメントには、総じて従業員を知ることが不可欠です。社員の要望や不満、価値観を把握するために、具体的には社内アンケートの実施が求められます。その際、本音を引き出せるよう、無記名で書いてもらうのがセオリーです。

会社の経営理念の明確化と従業員の理解・共感の促進

明確な経営理念を設定し、それを従業員に浸透させることは、組織の一体感を醸成し、従業員のモチベーション向上につながります。では、具体的にどのような取り組みが提唱されているのでしょう。実例として挙げられるのは、次のとおりです。

  1. 経営理念を社内で徹底するために、服務規律の細則として「従業員の心得」「事業所長の心得」を作成した
  2. 各事業所から寄せられた要望を「従業員の心得」「事業所長の心得」に盛り込んだ
  3. 社長が中心となり、各施設の管理職や職員に対し日々の働き方や経営理念に関する意見を吸い上げた

これらにより、組織が理想とする管理職、従業員像を明確に位置付けることができたといいます。

組織文化に関する取り組み

組織文化に関する取り組みとして厚生労働省が提唱しているのは次のとおりです。

以下、それぞれ詳述します。

従業員が働きがい・働きやすさを感じられる組織文化の醸成

従業員が働きがいと働きやすさを感じられる組織文化を醸成することで、モチベーションの向上と定着率の改善が期待できます。

実際に、以下の取り組みによって効果が見られたようです。

  1. 残業は許可制(事前届出制)だと、あらためて周知した
  2. 管理職層がマネジメントに集中できる環境を整えた

従業員同士がお互いに尊重し、信頼できる組織文化の構築

相互尊重と信頼に基づく組織文化は、チームワークの向上と職場の活性化につながります。日々の業務で改善された点があれば、上司が部下に伝え、頑張っていることを承認してあげれば、ポジティブなシナジーが生まれるはずです。

従業員が前向きな意欲を持てる組織文化を作る

前向きな意欲を持った従業員が増えると、当然、組織全体のパフォーマンスもよい方向へと作用します。これを生むには、相応の組織文化の構築が必要です。たとえば、管理職ではないメンバーが経営側とコミュニケーションを取る機会がもっと増えれば、少しずつ醸成されていくかもしれません。(従業員側が)経営者目線で働くことも大事ですが、従業員の立場で考える必要もきっとあるはずです。厚生労働省が提唱する、“従業員が経営側にもっと提案できる習慣を作る”という取り組みも、まさにそれを指していると考えます。

組織をまとめるリーダーのポストを新設する

リーダーのポストを新設することで、円滑なコミュニケーションと業務遂行の促進が期待できます。なお、実際に成果が生まれた取り組みがこちらです。

  1. 主任ポストを新設し、所長の片腕の位置付けを明確にした
  2. 一般の社員についても、係ごとに業務を割り振り、一人一人自らの業務について責任を持てるように改善した
  3. 年齢や勤続年数ではなく、人をまとめる力を有している人材を抜擢し、リーダー職として明確に位置付けた

これらにより、組織の階層構造や指示系統が明確になり、社員の間に安心感が生まれたといいます。

人材確保につながったアイデア満載の取り組み事例

笑顔のキャリアウーマン

ここまでお伝えしてきた人材確保のアイデア、そして厚生労働省が提唱する取り組みを踏まえて、実際に採用成功につながった事例を紹介します。いずれもdipのお客様の事例です。ぜひ、参考にしてみてください。

求人広告の作り方から改善

株式会社グリップ様は、愛知県名古屋市を拠点に、ヘルパーステーション、訪問看護、居宅介護支援事務所、鍼灸訪問マッサージ、老人ホーム紹介センターなどを運営されている企業です。特に、有料老人ホームの介護スタッフの募集において、人材確保が喫緊の課題となっていました。

当時、採用担当者の方は管理職に昇任したばかりでした。自社にとって本当に有効な求人サービスを模索しているなか、バイトルを選定。早速、求人広告の作成へと進みます。ここで大切にしたのは「事業所の魅力が伝わる求人票を書く」視点です。その前提として、「一緒に働きたい方のイメージ」「求職者の不安、要望」「会社の魅力」を確認。そうやって、求める人材を明確にし、アピールしたい要素を盛り込んでいった結果、応募を集める原稿につながったといいます。

グリップ様の事例インタビュー:新任管理職がdipの営業と二人三脚で介護業界の求人難に立ち向かう。

ミスマッチ採用の減少

株式会社グランド様は、北関東を中心に、労働者派遣事業・有料職業紹介事業・業務委託事業などを行う会社です。近年、営業エリアの拡大や福祉・介護分野への進出に伴い、応募者の年齢層やエリアが広がり、地域独自の事情を汲み上げつつ、全社的な採用プロセス改善を目指す必要性に迫られていました。

そこで、導入したのが『面接コボット』です。自動で面接を設定できるシステムゆえ応募の取りこぼしを減らし、面接率を大幅に引き上げることに成功しました。また、オンライン面接のプロセスも見直したところ、無駄を省いた分、内容が濃い時間を作れたようです。

採用の特性上、ある程度の手間暇をかける必要はありますが、最新のテクノロジーをうまく活用すれば効率化も最適化も図れます。それがわかるよい事例です。

グランド様の事例インタビュー:最先端の採用手法に挑戦し、ミスマッチを減少

面談率、採用率ともにアップ

有限会社アーリーバード様は、東京都町田市を拠点として、都内・神奈川県を中心にブライダルパーティースタッフ(主に結婚式)の業務委託、職業紹介を行っている会社です。

ブライダル業界に特化しているため、スタッフには徹底したマナー指導と教育を行い、きめ細やかなサービスを提供できる優秀な人材を揃える必要がありましたが、人材確保には多大な時間と費用がかかっていました。そこで『HRコボット for 応募対応』を導入。

応募が増え、かつ24時間いつでも応募者と連絡を取ることが可能なツールであるため、面接率もアップ。欲しい人材の獲得にもこぎ着けられたといいます。加えて、採用以外の業務にも時間をしっかり割けるようになったようです。

アーリーバード様の事例インタビュー:面談率は100%!事前アンケート機能で欲しい人材の獲得もスムーズに

費用対効果の高い採用が実現

株式会社木下の介護様では、掲載課金型の求人広告で、無資格未経験者から有資格経験者まで幅広く募集していたものの、事業所によって採用条件が変更になることが多く、ミスマッチによる不採用が多発。求人広告の費用対効果の低さが問題となっていました。

そこで利用したのが『バイトルPRO』です。応募から採用まで効果が出たことはもちろん、採用課金型のプランを選択したことで、課題であったコスト削減も実現。 そもそも媒体の特性上、プロフェッショナル人材が多く集まるサイトのため、求めていた優秀な方との接点は作りやすかったと思われます。まさに、スムーズに採用が進んだ理由です。

なお、現在は、幅広い人材にアプローチしようと、バイトルと併用し費用対効果をさらに上げていこうと取り組んでいるところだといいます。

木下の介護様の事例インタビュー:リスクゼロで採用要件に合う人材へアプローチ。採用コストの削減に成功。

戦略的アイデアに沿った方法で効率的な人材確保を!

スマホや電卓に囲まれたideasの文字

人材確保は待ったなしの経営課題です。しかし、場当たり的な対応では限界があります。自社の実態を直視し、中長期的な視点から戦略を立てることが不可欠です。

そして、その戦略づくりの羅針盤となるのが、拙稿で紹介した人材確保のアイデアです。採用と定着、両面からのアプローチが必至。できるところから着手してみてください。

戦略的なアイデアをもとに、体系的かつ計画的に人材確保に取り組むことで、企業の競争力を高めることができます。いざ未来に向けて、強固な人材基盤を築き上げましょう。


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